神の手は力ある働きをする。

 主の右の手は高く上げられ、
 主の右の手は力ある働きをする。

(詩篇118編16節より)

院内感染。

2020年05月09日 | キリスト教
(この記事は、5/5ごろに書いたものですm(_ _)m)

 さて、誰もが予想していたこととは思うのですが、一応5/6までとされていた緊急事態期間がさらに延びるということになりました(^^;)

 今多くの方が感じているのは、「せっかくのゴールデンウィークが……」ということの他に、「永遠にこのゴールデンウィークが続くかもしれない」ということに対する恐ろしさではないでしょうか

 その昔、わたしたちはゴールデンウィークが終わるという最後の一日あたりには思ったものでした。「嗚呼、このゴールデンウィークが永遠に続いたらどんなにいいか」ということを。でも、すべての良いこと、また悪いことには必ず終わりがある――この「終わりがある」ということの素晴らしさにこそ、今わたしたちは目を向けている気がします。

 ところで、今回のタイトルについては迷ったのですが、とりあえず「院内感染」ということにさせていただきましたm(_ _)mそのですね、つい先日テレビで新型コロナウイルスの医療現場についての報道があったのですが、痰を取る時の飛沫感染を防ぐために、特注のプラスチックケースのようなものを患者さんに被せてお医者さんが痰を取る……といったシーンがありました。

 いえ、見た瞬間ぞわ~っとしてしまいました今までも、医療従事者さんのストレスはもう、「がんばってください」なんて口にするのも憚れるほど、極限を通り越しているように想像してはいたのですが、昔某病院で看護助手をしていた時の記憶が突然甦ってきて、お医者さんや看護師さんは、「あ~、もう仕事に行きたくない」、「このまま逃亡してどっか行きたい」くらいのものではないかと、そんなふうに感じました

 というのも、痰の吸引といったことは、病院内においては「本当にありふれた医療行為」なわけですよね。でも、飛沫感染する可能性が高いことから、そんなありふれた医療行為に対してさえも細心の注意を払わなければならない……いえ、防護服着たりフェイスシールドをつけたりとか、ああしたこともすべて恐ろしいストレスの産物とは感じていましたが、どこから感染するかわからないだけに、医療従事者の方のストレス値はすべての職業の中でも高いものだ――とはもともと言われていますが、通常でも10のストレス値で表される段階のうち、8~9を示したりするものが、現在はもう11以上どころか、20~50を指しているのではないでしょうか。

 それで、病院内においては病院内においての清潔・不潔のルールといったものが徹底されていると思うですが、一度患者さんに使用したものはすべて消毒し、洗って完全に乾かし、中央材料室と呼ばれる場所に出すことになっています。この中央材料室という場所は、大抵手術室に隣接していて、手術室で使われた手術器具などもすべて回収し、消毒して洗い、滅菌するという作業をするところなんですよね。

 それで、わたしがテレビの痰の吸引シーンを見ていて、何を思いだしたかというと……昔いたことのある病院の病棟というのが、気管切開されている寝たきりの方が多く、痰を吸引するためのチューブが一日に何十本も(一日に病棟のチューブを回収すると軽く100本以上は)出るわけです。このチューブは大体一回使うごとに、消毒するためのバケツが床頭台の下あたりにあって、看護師さんが痰を吸引後、そこに入れています。そしてこの回収したサクションチューブは回収後、「不潔」領域の流しで洗い、その後乾かして滅菌伝票に書き入れ、中央材料室に持っていくわけです。

 で、ですね。このサクションチューブ、そこの病棟ではF-12(フレンチ12)、F-14(フレンチ14)とありまして、気管の細い方などにはF-12が使われるものの、大体大量に出るのがF-14のほうなわけです。それで、洗っても管の中に微量の痰のカス状のものが残っていたりすると、中央材料室の受付の滅菌係の女性に突き返されるもので、針のついてない注射器(シリンジ)に水を入れ、その水の勢いで押し流す……ということを何度も繰り返して、ようやく綺麗にするという、何かそんなことをしていた記憶があります(^^;)

 まあ、こうした医療器具的なものを洗ったりするというのも、規模の大きい病院(病棟)ほど色々なものがたくさん出るので、その大量の洗いものをして乾かす、古いものと新しいものとを取り替えるなど、これだけならそうでもないにしても、これはあくまで介護士さんとか看護助手のメインの仕事というわけではなく……患者さんの清拭、体位交換、車椅子移乗、食事介助、トイレ介助、オムツ交換その他――食事介助なら当然どのくらい食べたかを記録したり、尿や便の量も記録しなくてはいけなかったりと、患者さんと接するのがメインの傍らやらなきゃいけない仕事なんですよね。
 
 それで、わたしがそこにいた当時、MRSAという感染症になった方の隔離された病室が一室ありまして、そこに入室する前には手を消毒し、介護服にも消毒液を噴霧し、当然出てくる時にも同じようにし、その他、MRSAの患者さんのオムツや病衣なども、すべて徹底的に分けて捨てたり、病衣とかシーツなど、交換したものはすべて別のビニール袋に入れ、わかりやすく『M』と書いてリネンのおばさんに渡したりと……何かそんなことをしていた記憶があります。

 MRSAというのは、病院内においてよく知られた感染症であり、健康元気な若い方がかかるということはまずない……といったように教えていただいた記憶がありますが、ただ、わたしたち介護員に付着したものが、他の病室の免疫力の落ちている御高齢の方などに移るといけないので、消毒などにはよくよく気をつけなくてはいけない――といったように看護師さんや介護福祉士さんに教えていただいたような記憶があります。

 この点、新型コロナウイルスは濃厚接触した場合、かなりの高い確率で感染するわけですし、病院や介護施設などでは濃厚接触せずに看護する・介護するというのはまず不可能と思うんですよね(当たり前すぎるくらい当たり前のことですけれども^^;)。いえ、単にテレビで痰の吸引の場面を見たことで……そんなことを何か芋づる式に思いだしたのですが、その病棟にはICU(集中治療室)が4床ほどあって、看護師さんがひとりでその4人の患者さんを看ていました。

 大体、交通事故で運ばれたきた、あるいは脳梗塞で緊急手術後、ICUへ……ということが多かった気がしますが、ICU付きになった時に看護師さんの仕事を見ていて、本当に本当にほんっっとうに大変だな、と思いましたというのも、患者さんに行った治療行為についてすべて記録するというのも大変ですし、わたし(看護助手)などは、看護師さんが患者さんの体位交換するのを指示通り手伝ったり、治療行為の間、横向きにした体を押さえていたりとか、とにかくなんでも言われたとおりにしていればいいのでいいのですが(ただし、キツイ看護師さんに八つ当たりされるということはたまにある)、看護師さんは切れたりヒステリー起こしたりしないのが不思議なくらい、本当に大変だなと思いました。。。

 で、ICUの患者さんというのは大体、人工呼吸器に繋がれているのですが、この人工呼吸器も一度繋いでしまえば、患者さんが回復されるまで永遠にそのまま……ということはなく、管理というかメンテナンスも行っている臨床工学技士さんという方がいらっしゃって、この人工呼吸器から伸びて患者さんの挿管された口許にまで繋がってる管というのもまた――時々、洗い物として出ることがあり、なんかこのバラバラにして洗った管を乾かしてから再び元に戻す作業というのがあってですね……他の看護助手の方や介護福祉士さんなどと、「あれ~?この順番で良かったっけ?」的な形で中央材料室に出したことがあり、臨床工学技士さん(すごくいい人です)に「ちゃんと覚えて出してくれよ」と、苦笑い気味に注意されたということがありました。

 臨床工学技士さんというと、医療ドラマ『医龍』などの手術室内において、人工心肺を管理する方として御記憶の方も多いと思いますが、人工呼吸器の管理とか高気圧酸素治療室で治療されたりとか、わたしがちらと見た感じだと、結構孤立したポジションだったりするんですよね(^^;)

 お医者さんや看護師さんが大変なのは言うまでもないことであるにしても……エクモについてはわたし、実際に見たことないのでわからないのですが、臨床工学技士の方なども、管理やメンテナンスといったことのためにICUに出入りされたりするのでしょうし、管理責任といった意味合いにおいて、結構ストレスがあるのではないでしょうか(いえ、その病院内に臨床工学技士がひとりしかいなかったりとかあると思うので、そうした責任の重さって大きなストレスなんじゃないかな、というか)。

 その他、病院内の清掃員の方なども、ルーティン的にぎゅうぎゅうに仕事を詰め込まれてますから、そこに消毒といったことにもっと力を入れてくれと言われると、そもそもルーティン的にぎゅうぎゅうな上に、さらに気をつけなきゃいけないとなると――人員を増やしてもらわないことには、どうにも仕事が回っていかないのではないかと思います(わたし、病院の清掃の仕事もしたことあるので、そのキツさについてはすごくよくわかります。最低賃金で4~5時間、汗だくになって働く、といった感じで、間にもし仕事を増やされた場合、時間内に絶対仕事が終わりません)。

 といったことを、テレビで「医療崩壊を起こさないために」こそ、今我々はステイホームということをこんなに頑張っているのだ……といったように報道があるたびに、何か色々思いだしたりしました。わたしの経験なぞというものは、ほんの短い期間の微々たるものとは思うのですが、病院の内側に入って間近で見ない限り、医療現場の大変さっていうのは実感できないところがあって――正直わたしも、自分が看護助手といった仕事をしてみるまでは「お医者さんや看護師さんっていうのは大変だなあ」と漠然と思ってはいたものの、実際そのあたりのことを近くで見てみると、「思った以上の3~5倍以上も大変だな」と感じましたし、通常でその状態ですから、今などはわたしたちの普段想像する10~20倍も大変なのではないでしょうか。。。

 確か、いわゆる無給医の先生なども現場に駆り出されているとテレビで聞いたので、是非この機会に、日本に無給医の先生というのがいなくなり、そのあたりの待遇についても手厚くしてもらえるようなシステムに変わるように、むしろ今まで何故そうならなかったのか、不思議で仕方ないとはいえ……そのくらい、少しは新型コロナウイルスがあった結果、医療の負の遺産みたいになってたことに変化があって欲しいと願っています。

 あとは、若い看護師さんが「たった22万円という給与のために、夜勤も増えた上、とてもやってられない」と嘆いておられたように――もともと、もっともらってもいいくらいだったわけですから、そのあたりの看護師さんや介護福祉士さんなどの待遇なども変わっていくといいなあと思いました。

 何分、介護福祉士さんに至っては、月14万円くらいとか、普通だって聞いたりしますよね(^^;)病院だけでなく、介護施設内でも恐ろしい危機的状況といったことがあると思うので、そのあたりも変えていってもらわないことには、現場としては自分たちの声がサイレント映画みたいにまるっきり届いていない……としか感じられない状況というのが今後も続くのではないかという気がしてなりません。

 ずっと家にいて、気晴らしが何もなくてつらい……お子さんのいらっしゃる家庭ではなおさらそうだと思うんですよね。何より、家族が全員同じ家にいざるをえないとなると、それまで「なんとなく家庭の無意識下に沈んでいた問題」が顕在化してきて、家の中にもいずらいし、かといってステイホーム期間でどこにも行くことか出来ない(居場所がない)――そうした問題というのも実はあるのではないかと想像しています。

 なので、色々なことが難しいですが、とにかく自分としては祈るしかないので、これからも新型コロナウイルスについて、すべてのことが適材適所的なところに落ち着いて鎮まるようにと、そんなふうに心から願っています

 それではまた~!!





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