読む日々

テーマばらばらの読書日記

秋草の渡し

2012-01-11 | 
伊藤桂一「秋草の渡し」


江戸時代を舞台に、様々な事情を抱えた男女が救われていく、心温まる短編10編。

一つ一つがとっても短いですが、読後感がものすごくいい。
「ありえない」と言った感じの、人の親切から人生がガラっと変わる話しが多いけど、その親切もやはり、親切される側の日頃のの生き方とか行いとか、そういうのが優れていたからかな、と思う。


すごく心に残る、というわけではないけど、軽く読んで、「読書を楽しむ」にはもってこいな本かなと。

・秋草の渡し・・・船頭の父が病に。代わりに娘が船をこぐ。ある日、薬問屋を名乗る客が現れ、なにくれとなく世話を焼いてくれる。

・旅路の妻・・・・仇討ちの途中亡くなった夫の代わりに助太刀として仇討に加わる男と、結局途中で男と夫婦となった妻の仇討の顛末。

・夜ごとの夢・・・小料理屋を営む女とその店を贔屓にする親分が結ばれるまで。

・目白の鳴くとき・・・鄙びた場所で目白を飼いならす父娘と、そこへ飼い方を習いにくる武士。目白のおかげで身分違いの娘と男が結ばれる。イチオシ

・密通者の秘剣・・・剣の師匠の妻、春乃の色香に惑わされた弟子達が次々と妻敵として師匠に討たれるが最後は・・・

・噂の美女・・・・美人過ぎて、いい家の息子に目をつけられ嫁入り。幼馴染の男は荒れて、その夫を斬ってしまう。男の友達と残された妻の話。

・梅の咲く頃・・・男と逃げた事で許嫁から遊女屋へ売られた女。その女に「殺してほしい」と頼まれ事情を聞く男。二人で幸せになる話し。

・当り籤・・・・家老が匿っていた女を家老亡きあと面倒をみる部下は体がもたず・・・。

・鬼討ち・・・・様々な仇討がからまってややこしい話。忠義の猿が素晴らしい。

・川のほとりで・・・若くして出戻った武家の娘と、幼馴染の男が結ばれるまで。目白の話しと似てるかも。

満足度80