読む日々

テーマばらばらの読書日記

駅までの道をおしえて

2013-12-05 | 
伊集院静「駅までの道をおしえて」


ハートウォーミングな短編8こ。

すべてに、直接または間接に野球が関わってます。

・駅までの道を教えて

愛犬を亡くしたばかりの少女と、数十年前に野球好きだった息子を亡くした、死を前にした老人の交流。ファンタジー的。

・シカーダの夏

6年前の夏、病院を舞台に知り合った14歳の3人の少年と、皆が恋したヒマワリのような少女。三角野球をした原っぱで二十歳の再会を約束し、その時が来た。泣けた~。

・バラの木
体が弱かった少女が、既婚者と駆け落ちし、子供を産み、彼を亡くして実家へ戻る。母のリハビリで知り合った元野球選手の初老の男とバラと、父の関わりを知る。

・冬のけむり

病院の付き添い婦の60歳の女性と、その人に付き添われた凛とした同年代の女性の過去。亡くなった女性の故郷、宮崎へ担当医の若い医師と共に旅をする。亡くなった女性は若い頃、野球選手と恋をしていた。 これはいまひとつ入り込めなかった。

・2ポンドの贈り物

元野球選手の父が肝臓を患い、母は迷いなく臓器提供を決意する。その姿に自分の恋を考える二十歳の娘。 すごい夫婦愛。私なら絶対やらないわ。

・渡月橋

呉服屋の倅からの求婚と、馴染みの会社社長からの落籍に悩む芸伎。子供の頃見かけてた甲子園のヒーローの少年時代を思いだし、出した結論。 これはなんかいいわぁ。朝ドラの
だんだん で見聞きした芸伎の世界が甦って楽しかった。

・花守

弘前の大学で教鞭をとる男とスナックのママの恋。ママは桜の季節に恋狂いになるという噂。その誤解が解けるまで。男は妻とのゴタゴタを野球観戦が癒してくれた過去がある。 素敵な大人の恋のお話でした。

・チョウさんのカーネーション

長嶋茂雄ファンの、1人の男の死。しょうもない男だが、最後に長嶋茂雄本人らしき男がカーネーションの花束を持って斎場へ。受け取った少女は死んだ男の娘?? 作者らしいお話。


すらすら読めて涙もでました。でも一晩たったら、再読はないなぁ、と思ったので、満足度は80

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