トランプ氏は、自国第一主義を主張し、移民に対して、閉鎖的な姿勢を示しているが、合衆国がどうして今のように世界の覇者として繁栄するようになったのか、その歴史をきちんと知るべきだろう。アメリカの民族が他の民族に比べて飛びぬけて優秀なわけではない。ごくありふれた民族に過ぎない。
アメリカが目覚しい発展を遂げる基点となったものは、ドイツのヒットラーによるユダヤ人迫害であり、その迫害から逃れ、ドイツの科学者が大量に合衆国に渡った。その外に、世界各地の非常に能力の高い人たちが、アメリカンドリームを夢見て、世界中から優秀な人材がアメリカに流入し、その優秀な人材を取り込む形で目覚しい発展を遂げたのだ。
この流れを断って、自国民のみを優遇するような政策を展開すれば、それらの優秀な異民族は外に活躍の場を求め、合衆国を後にすることだろう。もし、そういうことになったら、合衆国はただの「木偶の坊」のような存在となり、おそらく経済は衰退の一途を辿ることだろう。
トランプ氏はこの辺のことがどうも良く分かっていないようだ。移民によって、仕事を奪われた生粋のアメリカ人の不満に着目し、爆発的な支持を得て、大統領になったのだ。しかし、合衆国の産業界は、こうした歴史、自国の特質を十分承知していて、トランプ氏の政策に反旗を翻すようになり、今やトランプ氏は完全に孤立状態に陥っているということのようだ。
安倍首相は、トランプ氏のコバンザメのように同調行動を取って、今は、北朝鮮を挑発することに賛意を表している。しかし、これほど危ういことはない。今のトランプ氏は、いつ暴発し、北朝鮮へのミサイル攻撃、ひいては核攻撃までしでかすか分からない危険な人物だということが分かっていないようだ。どんなことがあっても、トランプ氏が核を使うことには賛同してはならないし、そんなことは決して許されることではないということを肝に銘じておいて欲しいものだ。