私のマンションの通り挟んで対面にオフィスビルが建っているのだが、そのビルのエントランスの歩道側のところに一人の男性が仰向けになって倒れていた(寝ていた?)。その近くを大勢の人が行き来する。夕方5時頃だから、学校帰りの男女の高校生、中学生のほか、会社員も、買い物帰りの主婦も通り過ぎていく。誰一人として、その男性を注視することもなく、ただ通り過ぎていく。その男性が倒れているのが見えていないように、本当に何事もなく通り過ぎていくのだ。
私は自宅マンションの窓からその様子をみていた。一人ぐらいは、近づいて詳しい様子を見たりする人がいるのではないか?そう思ったが、しばらく見ていてもそうした動き(頭の動きも含める)を示す人は一人も現れなかった。遠目で見ても、その男性の着衣は汚れているように見えるし、みんな、またホームレスが酔って寝ているのだろうと判断したのだろう。歩みを緩めるでもなく、その男性に全く気付かないかのようにただ通り過ぎていくのだ。この近くには結構ホームレスがいて、ベンチに座っていたり、歩道に寝ていたりすることがしばしばある。それはそれは困ったことなのだが、それにしても、都会の人は、本当に自分の目的地を目指してわき目も振らずに、ただひたすら歩き続けるものだと、ふと思った。これが田舎の風景の中では、人の動きは異なり、人が倒れているとして大騒ぎになっていたのではないだろうか?
大勢の中の一人、そこでは、自分が行動を起さなくても、誰かがやるだろう!と、先に考えてしまい、どうしたのか確認しようとか、警察に届けようとか、全く考えなくなってしまうのだろう。そういう土壌があるからこそ、ホームレスも、差して抵抗なく、ここに居られるのではないかとも思う。これが田舎だったり、住宅地の真ん中だったりしたら、すぐに声を掛けられたり、警察を呼ばれたりするのだろうと思う。
都会人特有の動きなのか、それとも、「現代という時代」がそういう動きを起させるのか、良く分からないが、無関心なのかというとそうでもなさそうだ。
それほど離れていないミスタードーナッツ店の前に、携帯電話を手に持った人が大勢並んでいる。何でも、AUの画面を見せれば、ドーナッツ1個貰えるらしい。そのために、行列まで作って順番を待っている。これもまたちょっと不思議な光景だ。僅かドーナッツ1個のために並んで待つかよ!!!
これら二つのことは、非常に対照的な出来事のように思われた。