十勝連峰の東側、奥深き山・・・
トノカリシベツ山 (1151.5m)
追悼登山 亡き児玉氏との記念すべき初山行の山へ
■ 山 行 日 2019年3月17日(日) 日帰り
■ ル ー ト トノカリ林道~オプタテシケ山南東尾根~西斜面直登ルート
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №9
■ 登 山 形 態 山スキー
■ 地 形 図 1/25000地形図 「オプタテシケ山」
■ 三角点・点名 二等三角点 点名「殿狩士別 トノカリシベツ」
■ コースタイム 登り 5時間15分 下り 2時間05分
<登り>
08:30 砂防ダム(北電・水力発電)前 出発
09:10 トノカリ2の沢林道出合 右へ
※ 橋が崩壊し通行不可で引き返す
09:20 トノカリ林道に戻る
09:53 三股橋・・この橋も崩壊するも残雪で通行可
10:25 オプタテシケ山雨量測定器
11:10 オプタテシケ山南東尾根C950~タテヤ沢へ
11:55 タテヤ沢SB渡渉
13:25 トノカリシベツ山頂上台地
13:45 トノカリシベツ山頂上
<下り>
14:05 下山開始
14:30 タテヤ沢SB渡渉
15:10 C900付近のトノカリ沢川SB渡渉
15:15~30 C900付近トレースと合流 休憩シール外す
15:40 三股橋
15:50 トノカリ2の沢林道出合
16:10 P 登山口
2010年と2019年のGPSルート図です・・
★ 追悼登山・・・
2016年8月6日、児玉保則氏、当時61歳。
北海道の山全山とする1594座の最後の山に多くの仲間と共に登った馬追丘陵の
「長官山(254m)」。下山後は、全山登頂を祝う祝賀会も開催された。
この記録は、前人未到とも言われこれに続く者は現れないだろうと言われている。
その児玉氏と知り合ったのは、2010年1月HYMLの懇親会「つぼ岳」だった。
なんとなく凄い人という噂は聞いていたが、見る限り普通のおじさんだった。
つぼ岳でお話しした時も早口でモゴモゴと喋り内容は半分くらいしか理解出来なか
ったが、山に対する情熱だけはひしひしと伝わりそして良く山を知っているなぁ~
という印象が強かった。
その児玉さんから翌2月に突然電話来た。
「トノカリシベツ山」に一緒に行かないか?と唐突なお誘いである。
「エバさんも登ってないだろう?」「俺も登ってないんだ!」・・・と切り出す。
聞いた事も無い山、どこにある山?1泊で?と聞くも早口で計画を話し始める。
そして、3月6日の出発に至った。
超人と言われる児玉氏と同行出来るだけでも嬉しかったが、果たして一緒に登れる
のかと不安は隠しきれない・・。しかし、その夜テントですべて払拭した。
互いに「酒好き」「山好き」で山談議に盛り上がる。
始めて一緒に登る相手と一日同行し、テントで酒盛り・・もう言う事はない。
明日の山などもうどうでもいいか!と言えるほど気が合ったのかも知れない。
翌日のアタックでは、ルートに迷う私に地形図も見ないで淡々と前に進む児玉氏。
トノカリシベツ山の南斜面直登ルートは、急斜面である。その斜面の弱点を見事に
見付けジグを切って登り始めた。標高差100m程だったが、地形図だけでは読み
取れないや野性的な感性を感じた場面でもあった。
その後も見上げるほどの斜面なのに一番登りやすいルートを見付けながら登って行
く。最後の直下も雪庇が張り出す危険な場所なのに見事雪庇の無い場所を見付けて
登り切った。GPSで確認したらそこが頂上だった・・・。
これが児玉氏との初山行。忘れられない私の宝物でもある。
あれから何度か児玉氏との山行があり、どれも鮮明に思い出す。これからもっと
一緒に登ろうと語り合っていた矢先、2017年5月29日彼は逝ってしまった。
まだ62歳の若さで・・・
今回は、妻の未踏峰を登るためトノカリシベツ山を選び、児玉さんとの思い出の
山でもあったので「追悼登山」も兼ねて日帰りで挑戦する事にした。
★ トノカリシベツ山・・・
私もですが、この名前を聞いてすぐどこにある山と分かる方は少ないでしょう。
地形図には、山名がありますがピーク感のない大きな尾根の末端にある平らな湿原
の点に過ぎません。登山として登る対象とする方は、私たちのように目標がなけれ
ば恐らく行く事はないでしょう。
場所は、十勝連峰の東端「コスマヌプリ1626m」の大きな南尾根の末端に位置
する1151mの山です。繰り返しますが平坦な場所にある頂上です。
★ 9年ぶりの再訪は妻と・・・
児玉氏との初山行で登った同じルートを辿るべく、林道の除雪状況も分からぬまま
ぶっつけ本番で現地に向かった。
4時半に自宅を出発、日勝峠を経由してトムラウシ温泉に繋がる道道718号線に
入りトムラウシ温泉の10㎞ほど手前にある「曙橋」を渡ってすぐ左の林道に入る。
運良く除雪がされており一台の車が走った真新しいトレースが付いていた。
林道に入り約4.4㎞走ると「殿狩橋」があり渡ってすぐ右の林道に入る。ここか
ら約900m進むと右側に北電管理の水力発電所があり除雪もここで終了していた。
この先の林道が「トノカリ林道」だが、先行していた車も発電所ゲート前に駐車し
ていて驚いた。丁度8:00に着いた。
まずは、予定していた場所まで車が入れたので安堵する。
自分たちの車をゲート前に停めるといきなり放送が入った・・・。
「ゲート前には駐車しないで下さい」と誰かがカメラで監視しているのかな?とビ
ックリしたが、ゲートにセンサーがあってここに大型のものを感知すると注意放送
が流れる仕組みのようだ。素直に移動して最終除雪した林道に駐車した。
準備を終え8:30に出発する。
最終除雪された林道に駐車する・・・ゲート前は、駐車禁止です!
先行者と思われるスキーのトレースを有難く利用させて頂く・・・
快晴、無風の登山日和・・・驚くトレースもあり言う事なし。
40分ほど歩くと林道の分岐があり「トノカリ2の沢林道」の標識がある
★ ハプニング・・・
有難く利用させて頂いたスキーのトレースは、トノカリ2の沢林道には行かずその
まま直進していた。私たちの予定のルートは右に入りトノカリ2の沢林道だ。
最初から先行者もトノカリシベツ山に登る人と決めつけていただけにショックだっ
た。残念だが、トレースに別れを告げてトレースの無い林道に入る・・・。
分岐から100mほど進むと本流「トノカリウシュベツ川」に架かる橋を渡るが、
倒木と共に橋が崩壊していて渡る事が出来なかった。川も勢い良く流れSBなどある
訳も無く無念にも引き返す羽目に、トレースの別れに次ぐハプニング第二弾である。
一旦、トノカリ林道まで戻って地形図を確認する事にした。
トレースのあるトノカリ林道の先を地形図で読んで見ると、別ルートが浮かんで来た。
それは、地形図上に載るトノカリ林道の末端まで進みC900位から北にルートを変
えてダテヤ沢を渡渉しトノカリシベツ山の西斜面を登るルートである。
ちょっと遠回りかも知れないが、トノカリシベツの南斜面より西斜面の方が斜度は緩
く登り易いと読んだ。
運良く?トレースもずっとルート上にあるではないか・・・。
崩壊して渡れなかった2の沢林道の橋・・・
トノカリ林道上にある「三股橋」も崩壊していたが、辛うじて残雪を利用して渡れた・・
「三股橋」
橋を渡って少し進んだカーブにあった倒木・・・難なく潜って通過出来た
★ トレースはオプタテへ・・・
長い林道歩き慣れたもの・・・
地形図上の林道線が切れる標高880m付近まで約5.5㎞あった。そこには、小さい
がオプタテシケ雨量測定器と書かれた装置がある場所だった。
地形図には無い林道は更に続いていてトレースも続いていた。
林道は途中から不明瞭となるも再び現れ北西方向に向かっていた。
自分の読図では、C900付近からトノカリ沢川を渡渉して隣の尾根を北東方向に進み
トノカリシベツ山の西斜面に取付くダテヤ沢を渡るはずだった・・・。
この時もトレースの先行者は「トノカリシベツ山」に登るものと疑わず、もうそろそろ
右にルートを変えるだろうと思いながら、ついついずっと利用して歩いていた。
しかし、C930付近で異変に気が付く。
一つは、これ以上登ってしまうとダテヤ沢まで遠くなるぞ。
一つは、このトレースはトノカリシベツ山ではなくオプタテシケ山に向かっているんだ
と初めて気が付いた。それが11:10の事である。
戻る事も考えたが、トノカリ沢川のSB渡渉が不明だったのでここから方向を変えて沢
に近づく。すでに上流部でアップダウンも少なく沢は雪で埋まり渡渉は楽だった。
地形図を読み標高を余り変えずに隣の尾根を辿りダテヤ沢850付近を目指して歩く事
にした。尾根は広く緩斜面に助けられどんどん目標に近づく。適当な場所から一気に沢
まで降りて予定の850付近で沢と出会った。
沢はすでに顔を出してはいたが、何箇所かSBを見付け渡渉出来た。
そして、ここから西斜面を250m以上登らなくてはならない。
斜度は読んだ通り南斜面よりはかなり緩斜度に思えた。とは言ってもそれなりに斜度は
ある。更に20㎝を越える新雪のラッセルに苦労させられた。
トップを交代しながらゆっくりと確実に歩を進め少しずつ頂上台地が近づく実感を覚え
る。この登りに1時間半を要した。
ダテヤ沢の渡渉・・・
頂上台地の平坦な樹林帯
そして、ついに辿り着く頂上・・・
★ 無理と諦めたチーヤン・・・
最終登行時間を14時と決めてすでにヘロヘロ状態にも関わらず西斜面に取付いた。
タッパ250の登り、普通なら3~40分だろうか・・・
しかし、新雪の深いラッセルとそれなりの斜度に足は進まない・・・
弱気と辛さでグチが多くなるのは私だ。登頂するまで口にはしなかったが、チーヤンは
登頂出来ないかもと半ば諦めていたと言う。
それでも頑張ってようやく頂上台地に着いたのが13:25だった。
ここから頂上まで約300m、それも平らな樹林帯だから14時には間に合うだろう。
★ 諦めない一歩が実を結ぶ・・・
13:45 トノカリシベツ山 頂上。
ギリギリだったが、ついにピークを踏んだ!
内心諦め掛けていたチーヤンもホッと胸を撫でおろし笑顔に変わる。
天候にも恵まれたが、自分たちで選んだ新ルートを辿りここまで登れたのは最後まで
諦めない一歩と何より天国から児玉さんが応援してくれたからと感謝した。
9年前を思い出し、頂上で手を合わせ追悼する。
今更だが、ここから南斜面は見下ろす事が出来ない程の絶壁である。
こんなところを本当に登って来たのか?と当時の事を思い出すももう児玉さんはいない。
あの時は、1泊でテン場から1時間40分ほどで登ってしまったが今日は日帰り。
ルートも違うが5時間越えの登行だった。
晴れてはいたが、遠望は利かず辛うじてコスマヌプリの頂上が見えただけでも嬉しか
った。
貸切の頂上、握手をして冷たいコーラが五臓六腑に染み渡った。
コスマヌプリを背に撮ったトノカリシベツ山頂上
遠くに見える山が、コスマヌプリだと読んだが確信はない・・・
★ 下山・・・
奥深き十勝のてっぺんではあるが、14時過ぎの下山開始。
この時期としてはチト遅いのは重々承知していた。色々なハプニングや別ルートに
なってしまい想像以上のラッセルも加えて時間を要してしまった。
しかし、それ以上に頂上に辿り着いた喜びは「追悼登山」だけに天国の児玉さんに
感謝だった。
好天にも恵まれたが、下りは往路を無視して最短のルートを試みた。
頂上からシールを付けたままでも深い新雪をそれなりに楽しんで一気に降りる。
タテヤ沢の渡渉も難なく終了。あとは復路のルートだが、標高900mラインに沿
ってトノカリ沢川を目指し、すぐそばを歩いて来たトレースに合流するルートが最
短だった。
改めてGPSの威力と言うか性能の良さに頼りっぱなしも予定通りに導かれトレー
スと合流した。下山してここまで僅か1時間ちょっとだった。
もう安心して帰れる・・・と思ったら緊張から解放され笑顔になる二人だった。
ようやくここでスキーのシールを外しスキー体制になる。
始めは気が付かなかったが、オプタテシケ山に登ったとみられる先行者の復路のト
レースに気付き、ガッチリ固められた更なるトレースはもの凄く滑りが良くてスピ
ードが付いた。
出発から2時間以上掛かった林道歩きも下りでは40分だった・・。
暗くなることも覚悟していた下りだったので、明るい内に下山出来た事も児玉さん
に感謝であった。本当にありがとう!
あの時、帰りに入った「くったり温泉」はあいにくの定休日?
日曜なのに定休?って変だなと思いながら諦めて日高の沙流川温泉「高原荘」で汗
を流して帰宅した。
自宅には21時に着いたので、今日の山行は16時間30分を掛けて終了だ。
頂上から南側を望む。9年前はこちらから登って来たが、下を見られないほどの絶壁に見えた・・・
下山に入る・・・往路のトレースは良く滑った
タテヤ沢を渡渉して900m付近の尾根からトノカリシベツ山の西斜面を振り返る
頂上から僅か2時間で降りて来た喜びの歓声と共にゴールである・・・
トノカリシベツ山 (1151.5m)
追悼登山 亡き児玉氏との記念すべき初山行の山へ
■ 山 行 日 2019年3月17日(日) 日帰り
■ ル ー ト トノカリ林道~オプタテシケ山南東尾根~西斜面直登ルート
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №9
■ 登 山 形 態 山スキー
■ 地 形 図 1/25000地形図 「オプタテシケ山」
■ 三角点・点名 二等三角点 点名「殿狩士別 トノカリシベツ」
■ コースタイム 登り 5時間15分 下り 2時間05分
<登り>
08:30 砂防ダム(北電・水力発電)前 出発
09:10 トノカリ2の沢林道出合 右へ
※ 橋が崩壊し通行不可で引き返す
09:20 トノカリ林道に戻る
09:53 三股橋・・この橋も崩壊するも残雪で通行可
10:25 オプタテシケ山雨量測定器
11:10 オプタテシケ山南東尾根C950~タテヤ沢へ
11:55 タテヤ沢SB渡渉
13:25 トノカリシベツ山頂上台地
13:45 トノカリシベツ山頂上
<下り>
14:05 下山開始
14:30 タテヤ沢SB渡渉
15:10 C900付近のトノカリ沢川SB渡渉
15:15~30 C900付近トレースと合流 休憩シール外す
15:40 三股橋
15:50 トノカリ2の沢林道出合
16:10 P 登山口
2010年と2019年のGPSルート図です・・
★ 追悼登山・・・
2016年8月6日、児玉保則氏、当時61歳。
北海道の山全山とする1594座の最後の山に多くの仲間と共に登った馬追丘陵の
「長官山(254m)」。下山後は、全山登頂を祝う祝賀会も開催された。
この記録は、前人未到とも言われこれに続く者は現れないだろうと言われている。
その児玉氏と知り合ったのは、2010年1月HYMLの懇親会「つぼ岳」だった。
なんとなく凄い人という噂は聞いていたが、見る限り普通のおじさんだった。
つぼ岳でお話しした時も早口でモゴモゴと喋り内容は半分くらいしか理解出来なか
ったが、山に対する情熱だけはひしひしと伝わりそして良く山を知っているなぁ~
という印象が強かった。
その児玉さんから翌2月に突然電話来た。
「トノカリシベツ山」に一緒に行かないか?と唐突なお誘いである。
「エバさんも登ってないだろう?」「俺も登ってないんだ!」・・・と切り出す。
聞いた事も無い山、どこにある山?1泊で?と聞くも早口で計画を話し始める。
そして、3月6日の出発に至った。
超人と言われる児玉氏と同行出来るだけでも嬉しかったが、果たして一緒に登れる
のかと不安は隠しきれない・・。しかし、その夜テントですべて払拭した。
互いに「酒好き」「山好き」で山談議に盛り上がる。
始めて一緒に登る相手と一日同行し、テントで酒盛り・・もう言う事はない。
明日の山などもうどうでもいいか!と言えるほど気が合ったのかも知れない。
翌日のアタックでは、ルートに迷う私に地形図も見ないで淡々と前に進む児玉氏。
トノカリシベツ山の南斜面直登ルートは、急斜面である。その斜面の弱点を見事に
見付けジグを切って登り始めた。標高差100m程だったが、地形図だけでは読み
取れないや野性的な感性を感じた場面でもあった。
その後も見上げるほどの斜面なのに一番登りやすいルートを見付けながら登って行
く。最後の直下も雪庇が張り出す危険な場所なのに見事雪庇の無い場所を見付けて
登り切った。GPSで確認したらそこが頂上だった・・・。
これが児玉氏との初山行。忘れられない私の宝物でもある。
あれから何度か児玉氏との山行があり、どれも鮮明に思い出す。これからもっと
一緒に登ろうと語り合っていた矢先、2017年5月29日彼は逝ってしまった。
まだ62歳の若さで・・・
今回は、妻の未踏峰を登るためトノカリシベツ山を選び、児玉さんとの思い出の
山でもあったので「追悼登山」も兼ねて日帰りで挑戦する事にした。
★ トノカリシベツ山・・・
私もですが、この名前を聞いてすぐどこにある山と分かる方は少ないでしょう。
地形図には、山名がありますがピーク感のない大きな尾根の末端にある平らな湿原
の点に過ぎません。登山として登る対象とする方は、私たちのように目標がなけれ
ば恐らく行く事はないでしょう。
場所は、十勝連峰の東端「コスマヌプリ1626m」の大きな南尾根の末端に位置
する1151mの山です。繰り返しますが平坦な場所にある頂上です。
★ 9年ぶりの再訪は妻と・・・
児玉氏との初山行で登った同じルートを辿るべく、林道の除雪状況も分からぬまま
ぶっつけ本番で現地に向かった。
4時半に自宅を出発、日勝峠を経由してトムラウシ温泉に繋がる道道718号線に
入りトムラウシ温泉の10㎞ほど手前にある「曙橋」を渡ってすぐ左の林道に入る。
運良く除雪がされており一台の車が走った真新しいトレースが付いていた。
林道に入り約4.4㎞走ると「殿狩橋」があり渡ってすぐ右の林道に入る。ここか
ら約900m進むと右側に北電管理の水力発電所があり除雪もここで終了していた。
この先の林道が「トノカリ林道」だが、先行していた車も発電所ゲート前に駐車し
ていて驚いた。丁度8:00に着いた。
まずは、予定していた場所まで車が入れたので安堵する。
自分たちの車をゲート前に停めるといきなり放送が入った・・・。
「ゲート前には駐車しないで下さい」と誰かがカメラで監視しているのかな?とビ
ックリしたが、ゲートにセンサーがあってここに大型のものを感知すると注意放送
が流れる仕組みのようだ。素直に移動して最終除雪した林道に駐車した。
準備を終え8:30に出発する。
最終除雪された林道に駐車する・・・ゲート前は、駐車禁止です!
先行者と思われるスキーのトレースを有難く利用させて頂く・・・
快晴、無風の登山日和・・・驚くトレースもあり言う事なし。
40分ほど歩くと林道の分岐があり「トノカリ2の沢林道」の標識がある
★ ハプニング・・・
有難く利用させて頂いたスキーのトレースは、トノカリ2の沢林道には行かずその
まま直進していた。私たちの予定のルートは右に入りトノカリ2の沢林道だ。
最初から先行者もトノカリシベツ山に登る人と決めつけていただけにショックだっ
た。残念だが、トレースに別れを告げてトレースの無い林道に入る・・・。
分岐から100mほど進むと本流「トノカリウシュベツ川」に架かる橋を渡るが、
倒木と共に橋が崩壊していて渡る事が出来なかった。川も勢い良く流れSBなどある
訳も無く無念にも引き返す羽目に、トレースの別れに次ぐハプニング第二弾である。
一旦、トノカリ林道まで戻って地形図を確認する事にした。
トレースのあるトノカリ林道の先を地形図で読んで見ると、別ルートが浮かんで来た。
それは、地形図上に載るトノカリ林道の末端まで進みC900位から北にルートを変
えてダテヤ沢を渡渉しトノカリシベツ山の西斜面を登るルートである。
ちょっと遠回りかも知れないが、トノカリシベツの南斜面より西斜面の方が斜度は緩
く登り易いと読んだ。
運良く?トレースもずっとルート上にあるではないか・・・。
崩壊して渡れなかった2の沢林道の橋・・・
トノカリ林道上にある「三股橋」も崩壊していたが、辛うじて残雪を利用して渡れた・・
「三股橋」
橋を渡って少し進んだカーブにあった倒木・・・難なく潜って通過出来た
★ トレースはオプタテへ・・・
長い林道歩き慣れたもの・・・
地形図上の林道線が切れる標高880m付近まで約5.5㎞あった。そこには、小さい
がオプタテシケ雨量測定器と書かれた装置がある場所だった。
地形図には無い林道は更に続いていてトレースも続いていた。
林道は途中から不明瞭となるも再び現れ北西方向に向かっていた。
自分の読図では、C900付近からトノカリ沢川を渡渉して隣の尾根を北東方向に進み
トノカリシベツ山の西斜面に取付くダテヤ沢を渡るはずだった・・・。
この時もトレースの先行者は「トノカリシベツ山」に登るものと疑わず、もうそろそろ
右にルートを変えるだろうと思いながら、ついついずっと利用して歩いていた。
しかし、C930付近で異変に気が付く。
一つは、これ以上登ってしまうとダテヤ沢まで遠くなるぞ。
一つは、このトレースはトノカリシベツ山ではなくオプタテシケ山に向かっているんだ
と初めて気が付いた。それが11:10の事である。
戻る事も考えたが、トノカリ沢川のSB渡渉が不明だったのでここから方向を変えて沢
に近づく。すでに上流部でアップダウンも少なく沢は雪で埋まり渡渉は楽だった。
地形図を読み標高を余り変えずに隣の尾根を辿りダテヤ沢850付近を目指して歩く事
にした。尾根は広く緩斜面に助けられどんどん目標に近づく。適当な場所から一気に沢
まで降りて予定の850付近で沢と出会った。
沢はすでに顔を出してはいたが、何箇所かSBを見付け渡渉出来た。
そして、ここから西斜面を250m以上登らなくてはならない。
斜度は読んだ通り南斜面よりはかなり緩斜度に思えた。とは言ってもそれなりに斜度は
ある。更に20㎝を越える新雪のラッセルに苦労させられた。
トップを交代しながらゆっくりと確実に歩を進め少しずつ頂上台地が近づく実感を覚え
る。この登りに1時間半を要した。
ダテヤ沢の渡渉・・・
頂上台地の平坦な樹林帯
そして、ついに辿り着く頂上・・・
★ 無理と諦めたチーヤン・・・
最終登行時間を14時と決めてすでにヘロヘロ状態にも関わらず西斜面に取付いた。
タッパ250の登り、普通なら3~40分だろうか・・・
しかし、新雪の深いラッセルとそれなりの斜度に足は進まない・・・
弱気と辛さでグチが多くなるのは私だ。登頂するまで口にはしなかったが、チーヤンは
登頂出来ないかもと半ば諦めていたと言う。
それでも頑張ってようやく頂上台地に着いたのが13:25だった。
ここから頂上まで約300m、それも平らな樹林帯だから14時には間に合うだろう。
★ 諦めない一歩が実を結ぶ・・・
13:45 トノカリシベツ山 頂上。
ギリギリだったが、ついにピークを踏んだ!
内心諦め掛けていたチーヤンもホッと胸を撫でおろし笑顔に変わる。
天候にも恵まれたが、自分たちで選んだ新ルートを辿りここまで登れたのは最後まで
諦めない一歩と何より天国から児玉さんが応援してくれたからと感謝した。
9年前を思い出し、頂上で手を合わせ追悼する。
今更だが、ここから南斜面は見下ろす事が出来ない程の絶壁である。
こんなところを本当に登って来たのか?と当時の事を思い出すももう児玉さんはいない。
あの時は、1泊でテン場から1時間40分ほどで登ってしまったが今日は日帰り。
ルートも違うが5時間越えの登行だった。
晴れてはいたが、遠望は利かず辛うじてコスマヌプリの頂上が見えただけでも嬉しか
った。
貸切の頂上、握手をして冷たいコーラが五臓六腑に染み渡った。
コスマヌプリを背に撮ったトノカリシベツ山頂上
遠くに見える山が、コスマヌプリだと読んだが確信はない・・・
★ 下山・・・
奥深き十勝のてっぺんではあるが、14時過ぎの下山開始。
この時期としてはチト遅いのは重々承知していた。色々なハプニングや別ルートに
なってしまい想像以上のラッセルも加えて時間を要してしまった。
しかし、それ以上に頂上に辿り着いた喜びは「追悼登山」だけに天国の児玉さんに
感謝だった。
好天にも恵まれたが、下りは往路を無視して最短のルートを試みた。
頂上からシールを付けたままでも深い新雪をそれなりに楽しんで一気に降りる。
タテヤ沢の渡渉も難なく終了。あとは復路のルートだが、標高900mラインに沿
ってトノカリ沢川を目指し、すぐそばを歩いて来たトレースに合流するルートが最
短だった。
改めてGPSの威力と言うか性能の良さに頼りっぱなしも予定通りに導かれトレー
スと合流した。下山してここまで僅か1時間ちょっとだった。
もう安心して帰れる・・・と思ったら緊張から解放され笑顔になる二人だった。
ようやくここでスキーのシールを外しスキー体制になる。
始めは気が付かなかったが、オプタテシケ山に登ったとみられる先行者の復路のト
レースに気付き、ガッチリ固められた更なるトレースはもの凄く滑りが良くてスピ
ードが付いた。
出発から2時間以上掛かった林道歩きも下りでは40分だった・・。
暗くなることも覚悟していた下りだったので、明るい内に下山出来た事も児玉さん
に感謝であった。本当にありがとう!
あの時、帰りに入った「くったり温泉」はあいにくの定休日?
日曜なのに定休?って変だなと思いながら諦めて日高の沙流川温泉「高原荘」で汗
を流して帰宅した。
自宅には21時に着いたので、今日の山行は16時間30分を掛けて終了だ。
頂上から南側を望む。9年前はこちらから登って来たが、下を見られないほどの絶壁に見えた・・・
下山に入る・・・往路のトレースは良く滑った
タテヤ沢を渡渉して900m付近の尾根からトノカリシベツ山の西斜面を振り返る
頂上から僅か2時間で降りて来た喜びの歓声と共にゴールである・・・
そんな状況を見ていつも感心するんだが、
エバはふだんトレーニングらしきことを何もしていないよな?
なのに突然長時間の山行をよくこなせるものだと首をかしげて見ている。
加齢とともに体調の善し悪しが出てきて、その差が年々大きくなる。
だから私はトレーニング登山を欠かせない。
山登りを快適に楽しむためには、やはり体力の維持が欠かせない。
Amigoの毎週の山行にも感心してコメントも出来ないわ 笑
ホント、タイプの違いに山登りって面白いと思うよ。
今は、ほとんどトレーニングはしていない。
Amigoと同じ登る事がトレーニングだった。でもマラソンシーズンに
なると少しずつ走るようになりこれがトレーニングだったかも?
しかし、走る事(大会に出る事)は止めた。
大きな原因は、ストレスかな?
ハーフマラソンとは言っても練習もせずに大会に挑む事はナンセンス。だから
練習は付き物だが、それがプレッシャーになっていたんだな。
そして、山に集中出来ず足の故障も毎年だった・・。
体力維持は、ストレスを溜めず好きな酒を飲む事・・・
加齢で体力はどんどん落ちてる。実感してるよ。
長い山行が出来ているのは、妻のお陰だ。ダメな時にトップを切ってくれるからね。これが随分と助けになっている。
十勝の旭岳では登り7時間20分だからね。
よくやるわ・・・ホンマに。
エバ夫婦の前にトレースを刻んだのは、私の親しい友だった。
以前うちの隣に住んでいて、今は引っ越してしまったんだが、車の修理工場に勤めているので、付き合いが続いている。
40歳だからまだ若いが、車のことを全て任せている頼りになるやつだ。
その日は二人で『オプタテシケ山』に登ったそうだ。
車は、私と同じハイエースでしたが、「わ」ナンバーでした。
でも、ただの「わ」ではなく手を加えている車だったので修理工と聞いて納得。
二人とも凄く太いスキーを履いていたと思うます。
オブタテに登頂したんですね?
凄いですね!!
あのトレースには、本当に助けられましたよ。是非、お礼が言いたいがアポ取れるかな?
ホント、狭いね!