エバ夫婦、未踏1000m超峰シリーズ・・・
晩秋の秘湯岩間温泉と温泉岳(1578m)
■ 山 行 日 2020年10月19日(月) 日帰り
■ ル ー ト 石狩岳シュナイダー登山口~岩間温泉~東面直登沢ルート 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №31
■ 登 山 形 態 林道歩き&沢登り&ちょい藪漕ぎ (沢登り)
■ 地 形 図 1/25000地形図 「石狩岳」
■ 三角点・点名 三等三角点 点名「温泉岳 オンセンダケ」 地形図に山名無し
■ コースタイム 登り 4時間 下り 3時間(温泉時間は除く)
<登り>
05:45 駐車場出発
06:15 林道終点・沢渡渉
06:25~30 岩間温泉偵察
07:05 C920二股・左へ
07:20 C950東面直登沢出合い
08:10 C1150小さな二股・左へ
09:05 C1430小さな二股・右へ
09:45 温泉岳(1578m)頂上
<下り>
10:05 下山開始
10:25 C1430二股
11:40 C950東面直登沢入口
11:50 C920二股・本流出合
12:20~45 岩間温泉・足湯で終わる
13:30 登山口駐車場
GPSを元に地形図に移行したルート図です・・・
★ 触発山行・・・
いま挑んでいるエバ夫婦の1000mシリーズ・・・
目指す未踏1000m超峰は残り116座となった。まだまだ果てしない数でもあるし、更に体力と技術と
運が必須の条件になりそうだ。そんな中、少しでも楽して登ろうとするなら人の辿った跡を追うのが一番な
のだ。
仮に人真似登山だとしても、未踏峰への道のりは緊張と興奮が入り混じり、最後に楽しかった、登れた・・
と言えたら自己満足である。今のところ分相応に登れていることが、一座ずつクリアが出来ているのかも知
れない。時に7月に登った日高のソエマツ岳とピリカヌプリのように日高一の景勝地とも言われるヌビナイ
川の遡行は、私たち夫婦だけで行けるレベルではなく、しっかりしたサポートがあってこそついて行けた遡
行だった。
一日目10時間、二日目15時間、三日目9時間に及ぶ登行時間が物語っているように、未踏2座を踏破す
るだけでもこれだけの労力を必要とし、サポート無しでは成せなかった2座の重みを感じた山行だった。
温泉岳(1578m)は、石狩岳山系のニペの耳(1895m)から二ペソツ山(2013m)に伸びる南北の稜線上にある山で
地形図には山名の表記は無い。三等三角点の点名が「温泉岳」となっていることから角界の中で通称名で呼
ばれ幾つかの文献の中でも紹介されているので、1000m超峰の一座としてカウントした山である。
言わばマイナーな一座でここを目指して登ろうとするものは稀であると言っても過言ではない。そんな稀な
物好きが近くにちゃんと居るから見逃せない。
YAMAP名「みなみんみん」さんとその相方さんの二人。目指している山が、私たちと同じ北海道の1000
m超峰全山らしい。まだお会いしたことは無いが、山友を介して連絡が取れるようになり今は互いに切磋琢
磨して・・という関係なのが嬉しい。
温泉岳には、この10月初旬に登ったばかり。下山途中の秘湯・岩間温泉に入ったみなみんみんさんの背中
姿がなやましく、行くなら晩秋の今だろう・・・と触発された。
国道273号線から石狩岳登山口に入る林道出合の案内板を見逃さないよう走る・・・
約14㎞の林道は長いが、荒れていないので走り易く、各分岐には鎖が張られていて迷うことは無い。
唯一林道名が表示されていた分岐の林道標識
ここの約2㎞手前には、「ユニ石狩岳」に通じる十勝三股コースの登山口があるが、駐車スペースは3台ほどと狭い。
車なら100台は駐車出来そうな広い駐車場と簡易トイレがある。石狩岳の眺望も良い場所だ。
★ 前泊は、登山口で・・・
この登山口まで行くのは初めてだった。自宅から林道出合までの距離と登山口までの距離・道路状況など知
らない事尽くめ。不安を払拭するには明るい内に登山口まで行く事だと思い早めに家を出る。
途中で糠平温泉か幌加温泉で温まる予定だったが、日曜とあってかどこも満員状態で諦めることにした。
林道出合の標識に注視しながら国道273号線を北上すると小さくも真新しい案内標識を発見。予定してい
る石狩岳登山口まで14㎞とあった。林道は凸凹も少なく走り易かった。各分岐のコース外には鎖が張られ
ているので迷う事無く走ると最初に出合うのが、十石峠とユニ石狩岳の「十勝三股コース」登山口に着く。
整備されていて分かり易いが、駐車スペースは狭く3台ほどで満車と言えよう・・。
更に2㎞ほど進むと石狩岳のシュナイダーコース登山口に着く。すぐ手前には明日私たちが目指すルートの
「御殿大橋」のある林道も目にとまった。
寒風が吹く駐車場のどこに停めるか迷う程広いが、入り口付近にあった簡易トイレの傍に停めた。
目の前には石狩岳の雄姿が聳え迫力あったが、石狩岳まで4.5㎞の標識を見て意外と近いか?なんて思っ
たりもした・・笑
車を止めれば早々安着の儀である。ホテルハイエースの寝床を整えてビールで乾杯は恒例の行事だ。
ここはラジオも入らない秘境の地、コンビニの鍋焼きうどんを作りながら夫婦の会話に終始する・・・。
明日の成功を祈りながら20時には就寝となり家に居る時より長い睡眠で英気を養った。
空は満点の星も寒風とてんくらCがちょっと心配も目をつぶればアッと言う間に爆睡のエバ夫婦である。
★ 中間に秘湯・岩間温泉・・・
10/19、4時の目覚ましも寝過ぎるほどにスッキリと目が覚めた。
予報通り寒風吹く貸切の広い駐車場がいっそう寒さを助長してトイレを終えると震えが止まらない・・
上空はまだ星空・・・石狩岳が微かにシルエットで望み、天気の兆しはあれど余計な心配をする私だ。
始めてのルートはいつもドキドキ。でも頼りになる情報に勇気づけられて朝食はしっかり食べる事が出来た。
6時出発予定も5時45分にスタートする。
完全沢登りスタイルもカッパとヤッケを着て防寒に備えた。気温は恐らくひとケタだろう。足元は久々のピ
ンシューズを履きスパッツも忘れない。
御殿大橋を渡ってすぐの林道が半分以上崩壊し、これが通行止めの訳だがそれ以降の林道は車も通れる状態
だった。それでも2㎞ほど歩くと音更川の支流沢を渡渉する場面で林道は消滅し沢登りとなるので、歩くの
も良しと納得する。しかも沢出合からテープが頻繁に付けられていてそれを辿ると岩間温泉に導いてくれた。
ここが予定されていたルート上の中間に当たる場所で、1時間も掛からず呆気なく着いてしまった。
「御殿大橋」から登行開始となる・・・
凸凹の無い立派な林道だった・・・
沢に入るとこんなテープで導いてくれた・・・
★ 確かに秘湯だが・・・
沢の右岸上に源泉があるようで、そこから太いゴムホースを利用して源泉が川に流れ出ていた。
何も手を加えなければ源泉はただ川に流れるだけでお終いだが、見る限り人工的に作られた温泉場(浴槽)の
跡にホースから流れる源泉が溜まるようになっていた。お湯の温度は50℃前後と熱く湯加減も最高ではあ
るが、浴槽も小さく深さもひざ下で浅かった。湯床にはヘドロのような沈殿物と枯葉が沈み足を入れると舞
い上がった。入るとしたらスコップなどで掘り起こすなどして整える時間も必要だが、左岸岸にはブルーシ
ートとバケツがあるのは確認した。(スコップがあったかどうかは未確認です)
取り敢えず、秘湯の場所と状況が分かったので、先を急ぐことにした。
下山時の時間を見て、夫婦で入浴する気は満々だった・・・。
ここが秘湯の岩間温泉だ!
★ ポイント・・・
温泉を後にして支流沢を登るが、もう踏み跡も林道跡も無い。あるのは流木の墓場と化したガレキで歩く場
所を選びながらになった。30分ほど歩くと右岸に鹿道を見付け辿ると920二股に出合い左に入る。
ここもまるで流木の墓場だが、沢は清流で趣ある渓相だった。
みなみんみんさんの取付いた東面直登沢出合は、沢の左岸にあるが地形図上に水線表記は無いので、見逃さ
ないように慎重に歩いた。出合から15分ほど歩くとGPSでその場所に着くとテープを発見する。それが
誰のものかすぐに分かった。記録ではここに紅葉したモミジが目印でもあったが、今はそれも落葉していた。
温泉岳攻略のポイントは、この直登沢の出合を見逃さない事である。
一本間違えば頂上から離れてしまうが、唯一この沢が頂上直下までの一本沢だからである。
出合の標高は約950mなので、直下まで約600mの標高差を登る事になる。
東面直登沢の出合と誰かが付けてくれたテープが嬉しい。
沢は小さく右岸左岸に逃げることは出来ないので直登する・・
倒木は約1200mまででその先は伏流したガレ場の急登だった・・
1200m付近から振り返るとオッパイ山と言われるピリベツ岳と西クマネシリ岳を望む ピンボケで残念・・・
1240m付近のガレで休憩・・・たまには被写体の私です
残雪残る直登沢からの展望はなかなか良い・・・
1430の小さな二股を右へ進むと源頭を思わせる渓相となり草地で歩き易かった・・・
1500付近が源頭だが、沢形はもう少し続く。笹は低いので沢形から左岸の斜面を登った・・背景に西クマネシリ岳が見える
頂上直下東面の笹原。急登だが登り易かったので時間は掛からない・・・
★ ただ登るだけの直登沢・・・
地形図を見ても想像は出来るが、取り付きから標高1200mまでは傾斜も緩く淡々と登るだけ。
1200mから斜度が増しグングン登る感じ、途中に滝は無く小さな二股が1150と1430付近にある
もしっかり読図すると間違えることは無いと思う。
直登沢の標高差約600m登るのに約2時間半を要したが、Ⅴ字形の沢中では上空の寒風に吹かれる事無く
マイペースで登れて疲れを感じることは無かった。
1500mを過ぎて最後の笹やぶも頂上稜線のハイマツ漕ぎもほんの少しの辛抱なので、この山に興味があ
るならお勧めのルートだと思う。
三等三角点 点名「温泉岳」にポチッとタッチの初登頂です・・・
三角点周辺を更にすっきりさせて、スマイルチーヤン・・・
頂上からの眺望・・・東側の十勝岳連峰と大雪連峰を望む
北に聳え立つ石狩岳と音更山が神々しい・・・
誰かが付けた頂上テープ・・・笑
北西側の三国山方面・・・
望遠がどうしてもピンボケで残念・・・南の二ペソツ山は正に鋭鋒だった
★ 温泉2座制覇・・・
北海道で「温泉」と名の付く山は3座ある。
「温泉岳1578m」の他、「温泉山1281m」と「温泉富士660m」だが、1000m超峰の温泉山は、同じ山域
の上士幌町糠平に位置し、2008年10月にぬかびらスキー場から北斜面を登って登頂している。この時は
まだ温泉岳の位置も登頂の手段も考えたことは無く見過ごしていた山で、今回登ったことで調べてみた次第だ。
温泉富士は、養老牛温泉のある中標津町にあるようだが、1000m以下であることから今のところ登る予定
は無い。
「温泉岳(1578m)」初登頂・・・背景は大雪山連峰
縦版です・・・
★ 余裕の下山・・・
てんくらCの石狩岳予報は、曇り空で標高1500m付近の風が10m前後とあった。
登行途中、小雨が降り出した時は登行中止かな?と危惧する場面もあったが、天候は良い方に急変し青空が
広がった。この時は、幸運を感じて気分も晴れやかになったものだ。その後雨も降らず青空のまま頂上を踏
ませてくれた。強風ではあったが風速10mも無くハイマツの下に屈むと寒さもしのげたので、少しだけゆ
っくりの頂上だった。
三等三角点なのに展望は360度の眺望だったのが、何より嬉しい。何もかも順調で初登頂を実感すれば、
もう下山の時である。
通常なら「もう二度と来ることは無いだろう・・・」と告げて下山することが多いが、温泉岳ならもう一度
来ても良いかな?なんて、余裕の下山だった。
頂上直下の笹原斜面もピンテを付けていたのでルートに迷わない・・・
残雪の沢上流からピリベツ岳と西クマを見ながら高度を下げて行く・・・
伏流したガレの沢は慎重に・・・だが、やっぱり下りは早い
小さな支流沢に突然こんな大きな岩があると言うことは・・・?
★ 秘湯に先客ありで・・・
下山しながら夫婦の会話「こんな秘湯だから絶対人は居ないよね!」と話ながら沢を降りて岩間温泉に着く
と、なんと人が居て何やら作業をしていた・・・。信じられなかったが現実である・・。
声を掛けて挨拶すると相手もびっくりした様子で「どこから来た?」という顔をしていた。
おじさん一人で源泉から引いていたゴムホースを繋げて延ばし、新たな浴槽を掘った場所にブルーシートを
敷いて温泉を溜めているところだった。
このおじさんは、士幌町から来たと言う温泉愛好家なのだろう?・・・ブルーシートとスコップとお弁当も
持参で「勝手知ったる・・・」岩間温泉の常連さんのようだった。
朝私たちが見付けた温泉場は、やはり浅く、ヘドロが沈殿してとても入れないと言うおじさんが、自分が入
れる新たな浴槽を作って入るのが常連スタイルのようだ。私たちにも入浴を勧めてくれたが、丁重にお断り
して「足湯」で温まり帰る事にした。
足湯で終わった岩間温泉も温まる気分は変わらなかった・・・
自作の温泉に入ったおじさんに協力をお願いし、プレートを持って頂いた・・・
帰路の途中で立ち寄った「タウシュベツ展望台」の途中にあるミズナラの大木
展望台から望むタウシュベツ橋梁
★ 残り115座に・・・
下山後の温泉は、上士幌町でと決めて幌加温泉も糠平温泉もパスをして一路車を走らせたが、なんと月曜日は
定休日だった。次に向かった清水町の温泉「フロイデ」は、平成22年10月に経営難を理由に閉館していて
今は廃墟となった建物だけが残されていた。以前は良く寄っていた温泉だったが、閉館していたことも知らず
に10年も過ぎていたなんてちょっとショックだった。
最終的には日勝峠を越えて日高町の沙流川温泉「高原荘」で温まったが、コロナ禍で入浴制限があり定員8名
までとなっていたのも驚いた。
さて、未踏1000m超峰シリーズは一座ずつも確実に数を減らしている。
2020年未踏1000m超峰をクリアしたのは以下の通りとなる。
01月 丸山(美瑛丸山) (1237m)
02月 俣落岳 (1003m)
03月 天幕山 (1195m)
宇江内山 (1187m)
松籟山 (1284m)
04月 下ホロカメットク山 (1668m)
07月 ソエマツ岳 (1625m)
ピリカヌプリ (1631m)
09月 中条岳 (1978m)
10月 鋸岳 (2142m)
愛別岳 (2112m)
温泉岳 (1578m)・・・・・と、12座を踏破し、未踏は残り115座となった。
晩秋の秘湯岩間温泉と温泉岳(1578m)
■ 山 行 日 2020年10月19日(月) 日帰り
■ ル ー ト 石狩岳シュナイダー登山口~岩間温泉~東面直登沢ルート 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №31
■ 登 山 形 態 林道歩き&沢登り&ちょい藪漕ぎ (沢登り)
■ 地 形 図 1/25000地形図 「石狩岳」
■ 三角点・点名 三等三角点 点名「温泉岳 オンセンダケ」 地形図に山名無し
■ コースタイム 登り 4時間 下り 3時間(温泉時間は除く)
<登り>
05:45 駐車場出発
06:15 林道終点・沢渡渉
06:25~30 岩間温泉偵察
07:05 C920二股・左へ
07:20 C950東面直登沢出合い
08:10 C1150小さな二股・左へ
09:05 C1430小さな二股・右へ
09:45 温泉岳(1578m)頂上
<下り>
10:05 下山開始
10:25 C1430二股
11:40 C950東面直登沢入口
11:50 C920二股・本流出合
12:20~45 岩間温泉・足湯で終わる
13:30 登山口駐車場
GPSを元に地形図に移行したルート図です・・・
★ 触発山行・・・
いま挑んでいるエバ夫婦の1000mシリーズ・・・
目指す未踏1000m超峰は残り116座となった。まだまだ果てしない数でもあるし、更に体力と技術と
運が必須の条件になりそうだ。そんな中、少しでも楽して登ろうとするなら人の辿った跡を追うのが一番な
のだ。
仮に人真似登山だとしても、未踏峰への道のりは緊張と興奮が入り混じり、最後に楽しかった、登れた・・
と言えたら自己満足である。今のところ分相応に登れていることが、一座ずつクリアが出来ているのかも知
れない。時に7月に登った日高のソエマツ岳とピリカヌプリのように日高一の景勝地とも言われるヌビナイ
川の遡行は、私たち夫婦だけで行けるレベルではなく、しっかりしたサポートがあってこそついて行けた遡
行だった。
一日目10時間、二日目15時間、三日目9時間に及ぶ登行時間が物語っているように、未踏2座を踏破す
るだけでもこれだけの労力を必要とし、サポート無しでは成せなかった2座の重みを感じた山行だった。
温泉岳(1578m)は、石狩岳山系のニペの耳(1895m)から二ペソツ山(2013m)に伸びる南北の稜線上にある山で
地形図には山名の表記は無い。三等三角点の点名が「温泉岳」となっていることから角界の中で通称名で呼
ばれ幾つかの文献の中でも紹介されているので、1000m超峰の一座としてカウントした山である。
言わばマイナーな一座でここを目指して登ろうとするものは稀であると言っても過言ではない。そんな稀な
物好きが近くにちゃんと居るから見逃せない。
YAMAP名「みなみんみん」さんとその相方さんの二人。目指している山が、私たちと同じ北海道の1000
m超峰全山らしい。まだお会いしたことは無いが、山友を介して連絡が取れるようになり今は互いに切磋琢
磨して・・という関係なのが嬉しい。
温泉岳には、この10月初旬に登ったばかり。下山途中の秘湯・岩間温泉に入ったみなみんみんさんの背中
姿がなやましく、行くなら晩秋の今だろう・・・と触発された。
国道273号線から石狩岳登山口に入る林道出合の案内板を見逃さないよう走る・・・
約14㎞の林道は長いが、荒れていないので走り易く、各分岐には鎖が張られていて迷うことは無い。
唯一林道名が表示されていた分岐の林道標識
ここの約2㎞手前には、「ユニ石狩岳」に通じる十勝三股コースの登山口があるが、駐車スペースは3台ほどと狭い。
車なら100台は駐車出来そうな広い駐車場と簡易トイレがある。石狩岳の眺望も良い場所だ。
★ 前泊は、登山口で・・・
この登山口まで行くのは初めてだった。自宅から林道出合までの距離と登山口までの距離・道路状況など知
らない事尽くめ。不安を払拭するには明るい内に登山口まで行く事だと思い早めに家を出る。
途中で糠平温泉か幌加温泉で温まる予定だったが、日曜とあってかどこも満員状態で諦めることにした。
林道出合の標識に注視しながら国道273号線を北上すると小さくも真新しい案内標識を発見。予定してい
る石狩岳登山口まで14㎞とあった。林道は凸凹も少なく走り易かった。各分岐のコース外には鎖が張られ
ているので迷う事無く走ると最初に出合うのが、十石峠とユニ石狩岳の「十勝三股コース」登山口に着く。
整備されていて分かり易いが、駐車スペースは狭く3台ほどで満車と言えよう・・。
更に2㎞ほど進むと石狩岳のシュナイダーコース登山口に着く。すぐ手前には明日私たちが目指すルートの
「御殿大橋」のある林道も目にとまった。
寒風が吹く駐車場のどこに停めるか迷う程広いが、入り口付近にあった簡易トイレの傍に停めた。
目の前には石狩岳の雄姿が聳え迫力あったが、石狩岳まで4.5㎞の標識を見て意外と近いか?なんて思っ
たりもした・・笑
車を止めれば早々安着の儀である。ホテルハイエースの寝床を整えてビールで乾杯は恒例の行事だ。
ここはラジオも入らない秘境の地、コンビニの鍋焼きうどんを作りながら夫婦の会話に終始する・・・。
明日の成功を祈りながら20時には就寝となり家に居る時より長い睡眠で英気を養った。
空は満点の星も寒風とてんくらCがちょっと心配も目をつぶればアッと言う間に爆睡のエバ夫婦である。
★ 中間に秘湯・岩間温泉・・・
10/19、4時の目覚ましも寝過ぎるほどにスッキリと目が覚めた。
予報通り寒風吹く貸切の広い駐車場がいっそう寒さを助長してトイレを終えると震えが止まらない・・
上空はまだ星空・・・石狩岳が微かにシルエットで望み、天気の兆しはあれど余計な心配をする私だ。
始めてのルートはいつもドキドキ。でも頼りになる情報に勇気づけられて朝食はしっかり食べる事が出来た。
6時出発予定も5時45分にスタートする。
完全沢登りスタイルもカッパとヤッケを着て防寒に備えた。気温は恐らくひとケタだろう。足元は久々のピ
ンシューズを履きスパッツも忘れない。
御殿大橋を渡ってすぐの林道が半分以上崩壊し、これが通行止めの訳だがそれ以降の林道は車も通れる状態
だった。それでも2㎞ほど歩くと音更川の支流沢を渡渉する場面で林道は消滅し沢登りとなるので、歩くの
も良しと納得する。しかも沢出合からテープが頻繁に付けられていてそれを辿ると岩間温泉に導いてくれた。
ここが予定されていたルート上の中間に当たる場所で、1時間も掛からず呆気なく着いてしまった。
「御殿大橋」から登行開始となる・・・
凸凹の無い立派な林道だった・・・
沢に入るとこんなテープで導いてくれた・・・
★ 確かに秘湯だが・・・
沢の右岸上に源泉があるようで、そこから太いゴムホースを利用して源泉が川に流れ出ていた。
何も手を加えなければ源泉はただ川に流れるだけでお終いだが、見る限り人工的に作られた温泉場(浴槽)の
跡にホースから流れる源泉が溜まるようになっていた。お湯の温度は50℃前後と熱く湯加減も最高ではあ
るが、浴槽も小さく深さもひざ下で浅かった。湯床にはヘドロのような沈殿物と枯葉が沈み足を入れると舞
い上がった。入るとしたらスコップなどで掘り起こすなどして整える時間も必要だが、左岸岸にはブルーシ
ートとバケツがあるのは確認した。(スコップがあったかどうかは未確認です)
取り敢えず、秘湯の場所と状況が分かったので、先を急ぐことにした。
下山時の時間を見て、夫婦で入浴する気は満々だった・・・。
ここが秘湯の岩間温泉だ!
★ ポイント・・・
温泉を後にして支流沢を登るが、もう踏み跡も林道跡も無い。あるのは流木の墓場と化したガレキで歩く場
所を選びながらになった。30分ほど歩くと右岸に鹿道を見付け辿ると920二股に出合い左に入る。
ここもまるで流木の墓場だが、沢は清流で趣ある渓相だった。
みなみんみんさんの取付いた東面直登沢出合は、沢の左岸にあるが地形図上に水線表記は無いので、見逃さ
ないように慎重に歩いた。出合から15分ほど歩くとGPSでその場所に着くとテープを発見する。それが
誰のものかすぐに分かった。記録ではここに紅葉したモミジが目印でもあったが、今はそれも落葉していた。
温泉岳攻略のポイントは、この直登沢の出合を見逃さない事である。
一本間違えば頂上から離れてしまうが、唯一この沢が頂上直下までの一本沢だからである。
出合の標高は約950mなので、直下まで約600mの標高差を登る事になる。
東面直登沢の出合と誰かが付けてくれたテープが嬉しい。
沢は小さく右岸左岸に逃げることは出来ないので直登する・・
倒木は約1200mまででその先は伏流したガレ場の急登だった・・
1200m付近から振り返るとオッパイ山と言われるピリベツ岳と西クマネシリ岳を望む ピンボケで残念・・・
1240m付近のガレで休憩・・・たまには被写体の私です
残雪残る直登沢からの展望はなかなか良い・・・
1430の小さな二股を右へ進むと源頭を思わせる渓相となり草地で歩き易かった・・・
1500付近が源頭だが、沢形はもう少し続く。笹は低いので沢形から左岸の斜面を登った・・背景に西クマネシリ岳が見える
頂上直下東面の笹原。急登だが登り易かったので時間は掛からない・・・
★ ただ登るだけの直登沢・・・
地形図を見ても想像は出来るが、取り付きから標高1200mまでは傾斜も緩く淡々と登るだけ。
1200mから斜度が増しグングン登る感じ、途中に滝は無く小さな二股が1150と1430付近にある
もしっかり読図すると間違えることは無いと思う。
直登沢の標高差約600m登るのに約2時間半を要したが、Ⅴ字形の沢中では上空の寒風に吹かれる事無く
マイペースで登れて疲れを感じることは無かった。
1500mを過ぎて最後の笹やぶも頂上稜線のハイマツ漕ぎもほんの少しの辛抱なので、この山に興味があ
るならお勧めのルートだと思う。
三等三角点 点名「温泉岳」にポチッとタッチの初登頂です・・・
三角点周辺を更にすっきりさせて、スマイルチーヤン・・・
頂上からの眺望・・・東側の十勝岳連峰と大雪連峰を望む
北に聳え立つ石狩岳と音更山が神々しい・・・
誰かが付けた頂上テープ・・・笑
北西側の三国山方面・・・
望遠がどうしてもピンボケで残念・・・南の二ペソツ山は正に鋭鋒だった
★ 温泉2座制覇・・・
北海道で「温泉」と名の付く山は3座ある。
「温泉岳1578m」の他、「温泉山1281m」と「温泉富士660m」だが、1000m超峰の温泉山は、同じ山域
の上士幌町糠平に位置し、2008年10月にぬかびらスキー場から北斜面を登って登頂している。この時は
まだ温泉岳の位置も登頂の手段も考えたことは無く見過ごしていた山で、今回登ったことで調べてみた次第だ。
温泉富士は、養老牛温泉のある中標津町にあるようだが、1000m以下であることから今のところ登る予定
は無い。
「温泉岳(1578m)」初登頂・・・背景は大雪山連峰
縦版です・・・
★ 余裕の下山・・・
てんくらCの石狩岳予報は、曇り空で標高1500m付近の風が10m前後とあった。
登行途中、小雨が降り出した時は登行中止かな?と危惧する場面もあったが、天候は良い方に急変し青空が
広がった。この時は、幸運を感じて気分も晴れやかになったものだ。その後雨も降らず青空のまま頂上を踏
ませてくれた。強風ではあったが風速10mも無くハイマツの下に屈むと寒さもしのげたので、少しだけゆ
っくりの頂上だった。
三等三角点なのに展望は360度の眺望だったのが、何より嬉しい。何もかも順調で初登頂を実感すれば、
もう下山の時である。
通常なら「もう二度と来ることは無いだろう・・・」と告げて下山することが多いが、温泉岳ならもう一度
来ても良いかな?なんて、余裕の下山だった。
頂上直下の笹原斜面もピンテを付けていたのでルートに迷わない・・・
残雪の沢上流からピリベツ岳と西クマを見ながら高度を下げて行く・・・
伏流したガレの沢は慎重に・・・だが、やっぱり下りは早い
小さな支流沢に突然こんな大きな岩があると言うことは・・・?
★ 秘湯に先客ありで・・・
下山しながら夫婦の会話「こんな秘湯だから絶対人は居ないよね!」と話ながら沢を降りて岩間温泉に着く
と、なんと人が居て何やら作業をしていた・・・。信じられなかったが現実である・・。
声を掛けて挨拶すると相手もびっくりした様子で「どこから来た?」という顔をしていた。
おじさん一人で源泉から引いていたゴムホースを繋げて延ばし、新たな浴槽を掘った場所にブルーシートを
敷いて温泉を溜めているところだった。
このおじさんは、士幌町から来たと言う温泉愛好家なのだろう?・・・ブルーシートとスコップとお弁当も
持参で「勝手知ったる・・・」岩間温泉の常連さんのようだった。
朝私たちが見付けた温泉場は、やはり浅く、ヘドロが沈殿してとても入れないと言うおじさんが、自分が入
れる新たな浴槽を作って入るのが常連スタイルのようだ。私たちにも入浴を勧めてくれたが、丁重にお断り
して「足湯」で温まり帰る事にした。
足湯で終わった岩間温泉も温まる気分は変わらなかった・・・
自作の温泉に入ったおじさんに協力をお願いし、プレートを持って頂いた・・・
帰路の途中で立ち寄った「タウシュベツ展望台」の途中にあるミズナラの大木
展望台から望むタウシュベツ橋梁
★ 残り115座に・・・
下山後の温泉は、上士幌町でと決めて幌加温泉も糠平温泉もパスをして一路車を走らせたが、なんと月曜日は
定休日だった。次に向かった清水町の温泉「フロイデ」は、平成22年10月に経営難を理由に閉館していて
今は廃墟となった建物だけが残されていた。以前は良く寄っていた温泉だったが、閉館していたことも知らず
に10年も過ぎていたなんてちょっとショックだった。
最終的には日勝峠を越えて日高町の沙流川温泉「高原荘」で温まったが、コロナ禍で入浴制限があり定員8名
までとなっていたのも驚いた。
さて、未踏1000m超峰シリーズは一座ずつも確実に数を減らしている。
2020年未踏1000m超峰をクリアしたのは以下の通りとなる。
01月 丸山(美瑛丸山) (1237m)
02月 俣落岳 (1003m)
03月 天幕山 (1195m)
宇江内山 (1187m)
松籟山 (1284m)
04月 下ホロカメットク山 (1668m)
07月 ソエマツ岳 (1625m)
ピリカヌプリ (1631m)
09月 中条岳 (1978m)
10月 鋸岳 (2142m)
愛別岳 (2112m)
温泉岳 (1578m)・・・・・と、12座を踏破し、未踏は残り115座となった。
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