絵葉書ロマン譚 絵葉書資料館ブログ

絵葉書を通して、古き良き時代にタイムスリップ

シルエットロマン絵葉書展2 ~ヨーロッパのシルエット・アート~

2008-10-10 13:44:33 | 企画展

このごろ気温の寒暖の差が激しくて、
着る物に悩んでしまう日が多いです。
でも青々とした木々が少しずつ姿を
変えていくのを眺めるのが楽しみな季節でもあります。

寒いのは苦手ですが、いつの間にか色づいた葉を発見すると
ちょっと嬉しくなってしまいますね。

さて今週はヨーロッパのシルエットについて特集します。
ヨーロッパ産のシルエットはどこかロマンチックで
アンティークな雰囲気があります。
その魅力はどこからきたのでしょうか?




最初の“シルエット”は18世紀に安上がりの肖像画として登場しました。





 黒一色で
 塗りつぶされた絵は、
 表情のかわりに
 おおまかな特徴と
 仕草を加えることで、
 その人物を
 表現しようとしました。
 またさらに影の部分を
 より美しく鮮やかに
 みせるために、
 色彩をほどこす
 工夫もしました。


     婦人の肖像




影を紙に簡単に写し取る装置の開発や、
素早く写す技術が上達したことにより、
スピーディに正確にシルエットが描けるようになりました。


ものの数分で完成し、しかも安いことから、
観光地のお土産や庶民が頼める肖像画として、
スナップ写真のような気軽さで流行しました。





 やがて人々は
 輪郭だけで
 描かれた絵が、
 逆に想像を膨らませる
 魅力に気付きます。
 しかも何気ない
 日常の姿も
 シルエットにするだけで、
 おとぎばなしのような
 雰囲気になることを
 発見したのです。



     恋人の訪問










 そこで影絵は
 個人の肖像画ではなく、
 童話の主人公と
 想像の世界が
 描かれるようになりました。

 そのため妖精や
 お姫様など、
 ファンタジックなモチーフが
 繊細な影の中で動き、
 物語を語るシルエットが
 登場したのです。


    ガチョウ番の娘
  (horse with girl&goose)






童話や小説の挿絵として活躍したシルエットは、
20世紀初頭に流行した絵葉書の中でも
存分にその魅力を発揮しました。


そして今でもアンティークな香りのする、
影絵のロマンチックな魅力は後世にも残り、
現代でもグラフィックアートの一つとして生き続けております。




さて次回もシルエットの特集をいたします。
同時に素敵な季節もの絵葉書も紹介します。
お楽しみに!






次回は10月24日の予定です


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