後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔193〕掛け値なしに、波瀾万丈のドイツ周遊1ヶ月の旅でした。

2018年10月14日 | 旅行記
 9月7日(金)から10月5日(金)まで、約1ヶ月にわたってドイツを中心にベルギー、オーストリア、イタリアなどにも足を伸ばし、ヨーロッパ旅行を楽しんできました。連れ合いとの旅でしたが、彼女はドイツは15回目だそうですが、私はどうやら12回目ぐらいになりそうです。
 そんなわけで久しぶりのブログ更新になりました。市民運動や演劇教育に関することに対してもますます書きたいことがあるので、これからもお付き合いください。

 さて、今回の旅の最大の目的は、妻の新刊『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』(丸善プラネット)15冊をトランクに詰めて、お世話になったドイツの友人たちにお渡しすることでした。この写真集は245ページにもなり、紙質もいいのでかなりの重量になります。2人のトランクに分散させても相当に重くなりました。小さめの手荷物トランクやリュックにも分散させながら、エコノミークラスのトランクの重量制限、1個あたり23キロ以内ぎりぎりでパスすることができました。
 お礼参りの旅の様子については、妻のブログに詳述されるのではないかと思われるので、是非そちらも注目してください。

 私のブログでは、旅のもう1つの目的であるミヒャエル・パッハー祭壇巡礼、オーストリアからイタリアのチロルの旅をかいつまんで書くことにします。
 ミヒャエル・パッハーという画家であり彫刻家は日本ではあまり知られていませんが、イタリアのミケランジェロより40年ほど早く生まれ、ミケランジェロに匹敵するほどの力量のあるチロルの作家です。(妻の新著にわかりやすい年表が掲載されています)ミュンヘンのアルテ・ピナコテークにある祭壇画が代表作ですが、なぜかあまり目立ちませんし、私たちもそれを見つけるのに時間がかかりました。今回の旅ではミュンヘンに立ち寄ったので、じっくり見てきましたが。
 2年前にアルテ・ピナコテークを訪れたときに、ドイツ語で書かれた『ミヒャエル・パッハー』(ルーカス・マーダースバーカー、ドイツ美術出版社、2015)という大冊を手に入れました。359ページもある大きな本で、何とかトランクに詰めて日本に持ち帰ったのです。そこにパッハーの13作品が紹介されていました。
 パッハーは現在の北イタリア、チロル地方にあたるブルネックに生まれ、ザルツブルクでなくなっています。作品の多くはオーストリアやイタリアに残されています。最も有名なのはオーストリアのザンクト・ヴォルフガング教会の祭壇です。彫刻も絵も彼が仕上げたことになっています。私どもはかつてこちらにも足を伸ばしましたが、撮影禁止ということで、画像だけ提供していただき、妻の新著に掲載されています。とてもいい写真です。
パッハーの作品の多くが現在の北イタリアで制作され、現在もそれが鑑賞できるということで、オーストリアからイタリアに越境することにしました。目指すはブルネック近郊の聖ローレンティウス教会(現在唯一残るのは聖母子像、アルテ・ピナコテークの祭壇画はここにありました)とグリース祭壇です。そしてさらにオーストリアのハイリゲンブルートのヴィンツェンツ教会の3カ所でした。アルプスが見えるオーストリアの素敵なチロルの町、リーエンツを根城に3泊し足を伸ばしたというわけです。
 聖ローレンティウス教会は誰もいませんでした。目指す聖母子像は3,4メール高いところに鎮座していました。説教台(カンツェル)が上れるようになっているため、距離はありますが間近で拝観できました。グリース祭壇には多くの観光客が押し寄せていましたが、作品は実に神々しくて素晴らしいものでした。こちらも緑はじっくり撮影をすることができました。
 そしてさらにハイリゲンブルートのヴィンツェンツ教会、『地球の歩き方』にパッハー作品と書かれていたのですが、『ミヒャエル・パッハー』にはその記載がありません。著者はこの作品を知らないのかなと疑ったのですが、現地で購入した冊子にはパッハーの弟子の作品となっていました。ザルツブルクのドーム博物館の聖母子像もハッパーの周辺作家(ウムクライス)となっているので著者は記載しなかったのでしょうか。

 パッハー以外にも多くの収穫がある旅でした。ベルギーのへールにあるシント・ディンプナ教会の祭壇にたどり着くまでがジュッセルドルフからの日帰りで、1日がかりの大旅行でした。 予期せぬ出合いもありました。何度か訪ねていたフランクフルトのカリメリテ修道院のラート・ゲープの大壁画が見事に修復されていました。しかも無料でした。レーマー広場からも数分のところでおすすめの場所です。 

 私のパソコンの立ち上げ画面は4年前からオーストリアの世界遺産の街、ハルシュタットの湖畔風景でしたが、今回の旅行後、ハイリゲンブルートのヴィンツェンツ教会に切り替えました。背景のアルプスの中にオーストリア最高峰のグロースグロックナー(3797メートル)が控えています。観光客も少なく、雲一つない青空が広がっていました。この教会に素敵なパッハー作品が鎮座していました。
 15冊の写真集も手渡せて今回も充実した旅行になりました。
 97歳の母も元気で帰りを待っていてくれました。


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