先日実に楽しい時間を過ごすことができました。平野泉・平野恵嗣ご夫妻が我が家にみえたのです。
お二人と出会うきっかけは私たち夫婦のミニコミ「啓」でした。
丸山尚さんが膨大なミニコミを収集し設立した住民図書館が埼玉大学に移管され、さらに立教大学に移され現在に到っていますが、「啓」(100号で終刊)も一貫して送り続け、保管されています。
「啓」に記載されていた緑のリーメンシュナイダーに興味を持って好意的に反応してくださったのが平野泉さんでした。泉さんは埼玉大学から現在立教大学社会共生センターでアーキビストとして活躍されています。多種多様で膨大な数のミニコミなどの保管、貸し出しといったお仕事になるのでしょうか。様々な講演会などの企画もされています。
最新のニューズレターの1,4面を紹介します。
泉さんにはリーメンシュナイダー写真集出版でもいろいろとお世話になっています。1000冊完売なった第Ⅰ巻ではアマチュアカメラマン、ヨハネス・ペッチの詩文章を翻訳してくれました。Ⅱ巻以降もドイツ語の解釈についてしばしば緑は教えを請うています。
恵嗣さんは共同通信社の記者で、最新のご著書2冊をいただきました。ここではとりあえず本の紹介だけしておきます。感想は後日。
様々な話題のなかで一番驚いたのは、かつてお二人はレンタカーでロマンチック街道をめぐり、なんとクレークリンゲンのマリア祭壇をご覧になっているのです。どうやら1990年代の早い時期のことのようなのです。私たちがリーメンシュナイダーに邂逅したのは1999年、ミュンヘンのバイエルン国立博物館でした。年齢では一回り下のお二人ですが、リーメンシュナイダーでは先輩格でした。
◆『水俣を伝えたジャーナリストたち』平野恵嗣、岩波書店、2017/06/07、214頁2,090円
(岩波書店HPより)
*公式発見から60年余,社会に尽きせぬ影響を与えている水俣病問題は,どのように伝えられてきたのか.桑原史成,ユージン・スミス,石川武志,大治浩之輔,高峰武,井上佳子ら,マスメディアの一員として,あるいはフリーランスの立場で取材・報道してきたひとびとの軌跡から,今につながる教訓と志を描き出す.
はじめに
Ⅰ 報道のはじまり
1 「奇病」から「水俣病」に
2 「傍観者」として半世紀――写真家・桑原史成
Ⅱ 報道と支援と
1 松岡洋之助――「告発する会」行動隊長
2 宮澤信雄――終わったと思っていた水俣へ
3 大治浩之輔――調査報道の先駆者
4 久野啓介――水俣が映し出す戦後
Ⅲ 写真と映像の力
1 夫婦と助手の水俣取材班――アイリーン・美緒子・スミス、石川武志
2 もう一人の写真家――岡村昭彦
3 高木隆太郎――プロデューサーvs.監督でけんかも
4 小池征人――有名監督の下で働く快楽
Ⅳ 現地で向き合う
1 高峰武――「自分で考える」
2 増子義久――炭鉱、水俣から戦後補償まで
3 村上雅通――水俣病を避けた取材者
4 井上佳子――アナウンサーから記者、ディレクターに
おわりに
「水俣病と報道」関連年表
参考文献
●平野恵嗣(ひらの けいじ)
1962年生まれ.86年に上智大学文学部英文学科を卒業,共同通信社に入社.水戸,釧路,札幌編集部を経て,96年より国際局海外部記者.水俣のほか,死刑制度,帝銀事件,冤罪,「慰安婦」,LGBTなどの問題について英文記事を発信してきた.94〜95年,米コロンビア大学ジャーナリズム・スクール研究員(モービル・フェロー).マイノリティ・グループの子どもの教育現場を取材した.
◆『もの言う技術者たち』「現代技術史研究会」の七十年 平野恵嗣 2023年01月発行 四六判 248ページ、本体2200円+税(太郎次郎社エディタスHPより)
●内容
大量生産と大量消費につきすすんだ戦後。産業や国家からの要求にこたえ、効率化と「進歩」を追求する技術者は、その負の側面も日々目撃することになる。続発する公害、人間の疎外と管理、経済格差の拡大⋯⋯。経済発展に沸く時代のなか、みずから手がける技術の功罪を問い、「人間のための技術」を論じあう場があった。
専門性や組織の壁を越え、思想の地下茎をつないだ「現代技術史研究会」の実像を、メンバーの歩みとともに語る。
●目次
プロローグ 技術者として声をあげる
第1章 公害と対峙する
現代技術史研究会の誕生──星野芳郎
現技史研が本格始動
水俣病を追う技術者──宇井純
水俣病の真相に迫る
「公害原論」から沖縄へ
第2章 真の技術のあり方を求めて
九州で現技史研と出会う──佐伯康治
花形となったプラスチック産業
「公害は技術のゆがみの最大のもの」
ネガティブ・フローシート
大量生産・大量消費を批判
「地味な勉強を」と入会──井上駿
玄人と素人の距離を縮める議論
農業試験場の実態を告発
『日本の技術者』刊行
金属材料の研究者として──井野博満
「合理化の担い手」となる技術者
「技術者の権利宣言」をめぐって
鑑定書の欠陥を統計で暴く
第3章 技術を生かし、社会を支える
「ラジオ少年」から技術者に──松原弘
分業化が進む電算システム開発
ドライバーたちの訴訟を技術で支援
技術者をとりまく環境の変化
技術者の仕事の変容
「インドネシア仕様」のNGO活動家──田中直
講義よりもラグビー
石油会社で直面したコンピューター問題
連続ゼミナールを市民と開く
アジアで出会った資源再生産業
会社員と同時にNGO活動家
ヤシ繊維でつくった排水処理装置
第4章 「人間のための科学技術」をめざす
思想性を大事に──猪平進
IC研究で企業の実力を痛感
現技史研の世代交代
忠誠心で評価される技術者たち
転職した大学にも淘汰の波が
理工学部からジャーナリストに──天笠啓祐
「超低空飛行」の雑誌とともに
問いつづけた『技術と人間』
携帯、スマホを拒絶
技術の全体像と将来図をもちよって
第5章 原子力と向きあう
震災、原発事故への思い
母の足跡をなぞる──坂田雅子
ベトナム帰還兵との暮らし
枯葉剤を追って
ふたたびベトナムへ
核を追い、マーシャルからドイツへ
憧れのエンジニアに──廣瀬峰夫
現技史研に鍛えられる
「ものづくり」の現場で考えつづける
模型少年が技術者に──後藤政志
事故をとおして技術を見る
技術者としての転換期
原発の技術者として
原発銀座を歩く
脱原発を求める僧侶と
「小さな私たち」の「小さな一歩」
あとがき
「現代技術史研究会」関連資料
『技術史研究』創刊の辞/会則/年表
*こんなビッグニュースが飛び込んできました! 平野さん、おめでとうございます。(2023年6月6日記)
◆『もの言う技術者たち』 著者の平野恵嗣さんが「日隅一雄・情報流通促進賞」の奨励賞を受賞(たろじろ通信 31号より)
『もの言う技術者たち』の著者・平野恵嗣さんが、「日隅一雄・情報流通促進賞」の奨励賞を受賞されました。本書の執筆活動を評価されての受賞です。
情報流通促進賞はジャーナリスト・弁護士として報道被害の救済、情報公開の推進と内部告発者の保護などの活動に力を尽くされ、2012年に没した日隅一雄さんの遺志を継承して創設された賞です。
お二人と出会うきっかけは私たち夫婦のミニコミ「啓」でした。
丸山尚さんが膨大なミニコミを収集し設立した住民図書館が埼玉大学に移管され、さらに立教大学に移され現在に到っていますが、「啓」(100号で終刊)も一貫して送り続け、保管されています。
「啓」に記載されていた緑のリーメンシュナイダーに興味を持って好意的に反応してくださったのが平野泉さんでした。泉さんは埼玉大学から現在立教大学社会共生センターでアーキビストとして活躍されています。多種多様で膨大な数のミニコミなどの保管、貸し出しといったお仕事になるのでしょうか。様々な講演会などの企画もされています。
最新のニューズレターの1,4面を紹介します。
泉さんにはリーメンシュナイダー写真集出版でもいろいろとお世話になっています。1000冊完売なった第Ⅰ巻ではアマチュアカメラマン、ヨハネス・ペッチの詩文章を翻訳してくれました。Ⅱ巻以降もドイツ語の解釈についてしばしば緑は教えを請うています。
恵嗣さんは共同通信社の記者で、最新のご著書2冊をいただきました。ここではとりあえず本の紹介だけしておきます。感想は後日。
様々な話題のなかで一番驚いたのは、かつてお二人はレンタカーでロマンチック街道をめぐり、なんとクレークリンゲンのマリア祭壇をご覧になっているのです。どうやら1990年代の早い時期のことのようなのです。私たちがリーメンシュナイダーに邂逅したのは1999年、ミュンヘンのバイエルン国立博物館でした。年齢では一回り下のお二人ですが、リーメンシュナイダーでは先輩格でした。
◆『水俣を伝えたジャーナリストたち』平野恵嗣、岩波書店、2017/06/07、214頁2,090円
(岩波書店HPより)
*公式発見から60年余,社会に尽きせぬ影響を与えている水俣病問題は,どのように伝えられてきたのか.桑原史成,ユージン・スミス,石川武志,大治浩之輔,高峰武,井上佳子ら,マスメディアの一員として,あるいはフリーランスの立場で取材・報道してきたひとびとの軌跡から,今につながる教訓と志を描き出す.
はじめに
Ⅰ 報道のはじまり
1 「奇病」から「水俣病」に
2 「傍観者」として半世紀――写真家・桑原史成
Ⅱ 報道と支援と
1 松岡洋之助――「告発する会」行動隊長
2 宮澤信雄――終わったと思っていた水俣へ
3 大治浩之輔――調査報道の先駆者
4 久野啓介――水俣が映し出す戦後
Ⅲ 写真と映像の力
1 夫婦と助手の水俣取材班――アイリーン・美緒子・スミス、石川武志
2 もう一人の写真家――岡村昭彦
3 高木隆太郎――プロデューサーvs.監督でけんかも
4 小池征人――有名監督の下で働く快楽
Ⅳ 現地で向き合う
1 高峰武――「自分で考える」
2 増子義久――炭鉱、水俣から戦後補償まで
3 村上雅通――水俣病を避けた取材者
4 井上佳子――アナウンサーから記者、ディレクターに
おわりに
「水俣病と報道」関連年表
参考文献
●平野恵嗣(ひらの けいじ)
1962年生まれ.86年に上智大学文学部英文学科を卒業,共同通信社に入社.水戸,釧路,札幌編集部を経て,96年より国際局海外部記者.水俣のほか,死刑制度,帝銀事件,冤罪,「慰安婦」,LGBTなどの問題について英文記事を発信してきた.94〜95年,米コロンビア大学ジャーナリズム・スクール研究員(モービル・フェロー).マイノリティ・グループの子どもの教育現場を取材した.
◆『もの言う技術者たち』「現代技術史研究会」の七十年 平野恵嗣 2023年01月発行 四六判 248ページ、本体2200円+税(太郎次郎社エディタスHPより)
●内容
大量生産と大量消費につきすすんだ戦後。産業や国家からの要求にこたえ、効率化と「進歩」を追求する技術者は、その負の側面も日々目撃することになる。続発する公害、人間の疎外と管理、経済格差の拡大⋯⋯。経済発展に沸く時代のなか、みずから手がける技術の功罪を問い、「人間のための技術」を論じあう場があった。
専門性や組織の壁を越え、思想の地下茎をつないだ「現代技術史研究会」の実像を、メンバーの歩みとともに語る。
●目次
プロローグ 技術者として声をあげる
第1章 公害と対峙する
現代技術史研究会の誕生──星野芳郎
現技史研が本格始動
水俣病を追う技術者──宇井純
水俣病の真相に迫る
「公害原論」から沖縄へ
第2章 真の技術のあり方を求めて
九州で現技史研と出会う──佐伯康治
花形となったプラスチック産業
「公害は技術のゆがみの最大のもの」
ネガティブ・フローシート
大量生産・大量消費を批判
「地味な勉強を」と入会──井上駿
玄人と素人の距離を縮める議論
農業試験場の実態を告発
『日本の技術者』刊行
金属材料の研究者として──井野博満
「合理化の担い手」となる技術者
「技術者の権利宣言」をめぐって
鑑定書の欠陥を統計で暴く
第3章 技術を生かし、社会を支える
「ラジオ少年」から技術者に──松原弘
分業化が進む電算システム開発
ドライバーたちの訴訟を技術で支援
技術者をとりまく環境の変化
技術者の仕事の変容
「インドネシア仕様」のNGO活動家──田中直
講義よりもラグビー
石油会社で直面したコンピューター問題
連続ゼミナールを市民と開く
アジアで出会った資源再生産業
会社員と同時にNGO活動家
ヤシ繊維でつくった排水処理装置
第4章 「人間のための科学技術」をめざす
思想性を大事に──猪平進
IC研究で企業の実力を痛感
現技史研の世代交代
忠誠心で評価される技術者たち
転職した大学にも淘汰の波が
理工学部からジャーナリストに──天笠啓祐
「超低空飛行」の雑誌とともに
問いつづけた『技術と人間』
携帯、スマホを拒絶
技術の全体像と将来図をもちよって
第5章 原子力と向きあう
震災、原発事故への思い
母の足跡をなぞる──坂田雅子
ベトナム帰還兵との暮らし
枯葉剤を追って
ふたたびベトナムへ
核を追い、マーシャルからドイツへ
憧れのエンジニアに──廣瀬峰夫
現技史研に鍛えられる
「ものづくり」の現場で考えつづける
模型少年が技術者に──後藤政志
事故をとおして技術を見る
技術者としての転換期
原発の技術者として
原発銀座を歩く
脱原発を求める僧侶と
「小さな私たち」の「小さな一歩」
あとがき
「現代技術史研究会」関連資料
『技術史研究』創刊の辞/会則/年表
*こんなビッグニュースが飛び込んできました! 平野さん、おめでとうございます。(2023年6月6日記)
◆『もの言う技術者たち』 著者の平野恵嗣さんが「日隅一雄・情報流通促進賞」の奨励賞を受賞(たろじろ通信 31号より)
『もの言う技術者たち』の著者・平野恵嗣さんが、「日隅一雄・情報流通促進賞」の奨励賞を受賞されました。本書の執筆活動を評価されての受賞です。
情報流通促進賞はジャーナリスト・弁護士として報道被害の救済、情報公開の推進と内部告発者の保護などの活動に力を尽くされ、2012年に没した日隅一雄さんの遺志を継承して創設された賞です。