後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔412〕「子どもたちの未来のために、脱原発政権、つくりましょうよ。」(「通販生活」2021冬号)

2021年10月26日 | 図書案内
  年に4回発行されている「通販生活」2021冬号が届きました。
 まずは表紙の写真、もりわじんさんの「守り猫」が強烈な色彩を放っています。猫ちゃん自身が炎に燃えて怒っている像なのでしょう、次のように語っています。

「11月の総選挙は、この先わが国が原発を残していくのか、原発をゼロにしていくのか、を争う選挙になってきた。子どもたちの未来のために、脱原発政権、つくりましょうよ。」

 さらに「通販生活」のタイトルの上には「巨大地震はいつ来るかわからない、『老朽原発の再稼働』という暴挙!」とあります。こちらにも共感多々。
 本文中にも、「世界の原子力発電はいまどうなっているの?}という定例ページがあり、本号は「40年超運転の美浜原発3号機が再稼働。『例外』が『当たり前』になる不思議。」という記事に納得させられます。「寿命延長は百害あって一利なしだ。」は心地良く潔い一言です。

 次は、反原発・脱原発の太い支柱、鎌田慧さんのコラムです。

 ◆公害と私害
  世界最大の公害源・原発を総選挙の争点に
                 鎌田 慧

 焔炎々 波濤をを焦がし 煙濛々 天に漲(みなぎ)る
 天下の壮観 我が製鉄所

 八幡市(現北九州市)の市歌の一節。煙は工業化・近代化の
象徴だった。
 「この天の虹」。八幡製鉄所を舞台にした、木下恵介の映画の
タイトルだが、高炉やコークス工場から立ち昇る噴煙は「七色の煙」
とも言われていた。
 八幡市は、降下煤塵量日本一だった。八幡製鉄所はいまは休止した
が、官営製鉄所として建設された、日本製鉄の主力工場だった。
 実はわたしはここの東田高炉工場で、日雇い労働者のひとりとして
働いたことがある。
 仕事が終わって工場内の共同風呂にはいる。タオルの端をねじって
鼻穴に突っ込むと、粉塵で真っ黒だった。
 労働者は粉塵やガスで職業病、市民は公害で喘息患者になった。
 児童が描く絵の海や空は真っ黒で、けっして青のクレヨンは使われ
なかった。「カネと命の交換(鋼管)会社」とは、日本鋼管(現・日本
製鉄)の労働者の自嘲だった。
 1960年代の日本列島を覆った公害は、根ばり強い住民の反公害闘争
によってほぼ終息した。「公害輸出」として、アジアへの工場侵出も
大きかった。
 石炭から石油へ「エネルギー転換」しても、チッソの水俣病は
拡大していた。
 さらにそのあと、「原子力時代」が喧伝され、無謀、危険極まり
ない、利益追求がまだ終了していない。
 これから、爆発した福島原発の膨大な量の汚染水が海に放出されよう
としている。このなかにふくまれている核物質クリプトンは、まだ
建設中(30年たっても完成の見通しはない)の青森県六ヶ所村の核燃料
再処理工場からも、放出が予定されている。
 1960年代。あれほど公害が住民を苦しめ、死者を出し、経済的に
圧迫し、社会を不安にしたのにもかかわらず、いま世界最大の公害源・
原発を平然と押し進める、自公政府、政治家、電力会社、科学者、広告
会社の欲望は、犯罪的だ。
 この私欲は私害であり、社会秩序を破壊、経済的に打撃を与える
公害だ。
 脱原発を総選挙の主要なテーマにしよう。
     (週刊「新社会」10月13日第1229号「沈思実行73」より)

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