エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

定点にて

2015年07月11日 | ポエム
ぼくの定点は・・・大きなユリの木の下のベンチである。



午前と午後を通じて、ぼくの座るベンチは葉影がある。
どんなに暑い日でも、風が通ってゆくのである。

昨日は、そのベンチが塞がっていた。
先客がいたのである。

その場合、ぼくは公園の中を一周する。
この日は・・・昨日だけれど久しぶりの晴れ間。

水たまりに緑が映って、綺麗であった。



さかさまに映り込む自然。
昨日お話ししたG君もまた、このさかさまな景色を楽しんでいるだろうか?

鏡の向こうに映り込む姿は、故人の姿だとも云うではないか。
もし、そうであってもぼくは驚かない。

きっと我が孫のRを守ってくれるに違いないからである。
長いながい銀杏並木を、晴れ間を楽しむ女性が多かった。







「青葉光今ただ風の吹き渡る」







一周して戻ると、いつものベンチが空いていた。
この時期は、ユリの木には蟻ん子が多く群がっている。

帽子でそっと払って、ぼくはいつものようにに座った。
爽やかな風が過ぎていった。

心が驚いて、涼やかに沈殿した。




       荒 野人