祝福 | |
長嶋 有 | |
河出書房新社 |
天気 あさから
長嶋有 著 : 祝福
を、読みました。
10篇の短編は、どれも日々の生活のワンシーンを描いた物語。
特に心に残った作品は、“マラソンをさぼる”という作品。
高校時代、特別に優秀でもないけど、特別悪くもない主人公は、
高校のマラソン大会で、学校一の不良に誘われて
マラソン大会の途中から、彼の家に上がりこみ
次の日、学校で叱られる羽目に。
しかしそれが縁で、不良の彼と夏休みを一緒に過ごす仲になる。
夏が終わって、受験の季節が訪れ、
不良の友人と疎遠になり、受験を終え
東京の大学に進んだ彼が、大人になって
故郷に帰った時、不良と過ごした
不思議な日々を思い出し、そして彼と交わしたなにげない一言に、
ほのかな後悔を感じる。
若さの拙さが、とても切なく感じた作品でした。