Mrs.ベリーのVeryな一日

☆ミセス・ベリーのSmileダイアリー☆エレガントな女性目指してセルフプロデュース中(^v^)

僕の明日を照らして

2011年05月25日 07時34分27秒 | ベリーの感想文(本・映画)
僕の明日を照らして
瀬尾 まいこ
筑摩書房

天気        朝は昼前から降りそうな
 

瀬尾まいこ 著 : 僕の明日をてらして
を、読みました。


隼太は、女手一つの家庭で大きくなった。
昼はパート、夜はスナックを切り盛りする、明るい母と
仲良く、健やかに大きくなった隼太は、
中学一年の時、女手一つの家庭から、父親のいる
普通の家庭になった。
母が再婚した“優ちゃん”は、穏やかで優しく、
隼太を大切にしてくれるのだが、しかし
母の知らない、二人だけの秘密があった。
それは、優ちゃんによる隼太への虐待。
ひどい虐待を、周囲に隠し続け、
優ちゃんを憎みもせず、少しでも良い方向へ進むように
必死でいろいろな対策を考える隼太。
隼太には、虐待に耐えてまでも、優ちゃんに居てほしい理由があった。


虐待のシーンを読むのは、かなりしんどいものがありました。
実際は、そんなに長く書いているわけではないのですが、
親のDVを嫌と言うほど、見せられて大きくなった私は、
どうしても、暴力の映像や文章が苦手で、気分が悪くなるのです。

それほど人の心に、大きく影を落とす暴力以上に、
この本の主人公の隼太には、耐えられないトラウマがありました。
中学生というのにとても大人で、反抗期などもなく
母を煩わすどころか、新しくやってきた父をすんなりと受け入れた隼太。
彼の抱えるトラウマと、優ちゃんが抱える大きな問題。
二人は、必死で問題に向き合って少しづつ
ほんの少しづつ、解決に向かってゆきます。
どうしても、暴力には拒否反応を感じますが、
それは置いといて、そんな大きな困難に
あきらめずに立ち向かおうとする隼太は、
いつも著者がエッセイで書いているような、
いろいろなルールに縛られた、中学生です。
しかし、中学生であるからこそ、こんなに辛いことにも
立ち向かう力があるのかもしれない。
中学生大好きな、現役中学校教師が描く中学生は、
いつも元気で、健康で、そして痛々しいほど必死です。