翼 (テーマ競作小説「死様」) | |
白石一文 | |
光文社 |
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白石一文 著 : 翼
を、読みました。
里江子はバリキャリ独身の32歳。
福岡の久留米の実家に母の法事で帰る前に
高熱の夏風邪をすぐにも退治せねばと
向かった会社の近くのクリニックで
5歳年上の医師岳志と再会する。
岳志は里江子の大学時代の親友の恋人で
その後二人は結婚し、二人の子供にも恵まれていた。
そんな里江子と岳志の不思議な出会いと
その後の心の動きを描いた、不思議な運命の物語。
出合った時に「ビビッときたっ!!」って、
男女の出会いで口にする人いますよね。
それがすべて、死ぬまでうまくゆくかというのは別として
男の人も、女の人も、雷に打たれるがごとく
電流が走るがごとく、あるいは金縛りにあうがごとく。
一瞬の出会いが、永遠になる。
そんなことを、雑多な打算なんか度外視して
魂で感じる人って、やはりいるんだろうなと思います。
主人公里江子が再会した岳志も
きっと、そのタイプの人なのでしょう。
そんな敏感な感覚を持ち合わせた人を
ちょっと羨ましいなと思いながらも、
どちらかというと、「ビビッと」来る側の人よりも
「ビビッと」感じてもらえる側のほうでありたい。
と、横着な事考えながら読んだ本でした(笑)
そしてこの本、“死に様”というテーマで
著者他5名の作家が、物語を紡いでいます。
テーマ競作小説なんですって、機会があれば
他の作家が描いた“死に様”も読んでみたいと思います。