口紅のとき | |
角田 光代,上田 義彦 | |
求龍堂 |
角田光代 著 : 口紅のとき
を、読みました。
一人の女性の一生と口紅を描いたストーリー。
主人公の記憶の中に口紅が登場するのは6歳のころ。
カバーをめくって鏡台の鏡に向かい、紅を弾く母を
部屋の片隅からじっと見つめている幼いころの思い出です。
鏡の中の母は、いつもの母とはまるで別人のように思え、
とても怖かったと、主人公は振り返ります。
そんな形で、12歳、18歳、29歳、38歳、47歳、65歳、79歳、と
少女から女性、そして老婆になるまでの一人の女の中には、
沢山の口紅の思い出が詰まっているのでした。
私現在43歳なのですが、物語の中で38歳の主人公が
体験したのと、同じ体験をしたことがあります。
鏡に映ったおばさんが、自分だったっていうね。
多くの女性はこの体験したことあるんじゃないだろうか?
顔のしわとか、シミとかではなくて
全体的にモッサリとして、輪郭がボンヤリしてくる感じの変化。
まるで自分が物語に登場しているようで
訳が分かんなくなる事が多々ある角田作品なのですが
まだ私や、作者がたどり着いてない79歳の老婆の感覚も
かなり近い感じなんじゃないか?と、私は思っていて
老婆になった私のシュミレーションとして、
とても、参考になる文献??じゃなかった、作品でした。