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秋田さんの卵 |
伊藤 たかみ | |
講談社 |
伊藤たかみ 著 : 秋田さんの卵
を、読みました。
総合病院の付添婦を生業としている50代と思われる女性。
彼女の本当の名前を知る人は少なく、どうやら秋田出身のようだと云う事から
みんなから“秋田さん”呼ばれる、少しミステリアスな女性を、
観察する入院患者の視点で描かれる物語。
病院は狭い世界だけど、入院患者にとっては、
そこが世界のすべてになってしまうものです。
入院中、人は意外にもあの世界にすっぽり
吸い込まれてしまうものじゃないかと思います。
私も、検査で2泊しただけで、すっかりその世界に
取り込まれてしまった経験があります。
病院独特の、消毒液と食事と体臭なんかが混じった
特殊なにおいと、静かで閉鎖的な雰囲気が
伝わってくるような不思議な物語でした。