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この本が、世界に存在することに メディアファクトリー このアイテムの詳細を見る |
天気 春になった?
角田光代 著 : この本が、世界に存在することに
を読みました。
本をテーマにした9つのお話が入った短編集。
装丁が、青空に黄色の本が投げ上げられている表紙で
私好みです。
さあ、9つのお話の中で一番好きだったのは
“だれか” と言う作品。
旅先の、ひなびたタイのビーチで、マラリアにかかり小屋で
寝込む主人公(女性)は、本棚に日本人作家の本を見つけます
星新一と村上龍そして、片岡義男の3冊。
その中の片岡義男の本を手に取り、そして
「どーして、ここで片岡義男なの?」と思うと同時に
その本だけが知っている、その本をそのビーチに運んだ
人間の事を想像しはじめます。
また、“旅する本”は、東京で古本屋に売った本を
4年後ポカラで見つけ、カトマンズで売り、
その10年後、アイルランドの学生街の古本屋で出会う。
まさに旅する本で、海外を旅していると
本当にありそうな、お話でした。
どれも、本をめぐって語られるお話ですが
登場人物たちは、皆一様に読書が好きと言うわけではなく
全く本を読まない人もでてきます。
しかし、その一冊の本が存在した事によって
変わってゆく、違ってくる運命を、書いてある本でした。
本がスキな人も、そうでない人も読んでみると
一冊の本が違って見えてくるかもしれない、物語でした。