絹糸のしらべ

一絃の琴、きもの、文学etc…日本人のDNAが目を覚ます・・・

「きつねのおきゃくさま」の偽善

2007年01月06日 09時36分42秒 | Weblog
今朝はこの地方、雨です。
お天気はこれからますます悪化し、明日は雪も降るみたい。。。

お天気が悪いと気分まで悪くなって来る性質を『お天気や』という(ウソ)

わたくしです

タイトルの「きつねのおきゃくさま」ですが
言わずと知れた、あまんきみこさんの作品です。
あまんきみこは、小学校の教科書などで沢山使われるほのぼの作品が
多くありますが、この「きつねの」はちょっと違います。
いわゆるワルきつねが、他の動物の信頼?に応えるように変わっていき
最後はそれらを守るために戦って『笑って(微笑んで)』死んでいくお話です。

この童話(と言っていいと思いますが)には、表の顔と裏の顔が
あるような気がしてなりません。
小さい頃読んで感動した、という方も多いとは思いますが
ほんとうに、このワルきつねは「死んでしまって」良かったのでしょうか?
みんなを守るために自己を犠牲にして、それで本当に良かったのでしょうか?
また、きつねが死んだあとの遺された動物たちの有り様も画一的で
きつねが『微笑んで』死んだことへの虚しさでいっぱいになる終わり方です。

こういうストーリーをあえて子ども向けに書いた、というのは
作者に意図的なものがあり、この結末にしたのでしょう。
どういう意図で?
信頼されてうれしくなって、その信頼に応えるような行動をとるようになる、
までは理解できますが、そのあとそれをさらに「死」で証明しなければ
いけない「信頼」とは何なのでしょうか?
きつねは、みんなの役に立って死んでいってうれしかった、とでも?
(こんな結末で、小さい子どもの涙を誘うなんぞ・・・

やはり子どもむけには、悲劇的な内容でも最後には「明日への希望」を
持てる、そんな内容のお話をたくさんつくって貰いたいですね。
大人だって、過程はどうあれ読み終わった後に元気になるような、
そんなお話が喜ばれるのですから。