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英国FSAが銀行等のインサーダー取引規制のため通話内容の記録対象を携帯電話等への拡大案意見公募

2010-04-03 19:23:24 | EU加盟国の金融監督機関

 

Last Updated: Feburary 28,2021

 英国金融サービス庁(FSA)は、3月19日に銀行や証券会社の役職員等によるインサーダー取引等の情報悪用(市場詐欺)による不正取引を規制するための通話内容の記録保存義務対象を携帯電話会社や移動体通信に拡大する規則案をとりまとめ、2010年6月14日を期限とする意見の公募を行った。

 今回のFSAの規制強化は、2009年3月に施行された「音声および電子通信内容の6か月間の記録を義務付ける規則“the taping rules”(PS 08/1)」の適用拡大を前提にしたものであるが、同規則は携帯電話やE-mailは技術的な観点から適用除外としていた。

 筆者はこれらの一連のFSAの動きの背景から改めて見直してみた。英国のメディアがほとんど言及していないEUの「証券市場の情報開示に関する法令整備」の流れから正確に理解していないと今回の規制強化の意味が理解できないことが明らかとなった。

 今回のブログは、このような理由から一連のEUの対応を紹介しながら、英国FSAの取組みを述べてみたい。

 なお、わが国の金融庁や証券等監視委員会のこの問題に関する取組みはいかがであろうか。機会を改めて述べたい。

1.EUにおける証券市場規制に関する法令整備
(1)EUの1999年5月11日「金融サービス行動計画(Financial Services Action Plan:FSAP」 の策定
 FSAPは、もともとは1997 年の欧州市場統合の総括評価を行った欧州委員会の報告書『単一市場レビュー』の指摘を受けて金融サービス部門全分野における残存障害の除去を目指したものであり、ユーロの導入に伴い、その利益を最大限に引き出すために2002 年の現金(貨幣としてのユーロ)導入までにその実施を目指すものとされた。FSAP の戦略目標は、①単一卸売市場の完成、②小売金融サービスのためのオープンで安全な市場の構築、③EU 金融市場の継続的な安定性の確保、であった。
 また、欧州委員会は、FSAP を引き継ぐ2005 年12 月5 日にEUの以降5 年間の新たな金融サービス戦略となる「金融サービス政策白書2005-2010」(WHITE PAPER Financial Service Policy 2005-2010)を発表した。(筆者注)

 同白書(全16頁)において新たな金融サービス戦略の狙いは次のとおりまとめられている。
①金融サービスのダイナミックな統合(Dynamic Consolidation of Financial Services)
②よりよい規制に向けて(Better Regulation)
・開放的で透明な諮問(Open and transparent consultation)
・効果の査定(Impact assessments)
・措置の履行と法施行(Implementation and enforcement)
・事後評価(Ex-post evaluation)
・単一化、成文化、明瞭化(Simplification, codification and clarification)
・金融サービスの利用者:情報の入力、教育、是正(Users of financial services: input, education and redress)
・他の政策分野との交流の一段の強化(Further reinforcing the interaction with other policy areas)
③EC の規制および監督機構の権限の確保(Ensuring the right EC regulatory and supervisory structures)
④2005年から2010年の現在進行中および将来に向けた立法活動(Ongoing and Future Legislative Activities (2005-2010)

(3)2002年7月19日「国際会計基準(IAS)採用に関する規則(EC regulation on R the application of international accounting standards(EC regulation No 1606/2002)」を採択 

(4)2003年1月28日「インサイダー取引および市場詐害行為(market abuse)の規制に関する指令(Directive on insider dealing and market manipulation (market abuse)( Directive 2003/6/EC)」を採択。2005年7月1日施行。

(5)2003年11月4日「目論見書指令(Directive on the prospectus to be published when securities are offered to the public or admitted to trading
and amending Directive 2001/34/EC)( Directive 2003/71/EC)」
を採択。
EU域内企業の証券公募や上場内容の開示に関する指令である。

(6)2004年12月15日「上場証券の発行者についての情報の透明性に関する指令(Directive on the harmonisation of transparency requirements in relation to information about issuers whose securities are admitted to trading on a regulated market and amending Directive 2001/34/EC (Directive 2004/109/EC) 」を採択。
上場企業の定期的な開示に係る指令である。

2.英国の対応
(1)2005年3月22日、FSAは前記1(4)のMarket Abuse 指令(インサイダー取引および市場詐害行為(market abuse)の規制に関する指令( Directive 2003/6/EC))を受けた国内法化規則の最終規則策定とそのガイダンスを公表した。
 同規則の具体的な内容は次のとおりである。

A.インサイダー・リストの作成
 証券発行者およびそのアドバイザーは内部情報にアクセスできる人に関し次のリスト情報の保持が義務付けられた。
①管理者の取扱の公開:発行者にかわり管理責任を負うもの(マネージャー)は発行者の株式取引および関係する全金融派生取引の詳細につき開示が義務化される。(従来のデレクターの開示に的を絞ったもので旧来の英国のインサイダー規制運用の拡大となる)。

②疑わしい取引の報告:取引の取りまとめ会社は、市場詐害行為が行われたと合理的な疑いうるときはFSAに報告を行わねばならない。

③調査結果の開示:証券市場調査会社は、調査源データおよびその方法ならびに調査に影響する利害の対立につき情報の開示が義務化された。

B.新制度の下でのEU指令(2003/6/EC)に基づき、範囲と適用に関し次の変更が生じた。
①インサーダー情報による詐害行為:同指令は犯罪行為の定義において「明確、非公開かつ金融商品の価格に重大な影響を与える」情報としており、これを準用した。なお旧規定にある詐欺行為の定義中「一般に利用可能でない関連情報(relevant information not generally avoilable:RINGA)」については、従来の規制範囲を狭めることを避けるため存続した。

②市場操作(market manipulation):従来の情報誤用および市場のゆがみの犯罪定義に替えて「市場操作」と言う指令で特定した定義を導入した。

③インサイダー情報の開示:証券発行者は旧来のリスト規則の第8章に定める義務に替えて可能な限り早期に内部インサイド情報を開示しなくてはならない。

(2) 2008年3月3日、FSAの「電話通話録音およびその他電子通信記録の義務化規則PS 08/1 (当局の政策の具体化声明policy statement)」の制定
 新規則により2009年3月から株式、債券や金融派生商品に関する顧客との取引の結果について会社は通話内容や電子的通信内容をすべて記録することが義務化された。なお、taping rulesの改正に対応しFSAは「融業者による勧誘・販売、取引、顧客資産の管理等について定めた業務行為規約(Conduct of Business Sourcebook)の11.7の次に11.8を追加した。

 なお、携帯電話の通話記録の保存は技術的な理由から除外されたが18か月以内に見直すこととされた。また、一任勘定の投資マネージャーについては通話内容や電子記録の義務化は除外された。

(3) FSAは2009年12月に例外規定の見直しに関し技術提供会社、関係業界団体、経済コンサルタントと技術面や費用面の協議を踏まえ携帯電話の通話内容の記録に拡大することの実現可能性につき検討を行った。

(4)2010年3月19日、FSAは「通話内容の記録保存義務対象を携帯電話会社や移動体通信に拡大する規則案( Taping: Removing the mobile phone exemption)」をとりまとめ、2010年6月14日を期限とする意見の公募を行った。
 FSAは、今回の範囲拡大は会社が業務上の使用目的で交付した携帯電話等の通信内容が対象であり、私用に関するためプライバシー法に基づき記録し得ない私用通話については記録しないよう企業に適切な措置を取るよう働きかけるような案となっている。
 また、同規則の実施については1年の経過期間を設ける予定である。

(筆者注) 日本証券経済研究所 大橋 善晃 「EU の新たな金融サービス政策」から抜粋した上で公開資料原本に基づき訳語の見直し、補筆を行った。

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【追加注】Feburary 28.2021更新

2012 年金融サービス法(Financial Services Act 2012)2010 年に発足したキャメロン新政権は、金融行政の枠組みを再編することを決定し、FSA に代わり、3 つの機関、つまり、金融行為監督機構(Financial Conduct Authority、以下「FCA」という)、健全性監督機構(Prudential Regulation Authority、以下「PRA」という)および金融監督政策委員会(Financial Policy Committee、以下「FPC」という)を発足させた。FPC は、イングランド銀行傘下にあり、金融安定の責任を負う。これらの監督体制の変更は 2012 年金融サービス法(Financial Services Act 2012)により行われ、2013 年 4 月 1 日に新たな枠組みが成立した。この監督体制は「ツイン・ピークス(Twin Peaks)・モデル」とよばれている。

有限責任監査法人トーマツ「主 要 国 ・ 地 域 の 運 用 業 規 制 に 関 す る調 査 研 究 に つ い て の 報 告 書」84頁から抜粋、引用した。なお、84頁の図は原典であるFCA Business Plan 2013/14の38頁とあるが、正しくは58頁である。

 

さらに、筆者が気になった点は、FCAを金融行為規制機構(わが国の金融庁)、金融行為監督機構とする訳語である。

FCAサイトは、次のような説明を行っている。FCAは、(1)消費者が公正な取引を得られるように適切な保護、(2) 市場の完全性の強化、(3)消費者保護のための競争の推進 の3本柱で説明している。このような点から見て筆者はFCAの訳語はかなり意訳ではあるが、「消費保護・競争促進および金融市場完全化監督機構」という訳語を行った。

また、この金融監督制度改革に伴い、FCAウェブサイトの引き継ぎに関する解説を以下、引用する。

金融サービス庁(FSA)のウェブサイトは、金融行動庁(FCA)プルデンシャル規制当局(PRA)が設立されたため2013年以来更新されていない。2019年5月、FSAのウェブサイトは継続停止となったが、一部のリンクはリダイレクトされた。

FSA コンテンツは、国立 Web アーカイブfsa.gov.uk サイトからアクセスできる。FSA メニューから、検索バーを使用するのではなく、直接ドキュメントを検索されたい。ほとんどの出版物は「FSAライブラリ」にある。

[参照URL]
http://www.fsa.gov.uk/pubs/cp/cp10_07.pdf(2010年3月19日付けFSAのコンサルテング・ペーパー:CP10/7)

http://www.fsa.gov.uk/pubs/cp/cp10_07_newsletter.pdf(CP10/7のニュース・リリース)
http://europa.eu/legislation_summaries/internal_market/single_market_services/financial_services_general_framework/l24210_en.htm(FSAP)
(EU「インサイダー取引および市場詐害行為の規制に関する指令( Directive 2003/6/EC)」)

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Copyright © 2006-2010 芦田勝(Masaru Ashida).All Rights Reserved.No reduction or republication without permission.



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フランスの銀行・保険の規制監督機関の単一機関化にかかる法改正の最新動向

2010-03-31 10:52:35 | EU加盟国の金融監督機関

 

Last Updated:February 25,2021

 わが国ではほとんど紹介されていないが、フランスは2010年1月23日施行された国会からの委任による政府立法である「オルドオナンス(Ordonnance no.2010-76)」 (筆者注1)に基づき、銀行(与信機関)と保険会社を監督する単一機関である「金融健全性規制監督機構(Autorité de contrôle prudentiel:ACP)が発足した。

 フランスの金融規制監督機関制度は従来から複雑な体系を有しており、近年その簡素化を巡る法改正が積極的に行われ、最近では2003年7月17日に「金融安全に関する法律(Loi de sécurité financière)(以下「金融安全法」という) が国民議会で可決成立し、同年8月1日に公布された。「金融安全法」で実現した金融規制監督機関の再編の中で最も頻繁に言及されるのは、証券・投資サービス分野における規制監督の一元化であり、また保険分野での監督機関の統一である。ただし、その他にも多くの機関が再編の対象となっており、その全貌はかなり複雑である。(筆者注2)

 そこで今回のブログは、2003年「金融安全法」に基づく証券規制監督機関の統合すなわち金融市場機構(Autorité des Marchés Financiers:AMF)(筆者注3)に続き、2010年1月21日の発足したACPの統合内容、規制対象金融機関、組織と運営、監督権限およびAMFとの協調関係について概観する。

 なお、筆者はAMFの動向については毎日のように着信する通達内容を見るが、筆者が注目したのは米国の金融監督制度改革論議やEUの監督制度改革との比較という視点のほか、米国のリーマンブラザースに始まったとされる金融破たんの連鎖(システミック・リスク)は世界の金融システムの連鎖的混乱を招き、さらには各国やEU全体の金融監督制度の全面的な見直しのトリガーとなった点である。

 翻って考えると、世界的システミック・リスク問題に関し、わが国の金融監督制度は果たしてまったくの影響なしに過ごせるであろうかという点である。

1.4つのフランスの銀行、金融サービスおよび保険業界の規制・監督機関の廃止
(1)与信機関・投資サービス会社委員会( Comité des Etablissements de Crédit
et des Entreprises d'Investissement:CECEI)
(2)保険会社委員会( Comité des Entreprises d'Assurance :CEA)
(3)銀行委員会( Commission Bancaire:CB)
(4)保険会社・相互保険組織・共済組合監督委員会( Autorité de Contrôle des Assurances et des Mutuelles :ACAM)

 (1)(2)は金融会社や保険会社等につき個々に免許の供与、承認や剥奪につき責任を負い、(3)(4)は金融サービスや保険業において業務の円滑な経営持続についての監督責任を負うものであった。

2.ACPにより規制・監督下におかれる金融機関
 4つの元規制・監督機関の統合により、ACPは次の事業体や個人の免許や事業の持続性監視に関し責任を負うこととなった。

(1)金融サービス業界
銀行(credit institutions)、金融ポートフォリオ管理会社を除く投資信託会社(investment firms)、規制金融市場運営会社(market undertakings)(筆者注4)、清算会社会員、金融商品の安全性・管理活動に関し認可を受けた個人(person authorized for the activity or safekeeping or administration of financial instruments)、決済サービス機関(payment institutions)、金融会社および複合活動を行う金融持株会社(financial companies and mixed-activity financial holding companies)、両替商(money-changers)

(2)保険サービス業界
 保険会社、再保険会社、相互保険会社および相互組合(mutual companies and unions)、社会保障法典で規定される医療互助保障機関(institutions de prévoyance) 、偶発性医療相互保障組合および同等グループ(unions et groupements partaires de prévoyance)、保険会社グループおよび保険会社混合グループ、リスクを負う証券化実現手段(securitization vehicles bearing insurance risks)

 また、ACPはとりわけ保険や再保険の仲介活動、銀行業務の仲介および支払サービスを遂行する個人の監督責任を負う。

 投資サービスを行う銀行や投資会社に関し、ACFはビジネス・ルールの指揮や投資サービスプロバイダーの統治においてAMFの既得権をおかすことなく権限や司法権をもって監督を行う。

 さらにACPは、いわゆる欧州パスポート(投資法人等の設立の自由およびサービス提供の自由)(筆者注5)の下でフランス国内で投資業務を行うEEA (欧州経済領域)の法人等の監督を行う。

(3)ACPの組織と運営
 AMFの例に倣いACPは2つの異なる組織、すなわち「理事会(collège)」と「制裁委員会(commission des sanctions)」で構成される。
 16人の理事からなる理事会は、特段の定めがない限りACPに与えられたすべての責任を執行し、総会ではACPの基本に関わる決定を行い、また金融サービスや保険業界に関する共通的一般問題を審査する。
 反対に、個別問題については金融サービスまたは保険に特化した8人からなる小理事会で審査される。

 「制裁委員会」は5人からなり、行政処分または刑事罰を科す唯一の権限を持つ。従来指摘されてきた銀行委員会(Commission Bancaire)が苦情を申し出る母体と決定の責任をもつ委員との分離が不十分であるという批判を避けるため、ACPはAMFの組織的特徴を複製した。
すなわち、制裁手続の開始は理事会の任務であるが、その場合これらに関するすべての判断は制裁委員会により命じられなければならない。主要な改正点はACPの理事長は理事会の優先承認とともに国務院(Conseil d’Etat)に対し制裁委員会決定に対する異議申立権が与えられたことである。

 今回発布されたオルドオナンスは、理事会や制裁委員会メンバーおよびACPの監督下にある企業との間で利害の対立が生じないような措置に関する規定が含まれている。

(4)ACPの権限
 本オルドオナンスは、ACPの監督、管理および懲罰(disciplinary)権限を明確化した。それはバーゼルⅡフレームワークから導かれる第二の柱(金融機関の自己管理と監督上の検証)の審査手続につき特段の法的根拠を提供する。
 すなわち、このことはACPに金融監督下にある企業や個人に対し監督の範囲内、特に自身のファンドにとって規則上要求される最低自己資本ライン以上のレベルを維持し、かつ自身のファンドが要求される特別な条項化したポリシーまたは資産の取扱いに適用できる点を含む、財政状況の強化・保持や自身の組織強化を目的とする手段を取るため差止命令を発することを認めることを意味する。

(5)AMFとの緊密な調整活動
 本オルドオナンスは、共同機構(Pôle Commun)と呼ばれるACPとAMFの革新的な協調手段を導入した。共同機構は金融商品のマーケティング条況の共同監督ならびに被監督機関が顧客、借手、被保険者、メンバーや受益者に対する義務を的確に遵守していることの監督を実行に移す。
 この共同機構は、公告キャンペーンに対するきわだって共同したモニタリングや顧客の疑問への単一的な接触ポイントの創設に寄与する。

(6)ACPに期待される主なメリット
①ACPにより規制される金融機関等にとっての規制・監督の一貫性向上、特にACPは銀行や保険会社を包含する金融グループに対する制御の変更に関する事前認可手続の簡素化することにつながる。
②AMFとACPの2つの監督機関が声をそろえることで生命保険証券を含むすべての金融商品に関する消費者保護を強化する。
③欧州銀行監督者委員会(CEBS)等の国際金融監督機関会議におけるフランスにとってのより良いかつ強固な発言力の向上である。
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(筆者注1) フランスの法令体系について簡単に説明しておく。「オルドナンス(ordonnance)」は国会からの委任による政府立法をいう。「政令(décretは共和国大統領または首相がもつ規則制定権または個人権限に基づき下す法律行為をいう)」、「省令(arrêté)は規則制定権または個人的権限に基づき下す首相自身またはその効果についての委任署名に基づく決定を言うu par un fonctionnaire delegue a cet effet.)、「通達(circulaire:La circulaire sert, comme les directives, notes de service et autres instructions, a exposer les principes d’une politique, fixer les regles de fonctionnement des services et commenter ou orienter l’application des lois et reglements ; elle est signee par le ministre ou par un fonctionnaire delegue a cet effet.)」がある。
 なお、フランス政府の立法専門サイトである“Legifrance.gouv.fr”の「立法ガイド(Guide de Légistique)」はLoi、Ordonnance、 décret等について共和国憲法の根拠条文も含め規範構造を詳細に解説しており、参照されたい。

(筆者注2) 奥山裕之「フランスの金融安全法」(国立国会図書館 レファレンス2004年2月号)および白石智則「フランス金融安定法による金融監督の現代化」(早稲田大学フランス法研究会)は、「金融安全に関する法律」(比較法学38巻1号355頁以下)に基づくフランスの金融監督機関の統合につき詳細に論じている。わが国ではフランスの金融規制監督制度全般につき専門的に論じられることは極めて少なく、関心のある向きは是非読まれたい。
(筆者注3) AMFの活動状況は活発である。3月31日に筆者の手元に届いた最新リリース内容を参考まで紹介する。
金融市場の事業者の認定を受けるための法律専門知識に関するAMFマニュアルの発刊および新Q&A(2010年3月30日)
AMFが資本に算入できない債権証書の買戻しに適用法規に関するパブリックコメントの募集を開始(提出期限4月30日)
自然人で投資やコンサルティングを行うにつきAMFの認可を受けるための専門家試験に関する3月23日付け命令(2010-01)

(筆者注4) フランスの“market undertaking”についてはなじみがないであろうから、
“Legifrance.gouv.fr”の定義を引用しておく。フランスの「通貨金融法典(Monetary and Financial Code)」第4分冊「市場」第Ⅳ部「規制金融市場運営会社(market undertaking)・免許清算会社(clearing house)」第Ⅰ章にその定義を定める。
 すなわち“market undertaking”とは「主要な活動として規制された金融商品市場の運用の管理を行う営利会社」をいう。
 なお、あわせて“clearing house”についてLegifranceの解説部分を引用しておく。“The clearing houses oversee the positions, the margin calls and, when applicable, the automatic settlement of positions. They must have credit-institution status. Their operational rules must have been approved by the Financial Markets Council.
The relations between a clearing house and a person referred to in Article L. 442-2 are of a contractual nature.”

[参照URL]
http://elink.allenovery.com/getFile.aspx?ItemType=eAlert&id=c0ecc263-38fe-413d-b697-65d954339aff(ACPの解説)
http://www.deweyleboeuf.com/~/media/Files/attorneyarticles/2010/20100303_PLCInsuranceHandbookFranceDeweyLeBoeuf.ashx(ACPの解説)
http://www.gouvernement.fr/gouvernement/banque-assurance-accord-sur-la-creation-d-une-autorite-de-controle-commune(ACPに関するフランス政府の解説)
http://www.amf-france.org/(AMFのHP)

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Copyright © 2006-2010 芦田勝(Masaru Ashida).All Rights Reserved.No reduction or republication without permission.




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