Civilian Watchdog in Japan-IT security and privacy law-

情報セキュリティ、消費者保護、電子政府の課題等社会施策を国際的視野に基づき提言。米国等海外在住日本人に好評。

米証券取引委員会(SEC)が登録投資アドバイアーやファンドに対するサイバーセキュリティ・リスク管理規則の改正案を提案、コメントの公募

2022-02-10 14:16:51 | 金融取引とセキュリティ

 Last Updated :February 26,2022

2月10日、筆者の手元にSECの緊急リリースが゙届いた。2月9日、証券取引委員会は、登録投資アドバイザー(registered investment advisers)、登録投資会社(registered investment companies)、事業開発会社(ファンド ) (注1)のサイバーセキュリティ・リスク管理に関する規則(CFR)と、投資アドバイザーとファンド開示事業者 (fund disclosures) (注2) (注3)を管理する特定のルールの改正案を広く 公募提案することを決議したという内容である。

 この問題はわが国の関係者にとって見逃せない重要な問題であり、その内容を詳しく解説を試みようと考えたが、規則改正案本文は全243 頁であり、とりあえず、(1)リリース文、(2)概要、(3)詳細目次を仮訳することとした。

  なお、筆者は2月11 日付けのLexBlog,Inc.の解説記事「SEC Proposes Cybersecurity Regulations for Advisers and Funds」を読んだ。主要論点がよくまとめられおり、併読されたい。また、2月26日筆者の手元にHarvard Law School Forum on Corporate Governance「SEC’s Role in Cybersecurity」が届いた。併せて読まれたい。

 1.SEC 緊急リリース文

 SEC委員長のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)は、「サイバー・リスクは、SECの3部構成の重要任務の一部分、特に投資家を保護し、秩序ある市場を維持するという目標に関連している。今回提案された規則と規則改正は、サイバーセキュリティの準備を強化することを目的としており、サイバーセキュリティの脅威や攻撃に対するアドバイザーや資金の回復力に対する投資家の信頼を高める可能性がある」と冒頭述べた。

Gary Gensler委員長

 今回提案された規則改正案は、アドバイザーとファンドが、アドバイザリー・クライアントやファンド投資家に損害を与える可能性のあるサイバーセキュリティ・リスクに対処するために設計された書面によるサイバー・セキュリティ・ポリシーと手順を採用し、実施することを要求する。また、提案された規則改正案は、アドバイザーまたはそのファンドまたは民間基金の顧客に影響を与える重大なサイバーセキュリティ・インシデントを新しい機密性を持った様式でSECに報告することをアドバイザーに要求するものである。

 また、サイバーセキュリティ・インシデントに関連する投資家をさらに保護するために、この提案は、アドバイザーとファンドが、過去2年間に発生したサイバーセキュリティ・リスクと重大なサイバーセキュリティ・インシデントをパンフレットや登録明細書に公に開示することを要求している。

 さらに、今回の提案は、サイバーセキュリティ関連情報の可用性を向上させ、SECの検査および法執行能力を促進するために設計されたアドバイザーとファンドに対する新しい記録管理要件を定めるものである。

 本提案は、SEC.govサイト と連邦官報(Federal Register)に掲載される。パブリックコメント期間は、SECのウェブサイト上で提案リリース内容が公開された後60日間、または連邦官報に提案リリースが公表された後30日間、いずれかの期間長い期間となる。

2.概要報告(Fact Sheet)

1.要旨

 証券取引委員会は、提案された新しいサイバーセキュリティ・リスクすなわちサイバーセキュリティの準備を強化し、サイバーセキュリティの脅威と攻撃に対する投資アドバイザーと投資会社の回復力を向上させるための管理ルールと改正を検討した。

 具体的には、提案は次のようになる。

① サイバーセキュリティ・リスクに対処するために合理的に設計された書面によるポリシーと手順を採用および実装するようにアドバイザーと資金に要求します。

② 提案されたフォームADV-Cについて、重大なサイバーセキュリティ・インシデントを委員会に報告するようアドバイザーに要求する。

③ サイバーセキュリティのリスクとインシデントに関連するアドバイザーとファンドの開示責務を強化する。

④ 特定のサイバーセキュリティ関連の帳簿と記録を維持、作成、および保持するために、アドバイザーとファンドに要求する。

(1)規則改正の背景

 アドバイザーとファンドはわが国の金融市場で重要な役割を果たしており、重要な事業運営のためにテクノロジーにますます依存している。 アドバイザーとファンドは、直接および証券保管機関(custodians)、ブローカー、ディーラー、プライシング・サービス(注4)、その他のテクノロジーベンダーなどのサービスプロバイダーを通じて、相互接続されたさまざまなシステムとネットワークにさらされ、それらに依存している。その結果、多くのサイバーセキュリティ・リスクに直面し、重大なシステムまたはプロセスの障害を引き起こしたり悪化させたりする可能性のあるサイバーセキュリティ・インシデントが発生する可能性がある。

 今般、提案された規則の改正案は、アドバイザーとファンドのサイバーセキュリティへの備えに関する懸念に対処し、クライアントと投資家に対するサイバーセキュリティ関連のリスクを軽減するように設計されている。また、サイバーセキュリティのリスクとインシデントに関するアドバイザーとファンドの開示責務を改善し、システミックリスクを評価し、アドバイザーとファンドを監督するSECの能力を強化する。

 (2) 提案された規則改正案

(ⅰ)サイバーセキュリティ・リスク管理規則案

  今回の提案には、「1940年投資顧問法(Investment Advisers Act of 1940)」に基づく新しい規則206(4)-9と「1940年投資会社法(Investment Company Act)」に基づく新しい規則38a-2(これらを総称して「提案されたサイバーセキュリティ・リスク管理規則案という(以下、管理規則案)という」)が含まれている。 管理規則案には、アドバイザーとファンドに対しサイバーセキュリティ・リスクに対処するために合理的に設計されたポリシーと手順を採用および実装するための要求内容が定められている。

 管理規則案には、アドバイザーとファンドがサイバーセキュリティポリシーと手順で対処する必要がある特定の一般的な要素がリストされている。

 アドバイザリー・クライアントやファンド投資家に損害を与えたり、クライアントや投資家の個人情報を含むアドバイザーやファンド情報への不正アクセスや使用につながる可能性のある運用リスクやその他のリスクに対処するのに役立つ。

(ⅱ)重大なサイバーセキュリティ・インシデントの報告義務

 今回の提案には、新しい様式ADV-Cを提出することにより、ファンドまたはプライベートファンドのクライアントに代わって、アドバイザーが重大なサイバーセキュリティ・インシデントをSECに報告することを要求する新しい規則204-6に基づく報告要件が含まれている。これらの機密性を持ったレポートは、SECがサイバーセキュリティの影響を監視および評価するのを支援することにより、投資家を保護するための委員会の取り組みの効率と有効性を強化するとともに、アドバイザーとそのクライアントのサイバー事故および金融市場に影響を与える潜在的なシステミックリスクをより広く評価する。

 現在、アドバイザーは、Form ADVの物語風パンフレットまたはパート2Aで、見込み顧客と現在の顧客に開示を提供している。これは、公開されており、顧問が使用する主要な顧客向け開示文書の1つである。フォームADVパート2Aには、投資顧問の商慣行、手数料、リスク、利害の対立、および懲戒情報に関する情報が含まれている。今回の提案は、フォームADVパート2Aを改正して、サイバーセキュリティのリスクとインシデントをアドバイザーや見込み客のクライアントに開示することを要求する。

 アドバイザーと同様に、将来および現在の投資家にサイバーセキュリティ関連の開示を提供するための資金も必要になる。具体的には、提案された改正案では、ファンドの登録届出書の過去2会計年度につき構造化データ言語 (注5)でのタグ付けが要求される。この提案には、フォームN-1A、フォームN-2、フォームN-3、フォームN-4、フォームN-6、フォームN-8B-2、およびフォームS-6の修正が含まれている。

(ⅲ)記録の保存義務

 1940年投資顧問法に基づく帳簿および記録の規則である規則204-2は、アドバイザーの投資顧問事業に関連する帳簿および記録を維持、作成、および保持するための要件を定めている。今回の提案は、アドバイザーに維持することを要求するためにこの規則を修正するであろう。

 提案されたサイバーセキュリティ・リスク管理ルールおよびサイバーセキュリティ・インシデントの発生に関連する特定の記録責務を明記した。同様に、1940年投資会社法の下で提案された規則案38a-2は、ファンドが提案された規則の下で指定されたサイバーセキュリティ・ポリシーと手順およびその他の関連記録のコピーを維持することを要求する。

3.SEC連邦行政規則集(CFR)の改正案の詳細目次

 規則改正案は、全243頁と大部である。筆者は時間をかけた翻訳を行いたいところであるが、わが国の研究機関等が取り上げるであることが予想されることから、ここでは詳細な目次のみ原文で挙げる。

TABLE OF CONTENTS
I. INTRODUCTION
A. Adviser and Fund Cybersecurity Risks
B. Current Legal and Regulatory Framework
C. Overview of Rule Proposal
II. DISCUSSION
A. Cybersecurity Risk Management Policies and Procedures
1. Required Elements of Advisers’ and Funds’ Policies and Procedures
a. Risk Assessment
b. User Security and Access
c. Information Protection
d. Threat and Vulnerability Management
2. Annual Review and Required Written Reports
3. Fund Board Oversight
4. Recordkeeping
B. Reporting of Significant Cybersecurity Incidents to the Commission
1. Proposed Rule 204-6
2. Form ADV-C
C. Disclosure of Cybersecurity Risks and Incidents
1. Proposed Amendments to Form ADV Part 2A
2. Cybersecurity Risks and Incidents Disclosure
3. Requirement to Deliver Certain Interim Brochure Amendments to
Existing Clients
4. Proposed Amendments to Fund Registration Statements
Ⅲ. ECONOMIC ANALYSIS
A. Introduction
B. Broad Economic Considerations
C. Baseline
1. Cybersecurity Risks and Practices
2. Regulation
3. Market Structure
D. Benefits and Costs of the Proposed Rule and Form Amendments
1. Cybersecurity Policies and Procedures
a. Benefits
b. Costs
2. Disclosures of Cybersecurity Risks and Incidents
a. Benefits
b. Costs
3. Regulatory Reporting of Cybersecurity Incident
a. Benefits
b. Costs
4. Recordkeeping
a. Benefits
b. Costs
E. Effects on Efficiency, Competition, and Capital Formation
F. Alternatives Considered
1. Alternatives to the Proposed Policies and Procedures Requirement
a. Require Only Disclosure of Cybersecurity Policies and
Procedures Without Prescribing Element
b.Require Cybersecurity Policies and Procedures with More
Limited Prescribed Elements
c.Require Specific Prescriptive Requirements for Addressing
Cybersecurity Risks
d.Require Audits of Internal Controls Regarding Cybersecurity
e. Vary Requirements of the Proposed Rules on Cybersecurity
and Procedures for Different Subsets of Advisers and Funds
f. Administration and Oversight of Cybersecurity Policies and
Procedures
2. Modify Requirements for Structuring Disclosure of Cybersecurity
Risks and Incidents
3.Public Disclosure of Form ADV-C
IV. PAPERWORK REDUCTION ACT ANALYSIS
A. Introduction
B. Rule 206(4)-9
C.Rule 38a-2
D.Rule 204-2
E.Rule 204-6
F.Form ADV-C
G.Form ADV
H. Rule 204-3
I.Form N-1A
J.Form N-2
K.Form N-3
L.Form N-4
M. Form N-6
N.Form N-8B-2 and Form S-6
O.Investment Company Interactive Data
P.Request for Comment
V. INITIAL REGULATORY FLEXIBILITY ACT ANALYSIS
A. Reason For and Objectives of the Proposed Action
1. Proposed Rule 206(4)-9
2. Proposed Rule 38a-2
3. Proposed Amendments to Rule 204-2
4. Proposed Rule 204-6
5. Form ADV-C
6. Proposed Amendments to Form ADV Part 2A
7. Proposed Amendments to Rule 204-3
8. Proposed Amendments to Fund Registration Forms, Rules under the
Securities Act, and Regulation S-T
B. Legal Basis
C. Small Entities Subject to the Rules and Rule Amendments
1. Small Entities Subject to Proposed Rule 206(4)-9, Proposed Rule 204-
6, Proposed Form ADV-C and Proposed Amendments to Rule 204-2,
Rule 204-3, and Form ADV Part 2A
2. Small Entities Subject to Proposed Rule 38a-2 and Proposed
Amendments to Fund Registration Forms
D. Projected Reporting, Recordkeeping and Other Compliance Requirement
1. Proposed Rule 206(4)-9
2. Proposed Rule 38a-2
3.Proposed Amendments to Rule 204-2
4. Proposed Rule 204-6
5. Form ADV-C
6. Proposed Amendments to Form ADV Part 2A
7. Proposed Amendments to Rule 204-3
8. Proposed Amendments to Fund Registration Forms, Rule 485 and
Rule 497 under the Securities Act, and Rule 11 and Rule 405 of
Regulation S-T
E.Duplicative, Overlapping, or Conflicting Federal Rules
1. Proposed Rule 206(4)-9
2. Proposed Rule 38a-2
3. Proposed Amendments to Rule 204-2
4. Proposed Rule 204-6 P.187
5. Form ADV-C
6.Proposed Amendments to Form ADV
7. Proposed Amendments to Rule 204-3
8. Proposed Amendments to Fund Registration Forms, Rules under the
Securities Act, and Regulation S-T
F. Significant Alternatives
1. Proposed Rule 206(4)-9
2.Registration Forms, Rules under the Securities Act, and Regulation S-T
3. Proposed Rule 204-6 and Form ADV-C
1. Proposed Amendments to Form ADV and Rule 204-3
G.Solicitation of Comments
VI. CONSIDERATION OF IMPACT ON THE ECONOMY
VII. STATUTORY AUTHORITY
(以下、略す)

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(注1) Business Development Companies(BDC): 米国において1940年投資会社法(Investment Company Act of 1940)を根拠法として設立された中堅企業や新興企業等の事業開発を金融面及び経営面からサポートする投資会社のこと。BDCは、1980年に、中小及び新興企業への資金供給等を促す目的で誕生したもので、形態はクローズド・エンド型のファンドであり、ニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所に上場している。

(注2) SECの投資管理部門の開示レビューおよび会計監督部(Division of Investment Management’s Disclosure Review and Accounting Office :DRAO)は、投資信託、為替取引ファンド(ETF)、クローズドエンドファンド、変動保険商品、投資信託、および同様のオープン型投資ファンド(注3)に関する目論見書・設立趣意書 (prospectuses)、委任状説明書(proxy statements)、株主報告書(shareholder reports)などの提出書類の見直しを担当している。何百万人ものアメリカ人がこれらの資金を使って、退職金、子供の教育、その他の重要な財政目標に投資しており、SECは、これらの投資家が情報に基づいた投資決定を行うために必要な情報を確実に得られるように取り組んでいる。(https://www.sec.gov/investment/fund-disclosure-at-a-glance から一部抜粋、仮訳)

(注3) mutual fund: 個人から集めた資金を特定の専門家(ファンドマネージャー)に管理・運営を委ね、有価証券などに投資し、その収益を出資額に応じて分配する金融商品。わが国では1951年証券投資信託法に基づいて誕生した。

 投資対象は株式・公社債等の有価証券で、投資家から集められた資金で作られた信託財産の運用は専業の投資信託委託会社が行い、管理・処分は信託会社が、販売や換金は証券会社や登録金融機関(証券業務の登録を受けた金融機関)が行う。

 運用対象が公社債のみか株式を含むかによって公社債投資信託と株式投資信託に大別され、前者は安全性を後者は収益性をめざしている。投資信託には外貨建てのものもみられるが、これには為替変動リスクがある。(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yogo/t/toshi_shintaku.html )から引用。

(注4) プライシング・サービスとは、企業の取締役会によって指定された企業がS&PのJ.J  ケニー( J.J. Kenny Co., Inc)およびムーディーズ(Moody's Investors Service, Inc.、Moody's Analytics, Inc. ならびに(又は)これらの者のライセンサー及び関連会社をいう)から書面による保証を得て、そのような指定がS&Pおよびムーディーズによって平均市場価格( AMPS)に割り当てられた格付けを損なうことはないことを条件とするもの。

(注5) 構造化データとは、項目の形式や順序など、明確に定義された構造に従って記述、配置されたデータ集合のこと。プログラムによって自動処理するために用いられることが多い。(IT用語辞典(https://e-words.jp/w/%E6%A7%8B%E9%80%A0%E5%8C%96%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF.html)から抜粋)

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ニュージーランドの銀行等における小切手の廃止と高齢者等のデスクリミネーション(discrimination)問題

2021-06-23 10:00:31 | 金融取引とセキュリティ

ソルダムの実

 手形や小切手という金融取引のペーパーレス化が強く指摘され始めてからかなりの年数が立つ。2021年3月18日一般社団法人全国銀行協会は「手形・小切手機能の電子化状況に関する調査報告書~約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画等の策定に向けて~(2020年度)」を公表した。その要旨で「本調査報告書は、2018年12月に取りまとめられた手形・小切手機能の電子化に向けた検討会報告書」(以下「検討会報告書」という。)において提言された中間的な目標である「全面的な電子化を視野に入れつつ、5年間で全国手形交換枚数(手形・小切手・その他証券の合計)の約6割が電子的な方法に移行すること」の進捗状況をモニタリングするとともに、わが国企業を巡るデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた課題や、検討会報告書取りまとめ時には想定していなかった新型コロナウイルス感染症に伴う書面・押印・対面手続の見直しに関する社会的要請を踏まえ、手形・小切手機能の「全面的な電子化」に向けた今後の取り組みについて取りまとめたものである」と記されている。(注1)

 筆者も、かつてこの問題にかかわった関係で今後の検討内容・動向を注視する予定である。

ところで、筆者の手元にニュージーランド金融市場局(Financial Market Authority)からのニュース記事が届いた。

 「ニュージーランド会社登記局(New Zealand Companies OfficeNZCO)は、2021年6月23日以降、小切手を受け入れることができなくなります。これは、NZCO自身を含むほとんどのニュージーランドの銀行が小切手の使用を段階的に廃止するという決定に従うことを意味します。また、6月26日から、NZCOが受け取った小切手が返却されます。小切手に代わる支払い方法については、NZCOのウェブサイトのヘルプガイドをご参照ください。」と書いてある。

 これだけの文章で、その意味することを理解できる日本人は皆無に近いと言えよう、。実際、この問題は日常生活、金融取引、慈善活動だけでなく永住、企業設立等広く社会的影響を持つものである。

 これらの問題については、わが国では本来的にはJETROが対応するべきものと考えるが、なお詳しい解説は見た記憶がない。また、両国の金融関係の解説サイトも数多くある割には本格的に論じたものは皆無である。

 そこで本ブログでは、急遽、関係する両国の金融機関サイト情報の収集と市議会や法務省等の情報などに基づき解説を試みるものである。

 また、この問題について両国の関係機関は高齢化社会が進む一方でIT化についていけない人々への支援策が金融機関ごとに十分かという問題提起も行われている。他方、わが国における通帳の有料化等の問題は今後の金融機関画が進めようとしているサービスのオンライ化(電子決済化)と極めて関連する点であり、本ブログでも併せ言及する。 

1.ANZ銀行の例(https://www.anz.co.nz/comms/cheque-removal/)でみる小切手の利用停止とそれに代わるあらたな銀行取引手段とは?

 ZNZ銀行のサイトから主要部を抜粋のうえ、仮訳する

(1) 利用停止はいつから開始されるのか?

 2021年6月1日以降、小切手はANZ口座への入金が受け付けられなくなり、また他の銀行口座への支払い方法としてANZ銀行小切手(注2) も使用できなくなる。

オーストラリア・ドル(AUD)、カナダ・ドル(CAD)、グレートブリティッシュ・ポンド(GBP)、および米ドル(USD)建ての外国小切手は、追って通知があるまで引き続き預けることができる。この他の通貨の外国小切手は入金できない。

 この変更は、具体的には次のことを意味する。

① 5月31日以降、ANZ口座に小切手を入金したり、ANZ銀行小切手を使用して他の銀行口座に小切手を入金したりすることはできない。

② 5月31日および同日以前に発行した小切手は預けられなくなる。

③ 5月31日以降、ANZは銀行小切手を発行しなくなるが、この日付より前に発行さ*れたANZ銀行小切手は、通常の要件に従って処理される。 

今後の他人や会社等に支払う方法とは具体的に何か

これら電子決済取引を行うには、1)ANZインターネットバンキング、2)ANZ goMoneyモバイルアプリ、3)ANZ電話バンキング(電話による24時間年中無休の自動バンキング)に登録する必要がある。これらセットアップと利用は簡単なものであり、ANZ銀行チームは、電話または支店でその具体的方法の説明を受けられる。 

(2) ANZは簡単なオンライン・インターネット・バンキングおよび電話バンキングへのガイド

 オンラインおよび電話での銀行業務への移行を支援するために、段階的な印刷可能なガイドとビデオをまとめている。

お客様が支払い、送金、銀行取引の確認、口座やローンの管理などについて、!)ANZインターネッ・トバンキング、2) goMoney(,モバイル・バンキング)、3)Direct Online for Business (注3)、4)電話バンキングでは、24時間年中無休で財務を管理できる。

  これらのガイドでは、次の方法について説明している、

1)登録、ログイン、およびANZのサービスの利用

2)他人への支払または請求書支払い

3)顧客のANZクレジットカードへの支払いを含め、顧客のANZアカウント間での送金

4)自動支払い (注4)の設定、編集、または削除。そして複数の人が承認する必要がある支払いの設定(ビジネスの場合) 

具体的にガイドを見る

支払い方法や設定した支払いができない場合の対処方法など、電子支払いの詳細については、電子支払いをご覧ください。

これら電子決済を行うには、ANZインターネットバンキング、ANZ goMoneyモバイルアプリ、ANZ電話バンキングを設定する必要があることを忘れないでください。 

 2.ユージーランドの大手銀行等の小切手利用の段階的廃止スケジュール

(1) 2020年4月8日、ニュージーランドの首都ウェリントンのメディアは以下のとおり報じた。

 一部の銀行はまだ小切手を受け入れているが、ニュージーランドの銀行や政府機関は徐々に小切手を廃止し始めている。Kiwibank は2月28日から、ACC  (注5)歳入庁(Inland Revenue)NZ Post(民間郵便事業会社)は、小切手を受けいてたり、発行しなくなった。ニュージーランド最大の民間銀行BNZ(Bank of New Zealand)は, 2021年6月30日までに小切手を段階的に廃止することを目指していると発表し、ANZは2021年5月31日に小切手の使用を中止した。

また、Westpac は、Rabobank(オランダのラボバンクの子会社) は6月25日から小切手の受け入れを停止予定である。

なお、協働組合銀行(Co-operative Bank )は5月20日から廃止している。ASB は8月27日から廃止予定である。

 一方、TSBSBS は依然、小切手を発行し、受け入れている。(この部分は法務省の説明で補足、修正した。)

 ウェリントン市議会は2021年4月1から小切手の受け入れを停止すると発表した。

「4月1日木曜日以降、ウェリントン市議会はそのサービスの支払いとして小切手を受け付けなくなるが、まだ多くの他の支払いオプションが利用可能である。

5月31日月曜日以降は小切手を受け付けないウェリントン市議会はANZを含め、ニュージーランド国内のすべての主要銀行は、支払いオプションとしての小切手の使用を停止すると報じた。

市議会の4月1日の締め切り日により、受け取ったすべての小切手が銀行の締め切り前に処理されることを確認する時間が与えられる。

市議会への支払には、以下のようなまだ多くの方法がある。

① オンラインまたはサービスセンターで入手可能な紙のフォームで料金支払いの口座引き落とし(Direct Dbit)の設定.。

② サービスの請求書支払いのためのダイレクトクレジットアカウントの設定:電話:06-0582-0106111-00

③ デビットカードによるオンライン支払い(www.wcc.govt.nz)

④ クレジットカード支払い(追加料金が適用される)

⑤ ニュージーランド・ポストでの直接支払い(現金またはEFTPOS)

⑥ あなたの取引銀行とのインターネットまたは電話バンキング

現在の小切手ユーザーは、詳細について銀行に連絡し、すべてのサービスのインターネットバンキングまたはテレフォンバンキング等、他の支払い方法を手配することを勧める。 

3.ニュジーランドにおける小切手使用率の低下

 リティールバンキング動向の国際的専門機関である”Retail Banker International”は2020年5月13日のニュースで以下の情報を提供している。以下を抜粋し、仮訳する。

伝えられるところによると、ANZでの小切手の使用量は、2017年から2018年にかけて前年比で20%減少し、顧客がデジタル方式を使用するにつれて減少し続けた。ANZのスポークスマンは、「現在、お客様の1%未満が定期的に小切手を使用している」と述べ、、またWestpacは、小切手の受理と発行を停止し、サービスを完全に放棄する前に顧客に「十分な通知」を行う計画を発表した。

これら各銀行は声明のなかで、「小切手の使用量は長年減少しており、多くの顧客が小切手を使用するよりも速く、安全で、安価なデジタル決済を好むようになっている」と述べている。 

3.ニュージーランド法務省の例にみる小切手の段階的廃止予告

 以上の民間銀行の小切手廃止の動向に対応して国家機関であるニュージーランド法務省は、各決済につき次のとおり詳細に解説している。

【注意】ANZ銀行は、2021年5月31日の営業終了後、小切手による支払いの処理を停止しする。他の銀行の最終小切手処理日の詳細については、FAQ ページをご覧されたい。 

〇本省は、2021年5月31日以降、小切手による支払いを処理または受け付けを行わない。

〇ほとんどのニュージーランド銀行は2021年半ばまでに小切手による支払いを受け付けたり処理したりしなくなるため、多くの組織が小切手による支払いを停止することを決定した。 これには、本省の銀行サービスプロバイダーであるWestpacが含まれる。

 以前に省関連サービスの小切手で支払いを行った、または受け取った場合は、以下の情報を参照して代替の支払いを見つけてください。 

(1) 罰金の支払い(pay a fine)

これには、賠償(reparations)、裁判所命令による罰金(court-ordered fines)、侵害罰金(infringement fines)(注5)、およびスピード違反者等への課税(offender levies)(注6)が含まれる。 

(2) 特許出願手数料の支払い(pay a filing fee)

これには、裁判所への提出手数料と審判手数料が含まれる。 

(3) 法律扶助を受けた際の債務返済(legal aid debt repayment)

定期的な返済または訴訟費用の一括払いが必要になる場合がある。 

(4) 裁判所の費用拠出命令(cost contribution order)

費用拠出命令とは、専門家の報告、子供のための弁護士の任命、または裁判所を支援する弁護士の費用に対して支払う必要があると裁判所が命じた場合をいう。 申請が取り下げられた場合や、申請後に紛争を解決した場合でも、支払いが必要になる場合がある。 

(5)陪審員サービスにかかる支払いの受け取り

召喚状に銀行口座を入力して郵送で返送するか、オンラインフォームに記入して、直接クレジットで支払いを受け取る。

(6) 民亊執行命令にもとづく支払い

 債務者が支払わない場合は、民事債務の回収を支援するよう裁判所に求めることができる。これは民事執行と呼ばれ、この民事執行プロセスは自分で管理し、料金を支払う必要がある場合がある。 

(6)賠償金の受け取り

 判決文では、裁判官は犯罪の結果としてあなたが感情的な危害を被ったり、財産を失ったりした場合、裁判官は犯罪者にあなたに金銭を払うように命じることができ、これは「賠償」として知られている。裁判官は、その人が犯罪のためにどれだけの損害、損失、または費用を被ったか、そして犯罪者の支払い能力を検討のうえ、賠償額を決定する。

(7) 法務省が管轄する支払いに関するFAQ

2021年5月31日以降、省は小切手による支払いを受け付けたり送信したりしなくなる。この変更の詳細については、以下のFAQを参照されたい。

4.小切手の廃止に伴う特に高齢者などへの影響を懸念する問題指摘

 わが国でも高齢者だけでなく中年層でもインターネットバンキングの利用率は依然低いといえよう。これはわが国だけの問題ではない。

例えば、ウエリントンのメディアは「高齢者はさまざまな支払い方法を使用するが、この年齢層では他のどの年齢層よりも小切手が使用されている。 Age Concern NewZealandのProfessional Educator: Elder Abuse and NeglectであるHanny Naus氏 は、

Hanny Naus氏

段階的廃止は高齢者に大きな影響を与えると述べ、高齢者がどのように移行するかについて懸念していると述べている。

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(注1) 具体的には、次のとおり、手形・小切手機能の「全面的な電子化」に向けた目標を設定するものとする。・手形については、2026年度を目標とし、「全面的な電子化」に取り組み、政府が掲げる手形の利用の廃止方針を踏まえ「約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画」(以下「自主行動計画」という。)を策定する。・小切手についても、産業界・金融機関の取扱負担や環境コストを踏まえつつ、2026年度を目標とし、「全面的な電子化」を目指し、わが国の決済手段のDX化を後押しする。なお、毎年のフォローアップの状況も見ながら2024年度に自主行動計画の評価を行い、必要な見直しを行うものとする。これら金融業界としての自主行動計画等の策定に向けて、産業界・関係省庁も参加したかたちで手形・小切手機能の「全面的な電子化」を議論する検討会を設置し、産業界・関係省庁との連携を図るほか、次の取り組み強化事項の詳細化等を行う予定である。(要旨から一部抜粋)

(注2) ANZ銀行の解説:ANZ銀行の銀行小切手(bank cheque)を購入する仮訳する。なお、日本では実務上「自己宛小切手」または「預金小切手(預手)」という。

銀行小切手は、個人または企業に支払う便利な方法です。 小切手または普通預金口座をお持ちの場合は、オンラインで銀行小切手を簡単に購入できます。

① 銀行小切手を購入するには、PayAnyoneに登録する必要があります。

② 1日あたりの金額制限が適用されます。

③ オンラインで銀行小切手を購入すると、手数料がかかります。

④ 発行請求額は、使用しているアカウントによって異なり、アカウントを選択すると表示されます。

【銀行小切手を購入するにはどうすればよいですか?】

銀行小切手を購入する手順:

1) ANZインターネットバンキングにログオンしたときに最初に表示されるページであるホームページに移動する。。

2) 小切手または普通預金口座を選択する。

てください

3) アカウント・アクションから「銀行小切手の購入」リンクを選択し、以下の手順に従います。以下は略す。

(2) ANZ Direct Onlineの機能

事業者向け24時間、年中無休のサービスで口座の管理と大量の支払い事務をこなすものである。具体的に次の業務をこなすものである

1) 支払いを管理する

債権者と従業員に支払いを行い、直接引き落としを設定し、アカウント間でお金を移動する。 支払いは、効率的な承認と処理のためにグループ化できる。 トランザクションファイルは、ほとんどの会計ソフトウェアパッケージからインポートして、効率と精度を高めることができる。

2) すべての追加機能を備えたオンラインでの国際決済

ANZ Direct Onlineを介して、さまざまな通貨で海外のサプライヤーに支払うことができる。 効率的な処理のために支払いをまとめてまとめることができ、受取人テンプレートを使用して処理トランザクションをさらに高速化できる。為替レートはライブであり、マーケットチームと協力しているときに先物為替レートを利用できる。 

3) 詳細なレポートと監査履歴を表示する

組み込み済の監査履歴は、すべてのアカウント・アクティビティを追跡できる。 国内、外通貨、クレジットカードの詳細なアカウント情報を表示およびダウンロードができる。 組み込みの監査履歴はすべてのアカウント・アクティビティを追跡するため、履歴レポートとデータにアクセスして、あなたとあなたの会計士の財務報告を支援できる。 

4) すべてのユーザーのアクセスをカスタマイズする

ユーザーごとに個別のログオンを作成し、ユーザーがアクセスできる領域を指定することで、機密性を保持できる。 役割を割り当てるだけで、チームはあなたのビジネスを円滑に運営する仕事に取り掛かることができる。 署名者は、モバイルでも利用できる安全な2要素認証プロセスを使用して、どこからでもあなたたちの支払いを承認できる。 

(注3) Direct Online for Business は先進的な内容(ANZサイト仮訳)

 アカウントへの24時間年中無休のアクセスと大量の支払いを処理するための高度に開発されたツールを備えたANZダイレクトオンラインは、以下のとおり、ビジネス・トランザクションを管理するための包括的な方法です。 ANZダイレクトオンラインがどのように機能するかについて、今すぐお問い合わせください。 

 (1) 支払いを管理する

 債権者や従業員へ支払いを行い、口座引落とし(direct debits)を設定し、顧客のアカウント間で資金を移動する。 また、この支払いは、効率的な承認と処理のためにグループ化できる。銀行取引ファイルは、ほとんどの会計ソフトウェアパッケージからインポートでき、その効率化と精度を高めることができる。 

(2) すべての追加機能を備えたオンラインでの国際決済が可能

 ANZ Direct Onlineを介して、各種通貨で海外のサプライヤーに支払うことができる。 効率的な処理のために支払いをまとめてまとめることができ、受取人テンプレートを使用して処理トランザクションをさらに高速化できる。 為替レートはリアルタイムであり、マーケットチームと協力しているときに先物為替レートをも利用できる。 

(3) 詳細なレポートと監査履歴を表示が可能

 組み込まれた監査履歴は、すべてのアカウント・アクティビティを追跡可となる。 国内、外貨、クレジットカードの詳細なアカウント情報を表示およびダウンロードできる。 組み込みの監査履歴はすべてのアカウント・アクティビティを追跡するため、履歴レポートとデータにアクセスして、貴社や貴社の会計士の財務報告を支援できる。 

(4) すべてのユーザーのアクセスをカスタマイズする

ユーザーごとに個別のログオンを作成し、ユーザーがアクセスできる領域を指定することで、機密性を保持できる。 役割を割り当てるだけで、チームはあなたのビジネスを円滑に運営する仕事に取り掛かることができる。貴社の署名者は、モバイルでも利用できる安全な2要素認証プロセスを使用して、どこからでも支払いを承認できる。 

【簡易かつ使い勝手が良い】

ANZ Direct Mobile

これで、あなたはスマートフォンでANZダイレクトにアクセスできます。 新しいモバイル機能により、次のことが簡単に行える(動画参照)。

① 残高と取引を確認する

② 支払いを管理する

③ 国内支払いを作成する

④ 支払いを承認または免除する 

【ヘルプデスク】ANZ Direct Onlne Helpdeskは月曜日から金曜日の7:30am ~7:00pmの間に開かれており、また、アプリケーション内からセキュア・メールを送信したり、検索可能なオンラインヘルプをいつでも参照したりすることもできる。

 (注4) 自動支払い(automatic payment):家賃の支払いなど、特定の個人または法人等への設定金額のスケジュールされた支払い(たとえば、毎週、隔週、毎月など)。 または、自動支払いを使用して、支払い日ごとに普通預金口座に定期的に預金するようにするもので、、最初は自分で支払う。 

 (注5) The Accident Compensation Corporationは、ニュージーランド政府の機関が行っている事故補償制度をいう。ニュージーランド人か海外からの旅行者かを問わず、事故に対しての医療費の補償をしてくれる(ただし、病気については適用外)。

ニュージーランドにおいては、事故による傷害等について、業務上であろうがなかろうがわが国のような別建ての制度によることなく、事故補償制度(通称 ACC1))という単一の制度により、1970年代前半以降は補償等(リハビリテーションを含む)のカバーがなされることになっている。この ACCによる補償等はネグリジェンス(過失)訴訟の原則禁止を前提として無過失責任によりなされる仕組みとなっており、労災事故であるとか交通事故であるとかといった傷害等の原因にではなく傷害等を被ってしまったという結果に着目して、被災者本位の迅速な救済システムとなることを意図している。(増田 幹司「ニュージーランド事故補償制度(通称ACC)と医療事故に関する一検討-治療行為による傷害(Treatment Injury)という概念が誕生するまでのACCの沿革-」から一部抜粋)

 (注6) 例えば違反通知書(Infringement Notice)とは、スピード違反や違法駐車などの交通違反行為を犯した際に、州警察署、または道路通行局(Department of Transport and Mains Road)から発行される違反通知書のことである。スピード違反などの場合はその場で手渡されることが多いが、例えば交通事故に巻き込まれた場合、警察による現場検証後に郵送されてくることもある。

 通知書を受け取った際の対応として、次の4つの選択肢が挙げられる。

(1)罰金を支払う(違反罰金(infrigement fines)である)

これは違法行為を認めたことになり、罰点(Demerit Points)が課せられます。罰金支払い後はほかの選択肢を選べない。また200ドル以上の罰金の支払いを命じられた場合は分割払いができる。

以下、略す。(オーストラリア警察の場合の解説(日豪プレス法律相談室から抜粋)

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【DONATE(ご寄付)のお願い】

本ブログの継続維持のため読者各位のご協力をお願いいたします。特に寄付いただいた方で希望される方があれば、今後公開する筆者のメールアドレス宛にご連絡いただければ個別に対応することも検討中でございます。 

◆みずほ銀行 船橋支店(店番号 282)

◆普通預金 1631308

◆アシダ マサル 

◆メールアドレス:mashida9.jp@gmail.com

【本ブログのブログとしての特性】

1.100%原データに基づく翻訳と内容に即した権威にこだわらない正確な訳語づくり

2.本ブログで取り下げてきたテーマ、内容はすべて電子書籍も含め公表時から即内容の陳腐化が始まるものである。筆者は本ブログの閲覧されるテーマを毎日フォローしているが、10年以上前のブログの閲覧も毎日発生している。

このため、その内容のチェックを含め完全なリンクのチェック、確保に努めてきた。

3.上記2.のメンテナンス作業につき従来から約4人態勢で当たってきた。すなわち、海外の主要メディア、主要大学(ロースクールを含む)および関係機関、シンクタンク、主要国の国家機関(連邦、州など)、EU機関や加盟国の国家機関、情報保護監督機関、消費者保護機関、大手ローファーム、サイバーセキュリテイ機関、人権擁護団体等を毎日仕分け後、翻訳分担などを行い、最終的にアップ時に責任者が最終チェックする作業過程を毎日行ってきた。

 このような経験を踏まえデータの入手日から最短で1~2日以内にアップすることが可能となった。

 なお、海外のメディアを読まれている読者は気がつかれていると思うが、特に米国メディアは大多数が有料読者以外に情報を出さず、それに依存するわが国メデイアの情報の内容の薄さが気になる。

 本ブログは、上記のように公的機関等から直接受信による取材解析・補足作業リンク・翻訳作業ブログの公開(著作権問題もクリアー)が行える「わが国の唯一の海外情報専門ブログ」を目指す。

4.他にない本ブログの特性:すべて直接、登録先機関などからデータを受信し、その解析を踏まえ掲載の採否などを行ってきた。また法令などの引用にあたっては必ずリンクを張るなど精度の高い正確な内容の確保に努めた。

その結果として、閲覧者は海外に勤務したり居住する日本人からも期待されており、一方、これらのブログの内容につき著作権等の観点から注文が付いたことは約15年間の経験から見て皆無であった。この点は今後とも継続させたい。

他方、原データの文法ミス、ミススペリングなどを指摘して感謝されることも多々あった。

5.内外の読者数、閲覧画面数の急増に伴うブログ数の拡大を図りたい。特に寄付いただいた方で希望される方があれば今後公開する筆者のメールアドレス宛にご連絡いただければ個別に対応することも検討中である。

【有料会員制の検討】

関係者のアドバイスも受け会員制の比較検討を行っている。移行後はこれまでの全データを移管する予定であるが、まとまるまでは読者の支援に期待したい。

                                                                           Civilian Watchdog in Japan & Financial and Social System of Information Security 代表                                                                                                                 

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ACCC警告「詐欺師にiTunesギフトカードを贈らないでください!」

2017-09-13 09:50:23 | 金融取引とセキュリティ

 2017年9月11日、オースラリア連邦競争・消費者委員会(ACCC)は、犠牲者をApple iTunesギフトカードで詐欺行為に陥らせようとしている詐欺師に関し、人々に注意を呼びかける警告を発した。 

 この詐欺事件の記事は、日豪プレス記事が主に年金受給者をターゲットとした詐欺の手口として紹介している。しかし、その解説文に出てくる用語「テルストラ」、「Scamwatch」、「Centrelink」等については全く説明がないので一般読者にはややわかりにくい点が残る。

 本ブログでは、あえて重複を覚悟でACCのリリース文”Don't gift a scammer iTunes cards ”仮訳、解説を試みる。

 なお、当然のことながらアップルがこのギフトカード詐欺の警告(筆者注1)を行っており、ACCCの警句と併せて理解されたい。 

  2017年の1年間、ACCCの詐欺専門報告・警告サイト”Scamwatch” (筆者注2)に報告を行った1,236人の人々は、ギフトカードの支払い手段により詐欺師に約54万豪ドル(約4,698万円)を支払った。 

 これら詐欺手口は増加傾向にある。2015-16会計年度の損失は約48万豪ドル(約4,272万円)であった。 

 「詐欺師は、犠牲者に、iTunesギフトカードをすぐに販売して、お金を払うことができるようになるにつれて、ますます支払うようになっている」とACCCデリア・リカード(Delia Rickard)副委員長は語った。 

 「誰かがiTunesギフトカードを使って何かを支払うよう求めているのであれば、それは詐欺です。合法的なビジネスや政府部門がこのような支払いを求める状況はまったくありえない。」  

 アップルのウェブサイト では、 iTunesのギフトカードは、iTunes Store”、”App Store”、”iBooks Store”、またはApple Music会員の商品やサービスの購入にのみ使用できることを明確に書いてある。 

  ”Scamwatchへの被害者のレポートによると、ACCCは現在、詐欺師がiTunesのギフトカードを支払いとして要求しているパターンとして、次の3つの一般的な詐欺事例があることを明らかにしている。  

① 納税詐取詐欺 - 詐欺師はオーストラリア連邦税務局を名乗り、被害者の逮捕状にあたる令状が手元にあると主張する。すなわち、被害者がiTunesのギフトカードを使って即座に「罰金」を支払わないと、詐欺師は警察に出向き、手錠がかけられると脅すのである。 

② キャッチ・ハッカー詐称詐欺 - テルストラ (Telstra Corporation:オーストラリア最大の公共・民間所有の通信会社)になりすました詐欺師は、自分のPCやスマートデバイスに侵入しようとしている「ハッカー」を捕まえるのを手助けしてほしいと被害者に尋ねる。彼らはこの偽の話を使って、被害者がハッカーを捕まえるための「トラップ」としてiTunesカードを購入するようにさせる。 残念ながら、詐欺師はそれらのギフトカードのシリアル番号をすぐに取得し、犠牲者が彼らが騙されていることを認識する前にそれらを販売する。 

 ③ Centrelink詐称詐欺 - 詐欺師はCentrelink (筆者注3) からの偽装者で、被害者に年金などの追加支払いが可能であることを通知し、支払いを受けるにはiTunesギフトカードで「リリース料」を支払う必要がある。  

 詐欺師は、犠牲者にスーパーマーケットやデパートなどのiTunesギフトカードが販売されているビジネスに出向き、時には数千ドル相当の金額を買うように仕向ける。 

  iTunesギフトカードを販売している企業は、これらの詐欺についてスタッフに知らせることで、顧客に警告したり、iTunesギフトカードで多額のお金を使っている顧客に質問したりすることができる。 

 「詐欺師は、犠牲者が引っかかってしまった場合、非常に執拗であり、たとえば、犠牲者をギフトカードを購入する店にいる間、電話で守ることになる。 犠牲者がカードを購入すると、詐欺師は返却されたシリアル番号を素早く読み取ることができます。これは、ギフトカードの販売時に使用するこの情報である。」

  iTunesギフトカードで詐欺師の罪を犯した場合、お金を取り戻すことはほとんど不可能です。 詐欺師の嘘を信じてもまたどれほど説得力があっても、電話を切るかすぐに電子メールを削除することである。 

 iTunesのギフトカードを支払いとして詐欺師が標的とされた人は、詐欺を”www.scamwatch.gov.au”に報告することができる。」とRickard氏は述べている。 

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(筆者注1)アップルのギフトカード詐欺の警告内容はACCCと重複する内容であるが、1点異なるのは、「カードの背面の番号(16桁)は、見ず知らずの人には教えないようご注意ください。一度教えてしまうとすぐにカードが使われ、Apple や警察に通報した時にはすでに手遅れという場合も少なくありません。」を明記している点である。貴重な注意喚起文言である。 

(筆者注2) ScamWatchの主な機能

 

(筆者注3) Centrelinkとは、以下の任務が中心である。

「保健と健康」「家族の支援」「子供や別居中の夫婦の支援」「オーストラリアの原住民支援」「求職者支援」「身体障害者支援」「移民、難民、観光客、視察支援」「高齢者支援」「災害やDVなどの被災者支援」「介助者、介護者、保育者支援」「郊外.僻地の住民支援」「学生および職業訓練を受けている者の支援」 

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