わが国における国際政治、経済、市民生活に関し最重要課題はロシアのウクライナへの侵略問題であることは言うまでもない。
ところで、そもそもロシアについて我々はメディア、研究者を含め、いかほどの専門知識をもって論じているといえようか。
筆者はロシア政治やロシア法の専門家ではないが、取り急ぎ以下の7項目について試論を試みるものである。なお、連邦憲法の改正の中身はロシアの憲法学者のコメントを待つまでもなくお粗末としか言いようがない。
プーチン大統領の真の狙いは、2020年に行った連邦憲法の改正とりわけ第67条-1による1917年から1991年まで存在し、崩壊した世界初の社会主義共和国ロシア共和国(SSR)への復帰である。ロシアの大国主義の復活である(注0)
ソ連崩壊後の独立した連邦構成共和国(Wikipedia から引用)
1.アルメニア 2.アゼルバイジャン 3.ベラルーシ 4.エストニア
5.ジョージア 6.カザフスタン 7.キルギス 8.ラトビア 9.リトアニア
10.モルドバ 11.ロシア 12.タジキスタン 13.トルクメニスタン
14.ウクライナ 15.ウズベキスタン
この状態を放置することは、いくら大統領に権力集中したとしてもロシア連邦においてもウクライナ以外の連邦を構成する他の共和国等に波及することは言うまでもない。多民族国家が抱える問題は、わが国の理解をはるかに超える問題であることは言うまでもない。
さらに本ブログの執筆中に新たに4つの注目すべき資料を見出した。1つ目はウクライナ外務省 2022.7.22リリース「Key Q&A on Russia's Agression」、2つ目は2022年プーチン大統領が署名した新「軍事ドクトリン」である。3つ目は2020年11月9日の連邦憲法の一部改正である。4つ目は憲法改正と関連する1994 年 7 月 21 日の連邦憲法第 1-FKZ 号 (2021 年 7 月 1 日に改正) に基づく「ロシア連邦憲法裁判所法」 (改正および補足、2021 年 12 月 1 日施行)の引用である。最後に資料として仮訳し、添付した。
特に「ロシア連邦憲法裁判所法」の内容はわが国の解説は皆無に近い。時間の関係で条文の見出しのみあげる。
最後に、筆者が最も関心があり、詳細を解析すべきと考えるものは、ロシア連邦のウクライナ軍事進攻にかかる各国の制裁の内容、国際機関やEU機関の取組等から見た有効性を検証するという問題である。わが国でも一般的に解説されている資産凍結等の(ⅰ) 支払規制(外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする)、(ⅱ) 資本取引規制(外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする)は制裁として本当に有効なのか。
これだけでも大問題である。別途取りまとめる。
(1)ロシア連邦憲法 第3章 連邦の構造
第65条以下の仮訳
(2)ロシア連邦の防衛法
仮訳:私権制限規定が顕著
(3) ロシア連邦の国家警備隊
(4) ロシア連邦の主要情報(諜報)機関
(5) 2022 年 8 月 25 日のロシア連邦大統領令第 575 号「ロシア連邦軍の権限の確立について」の内容(official 英文の仮訳)
(6)2022年7月14日のロシア連邦法の一部改正「ロシア連邦の個々の法令の改正について」(ロシア日本大使館の仮訳)
国家院にて採択 2022年7月6日; 連邦院にて承認 2022年7月8日
(7)2020年の連邦憲法改正および憲法裁判所法の改正「ロシア連邦憲法裁判所法」 (改正および補足、2021 年 12 月 1 日施行)
3回に分けて掲載する。
1.ロシア連邦憲法(Конституция Рoссийской Фeдерации)の2020年改正問題
ロシア連邦政府の公式サイト「ロシア連邦憲法(Глава 3. Федеративное устройство)(英訳)」がある。
ただし、この公式資料の内容は2020年7月4日の改正前である。したがって筆者は、2020年改正法律の全文の入手を試みたが、わが国での全文の入手は極めて困難であった。(注1)そこで、(1)わが国の2020年の改正概要解説をまず引用し、(2)ヴェネツィア委員会(注2)のサイト資料にもとづき第65条から79条を改めて逐条的に仮訳した。
(1) 改正連邦憲法の概要
(A)大統領の位置付け 第一の特徴として、大統領の権限が増していることが挙げられる。改正された第 83 条第 1 項により、大統領は政府議長(首相)を解任することができる。また、政府副議長や、国防大臣、司法大臣等の大臣に対する人事権について、第 83 条第 5.1 号の追加により、政府議長の関与が廃止された。
連邦憲法には大統領の任期に関する再選規定「同一人物が 2 期を超えてロシア連邦大統領を務めることはできない」(第 81 条第 3 項)があり、これにより権力の腐敗や癒着を防いでいた。しかし同条第 3.1 項で「任期規定は、過去にロシア連邦大統領であった人物、現在ロシア連邦大統領である人物」には適用されないと規定された。これにより、プーチン大統領は 2036年まで現職にとどまり得ると、報じられている。
(B)国際法に対するロシア憲法の優先
改正された第 79 条は、国際法に対する憲法の優先を定める条文である。解釈がロシア連邦憲法に合致しない条約に基づいた国際法はロシア連邦内では執行されない、と定められ、条文解釈においては常に憲法が優先されることが規定された。
(C)領土の割譲禁止
第 67 条に追加された第 2.1 項は、「領土の統一性」を定め、ロシア連邦領土の割譲を目的とする活動を禁じる。「領土の一部を譲渡しようとする行為及びそのような事態を発生させる行為は認めない」と規定され、政府がそのような交渉の場に就くこと自体を禁じている。国際法に対する憲法優先の原則を定めた第 79 条とあいまって、領土問題に関する交渉を拒否し、あるいはロシア側の譲歩を否定する姿勢を明らかにするものである。
(D)家族等に関する保守的思想
世界的には、同性婚を認める国家が増え、あるいは子供を持たない生き方にも理解が進むなど、家族・夫婦の在り方について多様化を進める動きが顕著であるが、改正された連邦憲法は
この動きに逆行している。改正された第 72 条第 1 項第 7.1 号は、結婚について「男性と女性の結びつき(союза мужчины и женщины)」と規定し、同性婚を除外している。また、異性婚による家族は子供を養育し、子供は親を支える義務があると明記している。
第 67.1 条に追加された第 2 項及び第 3 項は、歴史観及び思想の統一を定める。同条は、歴史的団結、祖国の防衛者の追悼、神(Бога. 唯一神)への信仰等を規定している。これにより、政権の解釈と異なる歴史認識及び無神論等の思想は事実上制限される。また、同条により、子供に対して愛国心、公民意識及び年長者への敬意を抱くようにさせる義務が規定されている。
(2) 第3章 連邦の構造 (EU・ベェネツィア委員会資料の逐条仮訳)は次のとおり。
第3章 連邦の構造
第65条
1.ロシア連邦には、ロシア連邦の以下の構成主体が含まれる。
アディゲヤ共和国(Republic of Adygeya)、アルタイ共和国(Republic of Altai)、バシコルトスタン共和国(Republic of Bashkortostan)、ブリヤート共和国(Republic of Buryatia)、ダゲスタン共和国(Republic of Daghestan)、イングーシ共和国(Republic of Ingushetia)、カバルダ・バルカル共和国(Kabardino-Balkarian Republic)、カルミキア共和国(Republic of Kalmykia)、カラチャエヴォ・チェルケス共和国(Karachayevo-Circassian Republic)、カレリア共和国(Republic of Karelia)、コミ共和国(Komi Republic)、クリミア共和国(Republic of Crimea)、共和国マリ・エル(Republic of Mari El)、モルドヴィア共和国(Republic of Mordovia)、サハ共和国(ヤクート)(Republic of Sakha (Yakutia))、北オセチア共和国- アラニア(Republic of North Ossetia - Alania)、タタールスタン共和国(Republic of Tatarstan)、トゥヴァ共和国(Republic of Tuva)、ウドムルシア共和国(Udmurtian Republic)、ハカシア共和国(Republic of Khakassia)、チェチェン共和国(Chechen Republic)、チュヴァシ共和国(Chuvash Republic)。)(計22か国)筆者追記
アルタイ地方(Altai Territory)、トランスバイカル地方(Trans-Baikal Territory)、カムチャツカ地方(Kamchatka Territory)、クラスノダール地方(Krasnodar Territory)、クラスノヤルスク地方(Krasnoyarsk Territory)、ペルミ地方(Perm Territory)、沿海地方(Primorye Territory)、スタヴロポリ地方(Stavropol Territory)、ハバロフスク地方(Khabarovsk Territory)。(計9地方)筆者追記
アムール州、アルハンゲリスク州、アストラハン州、ベルゴロド州、ブリャンスク州、チェリャビンスク州、イヴァノヴォ州、イルクーツク州、カリーニングラード州、カルーガ州、ケメロヴォ州、キーロフ州、コストロマ州、クルガン州、クルスク州、レニングラード州、リペツク州、マガダン州、モスクワ州、ムルマンスク州、ニジニ・ノヴゴロド州、ノヴゴロド州、ノボシビルスク州、オムスク州、オレンブルク州、オレル州、ペンザ州、プスコフ州、ロストフ州、リャザン州、サマラ州、サラトフ州、サハリン州、スヴェルドロフスク州、スモレンスク州、タンボフ州、トムスク州、トヴェリ州、トゥーラ州、チュメニ州、ウリヤノフスク州、ウラジミール州、ヴォルゴグラード州、ヴォログダ州、ヴォロネジ州、ヤロスラヴリ州。(計46州)筆者追記
モスクワ市、サンクトペテルブルク市、セヴァストポリ連邦市 - 連邦政府の重要都市。(計3市) 筆者追記
ユダヤ自治州;(1州) 筆者追記
ネネツ自治管区、ハンティ・マンシ自治管区- ユグラ、チュクチ自治管区、ヤマル・ネネツ自治管区。(計4管区) 筆者追記
2.ロシア連邦への加入およびロシア連邦における新しい構成主体の創設は、連邦憲法によって確立された規則に従って実施されるものとする。
第66条
1.共和国の地位は、ロシア連邦憲法および共和国憲法によって決定される。
2.領土、地域、連邦重要都市、自治区および自治区の地位は、ロシア連邦憲法および領土、地域、連邦重要都市、自治区または自治区の憲章によって決定される。ロシア連邦の対応する構成主体の立法(代表)機関によって採用された。
3.自治区または自治区の立法機関および行政機関の提案により、自治区または自治区に関する連邦法を採択することができる。
4.領域または地域内の自治区間の関係は、連邦法または自治区の州当局と、それに応じて領域または地域の州当局との間の条約によって規制される場合がある。
5.ロシア連邦の構成主体の地位は、ロシア連邦とロシア連邦の主体の相互の合意に基づき、連邦憲法に従って変更することができる。
第67条
1.ロシア連邦の領土には、その対象の領土、内水、領海、およびそれらの領空が含まれる。
2.ロシア連邦は、連邦法および国際法の規範によって定められた規則に従って、ロシア連邦の大陸棚および排他的経済水域において主権を有し、管轄権を行使するものとする。
3.ロシア連邦の構成主体間の国境は、相互の同意に基づいて変更することができる。
第68条
1.ロシア語は、ロシア連邦の全領土における公用語とする。
2.共和国は、独自の公用語を確立する権利を有する。国家機関および地方自治体、共和国の国家機関では、それらはロシア連邦の国語と一緒に使用されるものとする。
3.ロシア連邦は、すべての国民に対し、母国語を保持し、その研究と発展のための条件を作り出す権利を保障する。
第69条
ロシア連邦は、国際法およびロシア連邦の国際条約および協定の普遍的に認められた原則および規範に従って、先住民小民族の権利を保証するものとする。
第70条
1.ロシア連邦の州旗、紋章および国歌、それらの説明および公式使用の規則は、連邦憲法によって確立されるものとする。
ロシア連邦の首都はモスクワ市とする。首都の地位は連邦法によって決定される。
第71条
ロシア連邦の管轄には以下が含まれる。
a)ロシア連邦憲法および連邦法の採択および修正、それらの遵守の管理。
b)連邦構造とロシア連邦の領土。
c)人と市民の権利と自由の規制と保護。ロシア連邦の市民権、少数民族の権利の規制と保護。
d)立法、行政、司法機関の連邦機関のシステムの確立、その組織と活動の規則、国家機関の連邦機関の形成。
e)連邦政府の財産とその管理。
f)ロシア連邦の国家、経済、環境、社会、文化および国家の発展の分野における連邦政策および連邦プログラムの原則の確立。
g)単一市場のための法的グループの設立; 金融、通貨、信用、税関の規制、貨幣発行、価格政策の原則。連邦銀行を含む連邦経済サービス。
h)連邦予算、連邦税および会費、地域開発のための連邦資金。
i)連邦電力システム、原子力工学、核分裂物質、連邦輸送、鉄道、情報通信、宇宙活動。
j)ロシア連邦の外交政策と国際関係、ロシア連邦の国際条約と協定、戦争と平和の問題。
k)ロシア連邦の対外経済関係。
l)防衛とセキュリティ; 軍事生産; 武器、弾薬、軍事装備、その他の軍事財産の売買に関する規則の決定; 有毒物質、麻薬物質の製造およびそれらの使用規則。
m)国境、領海、空域、排他的経済水域および支出の大陸棚の地位と保護の決定。
n)司法制度、検察庁、刑事、刑事訴訟および刑事執行に関する法律、恩赦および恩赦、民事、民事訴訟および仲裁手続きに関する法律、知的財産の法的規制。
o)法の抵触に関する連邦法。
p)気象サービス、標準化、見本、メトリックタイム・システム(metric and time systems)、測地学と地図作成、地理的単位の名前、公式統計と計測。
q)ロシア連邦の国家賞と名誉称号。
r)連邦国家サービス。
第72条
1.ロシア連邦とロシア連邦の主体の共同管轄権には、以下が含まれる。
a)共和国の憲法および法律、領土、地域、連邦重要都市、自治区または自治区の憲章およびその他の規範的法的行為と、ロシア連邦憲法および連邦法との対応を規定する。
b)人と市民の権利と自由の保護。国民的少数者の権利の保護; 法の支配、法と秩序、公安、国境地帯制度の確保。
c)土地、下層土、水、その他の天然資源の所有、使用、処分の問題。
d)国の財産の境界。
e) 天然資源の利用、農業、環境保護、生態系の安全対策。 特別に保護された自然の領土、歴史的および文化的モニュメントの保護。
e1)育成、教育、科学、文化、体育、スポーツの一般的な問題。
f)ヘルスケアの問題の調整; 家族、母性、父性、子供時代の保護。社会保障を含む社会的保護。
g)ヘルスケアの問題の調整; 家族、母性、父性、子供時代の保護。社会保障を含む社会的保護。アクセス可能で質の高い医療の提供の確保、公衆衛生の維持と強化、健康的な生活のための条件の作成、健康に対する市民の責任ある態度の文化の発展を含む、医療問題の調整。 社会保障を含む社会的保護;
g1) 家族、母性、父性、子供時代の保護。 男性と女性の結合としての結婚の保護。 家庭内で子供をまともに育て、法定年齢に達した子供が両親の世話をする義務を果たすための条件を作り出すこと。
h)ロシア連邦における課税および会費の共通原則の確立。
i)行政、行政手続き、労働、家族、住宅、土地、水、および森林に関する法律。
J)下層土と環境保護に関する法律。
k)司法および法執行機関の職員; 弁護士、公証人。
l)小さな民族コミュニティの伝統的な生活環境と伝統的な生活様式の保護。
m)国家機関および地方自治体の組織の共通原則の確立。
n)ロシア連邦の主題の国際的および対外経済関係の調整、ロシア連邦の国際条約および協定の履行。
2.本条の規定は、共和国、準州、地域、連邦重要都市、自治区、または自治管区に対しても等しく有効である。
第73条
ロシア連邦とロシア連邦の臣民の共同管轄下にある問題に関するロシア連邦の権限とロシア連邦の権限の範囲外では、ロシア連邦の臣民は完全な国家権力を有するものとする。
第74条
1.ロシア連邦の領域内では、商品、サービス、および財源の自由な流れに対して関税国境、会費、またはその他の障壁を設定することは許可されないものとする。
2.安全を確保し、人々の生命と健康を保護し、自然と文化的価値を保護する必要がある場合、連邦法に従って、商品とサービスの移転に関する制限が導入される場合がある。
第75条
1.ロシア連邦の通貨単位はルーブルとする。貨幣の発行は、ロシア連邦中央銀行が独占的に行うものとする。ロシアにおける他の通貨の導入および発行は許可されない。
2.ルーブルの保護と安定の確保は、ロシア連邦中央銀行の主要な任務であり、国家機関の他の機関から独立して遂行するものとする。
3.連邦予算に支払われる税金のシステム、およびロシア連邦における課税および会費の一般原則は、連邦法によって定められるものとする。
4.国家の債務は、連邦法によって定められた規則に従って発行され、自発的に発行されるものとする。
第76条
1.ロシア連邦の管轄下にある問題については、連邦憲法および連邦法が採択され、ロシア連邦の全領土で直接行動を起こすものとする。
2.ロシア連邦とロシア連邦の主題の共同管轄権に基づく問題については、連邦法が公布され、ロシア連邦の主題の法律およびその他の規範的行為がそれらに従って採択されるものとする。
3.連邦法は、連邦憲法に反するものであってはならない。
4.ロシア連邦、ロシア連邦およびロシア連邦の主題の共同管轄権の範囲外で、共和国、領土、地域、連邦の重要な都市、自治区または自治区は、法律およびその他の規範的行為の採択を含む独自の法的規制を行使する
5.ロシア連邦の主題の法律およびその他の立法行為は、本条の第 1 項および第 2 項に従って採択された連邦法と矛盾してはならない。連邦法とロシア連邦で発行された法律との間に矛盾がある場合、連邦法が適用されるものとする。
6.連邦法と、本条第 4 項に従って採択されたロシア連邦構成主体の規範行為との間に矛盾がある場合、ロシア連邦構成主体の規範的法律行為が適用されるものとする。
第77条
1.共和国、地方 連邦重要都市、自治区又は自治管区の国家権力機関の制度は、ロシア連邦の臣民が独立して、かつ、ロシア連邦の憲法制度の原則並びに連邦法によって定める国家権力の代表及び執行機関の組織の一般原則に従って確立する。
2.ロシア連邦とロシア連邦の構成主体の共同管轄権の下の問題に関するロシア連邦とロシア連邦の権限の範囲内で、連邦執行機関と執行機関の執行機関ロシア連邦の臣民は、ロシア連邦の行政権の単一システムを構成するものとする。
第78条
1.連邦行政機関は、その権限を行使するために、独自の領土機関を設立し、対応する役人を任命することができる。
2.連邦行政機関は、ロシア連邦の主題の行政機関との合意により、ロシア連邦憲法および連邦憲法や法律に反しない限り、その権限の一部の履行を彼らに譲渡することができる。
3.ロシア連邦の臣民の行政機関は、連邦行政機関との合意により、その権限の一部の履行を彼らに譲渡することができる。
4.ロシア連邦大統領およびロシア連邦政府は、ロシア連邦憲法に従って、ロシア連邦の全領土における連邦国家当局の権限の実施を保証するものとする。
第79条
ロシア連邦は、国際条約及び協定に従って、国家間団体に参加し、その権限の一部を、人及び市民の権利及び自由の制限を伴わず、かつロシア連邦の憲法制度の原則と矛盾しない限り、これらに移転することができる。
2.ロシア連邦の防衛法
* 私権制限規定が顕著
(1) ロシア連邦院のリリースの仮訳
1996年5月31日連邦法 第61-FZ号「防衛に関する法律」
ロシア連邦の防衛の基礎と組織、ロシア連邦の国家当局の権限、ロシア連邦の構成主体の国家当局の機能、組織とその役人、防衛分野におけるロシア連邦市民の権利と義務、防衛に関与する力と手段、防衛分野におけるロシア連邦の法律違反に対する責任、防衛に関連するその他の規範を決定する。
防衛は、ロシア連邦の武力防衛と武力防衛の実施、その領土の完全性と不可侵性に備えるために組織されています。ロシア連邦に対する侵略または侵略の直接的な脅威の場合、ロシア連邦大統領は、一般的または部分的な動員を宣言し、ロシア連邦の領土またはその個々の地域に戒厳令を導入し、連邦評議会および国家下院に直ちに通知し、ロシア連邦軍最高司令官に敵対行為の命令を与える。防衛問題はロシア連邦の管轄に割り当てられています。ロシア連邦の構成機関の執行機関及び地方自治機関は、その権限の範囲内で軍事行政機関と協力して、防衛分野における立法の実施を確保する。
ロシア連邦軍は、ロシア連邦の防衛の基礎を形成する国家軍事組織である。ロシア連邦軍は、ロシア連邦に対する侵略を撃退し、ロシア連邦の領土の完全性と不可侵性の武力的保護のために、ならびに連邦憲法、連邦法およびロシア連邦の国際条約に従って任務を遂行することを目的としている。
ロシア連邦及びその市民の利益を保護し、国際の平和及び安全を維持するために、ロシア連邦の軍隊の編成は、普遍的に認められた国際法の原則及び規範、ロシア連邦の国際条約及びこの連邦法に従って、ロシア連邦の領域外で速やかに使用することができる。ロシア連邦の領域外でのロシア連邦軍の編成の運用上の使用に関する決定は、連邦院の関連する決議に基づいてロシア連邦大統領によって行われる。
ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍隊および機関は、ロシア連邦の国際法および国際条約、連邦憲法法、連邦法、ロシア連邦大統領の規制法行為およびロシア連邦の他の規制法行為の一般的に認められた原則および規範に従って、戒厳令の期間中に使用される。ロシア連邦軍が、その意図された目的によらない武器を使用する任務の遂行に関与することは、連邦法に従ってロシア連邦大統領によって行われる。ロシア連邦軍の指導は、ロシア連邦大統領 - ロシア連邦軍の最高司令官によって行われる。ロシア連邦の軍隊は、ロシア連邦国防省を通じてロシア連邦の国防大臣によって管理される。
ロシア連邦軍、その他の軍隊、軍事組織および組織では、選挙前のプロパガンダを含む政治的プロパガンダおよび扇動を行うことは禁じられる。
(2) 防衛法の逐条訳
1996年4月24日に連邦の国家院(下院)( Государственная дума)で採択;1996年5月15日に連邦院(連邦会議:上院) Совет Федерации)で承認。
国家院(下院)
連邦院(連邦会議:上院)
この連邦法は、ロシア連邦(注4)の防衛の基礎及び組織、ロシア連邦の国家機関の権限、ロシア連邦の構成機関の国家当局の機能、地方自治機関、組織及びその職員、防衛分野におけるロシア連邦市民の権利及び義務、防衛に関与する軍事力及び手段、防衛分野におけるロシア連邦の法律違反に対する責任、および防衛に関するその他の規則を定める。
第Ⅰ節 防衛の基本と組織
第1条 防衛の基礎
1 この連邦法において、防衛とはロシア連邦の武力防衛及び武力による保護、その領土の完全性及び不可侵性に備えるための政治的、経済的、軍事的、社会的、法的及びその他の措置の制度をいう。
2 防衛は、ロシア連邦憲法(Constitution of the Russian Federation)、連邦同盟国(CIS)(注5)の憲法、連邦法、本法、ロシア連邦法及びその他の規制上の法律に従って組織され、かつ実施されるものとする。
3 防衛のため、ロシア連邦市民の軍事的義務及び連邦行政機関、ロシア連邦の構成機関の執行機関、地方自治機関及び団体の軍事輸送義務は、所有の形態にかかわらず車両の所有者と同様に定める。
4 防衛のため、ロシア連邦の軍隊(Вооруженные силы Российской Федерации)を設置する。
5 ロシア連邦国家警備隊の軍隊(Федеральная служба войск национальной гвардии Российской Федерации)」は、防衛に関与しなければならない。
6 防衛の分野において一定の任務を遂行するため、民間防衛の分野における問題を解決する権限を与えられた連邦執行機関(以下、軍事組織という)、ロシア連邦対外情報庁(Служба внешней разведки Российской Федерации)(注7)、連邦保安庁(注6)の機関、国家安全保障機関、軍事検察機関、ロシア連邦調査委員会の軍事調査機関の救助軍事組織、連邦支援機関が関与する。 ロシア連邦の国家当局(以下、機関と呼ぶ)の動員訓練、および戦時中に作成された特別な編成を担う。
7 ロシア連邦の軍隊、その他の軍隊、軍隊及び機関は、ロシア連邦の軍隊の使用計画に従って、防衛の分野における任務を遂行する。
8 他の軍隊、軍隊及び機関は、防衛の分野における任務の遂行に備えるため、ロシア連邦軍との共同作戦訓練及び動員訓練に関与しなければならない。
9 軍事組織若しくは武器及び軍事装備を有する部隊の設立及び存在又は連邦法に定めのない兵役の遂行を規定するものは、法律により禁止され、かつ訴追される。
10 ロシア連邦軍、その他の軍隊、軍隊及び機関の必要のために提供される土地及びその他の天然資源は、連邦の所有とする。
11 ロシア連邦の臣民、私有の地方自治体が所有する土地及びその他の天然資源は、ロシア連邦の法律に従ってのみ、ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍隊及び団体の必要により押収することができる。
12 ロシア連邦軍、その他の軍隊、軍隊及び機関の財産は、連邦の財産とし、かつ、経済管理又は運営管理の権利について、これらの軍隊が保有する。2005年7月21日の連邦法第115-FZ号「営業権(concession契約について」に従って、コンセッション契約の締結が許可されているロシア連邦軍の財産は、当該連邦法に従ってコンセッション保有者に譲渡することができる。
第2条 防衛組織
防衛の組織には、以下が含まれる。
1)軍事的危険及び軍事的脅威の予測及び評価。
2)軍事政策の主要な方向性とロシア連邦の軍事ドクトリン(military doctrine )の規定の作成。
3)防衛分野における法的規制。
4)ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および機関の必要な準備における建設、準備および維持、ならびにそれらの使用の計画。
5)ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および機関、武器および軍事装備の制御システムの開発、生産および改善、それらの在庫の作成、ならびに無線周波数スペクトルの使用の計画。
6)戦時中の状況下で働くために、ロシア連邦の国家当局、ロシア連邦の臣民の国家当局、地方自治機関および国の経済の移転および移転のための直接準備の計画。
7) 国の所有権、輸送、通信および人口の形態にかかわらず、ロシア連邦の国家当局、ロシア連邦の構成主体の国家当局の機関、地方自治機関および組織の動員訓練を行う。
8)ロシア連邦の動員ニーズのために意図された物質的価値(動員準備金の予備金および国家物質予備金の還元不能な準備金を含む)の国家物質準備金ストックの一部としての創設する。
9)市民的及び領土的防衛のための措置の計画及び実施。
10)防衛目的のためのロシア連邦領土の運用機器。
11)防衛分野における国家秘密及び防衛分野における公的秘密を構成する情報の保護を確保する。
12)防衛面の利益となる科学の発展。
13)ロシア連邦の国家権力機関、ロシア連邦の臣民の国家権威機関及び防衛分野における地方自治機関の活動の調整。
14)防衛費の資金調達、ならびにロシア連邦の法律に従って実施されるロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍事組織および機関の防衛および活動に割り当てられた資金の支出を管理する。
15)集団安全保障及び共同防衛のための国際協力。
16)防衛分野におけるその他の活動。
第2.1条 ロシア連邦防衛計画
1 防衛分野における措置を計画し及び実施するため、軍事計画に関する一連の相互関連文書を含むロシア連邦防衛計画を策定する。
2 ロシア連邦の防衛計画に含まれる軍事計画文書の作成は、ロシア連邦の軍事計画に関する規則に従って実施する。
第3条 防衛分野におけるロシア連邦の法律
1 防衛分野におけるロシア連邦の法律は、ロシア連邦憲法、ロシア連邦の国際条約に基づくものとし、連邦憲法、連邦法、この連邦法及び防衛分野におけるロシア連邦の法律を含む。
1.1. ロシア連邦憲法に反して、ロシア連邦の国際条約の規定に基づいて採択された国家内機関の決定は、ロシア連邦における法執行の対象とはならない。このような矛盾は、連邦憲法法に定められた方法で確立され得る。
2.この法律は、ロシア連邦の軍隊、その他の軍隊、軍隊および組織の管理機関の命令およびその他の法的行為による発表に関係なく、有効である。
1 防衛分野における公的な秘密は、ロシア連邦の国家当局による権限の行使、ロシア連邦の臣民の国家当局の機関の機能、地方自治機関及び防衛分野における措置の組織及び実施のための組織によって形成される情報からなり、その普及は、これらの措置の実施に有害であるおそれがある。
2 法律は、ロシア連邦軍隊の管理機関、その他の軍隊、軍隊及び機関の命令その他の法的行為による告知にかかわらず、効力を有する。
第3.1条 防衛分野における公的な秘密
1 防衛分野における公的な秘密は、ロシア連邦の国家当局による権限の行使、ロシア連邦の臣民の国家当局の機関の機能、地方自治機関及び防衛分野における措置の組織及び実施のための組織によって形成される情報からなり、その普及は、これらの措置の実施に有害であるおそれがある。
2 防衛の分野において公的な秘密として分類される情報のリストには、この連邦法第2条に規定する防衛分野における措置に関する情報が含まれ、国家機密として確立された手続に従って分類されず、かつ、公に利用できないものを含むものとする。
3 情報を防衛分野における公的な秘密を構成する情報として分類し、かつ、防衛の分野における公的な秘密として分類される情報のリスト(以下、「リスト」という)及びその承認を決定する権利は、連邦法により兵役が規定されている連邦行政機関及び連邦州機関の長(当該情報が入手可能な場合)に帰属する。これらのリストはパブリック・ドメインで公開されることがある。
4 防衛の分野における公的な秘密として情報を分類する根拠は、連邦法によって兵役が規定されている連邦行政機関又は連邦州機関の長によって承認された、防衛の分野における公的な秘密として分類されるべき情報のリストを、その者が遵守することにある。
5 防衛の分野における公的な秘密を構成する情報の取扱いの手続は、ロシア連邦政府が定める。
6 防衛分野における公務上の秘密を構成する情報は、アクセスが制限された情報であって、かつ開示の対象としない。
7 防衛の分野における公的な秘密を構成する情報を含む情報にアクセスした者は、公務又は職業上の義務の遂行に関連して、当該情報の秘密を遵守し、かつ、ロシア連邦の国家当局の関連機関、ロシア連邦の主体の国家当局の機関、地方自治機関及びこの情報を提供した団体の同意なしに、この情報を開示しない義務を負う。
8 防衛の分野における公的な秘密を構成する情報の開示を許可した者、及び公務又は職業上の任務の遂行に関連して当該情報にアクセスした者は、ロシア連邦の法律に定める責任を負う。
第II節 防衛分野におけるロシア連邦大統領の権限
第4条防衛分野におけるロシア連邦大統領の権限
1 ロシア連邦大統領は、ロシア連邦軍の最高司令官とする。
2 ロシア連邦大統領は、次のことを行う。
1)ロシア連邦の軍事政策の主要な方向性を決定すること。
2)ロシア連邦の軍事教義、ロシア連邦の防衛計画及びロシア連邦の軍事計画に関する規則を承認すること。
3) ロシア連邦の軍隊、その他の軍隊、軍事組織及び機関を監督すること。
4) ロシア連邦に対する侵略又は差し迫った侵略の脅威、ロシア連邦に対する武力紛争の勃発、一般的又は部分的な動員を宣言し、ロシア連邦の領域又はその特定の地域において戒厳令を導入し、連邦国家院(Госуда́рственная ду́ма)及び連邦院(Сове́т Федера́ции)に直ちに通知し、ロシア連邦軍最高司令官に対し敵対行為に関する命令を発すること。
5)ロシア連邦憲法及び連邦憲法法に従った戒厳令を確保する分野で権限を行使すること。
6) 連邦法に従い、ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍隊及び機関を、その意図された目的によらない武器を用いて任務を遂行することに関与させる決定を下すこと。
7) ロシア連邦における動員の発表前にロシア連邦に対する侵略の脅威が増大したときにロシア連邦において実施される措置計画、ロシア連邦の軍隊の使用のための計画、ロシア連邦の軍隊の使用のための計画、他の軍隊、軍事組織及び機関の建設及び発展のための概念及び計画、防衛目的のためのロシア連邦の領土の運用機器の計画、ならびにロシア連邦経済の動員計画の主な指標を承認すること。
8)国家軍備計画を承認すること。
9) 核実験その他の特別実験の計画を承認し、かつ、これらの実験の実施を承認すること。
10)ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および機関の上級将校によって満たされるべき軍事職の単一のリスト、およびロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および機関の大佐(第1階級の大尉)によって満たされる軍事ポストの総数を承認し、最高の軍事ランクを割り当て、スタッフが軍事を提供する軍事ポジションに軍人を任命すること。上級将校の階級は、連邦法で定められた方法で彼らを軍事ポストから解放し、兵役から彼らを解雇する。
10.1) 軍人でないロシア連邦の市民を、参謀がロシア連邦軍、他の軍隊、軍隊、軍隊および団体の上級将校の軍事階級を規定する軍事的地位に任命し、これらの役職から解任すること。
11) ロシア連邦軍隊の構造、構成、他の軍隊、統一及び身体までの軍事組織、ロシア連邦軍の軍人及び文民要員の職員数、その他の軍隊、軍事組織及び団体を承認すること。
11.1) ロシア連邦軍、その他の軍隊、軍事組織および組織の動員予備軍の創設を決定し、ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および組織の間の分配を示す予備兵の数を確立する 関連する連邦執行機関、連邦国家機関の提案、および連邦保安局の機関における動員人的予備軍の形成の特徴も確立すること。
12)ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、編隊以上の軍事組織の配備と再配置を決定する。
13) 一般軍事規則、海軍船舶規則、ロシア連邦軍警察憲章、軍事部隊の戦闘旗に関する規則、ロシア連邦の海軍旗、兵役手続、軍事評議会、軍事委員、軍事輸送任務を承認すること。
14)ロシア連邦国防省、ロシア連邦軍参謀総長、および他の軍隊、軍事組織および機関の管理の分野で認可された連邦執行機関(機関)に関する規則を承認し、防衛分野における連邦執行機関、連邦国家機関およびロシア連邦臣民の執行機関の活動の調整の問題を決定すること。
15) ロシア連邦の領土防衛に関する規則、ロシア連邦の領土防衛計画及びロシア連邦の住民の民間防衛及び保護のための計画を承認すること。
16) ロシア連邦の領土内に核弾頭を有する施設並びに大量破壊兵器及び核廃棄物を廃絶するための施設を配備する計画を承認すること。
17) 平和及び国際安全の維持のための作戦へのロシア連邦軍の参加に関する共同防衛、集団安全保障、軍隊及び軍備の削減及び制限に関する条約を含む、防衛分野におけるロシア連邦の国際条約を交渉し、署名すること。
18) 兵役、軍事訓練(ロシア連邦の徴兵された市民の数及びロシア連邦軍、他の軍隊、軍隊及び機関におけるその分布を示す)のためのロシア連邦市民の徴兵に関する法令を発令すること、並びに連邦法に定める方法で徴兵の下で兵役を行うロシア連邦市民の兵役からの解雇に関する法令を発行すること。
19) 国の防衛及び国家安全保障の利益のために活動を行う組織並びに連邦国家高等教育機関のリストを作成し、契約に基づいて兵役を遂行する軍人を軍事職に派遣しないで派遣することができること、並びにこれらの各組織の軍事職に派遣されない軍人の総数を確立すること。
20)ロシア連邦憲法、連邦憲法法、連邦法およびロシア連邦法によって割り当てられた防衛の分野において、他の権限を行使すること。
第5条防衛分野における連邦議会の権限
1 連邦上院たる連邦院は、次のことを行う。
1)連邦下院たる国家院が採択した連邦予算に関する連邦法によって定められた国防費を検討すること。
2) 連邦下院たる国家院が採択した防衛分野における連邦法を検討すること。
3) ロシア連邦の領域又はその個々の地域における戒厳令及び非常事態の導入並びにロシア連邦軍、その他の軍隊、軍隊及び身体が、その意図した目的によらない任務を遂行するために武器を使用することに関するロシア連邦大統領の法令を承認すること。
4)ロシア連邦の領土外でロシア連邦の軍隊を使用する可能性を決定すること。
2 連邦国家院は、次のことを行う。
1)連邦予算に関する連邦法によって定められた国防費を検討すること。
2)防衛の分野で連邦法を採択すること。
第6条 防衛分野におけるロシア連邦政府の権限
ロシア連邦政府は、次のことを行う。
1)ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍隊及び機関の国家及び提供について、その権限の範囲内で、防衛を確保し、かつ責任を負うための措置を実施すること。
2)連邦政府に従属する連邦行政機関の防衛問題に関する活動を指示すること。
3)連邦予算における国防費に関する提案を作成し、連邦国家院に提出すること。
4)ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍事組織および機関に、その命令に応じて武器および軍事装備を装備することを組織すること。
5)ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍事組織および機関の、その命令により、物質的手段、エネルギーおよびその他の資源およびサービスの提供を組織すること。
6)国家軍備計画の開発と実施を組織すること。
6.1) 軍産複合体の発展のための国家計画を承認し、その実施を組織すること。
7)国家、ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織、機関および特殊編隊のニーズならびに戦時中の住民のニーズを満たすために動員計画の策定を組織し、ロシア連邦経済の動員計画、国家物質的埋蔵量の物質的価値の命名法、それらの蓄積の規範(体積)、還元不能な予備に貯蔵される物質的価値の命名法および量を承認すること 国家物質予備、ならびにロシア連邦の経済、ロシア連邦の臣民の経済および地方自治体の経済のための動員計画を導入すること。
8)国の所有権、輸送、通信および人口の形態にかかわらず、連邦法執行機関、ロシア連邦の構成機関の執行機関、地方自治機関および組織の動員訓練を監督すること。
9)戦時中の生産のための国家防衛命令の実施のための組織の準備、組織による国家防衛命令の履行、動員能力の創設、開発および維持、ならびに連邦執行機関の下での軍事組織の創設およびロシア連邦の法律に従ってロシア連邦軍に移転される車両の準備について、統制を行使すること。
10)連邦行政機関の動員任務を確立すること。
11)防衛産業複合体の国家組織、研究開発組織の創設、再編成および清算に関する決定を下し、それらの再編成および清算の手順を決定すること。
12)ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および機関の財政的および経済的活動の条件を決定すること。
13)軍事専門教育機関、高等教育の軍事教育機関、高等教育の連邦国教育機関の軍事訓練センターの設立を決定すること。
14)高等教育の連邦国教育機関における軍事訓練センターに関する規則を承認すること。
15) 2004年8月22日付連邦法N 122-FZは無効とする。
16)ロシア連邦の領土内に核弾頭を有する施設並びに大量破壊兵器及び核廃棄物を廃絶するための施設を配備するための計画の策定を組織すること。
17)連邦執行機関、ロシア連邦の構成機関の執行機関、地方自治機関、組織、ならびに軍事輸送任務の車両の所有者、ロシア連邦市民の兵役準備、軍事登録、兵役および代替文民サービスのための徴兵、軍事訓練を実施すること。
18)軍事登録、兵役のための徴兵、兵役のためのロシア連邦市民の準備、動員人間予備軍におけるロシア連邦市民の滞在のための手順、軍事訓練の実施、ならびに軍事登録の専門のリストに関する規則を承認すること。
19) 2010年12月23日付け連邦法N 377-Fは2011年2月1日に効力を終了。
20)組織、タスクを決定し、民間防衛の一般的な計画を実行すること。
21) ロシア連邦軍、他の軍隊、軍隊及び機関の必要に応じた土地その他の天然資源の付与及び使用の手続を決定すること。
22) 武器及び軍事装備品、防衛施設その他の軍事財産の移転、リース、販売及び処分の手続を確立すること。
23)武器及び軍事装備品、戦略物資、技術及び二重用途製品の輸出に対する管理を組織すること。
24) 連邦予算から防衛のために配分された資金を支出するための手続並びにロシア、他の軍隊、軍隊及びその目的に関係のない任務の遂行に関与する機関の連邦軍資金源を決定すること。
25)軍事協力に関する国際交渉を実施し、関連する政府間協定を締結すること。
26) ロシア連邦の組織及び市民が防衛上の必要のためにその財産を使用することに関連して被った費用を補償するための手続を確立すること。
27)ロシア連邦憲法、ロシア連邦の法律及びロシア連邦大統領の法令により割り当てられた防衛の分野において、他の権限を行使すること。
第7条 防衛分野におけるロシア連邦の構成主体の行政機関及び地方自治機関の機能
ロシア連邦の構成主体の行政権機関及び地方自治機関は、その権限の範囲内で軍事行政機関と協力して、防衛分野における立法の実施を確保する。
第8条 防衛分野における組織の機能とその職員の義務
ロシア連邦の法律に従った所有権の形態にかかわらず、組織は以下の機能、義務を負う。
1)軍事インフラ施設の創設、エネルギーその他の資源の提供、武器及び軍事装備、その他の軍事財産の生産、供給及び修理のための国家防衛命令の実施のために締結された国家契約に定める契約上の義務並びにロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織及び機関のニーズに応じた契約上の義務を履行すること。
2)戦時中の特殊編隊の訓練と作成のための動員任務を遂行すること。
3)市民的及び領土的防衛措置の実施を確保し、かつ、これに参加すること。
4)ロシア連邦の立法上およびその他の規制上の法的行為に従って締結された協定(契約)に基づいて、ロシア連邦の経済、ロシア連邦の臣民の経済および地方自治体の経済の動員計画によって規定された活動を実施すること。
5) ロシア連邦政府が定める手続に従って軍事輸送任務を遂行すること。
6)従業員の軍事登録を行い、ロシア連邦の法律に従って、彼らが所有する防衛用建物、構造物、車両およびその他の財産のニーズを提供し、ロシア連邦政府が定めた方法で発生した費用に対するその後の補償を行うこと。
2.組織の役員、所有権の形態にかかわらず、
1) ロシア連邦の法律により定められた防衛の分野においてその職務を遂行する。
2)従業員がロシア連邦の法律に従って軍事任務を遂行するために必要な条件を作り出すこと。
3)防衛強化を目的とする組織の設立を支援すること。
第9条 防衛分野におけるロシア連邦市民の権利と義務
ロシア連邦市民は、以下の権利と義務を負う。
1)連邦法に従って軍事任務を遂行すること。
2)市民的及び領土的防衛措置に参加すること。
3) 防衛の強化に資する機関及び公共団体を設置すること。
4)戦時中、連邦行政機関が所有する建物、構造物、車両およびその他の財産の要請に応じて防衛の必要性を提供し、ロシア連邦政府が定めた手順に従って発生した費用に対するその後の補償すること。
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(注0) 筆坂 秀世氏が指摘(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71698?page=2)されているとおり、スターリンからゴルバチョフ、そしてプーチンと、ロシアの大国主義は骨の髄まで染みついたものなのだ。
(注1)わが国での弁護士資格をもつオリガ・ベロスルドヴァ氏が2020年改正連邦憲法を仮訳している。ただし、残念なことに範囲が第1条から第64条のみである。本文で述べる通り改正の重要点は第65条以下であり本ブログではその内容に触れない。
(注2)ベネツィア委員会(正式には「法による民主主義のための欧州委員会」)は、欧州評議会の諮問機関であり、憲法の分野における独立した専門家で構成されている。ベルリンの壁崩壊後の1990年、中央ヨーロッパと東ヨーロッパで憲法上の支援が緊急に必要になったときに設置された。
(注3) ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国Российская Советская Федеративная Социалистическая Республ, Rossiyskaya Sovetskaya Federativnaya Sotsialisticheskaya Respublika、略称:РСФСР)、略称でロシア共和国(SSR)は、1917年から1991年まで存在していた、世界初の社会主義共和国である。1922年のソビエト連邦建国以降は構成共和国の1つとなり、ソビエト連邦崩壊でロシア連邦として独立した。また、複数の自治共和国・自治州・自治管区 や、その他の地方区画から構成されていた連邦共和国でもある。
(注4)ロシア連邦構成主体は、「地域」「民族」という2つの異質の概念からなる区分による。地域区分は、46の「州」 (область; oblast')、9の「地方」 (край; kraj)、3の「市」(連邦市、город; gorod)がある。
一方、「民族」区分は、22の「共和国」 (республика; respublika)、1の「自治州」 (автономная область; avtonomnaja oblast')、4の「自治管区」 (автономный округ; avtonomnyj okrug) がある。
「共和国」は民族区分の行われる地域の連邦構成主体であり、州など地域区分の行われている地域の連邦構成主体は「共和国」に属さない。それぞれの連邦構成主体の自治権の範囲はそれぞれの連邦構成主体ごとに異なるという特徴がある。
共和国・自治州・自治管区といった民族区分の連邦構成主体は、ソビエト連邦時代の民族政策において、多数民族(ロシア民族、ウクライナ民族、カザフ民族等)は「共和国」(ロシア共和国、ウクライナ共和国、カザフ共和国等)を、比較的大集団の少数民族(ヤクート民族、コミ民族等)は「自治共和国」(ヤクート自治共和国、コミ自治共和国等)を、より小さな少数民族(チュクチ民族等)は「民族管区」(チュクチ民族管区等)を形成していたことの名残である。
現在のロシア連邦はソ連時代のロシア・ソビエト連邦社会主義共和国(ロシア民族を主体とした共和国)にあたり、現在の「共和国」はソ連時代の「自治共和国」にあたる。(Wikipediaから抜粋)
より詳細は以下のURLを参照されたい。
* http://dvor.jp/geography_russia.htm
* http://dvor.jp/index.htm
*http://dvor.jp/okrug.htm
(注5) 独立国家共同体(Содружество Независимых Государств,英略称: CIS)は、ソビエト連邦の崩壊時に、ソビエト社会主義共和国連邦を構成していた15か国のうちバルト三国を除く12か国(発足当初は10か国)によって結成されたゆるやかな国家連合体(コモンウェルス)である。EU(ヨーロッパ連合)型地域同盟を目ざしており、加盟国の最高指導者で構成される首脳会議が最高意思決定機関である。独自の憲法や議会は持っていない。本部はベラルーシの首都ミンスクに置かれている。
2015年時点での正式参加国数はベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、キルギスタン(現、キルギス)、モルドバ、アゼルバイジャン、アルメニアの9か国。加盟国は平等であり、かつ互いに領土の不可侵を定めている。核兵器の統一管理、共同経済地域の設立などを目標としているが、核兵器以外は成果があまりみられていない。加盟国の中心であるロシアは、北大西洋条約機構(NATO)の東方進出に対抗してCISの結束を強化したい意向であるが、各国の利害が一致せず、形骸化の傾向がみられる。
https://kotobank.jp/word/CIS-3837 (日本大百科全書(ニッポニカ)から一部抜粋)
(注6) ロシアの諜報機関には連邦保安庁(Федеральная служба безопасности Российской Федерации:FSB)と対外情報庁(Служба внешней разведки:SVR)およびロシア連邦軍参謀本部情報総局(Главное разведывательное управление,GRU)がある。
連邦保安庁(Федеральная служба безопасности Российской Федерации:FSB) は、ロシア連邦の防諜、犯罪対策を行う治安機関。CIS諸国内においては、対外情報庁(SVR)に代わって、限定的に諜報活動も行っている。 2003年には連邦国境庁(FPS)が行っていた国境警備機能全体、連邦政府通信・情報局(FAPSI)が行っていたSIGINT機能、連邦税務警察庁(FSNP)が行っていた金融犯罪捜査機能の一部も移管され旧ソビエト社会主義共和国連邦のソ連国家保安委員会(KGB)の姿に戻りつつある。(Wikipediaから抜粋)
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