Civilian Watchdog in Japan-IT security and privacy law-

情報セキュリティ、消費者保護、電子政府の課題等社会施策を国際的視野に基づき提言。米国等海外在住日本人に好評。

DONATE(ご寄付)のお願い

2020-09-12 11:07:12 | Weblog

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◆アシダ マサル

◆E-メールアドレス:mashida9.jp@gmail.com

 【本ブログのブログとしての特性】

1.100%源データに基づく翻訳と内容に即した権威にこだわらない正確な訳語づくり

2.本ブログで取り下げてきたテーマ、内容はすべて電子書籍も含め公表時から即内容の陳腐化が始まるものである。筆者は本ブログの閲覧されるテーマを毎日フォローしているが、10年以上前のブログの閲覧も毎日発生している。

このため、その内容のチェックを含め完全なリンクのチェック、確保に努めてきた。

3.上記2.のメンテナンス作業につき従来から約4人態勢で当たってきた。すなわち、海外の主要メディア、主要大学(ロースクールを含む)および関係機関、シンクタンク、主要国の国家機関(連邦、州など)、EU機関や加盟国の国家機関、情報保護監督機関、消費者保護機関、大手ローファーム、サイバーセキュリテイ機関、人権擁護団体等を毎日仕分け後、翻訳分担などを行い、最終的にアップ時に責任者が最終チェックする作業過程を毎日行ってきた。

このような経験を踏まえ、データの入手日から最短で1~2日以内にアップすることが可能となった。

なお、海外のメディアを読まれている読者は気がつかれていると思うが、特に米国メディアは大多数が有料読者以外に情報を出さず、それに依存するわが国メデイアの情報の内容の薄さが気になる。

本ブログは、上記のように公的機関等から直接受信による取材解析・補足作業リンク・翻訳作業ブログの公開(著作権問題もクリアー)が行える「わが国の唯一の海外情報専門ブログ」を目指す。

4.内外の閲覧者数の統計数(google blogger and WordPress)

(1)2005.9~2017.8 全期間の国別閲覧数

4.他にない本ブログの特性:すべて直接、登録先機関などからデータを受信し、その解析を踏まえ掲載の採否などを行ってきた。また法令などの引用にあたっては必ずリンクを張るなど精度の高い正確な内容の確保に努めた。

その結果として、閲覧者は海外に勤務したり居住する日本人からも期待されており、一方、これらのブログの内容につき著作権等の観点から注文が付いたことは約15年間の経験から見て皆無であった。この点は今後とも継続させたい。

他方、源データの文法ミス、ミススペリングなどを指摘して感謝されることも多々あった。

5.内外の読者数、閲覧画面数の急増に伴うブログ数の拡大を図りたい。特に寄付いただいた方で希望される方があれば、前記の筆者のメールアドレス宛にご連絡いただければ個別に対応することも検討中である。

【有料会員制の検討】

関係者のアドバイスも受け会員制の比較検討を行っている。移行後はこれまでの全データを移管する予定であるが、まとまるまでは読者の支援に期待したい。

【全期間の登録済ブログの一時閲覧不可状態】

(1)有料会員制への移行に準備ならびにDonate 集計等のため、直近のブログ以外はすべて閲覧不可になっています。以下の補足説明をご覧ください。

*キーワード入力して筆者の該当ブログをクリック→ 記事がありません→10秒後にトップ画面に移る→直近の一部公開ブログのみ閲覧可となる。

(2)ご寄付いただいた方への対応

これらの方々については会員制のご案内や今後取り上げるテーマのアンケート等を優先的に行う予定です。

                                                                                Civilian Watchdog in Japan 代表

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DONATE(ご寄付)のお願い

2020-09-02 16:00:01 | Weblog

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このため、その内容のチェックを含め完全なリンクのチェック、確保に努めてきた。

3.上記2.のメンテナンス作業につき従来から約4人態勢で当たってきた。すなわち、海外の主要メディア、主要大学(ロースクールを含む)および関係機関、シンクタンク、主要国の国家機関(連邦、州など)、EU機関や加盟国の国家機関、情報保護監督機関、消費者保護機関、大手ローファーム、サイバーセキュリテイ機関、人権擁護団体等を毎日仕分け後、翻訳分担などを行い、最終的にアップ時に責任者が最終チェックする作業過程を毎日行ってきた。

 このような経験を踏まえデータの入手日から最短で1~2日以内にアップすることが可能となった。

 なお、海外のメディアを読まれている読者は気がつかれていると思うが、特に米国メディアは大多数が有料読者以外に情報を出さず、それに依存するわが国メデイアの情報の内容の薄さが気になる。

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4.内外の閲覧者数の統計数(google blogger and WordPress)

(1)2005.9~2017.8 全期間の国別閲覧数

(2) 2016.8~2020.8 WordPress 世界的な閲覧者数

4.他にない本ブログの特性:すべて直接、登録先機関などからデータを受信し、その解析を踏まえ掲載の採否などを行ってきた。また法令などの引用にあたっては必ずリンクを張るなど精度の高い正確な内容の確保に努めた。

その結果として、閲覧者は海外に勤務したり居住する日本人からも期待されており、一方、これらのブログの内容につき著作権等の観点から注文が付いたことは約15年間の経験から見て皆無であった。この点は今後とも継続させたい。

他方、源データの文法ミス、ミススペリングなどを指摘して感謝されることも多々あった。

5.内外の読者数、閲覧画面数の急増に伴うブログ数の拡大を図りたい。特に寄付いただいた方で希望される方があれば今後公開する筆者のメールアドレス宛にご連絡いただければ個別に対応することも検討中である。

【有料会員制の検討】

関係者のアドバイスも受け会員制の比較検討を行っている。移行後はこれまでの全データを移管する予定であるが、まとまるまでは読者の支援に期待したい。

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米国連邦議会上院も「1993年Don’t Ask,Don’t Tell Act」の単独廃止法案を可決・大統領署名により成立

2010-12-25 11:40:59 | Weblog


Last Updated:April 30,2024

 11月21日12月4日の本ブログで最新動向を紹介したこの問題につき、12月15日連邦議会下院は「1993年同性愛公言禁止法(DADT Act)」の単独廃止法案(H.R.2965-Don't k, Don't Tell Repeai Act of 2010)を可決した旨本ブログで紹介した。
 そこで述べたごとく12月18日に上院が同内容の法案(S.4023)を織り込んだH.2965の修正法案(H.R. 2965)を賛成61票、反対31票、棄権4票で可決した。(筆者注1) すなわち、S.4023法案自体は可決されていない。

Gov.track usから一部抜粋

 この上院での可決を受け、オバマ大統領ゲイツ国防長官およびマレン統合参謀本部議長はそれぞれ歓迎する旨の声明を発表している。

 12月22日、オバマ大統領は同法案に署名し、同法は成立した。大統領は署名式典で、「われわれの国家は、すべての愛国者が軍務に就くことを歓迎する」と述べ、軍務規制撤廃の意義を強調した。(筆者注2)

 しかし、下院で12月8日に賛成216、反対198で可決した“DREAM Act法案”については上院の採決では賛成55票、反対41票、棄権4票となり、共和党による議事進行妨害に対応するための60票に達せず可決しなかった。

 “DADT Act”の廃止に基づく米国軍の環境整備については本ブログでも紹介してきたとおり、DODを中心に具体的な取組みは進むものと思われるが、各軍にはそれぞれこの問題に対する独自の見解があり、最前線での対応を含め更なる課題をかかえた出発となろう。

 それ以上に大きな問題は“DREAM Act法案”であろう。まさにオバマ政権の後半の指導力が問われる問題として本ブログでフォローしたいと考える。(筆者注3)

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(筆者注1)「Don't Ask, Don't  Tel Repaea Act of 2010」の制定の背景、立法経緯、採決の詳細などについてはWikipedia が詳細に解説しており、併せて読まれたい。また、以下のGov.trackの解説サイトも参照されたい。

(筆者注2)12月22日付けのホワイトハウス・ブログは「オバマ大統領が『2010年Don’t Ask Don’t Tell Act廃止法(Don't Ask, Don't Tell Repeal Act of 2010)』に署名」と題し、署名式典の模様として大統領の声明を紹介している。
 その中で大統領は66年前の欧州西部戦線での2人のパットン第3軍団の軍人の命をかけた友情と後から分かったことであるが1人は同性愛者であったという例そしてその子供がここに出席していると述べた。締めくくりの言葉は「われわれは多様さから脱して、1つになろう(Out of Many ,We are One)」である。

〔参照URL〕
1.“DREAM Act法案”に関する米国メディアの解説記事
・http://colorlines.com/archives/2010/12/dream_act_passes_house_moves_to_senate.html
2010年12月8日の“DREAM Act法案”の下院での可決を巡る動き(12月9日付けColorLines)
・http://colorlines.com/archives/2010/12/dream_act_fails_in_senate_55-41.html
2010年12月18日、上院採決で絶対的多数票を得られなかったことに関する記事(12月18日付けColorLines)

2.共和党内の同性愛者グループであり、2004年に政府に向け告訴を行っている“Log Cabin Republicanの「DADT 法の廃止法」に関する意見サイト”DADT Repeal is Signed into Law, Log Cabin Repblicans Vow to Continue Lawsuit Until Open Service is  Realty” 

( 2010.12.22)
Log Cabin Republicanは、すべてのアメリカ人の公平性、自由、平等を支持するLGBTの保守派と異性愛者を代表する、米国で最初で最大の組織である。“Log Cabin Republicanには、全国に州および地方の支部があり、ワシントンDCに常勤のスタッフ、連邦の政治行動委員会、および州の政治行動委員会がある。

(筆者注3)”DREAM ACT”法案関するレポートはわが国でも多い。例示する。

2017.10.12.DACA廃止の合理性を問う / 西山隆行 / アメリカ政治 | SYNODOS -シノドス-

・2014.2 新田浩司「アメリカ合衆国移民法の最近の動向に関する研究」

DREAM Act - Wikipedia

***********************************************************************:
Copyright © 2006-2010 芦田勝(Masaru Ashida).All Rights Reserved.No reduction or republication without permission.


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米国連邦議会下院が17年間続いた「1993年Don’t Ask,Don’t Tell Act」の単独廃止法案を可決

2010-12-18 10:41:57 | Weblog



 今回は、11月21日12月4日の本ブログで最新動向を紹介したこの問題につき、12月15日連邦議会下院は「1993年同性愛公言禁止法」の単独廃止法案(H.R.6520:Don’t Ask Don’t Tell Repeal Act of 2010)を賛成250票(民主党235票、共和党15票)、反対175票(民主党160票、共和党15票)、棄権9(民主党5人、共和党4人)で可決した。

 今後、上院(senate)での同名の法案(S.4023)の採決に移るわけであるが、軍の大規模改革や“DREAM Act法案”といった関係法案との抱き合せ立法政策は下院では可決したものの上院では2回否決されており、ねじれ議会や保守化が進む米国において今後の2年間でこのような法案が成立する可能性は少なく、DODのリリース文によれば議会は来週から休会に入るため18日にも上院で採決しないと今会期(第111)の廃止法案は不成立となる。
 オバマ政権の公約であるこの法案の成立に向けた激しい議会内外での攻防が続くと思われる。

 なお、米国の世論はこの問題をどのように見ているであろうか。ワシントンポストとABCニュースが共同で行った世論調査結果では、「同性愛者やレスビアンがオープンな形で軍務につくことを認めるべきとする回答者が約8割」であった。
(筆者注1)

1.「1993年同性愛公言禁止法」の単独廃止法案(H.R.6520)の概要
本ブログで取上げてきた内容が中心ではあるが、法案そのものがDOD等の準備が出来た場合のみ現行法が廃止されるという条件付法案として特異なものであり、参考として仮訳しておく。なお、項目の立てかたがわが国の法令と異なるので、注意して読んで欲しい。

Ⅰ.法案提出者
 2010年12月14日、Patrick J.Murphy(ペンシルバニア州出、民主党:共同提案者78名)が法案提出し、下院軍事委員会(Committee on Armed Services)に付託された。

Ⅱ.法案の内容
第1条 法律の名称は「同性愛公言禁止法の2010年廃止法(Don’t Ask Don’t Tell Repeal Act of 2010)」とする。

第2条 米国軍における同性愛者に関する国防総省の政策改正

(a)合衆国現行法律集第10編第654条(10 U.S.C.654)(筆者注2)の廃止の実施についての包括的再検討
(1)総則―2010年3月2日、国防総省長官は“10 U.S.C.654”の再検討を命じるメモを発布した。
(2)再検討の目的および範囲
(b)長官のメモに添えられた再検討の条件として、次のとおり検討の目的と範囲が指示された。
(A)既存法の廃止の結果ならびにその影響を考慮したときに行動として取るべき軍隊として準備、軍としての効率性および部隊の結束、新人採用や要員保持や軍人の家族において備えるべきあらゆる影響を決定すること。
(B)廃止後の新行動基準、リーダーシップ、ガイダンスおよび教育内容の内容を決定すること。
(C)人事管理、リーダーシップ、教育に関する問題に限らず既存のDODの政策や諸規則について野適切な変更内容を決定すること。
(D)仮に必要であれば統一軍事裁判法(Uniform Code of Military Justice)において改正すべき点があればその内容を勧告すること。
(E) “10 U.S.C.654”の廃止に関する既存の法案ならびに再検討を行う間に議会に上程されるであろう法案についてのモニタリングと評価を行うこと。
(F)新たな実施内容を成功裡に進めるため全軍の風潮や軍の効率性のモニタリングに関する適切な方法を保証すること。
(G)現在進められている“10 U.S.C.654”裁判から生じうる問題点を評価すること。

(b)法律の施行日
 後記(f)項に基づく改正は以下の事項が行われた最終時点の60日後に施行するものとする。
(1)国防長官は前記(a)項により述べた長官メモにより要求された報告書を受け取ったこと。
(2)合衆国大統領は、大統領、国防長官、統合参謀本部議長が署名した次の内容を記した書面承認書を連邦議会国防関連委員会(congressional defense committees) (筆者注3)あて送ること。
(A)大統領、国防長官および統合参謀本部議長は、報告書および報告書で提案された行動計画につき考慮したこと。
(B)国防総省が、後記(f)項により改正によりなされた決定内容を執行するために必要な新政策や新DOD規則を準備できたこと。
(C) 後記(f)項にもとづく改正によりなされた決定内容に従い、必要となる実施内容が軍の準備、軍の効率性、部隊の結束力、新人採用や要員保持の基準と合致すること。

(c)DODの現行政策(10 U.S.C.654)の法的効力は、前記(b)に合致するすべての要求や承認内容が指定する時期までは何ら影響はないものとする。

(d)軍からの給付受給権は、本法および本法に基づく改正法において連邦「1996年婚姻保護法(Defense of Marriage Act) (筆者注4)の内容である“1 U.S.C.§7”および“28 U.S.C.§1738C”に定める婚姻、配偶者の定義に違反して受給を受けうると解釈してはならない。

(e)本法および改正法は、何人に対しても民事訴訟(private cause of action)を起こす権利を求めることを認めるものではない。

(f)1993年のDOD政策の措置
(1)「U.S.C.第10編第37章(b)」により定められた同編の施行日は次のとおり、改正する。
(A)“10 U.S.C.654”を削除し、
(B) 同章の冒頭の条文一覧(CHAPTER 37—GENERAL SERVICE REQUIREMENTS)から“10 U.S.C.654”に関する条項(b)を削除する。
(2)法改正の適合措置:「1994年財政年度国防授権法(National Defense Authorization Act for Fiscal Year 1994)」の第571条で定める施行日に関し、“10 U.S.C.654”の注記は(b),(c)および(d)の削除により改正する。

2. 国防総省のDADT法の廃止に向けた全省的な準備状況
 12月17日、DODは次のようなプレスリリースを行っている。議会上院での廃止法案の採決を目的としたものであることは言うまでもない。
「早ければ12月18日に議会上院はDADA法の廃止法案を採決するであろう。DODは必ず起きるであろうこの法改正に関する全軍に通知すべきガイダンスを用意しつつある。同ガイダンスは、人事・即応担当次官(undersecretary of defense for personnel and readiness )であるクリフォード・L・スタンレー(Clifford L.Stanley)からメモのかたちで提示されるであろう。(以下略)」

*************************************************************************************
(筆者注1) Washintongton Post-ABC Newsの12月12日に実施した「世論調査結果」の概要は以下のとおりである。
項目24. Changing topics, do you think [half sample: homosexuals / half sample: gays and lesbians] who do NOT publicly disclose their sexual orientation should be allowed to serve in the military or not?
      Yes : No :No opinion
12/12/10 83 : 14 : 4

 項目25. Do you think [half sample: homosexuals / half sample: gays and lesbians] who DO publicly disclose their sexual orientation should be allowed to serve in the military or not?
      Yes : No : No opinion
12/12/10 77 : 21 : 2

(筆者注2) 10 U.S.C.654の標題は” Policy concerning homosexuality in the armed forces”であり、これは「1993年Don’t Ask,Don’t Tell Act」をさす。

(筆者注3) “congressional defense committees”とは次の4つの委員会をいう。
(1) The Committee on Armed Services of the Senate;
(2) The Subcommittee on Defense of the Committee on Appropriations of the
Senate;
(3) The Committee on Armed Services of the House of Representatives; and
(4) The Subcommittee on Defense of the Committee on Appropriations of the House
of Representatives.

(筆者注4) 連邦法である「1996年婚姻保護法(Defense of Marriage Act of 1996)(DOMA)」の制定の背景や意義ならびに各州憲法の同性婚について説明しておく。
(1)米国における同性婚は数十年来の論争、特にハワイの裁判所が同州憲法上で同性婚の権利があると判断したことをきっかけとして他州、連邦法、婚姻管理行政機関、伝統的な道徳観、州の主権などへの影響を解決すべく連邦議会が行った立法措置の結果である。
(2)同法は2つの条文からなる。1つ目は連邦法における「婚姻(marriage)」の定義、2つ目は合衆国憲法第4章第1条(Article Ⅳ,section 1)の「州間の完全なる信頼と信用」に定める権限に基づく連邦主義の確認規定である。
「各々の州は、他のすべての州の一般法律、記録および司法手続に対して、十分な信頼と信用を与えなければならない。」
(Section 1 - Each State to Honor all others)
Full Faith and Credit shall be given in each State to the public Acts, Records, and judicial Proceedings of every other State. And the Congress may by general Laws prescribe the Manner in which such Acts, Records and Proceedings shall be proved, and the Effect thereof.
(3)同法は、1996年9月21日にクリントン大統領が署名、成立した。
(4)補足すると次のような内容である。
裁判を要する離婚と異なり,婚姻は単なる地位なので、合衆国憲法の信頼と信用条項の適用がなく、公序を理由として有効性を否定することができ、さらに、裁判で同性婚を勝ち得た場合についても、「1996年婚姻保護法」が当該裁判を無視してよいと定めているので、この連邦法が違憲とされない限り、他の州では有効性を否定することができる。
(5)現在、37州が独自の「婚姻保護法」を定めており、とりわけ2州は明確に婚姻は1人の男と1人の女の結婚であると明確な言葉で明記している。伝統的な結婚を保護する憲法修正を持つ州が30州であり、その中には2008年11月に憲法修正を行った3州(アリゾナ、カリフォルニア、フロリダ)を含む(米国「婚姻保護法の法律情報提供サイト“DOMA watch”」から引用した)。

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米国国防総省が「1993年Don’t Ask,Don’t Tell Act」の廃止に伴う包括的見直し報告を発表

2010-12-04 15:44:24 | Weblog


Last Updated:February 19,2021
 

 2010年11月21日の本ブログで詳しく紹介した、さる10月12日にカリフォルニア中央地区連邦地方裁判所(判事:バージニア・A・フィリップ)が判示した「1993年同性愛公言禁止法(Don’t Ask,Don’t Tell Act:DADT)」の連邦憲法違反判決等を受けて、国防総省(DOD)における軍事戦略面や人事面への影響に関する見直し作業部会(hight-level working group:部会)報告書およびその廃止に対応した実施計画がさる11月30日、DODのゲイツ長官やマレン統合参謀本部議長(Chairman, Joint Chiefs of Staff)の声明等とともに公表された。(筆者注1)

 この問題につき、筆者はオバマ政権が支持した「外国人若年層の人材開発・支援・教育法(Development, Relief and Education for Alien Minors Act: DREAM ACT法案)につき連邦議会上院が否決した一方で、政権は年内に下院での成立を目指す等の問題についてまとめつもりで作業していたが、この作業部会報告書が先行する形で発表されたので、今回はこの報告書の要旨につきゲイツ長官の声明およびDOD等の議会に対するDADTの廃止に向けた働きかけ強化と司法主導への牽制姿勢について紹介する。
(筆者注2)

 なお、11月30日の報告書発表に引続きDODや各軍幹部の連邦議会上院軍事委員会での証言が行なわれている。報告書の要旨および議会証言の詳細な内容については別途まとめる予定である。


1.11月18日、DOD報道官ジェフ・モレル(Geoff Morrell)が報じたDODでの検討内容
 DODのいわゆる「“Don’t Ask,Don’t Tell Act”廃止に関する包括的見直し作業部会」の報告は12月1日に完全なかたちで公表する予定である旨公表した。その際、同報道官はオバマ政権が支持した「外国人若年層の人材開発・支援・教育法(Development, Relief and Education for Alien Minors Act: DREAM ACT法案)につき連邦議会上院が否決した件で連邦議会上院民主党(多数派)院内総務であるハリー・ライド(Harry Mason Reid)や軍事委員会委員長(Senate Committee on Armed Services)カール・M・レヴィン(Carl Milton Levin)に対し、法案成立への強い協力要請を行っている旨報じた。

Harry Mason Reid氏

Carl Levin氏

2.11月30日、DODのゲイツ長官およびマレン統合参謀本部議長ならびに作業部会共同部会長のジョンソンDOD法律顧問とハム陸軍大将による共同記者会見
 同日午後、この報告書につき連邦議会および国民に対し報告する旨の記者会見が行われた。また同時にその廃止に対応した実施計画が公表された。
 本ブログでは、記者会見および実施計画の概要について紹介する。なお、11月30日の記者発表の内容は必ずしも用意周到とはいいがたく、以下の内容は筆者がDODの資料等に基づき独自に補完、アレンジしたものである。

(1)ゲイツ長官(Defense Secretary Robert M. Gates)の部会報告に対する基本取組み姿勢の声明
 DOD等は2010年3月2日に米軍に従事する同性愛者に対し、“DADT”法の廃止に伴う軍維持の観点からの問題点の洗い出しおよびその成果に基づく法改正に関する勧告を行うことを目的として部会を設置した。

Robert M. Gates 氏

 長官として作業部会に2つの主要任務を命じた。1つはDADT法が廃止されたときの軍の実効力、部隊の結合力、新人募集および家族の心構えの影響を評価すること、2つ目は同法が廃止されたときのDODの諸規則、政策、および指導内容に関する勧告の内容である。さらに、廃止時の適用を支援すべく行動計画を策定するという内容であった。

 その概要は次のとおりである。

①第一に当初からの考えであるが、部会の作業目的は法改正を行うべきか否かの投票を軍に問うものではない。事実そのようなことはわが国の政権システムの考えとは対極的なことであり、またわが国の長い文民統制に基づく軍の歴史上で先例のないことである。わが国の軍の最高指揮官(commander in chief of the Armed Forces)であるオバマ大統領の考えは私の支持する考えどおりであり、我々の任務たるDODの国民および軍に対するリーダーシップは、議会が法改正したときに備え、いかなる準備を行うかという視点である。(筆者注3)

 しかしそれでもなお、私は結局のところその変革(法改正)について決定権が軍やその家族にかかわる重要な問題であると考える。私は、法改正が行われる時に必要とされる姿勢、障害および懸念材料を学ぶ必要があると信じる。このことは、我々は制服組の軍人やその家族に手を差し伸べまた考えを聞くことのみにより実現できるといえる。
 部会は、数万人の軍人や配偶者に対するマス調査から、同法に基づき除隊処分を受けた人々を含む小グループや個人面談等各種の手法に基づき調査を行った。

 詳細な調査結果は別途ジョンソン氏とハム大将の説明があるが、要約すると3分の2以上の制服組はオープンなかたちでのゲイやレスビアンに反対しない。それは短期的には軍の規律の混乱はありうるものの、多くの人が恐れまた予言したとおりの痛みを伴うトラウマ的な変化ではないという結果であった。
 また調査データは、戦闘専門部隊には現行のDODのDADTポリシーの改正に対する強い反対や抵抗があることを示している。私自身この米国戦闘部隊への適用における問題は陸・海・空軍参謀に対する懸念材料として残っており、この点は後から議論したいと考える。

②また、部会は軍人やその家族が受ける諸給付、住居、階級間の付き合い関係、隔離および除隊(discharge)措置について調査した。共同部会長が数分間で述べたとおり、性的行動、軍隊内で禁止される親交(franternization) (筆者注4)、官舎提供協定(billeting arrangements)、婚姻または遺族手当て(marital or survivor benefits )は既存の法律や規則で管理できる。既存のDOD方針は同性愛者や異性愛者(heterosexuals)にも適用できるし、そうすべきである、

③部会は、部隊の結合力(unit cohesion)、採用や要員の確保やその他重要な問題につき軍としての準備における法改正に伴う潜在的な影響について検証した。
 私の考えでは、このカテゴリー権に属する問題が最も重要な点であると考える。
 米軍は現在イラクやアフガン戦争における兵力削減という困難かつ複雑な2つの海外での重要な軍事展開行動の途上にある。この2つは戦闘地や家族を極めて強いストレスをもたらしている。私が約4年前にペンタゴンでの任務について各決定を下すにあたり導いたのは9/11以来戦闘や死に直面してきた勇敢な若い健康な米国兵士である。仮に同法が廃止されたときに最前線の配備される戦闘部隊の兵士の士気、結合力および戦闘の実効性へのマイナス効果をいかに最小化するという問題である。
 その準備に関して報告書は全体としてみてDADT法の廃止によるリスクは低いと結論付けた。しかしながら前に述べたとおり調査結果データは、40%~60%の割合で陸軍や海軍の全員が男性からなる戦闘専門家部隊においてはマイナス効果があると予測している。

(2) 作業部会報告に基づく「同性愛公言禁止法の廃止に伴う実施支援計画(Support Plan for Implementation)」
 記者会見時、ジョンソン顧問はその内容につき次のような具体的なコメントを述べた。本ブログでは支援計画報告(本文87頁)の詳細は省略する。

「今回の部会報告が行った勧告内容は、法が廃止されたときでもすでに軍事行動を統治する規則上存在するものであり、法が廃止された場合でも軍の大規模な行動基準の改定は不要と考える。しかしながら、我々は性的な性向に関係なく軍のすべての行動基準に適用する指導指針を策定することを推奨する。計画の各事項は(1)検討の背景、(2)計画を準備するにあたり考慮すべき文献・資料、(3)具体的進行に当たっての段階、すなわち「法廃止前」、「実施時」および「維持時」である。

 我々は、当分の間、連邦が認めた結婚をしていないすべての軍人は軍が提供する給付を受けるについては「独身」扱いされるべき点を推奨する。また、我々はDODの管理官は、部会メンバーが指定したカテゴリーについて追加的な給付について政策、財政ならびに実行可能性の観点から理にかなうよう再構成すべきと考える。さらに、部会は性的性向の基づく分離したかたちでの宿泊施設や兵士用宿舎を用意すべきと考える。
 その他の部会の勧告内容としては、「統一軍事裁判法(Uniform Code of military Justice)」から成人間の「合意に基づくソドミー」引用規定を排除し、かつ軍からの分離の原因として明記した軍規則からホモセックス規定を除く点である。
 さらに、過去にDADT法に基づき軍から除隊処置を受けた軍人が一定の適格要件を満たすなら再度軍に戻るよう見直すことを勧告する。

2.DOD等の議会に対するDADTの廃止に向けた働きかけ強化と司法主導への牽制姿勢
 12月2日の連邦議会上院軍事委員会(Senate Committee on Armed Services)公聴会での証言に先立ち、ゲイツ長官やマレン議長はDADTの廃止に向けた連邦議会の動きを強く求めた旨DOD は報じている。

 また、ハム大将およびジョンソンDOD法律顧問は教育訓練の内容の見直し等軍として解決すべきいくつかの障害はあるが、撤廃への対応についての強い決意を表した。

 このこと自体は11月30日の報告書の発表時に行われたことであるが、国民や議会への軍の姿勢を強化している点がうかがえる。さらにDODは連邦最高裁が2003年「ローレンス対テキサス州裁判」(筆者注5)において同性愛者からの請求に寛容になっていること、過去1年間を見ても2010年8月4日、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所(裁判長:ヴォーン・ウォーカー) 「同性愛者間の結婚を禁止するカリフォルニア州民投票に基づく規則案8を憲法違反として破棄する判決」(3.参照)を下したこと、同年10月12日のカリフォルニア中央地区連邦地方裁判所判決による「1993年同性愛公言禁止法(Don’t Ask,Don’t Tell Act)」は同性愛者にも同等の権利を認めた合衆国憲法に違反するとの判決等への強い苛立ちも見られる。

 DODは議会への請願としてこの法律を解決は裁判所に委ねるべきでないとし、同時に長官や議長はDODとしてDADT法の廃止に伴う軍規則の改正および軍の教育、訓練の準備が整うまでは法改正を認証しない旨明言している。すなわち裁判所決定にもとづき法改正が行われるなら十中八九これらの対応は不可能としている。
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(筆者注1) 同報告書の米国にとっての重要性から見て予想したとおり「米国日本大使館」ウェブサイト“U.S. Information Alert”において12月2日付けで掲載されている。報告書や法廃止に伴う実施行動計画や軍トップの声明などが網羅的にリンクされている。ただし、すべて英文であり、日本人がそれらを読みこなすにはさらに時間がかかろう。また、致命的なミスがある。「1993年Don’t Ask Don’t Tell Act」(10 U.S.C.§654) を「同性愛公言禁止に関する規定」と訳しているが、正しくは同法は「法律」である。“Act”の記載も抜けている。

(筆者注2) 今次の連邦議会(111th Congress)に上程されている「Development , Relief and Education for Alien Minors Act :DREAM ACT」法案については従来の経緯については国立国会図書館のレポートがあるが、いずれもブッシュ政権時代のもので名称は同じでも内容が古い。
 いずれにしてもこの問題は米国の歴代政権にとって重石となる重要課題であり、以下の内容は2009年3月26日に下院に上程された 最新法案についてNILCの解説要旨等をまとめておく。
「DREAM Actでは州民用の学費を不法滞在中の子供たちにも適用させるために現行移民法の一部を改定することになる。この法案には、16歳になる前に合衆国に入国した子弟たちに条件付きの永住権を与えるという要項も含まれている。この対象となる子供は、この法律が可決された時点で最低5年はアメリカに滞在していることが証明できる、良識を持った(Good Moral Character)高卒者となっている。さらにこの法律の恩恵を受けるには、高校卒業後6年間に次の2つの条件のうちのどれか1つを満たさなければならない。

1.2年制の短大を卒業しているか、学士号またはそれ以上の学位を取得するために現在就学中でよい成績を2年以上保っていること。
2.最低でも2年間アメリカの兵役についており、もしすでに除隊している場合は「名誉除隊」をしていること。
 
 このDREAM Act の提案は、不法滞在の移民の子供たちの潜在的な能力を育て、学業のチャンスを与えるものとして、アメリカ合衆国の将来にも大変画期的なことといえる。多くの不法移民の子供たちがこれまで、州外学生に適用される高額な学費や 情報の不足等の理由で、大学進学や高等教育を諦めてきた。しかし、不法移民の子供には罪はないわけで、彼らの将来を奪うわけにはいかないという理由である。
 他方、多くの反戦活動家たちは、この法案は軍隊により多くの若者たちを送るだけだと警告している。
 なお、12月2日にDODのウェブサイト人事・即応担当次官(undersecretary of defense for personnel and readiness )であるクリフォード・L・スタンレー(Clifford L.Stanley)「DREAM Actが成立した暁には他の候補者と同様、軍へ入隊の厳しい検査はあるものの、DODは不法移民の子供に2年間の兵役に基づき米国市民権を与えることを支援し、その結果、米軍にとって適任の新人採用の予備要員が確保される」とDODの本音を述べた旨が報じられている。

(筆者注3) 今回のブログでは深く立ち入らないが、世界最大の軍事国家における文民統制についてわが国の詳しく述べた論文は極めて少ない。
 例えば、「大統領が軍の総指揮官、最高助言機関として国家安全保障会議。国防長官に対し、文官中心の国防長官府が政策面で、軍人中心の統合参謀本部が作戦面で補佐する。国防長官府は軍の作戦にも関与。副長官、次官らが幅広く政治任用される」といった内容である。

 しかし、これでは今回紹介するDODや軍幹部について具体的に誰がどのようなかたちで指揮権や助言を何なる根拠に基づいて行うかが不明であり、各所見内容についての正確な理解は不可能といえる。

 これは米国でも例外ではない。筆者は“WikiLeaks”の運営方針には批判的な立場を持つが、国民が基本的に理解すべき軍事情報が予算だけでなく軍そのものを適格に把握できる情報が米国でも極めて少ないことも問題があると考える。
 さらにいえば、米国の文民統制の最新情報は何を読めば理解できる正確な情報が入手できるのであろうか。Wikipedeia だけに頼る現状でよいのか。軍事問題は100%聖域ではないはずである。今回のDOD等の文民統制の実質最高責任者の所見を読んで感じた点である。

 なお、議会と国民に対する透明性と説明責任を高めることを狙いとして、2010 年度国防予算については、オバマ大統領は2009 年10 月28 日、国防予算の大枠を決める「2010年度国防予算権限法案 (FY 2010 National Defense Authorization Act)」に署名・成立した。国防予算権限法には、主としてイラクとアフガニスタンにおける海外事態対処作戦の予算、1,300 億ド(10兆7,900億円)が含まれている。

(筆者注4) “franternization”をここでは仮に「 軍隊内で禁止される親交」と訳した。
わが国では適切な訳語は見出せなかったがWikipedia は次のような解説を行っている。参考になろう。
“In many institutional contexts (such as militaries, diplomatic corps, parliaments, prisons, schools, sports teams, and corporations) this kind of relation transgresses legal, moral or professional norms forbidding certain categories of social contact across socially or legally-defined classes. The term often therefore tends to connote impropriety, unprofessionalism or unethical behavior.”

(筆者注5) 「ローレンス対テキサス州裁判」についてはコーネル大学ロースクールなどが多くの連邦憲法修正第14の問題として詳細に解説しまたわが国でも解説は多い。簡単な内容であるが国立国会図書館「外国の立法」2004年2月号 宮田智之「連邦最高裁判所、テキサス州のソドミー禁止法に違憲判決」や神戸学院大学法学第35巻第1号(2005年7月号)大島俊之「ソドミー法を終わらせたヨーロッパ人権裁判所」等が参考となろう。なお、この種のレポートは法律面だけでなく同性愛問題や心理学等に関する特殊用語の知識が必要である点は言うまでもない。

 さらにいえば「死」と直面する戦場でのアブノーマルな性行動について、今回のDODのトップ責任者の考えでも見られるとおり、精神ストレスの解消に向けた取組みが行われないと本本質的な解決には結びつかないと考える。その意味で12月2日、海軍省は「海軍戦闘ストレス対症プログラム(Navy’s Operational Stress Control program)は海軍兵士やその家族にその理解において一定の効果を上げている」と報じている。しかし、本当の解決策が見えてくるにはさらに長い道のりがあると考える。

 この問題に関するわが国のレポートの一部を引用しておく。
 「イラク戦争後、海外に派遣された米兵や退役軍人の間で、「外傷後ストレス障害」(PTSD)など「心の病」を発症する者が続出し、自殺者も増えているといわれる。こういった症状は、戦地での苛烈な体験とストレスに起因する「戦闘ストレス障害」と見られるもので、第1次世界大戦後、各国の軍関係者が対応を迫られてきた課題である。
②米軍の「戦闘ストレス障害」対策にとって、ベトナム戦争は、大きな転機となった。帰還兵や退役軍人の間に精神的な障害がまん延延し、戦闘の精神的外傷(トラウマ)によってもたらされる後遺症が、患者個人に止まらず、社会全体に広く影響を及ぼすことが、明確に認識されるようになったのである。(以下略)」(国立国会図書館「レファレンス 2009年 8月号」鈴木 滋「メンタル・ヘルスをめぐる米軍の現状と課題―「戦闘ストレス障害」の問題を中心に―」

「イラク戦争後、海外に派遣された米兵や退役軍人の間で、「外傷後ストレス障害」(PTSD)など「心の病」を発症する者が続出し、自殺者も増えているといわれる。こういった症状は、戦地での苛烈な体験とストレスに起因する「戦闘ストレス障害」と見られるもので、第1次世界大戦後、各国の軍関係者が対応を迫られてきた課題である。
②米軍の「戦闘ストレス障害」対策にとって、ベトナム戦争は、大きな転機となった。帰還兵や退役軍人の間に精神的な障害がまん延し、戦闘の精神的外傷(トラウマ)によってもたらされる後遺症が、患者個人に止まらず、社会全体に広く影響を及ぼすことが、明確に認識されるようになったのである。(以下略)」(国立国会図書館「レファレンス 2009年 8月号」鈴木 滋「メンタル・ヘルスをめぐる米軍の現状と課題―「戦闘ストレス障害」の問題を中心に―」

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米国国防総省が緊急対応した“Don’t Ask,Don’t Tell Act”差止命令と連邦憲法上の諸問題(その2完)

2010-11-21 10:22:20 | Weblog

(3)2010年9月9日、フィリップ裁判官の予備判決(Memorandum Opinion:Filed
Concurrently with Findings of Fact & Conclusions of Law)
 この判決の意義は、事実および法解釈上で明らかになった点を包括的にまとめたもので全86頁にわたるものである。
 この原告への判決案の提示という裁判行為自体、筆者は良く理解できていなかったため混乱したが、結論部分を読んである程度理解できた。
 すなわち、予備判決第4章〔結論部〕は次のとおりまとめている。

「本裁判での論議の考察および解決を通じ、裁判所は議会の執行権限と司法の役割の相違は議会の権限に基づく軍隊を強化しかつ支援する立法および政府ら行う規則等の制定という取組により頂点に達するという原則を無効視すべきものとして十分に留意してきた。連邦最高裁の1981年6月25日判決「ロストカー対ゴールドバーグ(Rostker v. Goldberg,453 U.S.57 (1981))」 (筆者注9)が述べているとおり、この相違は放棄されるべきでない。原告はメンバーに代り憲法修正第1および第5に基づき、"Don't Ask, Don't Tell" Actの憲法違反ならびにDODなどの執行行為につき恒久的な差止命令といった法的な救済を求める権利が認められる。
 原告は、2010年9月16日にまでにこの本裁判所の理由メモ(Memorandum Opinion)に合致するかたちで恒久的差止命令にかかる判決案(Proposed Judgment)を受け入れることが出来る。また、被告は原告が本判決案を認めた後7日以内に判決案に意義を申し立てることが出来る。」

(4)2010年9月23日、国防総省および司法省民事局が「原告が裁判所に要請した判決の適用範囲に関する異議申立」を裁判所に提出

 同申立書の趣旨は次のとおりである。
「過去の最高裁判所が明らかにしたように、合衆国は典型的な被告ではない。そして、裁判所は注文を引き受ける前の政府が議会によって正当に制定された法を実施するうえで政府の能力を制限するか、または他の裁判所で合憲性を防御する能力を制限する場合は警告と実行せねばならない。 本事件のように全国いたる所の他の多数の法廷で問題と法律が本質的であることがわかっている場合はこれは特に重要な点である。
当該警告は、法律がわが国の軍の規律にかかる問題として最高裁判所が軍事の判断に実質的な服従を行うよう裁判所に命じた領域では一層適切である。
 このような背景にもかかわらず、原告(LCR)は支持できない差止め命令提案を裁判所に求めた。この場合、いかなる差止命令はそれが原告(LCR)およびそのメンバーを代表して行う請求に制限されなければならず、非訴訟当事者に達することができないので、原告は、当該法律につき世界中で差止命令を求めており、入口の時点で問題がある請求を行っている。
 さらに、軍全体にかかわる広い範囲にかかる裁判所命令自体、他の裁判所での同様の訴えへの考慮を禁止することとなり、最高裁判所の明確な指示すなわち合衆国が被告である場合、それらが特定の巡回区裁判所で拒絶された後でも、法律で認められた主張を進め続けることが認められなければならないという法律上の重要な問題への対処を凍らせるという問題を引き起こす。(以下略す)」

(5)司法省による裁判判決の差止命令請求に関するメモの提出
 この問題は、連邦議会やホワイトハウスを巻き込んだ極めて政治色が強まっていることは間違いない。(筆者注10)
 なお、1993年以来、約13,000人の軍人や女性がDADTに基づき除隊処分を受けている。

 被告は10月14日、同裁判所に対し判決の緊急執行停止等を求める書面を提出した。

 また連邦司法省民事局は、10月14日に同裁判所に対し「本訴訟の争点および法的権限に関するメモ(Memorandum of Points and Authorities:Case 2:04-cv-08425-VAP-E Document 253-1 Filed 10/14/10 )」を提出した。
 結論部分を引用する。
「以上の理由から裁判所は、2010年9月9日判決(10月12日修正判決)、および10月12日の判決と恒久的差止命令に関し被告の控訴権を保障するため差止の停止措置を行うべきである。また、被告は通常の訴訟における控訴裁判所への控訴猶予期間と同様に10月12日判決の緊急行政措置に基づく判決執行停止を求めるものである。被告は問題の重要性に基づき、本決定については10月18日までの一方当事者審理(ex parte)の適用を求める。(以下略)」

 これと並行して、10月14日に原告は第9巡回区連邦控訴裁判所に対し正式の控訴申立通知を提出した。(10月15日の国防総省の控訴のプレス・リリース)

2.DADTに基づく除隊処分裁判例としての「マーガレット・ウィッツ裁判」
 2010年9月24日、ワシントン西部地区連邦地方裁判所は「空軍予備役軍団(Air Force Reserves)による原告空軍少佐(major)で“flight nurse” (筆者注11)であるマーガレット・ウィッツ(Margaret Witt)のレスビアンであるとの理由で除隊処分を行ったことは合衆国憲法修正第5に定める適正手続に違反する」とする裁判所命令の理由書(memorandum opinion)で述べ、ウィッツの復職を命じた。

 この裁判(事件番号:06-5195-RBL)は2004年から軍に対応が始まっている長期にわたる裁判である。訴訟内容の概要と裁判の経緯についてまとめておく。(筆者注12)
 6日間にわたる公判の後にロバート・レイトン裁判官はウィッツの性的指向が部隊の士気やまとまりにマイナスの影響を与えていないことが理解できた。
 この裁判の突破口が見えてきたのは2008年12月4日、第9巡回区控訴裁判所が被告たる空軍はウィッツを除隊処分する場合、軍の準備の目的上必要であることを証明しなければならないと裁決(Order:Witt v. Department of the Air Force, 527 F.3d 806, 813 (9th Cir. 2008))したことである。同判決では、政策に基づいて軍人を除隊処分するときは当該個人の行為が実施に部隊の士気やまとまりに害を与えることを証明しなければならないとすると判示し、公判廷に差し戻した。この基準は「ウィッツ基準」と呼ばれている。

 実際に彼女は19年間軍のフライト・ナースとして米軍に貢献し、彼女の上司は常に高い評価を行って来ており、多くの勲章や賞賛を得ている。

 ACLUの説明では、除隊処分や告訴にいたる事実関係は次のとおりである。
「ウィッツ少佐は1997年から2003年の間、民間の女性との性的関係を持った。2004年夏にウィッツは空軍が同性愛関係をもっているという訴えに基づき調査を開始した旨の通知を受けた。2004年11月にウィッツは無給休暇が与えられ、正式な隔離手続中はこれ以上の軍務は行えないという通知を受けた。

 2006年3月、空軍はウィッツに対し「同性愛行動」を行っていたことを理由として人事監督上の除隊処分を行うことをウィッツに通知した。ACLUはこの処分に対しウィッツの復職を求めて裁判所に告訴した。」

 2010年8月31日、ACLUは裁判所に対し17頁にわたる意見書を提出している。

3.同性婚の禁止を決めたカリフォルニア州民の州憲法改正決議(vote 8)が合衆国憲法に違反するかどうかが争われていた裁判内容と今後の取組み課題

 2010年8月4日、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所(裁判長:ヴォーン・ウォーカー)「同性愛者間の結婚を禁止するカリフォルニア州民投票に基づく規則案8を憲法違反として破棄する判決」を下した。(筆者13)

 判決文(事件番号:C-09-2292-VRW)の要旨は次のとおりである。
「原告は合衆国憲法修正第5の適正手続と第14の法の下での平等に違反したとして規則案8に挑戦した。規則案8は結婚に関する違憲なことを実践させるものでかつ性的指向を理由として不合理な差別を行わせるものである。原告はカリフォルニア州に対し2人の関係構築の努力を認めさせるよう努め、また原告の関係は合衆国の結婚の歴史、伝統および結婚の実践結果と合致する。規則案8は結婚許可書に作成拒否のための同性愛者のゲイ男性やレスビアンを選び抜く合理的な根拠をより進めることに失敗した。」

 一方、8月16日、第9巡回区控訴裁判所(3人の裁判官合議(three judge panel)はカリフォルニア州が本裁判の結果を受けて同性愛者の結婚の連邦憲法の合憲性について検討している間は同州の同性者間の結婚は無期限に受付けない旨決定(Case: 10-16696)した。

 実はカリフォルニア州最高裁判所は2009年5月26日、州憲法改正決議(vote 8)は合憲とする判決を行っている。この裁判は同性愛者カップルの結婚の憲法判断を求めるため、連邦最高裁判所に持ち込まれることは間違いないと言われている裁判である。

 原告はウォーカー判決につき控訴しないとしているが、控訴裁判所の問題視してる点ははたして州の官吏でない「修正決議vote 8」の支持者が、同控訴裁判所に控訴権を行使できるかどうかと言う点である。

 いずれにしても、第9巡回区控訴裁判所は2010年12月6日に控訴審の審問を開く旨決定で明記しており、連邦最高裁の憲法判断・対応を含め、今後の展開が注目されるところである。(筆者注14)

 なお、米国で同性の結婚が法的に認められている州はマサチューセッツ、アイオワ、コネチカット、ニューハンプシャー、バーモント、ワシントンD.C.のみである。
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(筆者注9) 「ロストカー対ゴールドベルグ」連邦最高裁判決についてはわが国では上原正夫「アメリカにおける男女平等-男だけの徴兵登録合憲判決に寄せて-」(判例タイムズ446号1981年10月1日号)が詳しく紹介している。筆者なりに連邦最高裁の判決要旨等の基づき簡単に事実関係と法廷意見等をまとめておく。
「1948年選抜徴兵法(Military Selective Service Act of 1948, 50 U.S.C.App. § 451 seq.
)は大統領が女性ではなく、男性のみ可能な兵役のための登録を必要とすることを認めており、徴兵登録の目的は同法に基づきいかなる徴兵も容易にすることであった。徴兵召集のための登録(Registration for the draft)は1975年に大統領告示(Presidential Proclamation)によって中止されたが(同法は、1973年に徴兵制を排除するために改正された)、南アジアの政治危機の結果として、カーター大統領は1980年に徴兵登録手続を再度有効化することが必要であると決め、そのために連邦議会に基金の配分を求めた。
 また、大統領は議会が男性と同様に女性の登録と徴兵を可能にするために法改正を進めた。連邦議会は、登録手続を有効化することの必要性については同意したが、男性を登録するのに必要なそれらの資金だけを割り当てて、女性の登録を可能にするために法律を改正するのは否定した。その後、大統領は指定された青年グループの登録を命令した。 条例の合憲性に挑戦する数人の男性によって起こされた訴訟では、3人の裁判官で構成する連邦地方裁判所は、結局、法律の性別による差別は米国憲法修正第5の「デュー・プロセス規定」に違反するとして法律に基づく登録を命じた。
 この裁判が最終的に最高裁に上告され、同裁判所は共同防衛・軍事については議会の判断を尊重するという法廷意見に大筋で同意し同法を合憲とした。ただし、レーンキスト(William H.Rehnquist)判事の法廷意見やマーシャル(Thugood Marshall)、ホワイト(Byron R. White)判事の反対意見等意見が分かれた判決であった。
米国では徴兵問題は常に国際的な政治不安(第一次世界大戦、第二次世界大戦、東西冷戦、朝鮮戦争など)による議論が高まっている。
 なお、米国の選別徴兵制度に関する法解釈問題についてはコーネル大学ロー・スクールのサイト“law and legal reference library”が詳しく解説している。

(筆者注10) 米国メディアの“CNN”は、2010年5月に行った世論調査結果では米国成人では78%が同性愛者がオープンな形で軍務に服すことは認められるべきであると投じた旨報じている。

(筆者注11) 米軍における「フライト・ナース」の重要性や活動の実態について実際にDODの解説文を読んでみた。1つ目はアフガンやキルギスタンの戦地での24時間体制で「Alpha alert(1時間以内の重傷者向け対応)」、「Bravo alert(2時間以内で即時の非難を要しない対応)」、およびより緊急性の薄い患者に1週間に2回看護するといった任務内容である。戦地での看護作業は悪条件の下での活動であり、兵隊の効率的な戦時活動に欠かせないものである。また、もう1つの記事は航空医療活動のためのフライト・ナースの合同訓練についてである。その専門性もさることながら「飛ぶ病院」としての重要性が詳しく解説されている。

(筆者注12) 本裁判は、米国の人権擁護団体ACLU(Americans Civil Liberties Union)が全面的に支援した訴訟である。

(筆者注13) 国立国会図書館「外国の立法 (2009.7)」は2009年5月26日、カリフォルニア州最高裁の判決につき簡単に解説している。

(筆者注14) カリフォルニア大学法学部憲法専門のビクラム・ディビッド・アマル(Vikram David Amar)教授がウォーカー判決の意義につき憲法解釈上の論点を整理して“Find Law”に発表しており、わが国の関係者にとっても参考になる。なお、同教授は2021.2.現在はイリノイ法科大学院(College of Law:法務研究科)はデーン・イワン財団の教授である。

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米国国防総省が緊急対応した“Don’t Ask,Don’t Tell Act”差止命令と連邦憲法上の諸問題(その1)

2010-11-21 10:16:42 | Weblog


Last Updated:February 20,202

 筆者の手元に2010年10月12日にDODから初めは意味不明のプレス・リースが届いた。「1993年 同性愛公言禁止法(Don’t Ask,Don’t Tell ACT)(DADT)」(筆者注1)に対するカリフォルニア中央地区連邦地方裁判所判決(判事:バージニア・A・フィリップ(Virginia A.Phillips))による連邦憲法違反判決および国防総省による同法執行の恒久的差止命令(injunction order)への対応に関するリリースである。米国など外交・軍事等海外通の読者であればある程度その意味が分かろう。

Virginia A. Phillips判事

 その後、DODは連邦司法省等との協議を進め、10月15日には先の地裁判決に対し控訴の検討を行う一方で、12日の判決は遵守する旨を発表した。

 今回のブログは、米国オバマ政権の公約の1つである同性愛者やレスビアンと軍隊の問題であり、連邦議会をも巻き込んだ大きな社会問題となっているこの問題を取り上げる。

 筆者は両分野につき専門家ではないし、コメントできる立場にはない。
 しかし、国家機能とりわけ国防機能に関する問題となると話は別である。とりわけ“Don’t Ask,Don’t Tell ACT”そのものについて正確な理解と経緯、米国社会が現実にかかえる影の部分に正確に焦点を当てて検討すべき問題点を整理したいと考えた。

 米国の大学を含め関係機関の情報を独自に調べて見た。とりわけ同法の人権上や憲法上の問題については制定当初から米国の人権擁護団体だけでなくロー・スクールや大学におけるDODの大学内でのリクルート活動とスカラーシップに関する「人を金でつる問題(Solomon Amendment)」
  (筆者注2)に対する大学・研究機関の自治に関するフォーラム(Forum for Academic and Institutional Rights:FAIR) (筆者注3)等も問題視している点も明らかとなった。

 特に、筆者が関心を持ったのはジョージ・タウン大学ロー・スクールの抗議グループ“SolomonResponse .Org”のサイトである。
(筆者注4) 大学の自治問題はわが国ではほとんど本格的な議論は現在は見ない。しかし、米国は現在戦争中の国である。米国軍の人材確保は政府・軍幹部の最重要課題であり、そのために連邦議会はリクルート活動支援強化策を議会と連携して進めている。この問題と「同性愛規制」は極めて密接に関係しているのが現状である。

 海で囲まれたわが国の国防問題について国民の理解なくして戦略や人材確保の問題は解決し得ないと考える。公的機関窓口等でのポスターの掲示だけでは優秀な人材は集まらない。現下の雇用対策問題と絡めるのは適切とはいえないが、日本の未来をまじめに考える機会として公開したかたちでの関係機関横断的な(interagency)取組みを期待する。「平和ボケ」といわれない日本を国際社会にアピールする良い機会と考えるべきである。

 また、今回のブログでは関連する同性愛問題として、同性婚の禁止を決めたカリフォルニア州の州憲法改正決議が米国合衆国憲法に違反するかどうかが争われていた裁判についても言及する。
 同州北部地区連邦地方裁判所(裁判長:ヴォーン・R・ ウォーカー(Vaughn R. Walker)は2010年8月4日、同性婚禁止は同性愛者にも同等の権利を認めた合衆国憲法に違反するとの判決を言い渡した。カリフォルニア州では2008年11月の住民投票で、結婚を男女間のものと定める州憲法改正の住民投票提案8号が52%の賛成多数で可決された。これに対して、同性婚を支持する側が決定の無効確認などを求めて提訴していたものである。・・・一方で、8月16日、第9巡回区控訴裁判所は同性婚禁止にかかる州憲法改正の憲法問題につき裁判所の検討中は郡書記官(county clerk)による「結婚許可証」の発行につき無期限での留保を命じた。
(筆者注5) (筆者注6)

 米国の同性愛問題の根の深さは単に宗教や信条ならびに性的指向の自由権の問題と言うだけでなく、軍隊の基本機能やその運営そのものにかかる重要な政治課題であることを理解しておく必要がある。

 わが国の自衛隊で同様の問題が起きた場合の関係機関の対応はいかなるものか。

 今回は、2回に分けて掲載する。


1.2010年10月12日、「1993年 同性愛公言禁止法(Don’t Ask,Don’t Tell ACT)10 U.S.C.§654」(DADT)に対するカリフォルニア中央地区連邦地方裁判所(判事:バージニア・A・フィリップ)による連邦憲法違反判決および国防総省による同法執行の「恒久的差止命令」問題

(1)判決および恒久差止命令内容の要旨(事件番号:CV04-8425 VAP)
〔宣言:Declares〕
同法("Don't Ask, Don't Tell" Act)は米軍人(U.S.servicemembers)および軍人予定者の基本的権利を侵害し、また、(a)合衆国憲法修正第5で保障する実質的適正手続((デュー・プロセス)、(b) 合衆国憲法修正第1で定める言論・請求権保障に違反するものである。

〔恒久的禁止:(Permanently Enjoins)〕
被告たるアメリカ合衆国および国防長官(Secretary of Defense)、その将校(Agents)、公務員(Servants)、監督者(Officers)、被雇用者(Employees)は、いかなる者に対してもその法的権限および指揮命令権に基づき同法("Don't Ask, Don't Tell" Act)および同法に基づく規則等による法執行や適用行為を恒久的に差止めかつ禁止する。

〔裁判所命令:Orders〕
被告たるアメリカ合衆国および国防長官は、本判決時に直ちに同法("Don't Ask, Don't Tell" Act)および同法に基づく規則等によりすでに開始した調査(investigation)、除隊措置(discharge)、組織的隔離(separation)、その他の手続を一時中止(suspend)または中止(discontinue)しなければならない。

(2) 同裁判所における本判決にいたるまでの経緯の概要
 ここでは概要のみ上げるが、本訴訟における原告・被告の詳細な申立経緯等は原告団である“Log Cabin Republicans”のウェブサイトで詳しく紹介されている。

①2004年に“Log Cabin Republican:LCR”グループがDADTおよびDODの施策(policy)は合衆国憲法修正第1(信教、言論、出版、集会の自由、請願権規定)および修正第5(適正な裁判手続:デュー・プロセス保障規定)に違反するとして同裁判所に合衆国を被告として告訴した。(LCR側は2003年6月26日連邦最高裁の判決:Lawrence v. Texas(02-102 539 U.S. 558 (2003))を根拠としている)(筆者注7)

②2010年5月27日、「連邦議会下院」および「同上院軍事委員会(Senate Armed Services Committee)」は同ポリシーの廃止による軍事の有効性、軍人の保持や家族にとっての準備等にいかなる効果があるかの調査結果が出るまで、その実施を保留するというより進んだ妥協案に投票した。

 下院の投票結果は賛成234,反対194でさらに同ポリシーの抜本的な改正法案である「性的性向に関する軍事準備強化法案(Military Readiness Enhancement Act of 2009)H.R.1283」 (筆者注8)に修正を加えるという条件で5月28日に法案全体の投票が行われる予定であったが、まだ実施されていない。

 一方、上院委員会の投票結果は賛成16、反対12であった。(なお、上院でも同タイトルの「法案:S. 3065」が上程されている)

③フィリップ裁判官は、2010年7月5日の週に事実審理を開始したが、政府側から出されていた連邦民事訴訟規則56条に定める「略式判決の申立(Motion of Summary judgment)」を拒否した。その理由は、政府の従来の政策の廃止のための立法措置は本件の手続を進めたうえでも十分にとりうる可能性があるというものである。
 フィリップ裁判官は7月13日~16日ならびに20~23日の間に陪審なしで審理を行った。
   (続く)

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(筆者注1) わが国で「1993年“Don’t Ask ,Don’t Tell Act”」について論じているのはサイト上で読めるものとして「みやきち日記」が2009年10月12日に取り上げている。
 「オバマ大統領が10月10日、ワシントンD.C.(Washington D.C.)で開かれた国内最大の同性愛者の権利擁護団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(Human Rights Campaign:HRC)」のイベントで演説し、米軍による同性愛者の入隊規制政策を撤廃することを約束した。」という内容である。

 その指摘している点は大統領のスピーチとしては落第という米国内のメディアの評価について論じているのみである。本文で述べたとおり、この問題は単にHRCなど人権擁護団体に対する大統領の声明の紹介で済む話ではないと考える。

 なお、わが国では似非軍事評論が多い。筆者は本ブログの執筆にあたり情報源はあくまでDOD,DHSやDOS、NATO等や派遣国から直接毎日届く多数のニュース解析や関連裁判の判決文等の検索作業から始めた。さらに言えば世界の軍事情勢の分析は米国だけの情報では不十分であり、「北大西洋条約機構軍(NATO)」や「国際治安支援部隊(ISAF)」ならびにこれらに軍隊を派遣している各国の軍事情報までカバーしないと正確な情報は把握できないと考えるがいかがであろうか。

(筆者注2) “Solomon Amendment”について補足しておく。元々米国の大学やロー・スクールは性的指向に基づく学生の差別を行わないとする施策を取ってきた。

 1995年、連邦議会は国防総省の新兵募集活動をキャンパスから締め出した大学にはいかなる基金の交付も禁止するという「Solomon Amendment 法」(法案提出者が下院議員Gerald Solomon)を可決した。1996年に議会は対象連邦機関を教育省、労働省、保健福祉省に広げた。1999年にバーニー・フランク下院議員(現下院金融サービス委員会委員長で「2009年ドッド・フランク・ウォールストリート改革・消費者保護法」の提案者である)とキャンベル議員は、連邦機関による学生財政支援基金への同法の適用除外を働きかけソロモン法の改正を行った。
 その後、2002年にはDOD規則において1つの大学において一学部のみ徴兵活動に対する反対があった場合でもロー・スクールを含む全大学に対する基金交付を取り消すという改正を行った。これらの経緯の詳細については“SolomonResponse org”サイトのほかスタンフォードロースクール大学のサイト等が詳しい。政府側の法的見解については軍法律顧問によるレポートもあり、併せて読むべきであろう。

(筆者注3) “FAIR”は“Forum for Academic & Institutional Rights”の略で、36 の大学やロー・スクールからなる協議会である。学問の自由の推進し社会的差別を反対すべく活動している。

(筆者注4)  “SolomonResponse. Org”の具体的活動はアカデミックの観点からの単なる意見表明のみではなく、国防総省に対し告訴(Litigaion)まで行いかつ勝訴していることである。“Don’t Ask,Don’t Tell ACT”の議会での制定経緯や条文の内容等その詳細は同グループのHPを参照して欲しい。

(筆者注5) 本原稿は、2010年8月5日付けCNN.JPやAP通信ニュースから引用の上、筆者がピッッバーグ大学ロー・スクールの“JURIST”サイト等独自に調べた判決原文の内容等に基づき加筆した。

(筆者注6) 原告の弁護士は、控訴裁判所が12月6日に口頭弁論予定を明示し規定の迅速な審理を約束したことから原告は連邦最高裁に上告しない旨の発表を行っている。(8月17日AP通信記事)

(筆者注7) 2008年5月21日、第9巡回区控訴裁判所は米国軍が性的性向のみに基づいて除隊させることは出来ないという判決を下している。

(筆者注8) 過去に本ブログでも取上げた米国連邦議会法案の監視民間プロジェクト(Sunlight Foundation等NPOの1プロジェクト)である”OpenCongress”も、筆者の今回のブログを「H.R.1283」関連で取上げている。

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[参照URL]
〔2010年10月12日、「1993年 同性愛公言禁止法(Don’t Ask,Don’t Tell ACT)」に対するカリフォルニア中央地区連邦地方裁判所(フィリップ裁判官)判決〕

〔2010年9月9日、フィリップ裁判官の予備判決〕
http://www.cacd.uscourts.gov/CACD/RecentPubOp.nsf/bb61c530eab0911c882567cf005ac6f9/4f03e468a737002e8825779a00040406/$FILE/CV04-08425-VAP(Ex)-Opinion.pdf
〔2010年9月24日、ワシントン西部地区連邦地方裁判所(レイトン裁判官)の除隊処分の憲法違反判決〕

2010年8月4日、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所(ウォーカー裁判官) の同性愛者間の結婚を禁止するカリフォルニア州民投票に基づく規則案8に関する判決」〕

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メキシコのバハ・カリフォルニアを震源地とするマグニチュード7.2大規模地震発生

2010-04-05 13:39:25 | Weblog

 2010年4月4日東部標準時午後7時3分、ニューヨークタイムズは次のようなメキシコ北東部で発生したマグニチュード7.2大規模地震を報じた。
 この情報はわが国でもCNNやロイター通信などで簡単な速報で報じられているが、筆者は米国地質調査所(U.S.Geological Survey:USGS)ニューヨークタイムズ(筆者注)等の情報を元により詳しく報じてみた。

1.地震情報の詳細(USGS)
(1)マグニチュード:7.2(震度6.9)
(2)発生時刻:世界協定時刻22時40分40秒(現地時間午後3時30分)
(3)震源地 32.128°N, 115.303°W(バハ・カリフォルニア(メキシコ)のグアダルーペ・ビクトリア(Guadalupe Victoria)の南南西16マイル(約2.6km)でティファナ(Tijuana)東南東の約108マイル(約137km))
(4)震源の深さ 10 km (6.2 miles) (poorly constrained:弱拘束)

2.カリフォルニアやネバダ州等で報告された大地震の状況
 メキシコの南東ティファナで発生した強い地震は、日曜日の午後に南カリフォルニアを震動させた。国境の町はビルが破損し、ロサンゼルスやフェニックスといったメキシコ国境のはるか北に位置し、地震には慣れた人々にも恐怖を与えた。

 シャンデリアが揺れ、家が震動し、揺れがメキシコと米国を強く揺すぶったとき、1分間以上を超えて復活祭礼の拝式から出て来る人々の足の下で地球が滑るように思えた。

 64歳のカールトン・ハーグレーブはアメリカ側の国境の町カレキシコ(Calexico)の自分が経営するファミリィ形式のビュッフェの入口通路に立っていたが、電話取材に対し、震え声で「ほぼ完全に破壊された、店のテーブルをひっくり返り、皿は床に飛び散った。天井はつぶれた。」 「それはすごい揺れであり大地震であった。」と、足が瓦礫、ガラス、および皿の破片をかみ砕いているような音とともに答えた。

 揺れが発生したメキシコの遠隔地からのレポートはなかなか情報が入らず、震動後、メキシコのウェブサイトは2時間以上でつながらない状態であったが、その規模の地震は震源地の近くではおそらく主要な建物の損害や可能な負傷者をもたらしていると見られる。

 ティファナ紙のレポーターは、建物等の損害か負傷の報告はないといっているが、同レポーターは市当局からの明確な情報を待っていた。
 アリゾナ州の南に位置するソノラ州の新聞である「EL Imparcial」は、メヒカリ(Mexicali)のマンションのひび割れやパイプの破損を報告したが、損害はひどくは見えなかった。

 サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙(San Diego Union.Tribune)のウェブサイトによると、震動はサンディエゴで特に強かった。同紙によると、揺れはいくつかの警報機を鳴らし、サンディゴの消防隊・レスキュー隊が出動した。

 今回の地震は浅い深さであると専門家によって考えられており、地下約6.2マイル下で発生した。M 7.2の地震には、大きな破壊を引き起こす力があり、石造りの建物や枠組構造を破壊、また地割れや地滑りの引き金となる力を持つ。 また、水は川岸の破損やレールを曲げることができる。

 余震の報告は少なくとも午後4時9分に発生したティファナの62マイル東でのマグニチュード4.5、午後4時15分のカリフォルニアのインペリアルの近くのマグニチュード5.1、午後4時15分のカリフォルニアのヤカンバ・ホット・スプリング(Jacumba Hot Springs)から12マイル北西でマグニチュード3.8、午後4時19分のカリフォルニアにジュリアンの7マイル北東でマグニチュード3.6、午後4時22分、マグニチュード4.3の揺れ等が報告された。
 
 緊急担当者は、緊急隊員に対し緊急呼び出しのため明確に携帯電話信号を保つためにテキスト・メッセージを使用することでお互いに連絡するよう居住者に促している。

(筆者注) 筆者がニューヨークタイムズの記事を初めに読んだのは日本時間の午前時頃である。現在4月5日午後1時半であるが同紙から更なる新しい情報が加わり紙面の内容は更新されている。

[参照URL]
https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/ci14607652/executive
http://www.nytimes.com/2010/04/05/us/05quake.html?hp
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