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スタンフォード大学ロースクールの法支配影響研究所のグアテマラ憲法裁判所に対し元グアテマラ米国大使に代わり法廷準備書面で民主主義を保護するよう要請問題とグアテマラの憲法裁判所の実態(その1)

2023-12-04 16:57:44 | 独裁国家問題

2023.12.5更新

 かつて筆者は米国大学やロ―スクールの先進性や特徴を取り上げた。例えば、「米国のトップレベル大学の統治ガバナンスの特徴を踏まえたわが国大学の先進的改革の在り方を考える」「スタンフォード・ロー・スクールはCOVID-19による住宅賃借人の立ち退き要求の津波危機に対処する司法長官の呼びかけに応える」等を取り上げた。

 最近、筆者の手元に届いたスタンフォード大学ロースクールのニュースは、丁寧に読むとかなり興味深い内容であった。その内容は、「元グアテマラ米国大使のスティーブン・ジョージ・マクファーランド(Stephen George McFarland)は、スタンフォード大学ロースクール(SLS)の「法の支配影響研究所(Laboratorio de Impact on the rule of law of Stanford Law School)」所長アムリット・シン(Amrit Singh)氏が11月30日に提出した準備書面の中で、グアテマラ憲法裁判所(Corte de Constitucionalidad de Guatemala)に対し、民主主義と法の支配を保護するよう要請したというものであった。

Stephen George McFarland氏

 それだけでなく、筆者が独自に調べた結果、とくに、①米国大学の学生向けのロースクール進学に向けた適正ガイダンスの独自性、② SLSの「法の支配影響研究所(Amrit Singh:former U.S. Ambassador to Guatemala Executive Director, Laboratorio de Impact on the rule of law of Stanford Law School)」の活動内容や2022 年に設立されたSLS「ノイコム法の支配研究センター(Neukom Center for the Rule of Law)」は、学際的な内容を有し、グローバルな研究、教育、コラボレーション、公開討論、政策研究室、実践的な取り組みの拠点であり、そのすべてが共通の目標を共有し、その活動内容はわが国のロースクールとは大きく異なる点、③戦略的人権訴訟やその他の法律業務を通じて、その広範な使命と価値観に対する専門的な法的サポートを提供するために、2003 年に設立され国際拠点を持つ「オープン・ソサエティ・ジャスティス・イニシアティブ(Open Society Justice Initiative:OSJI)」の活動内容、④グアテマラ議会の協力主義とNGOに関する委員会に検討のために提出され、現在検討中であるグアテマラ司法部控訴裁判所判事クラウディア・パレデス・カスタニェダ(Claudia Paredes Castañeda)氏の動向報告、⑤同大学のマーク・テシエ・ラヴィーン(Marc Tessier-Lavigne)学長ほかの人事面の国際性、重要な側面等に言及したいと考えた。

Marc Tessier-Lavigne氏

 今回のブログは、まずグアテマラ憲法裁判所に対し、元米国大使に代わって法廷準備書面で民主主義を保護するよう要請した文の内容を仮訳、概観し、続いて関連テーマとして前述の①〜⑤につき解説付きでまとめた。

  なお、筆者はグアテマラ法の専門家でもないし、スペイン語も不得手である。専門家による補完説明を期待したい。

 今回のブログは2回に分けて掲載する。

1.グアテマラ憲法裁判所に対し、同国の元米国大使に代わって法廷準備書面で民主主義を保護するようとした要請文作成の経緯とその内容

(1)グアテマラの大統領選挙と現大統領や体制派の抵抗

 元グアテマラ駐米国大使のスティーブン・ジョージ・マクファーランド(Stephen George McFarland)氏は、11月30日スタンフォード・ロースクール(SLS)の法の支配影響研究室が同元大使に代わって提出した弁論趣意書(brief )の中で、グアテマラ憲法裁判所に対し民主主義と法の支配を保護するよう要請した。 2023年8月、反汚職活動家のセザール・ベルナド・アレバロ・デ・レオン(César Bernardo Arévalo de León) 氏と彼の政党セミーリャ(Semilla)党がグアテマラの大統領選挙で最終的に勝利した。 しかしそれ以来、現政権による法的策略により、明らかに彼と彼の政党の就任を阻止しようとしている。

César Bernardo Arévalo de León 氏

 マクファーランド元大使の弁論趣意書(amicus brief)は、民主主義への権利が危険にさらされていると主張したグアテマラ国民が起こしたグアテマラ憲法裁判所の係争中の訴訟で提出された。憲法裁判所は、訴訟を4つに分割し、1部分を保持し、残りの3部分を他の裁判所に付託したため、弁論趣意書は最高裁判所、第一控訴院、第一審第9刑事裁判官にも提出されることになっている。

 2008年から2011年の間、駐グアテマラ米国大使を務めたマクファーランド氏は、2011年「グアテマラに関連する問題に長年取り組み、国民や制度を知り尽くしてきたことから、グアテマラ憲法裁判所には民主主義を守る能力があると信じている。裁判所はグアテマラ国民だけでなく世界の他の国々に対して、裁判所が法の支配を支持していることを示す機会を持っており、それはグアテマラの有権者の明白な意思を尊重し、次期大統領への平和的な政権移行を確保することを意味する。 賭け金は非常に高いです。 民主的な選挙を無効にすれば、グアテマラはベネズエラやニカラグアと同じ道を歩むことになるだろう」と語った。(注1)

 アレハンドロ・ジャンマッテイ(Alejandro Giammattei)大統領の現政権とそのパートナーたちは、アレバロ氏とセミーリャ党の大統領就任を阻止することを目的としているとみられるいくつかの法的工作に取り組んできた。

Alejandro Giammattei 氏

 コンスエロ・ポラス司法長官(Attorney General Consuelo Porras )(現在、自身も米国から汚職関連の制裁を受けている)

Consuelo Porras氏

が率いる検察庁は登録不正の疑いでセミーリャ党に対する捜査を開始し、その後、刑事裁判所判事のフレディ・オレリャノ(Fredy Orellano)氏がパーティーの出場停止処分を下した。

Fredy Orellano氏

 2023年9月、検察庁は選挙事務所への強制捜査で投票用紙を押収し、最高選挙裁判所の中央事務所への強制捜査で選挙結果記録を押収した。 11月17日、ポラス長官の事務所は、国内唯一の公立大学の学生占拠を奨励した疑いでベルナルド・アレバロ次期大統領らを捜査するため、免責特権を剥奪するよう正式に要請した。

 法廷準備書面は、セミーリャ党に対する組織的かつ選択的な攻撃、および政治的目的を達成するための刑法の利用は、選挙権と民主主義に関する国際法基準、ならびに独立性と公平性や正義を確保する義務に違反していると主張している。

(2) グアテマラ憲法裁判所(Corte de Constitucionalidad de Guatemala)(注2)

 筆者なりに、①Constitutional Court of Guatemala (Wikipedia )、②Hauser Global Law School Program, New York University School of Law「グアテマラの法制度概観」GlobalLex :UPDATE: Legal Research in Guatemala:英語版解説、③グアテマラ憲法の英語訳版、④「憲法上の個人、団体の権利侵害からの保護、根拠と手続、憲法裁判所や控訴裁判所の権限に関する法律(Ley de Amparo, Exhibición Personal y de Constitucionalidad)」を以下、仮訳する。

 グアテマラ憲法裁判所は、民主化プロセスと、既存の政治的および法的領域を代表する自由選挙による憲法議会によって承認された新憲法の施行により、1985 年に設立された。憲法裁判所はもともとヨーロッパで誕生したが、グアテマラは、1965 年憲法を通じて憲法裁判所をその地域内で法制度に組み込んだ先駆的な国であった。

 憲法裁判所は司法府の一部ではあるが、権限は限られており、常設ではなかった。その役割は法の合憲性を審査することに限定されており、一般の裁判官がアンパロスの責任を負っていた 。 この期間中、憲法裁判所は 12 人の判事で構成されていた。 最高裁判所の大統領と4人の判事が役職に就き、残りの委員は控訴院と行政院から選出された。今日知られている憲法裁判所は、1985 年に司法権から独立した。

 憲法裁判所の組織に関して、憲法には、第 268 条から第 272 条まで同裁判所の構成を規定する規定が含まれている。同裁判所の裁判官は 、5 人の正規裁判官(Titular Magistrate)及び5人の判事補(Substitute Magistrate)で構成されている。任期は5年で、それぞれに最高裁判所、議会、大統領と閣僚、サンカルロス大学の大学評議会、および弁護士会によって指名される。なお、当然ながら憲法第Ⅳ編第Ⅳ章において司法機関にかかる規定を定め、最高裁判所や控訴裁判所の判事にかかる規定がある。

 グアテマラの政府機構の最高権威は憲法裁判所であり、憲法裁判所は憲法上の司法を執行する責任を負っている。同法廷は憲法全体の解釈について最終決定権を持つ。

 「憲法上の個人、団体の権利侵害からの保護、根拠と手続、憲法裁判所や控訴裁判所の権限に関する法律(Ley de Amparo, Exhibición Personal y de Constitucionalidad )の第 43 条によると、同裁判所が特定の事項の憲法解釈について 3 回の判決を下すと、その解釈は司法府のすべての裁判官に対して拘束力を持つことになる。 裁判所がその解釈から逸脱することを選択した場合、その理由を提示しなければならない。

 同裁判所は、上記の 3 つの手続きに対する管轄権を有するだけでなく、憲法第 171 条( Other Attributions of the Congress)から第 177 条に規定される 3 つの部門に利用可能な諮問管轄権も有する。ただし、勧告的意見には拘束力はなく、裁判所の権限の下にある事項のみに関係する。 この種の帰属の一例は、ローマ国際刑事裁判所規程の批准が検討されていた際の合憲性の評価に見られる。

 最後に、憲法秩序を守ることは憲法裁判所の義務であり、憲法裁判所はこれまで何度も熱心に履行してきたと述べられている。 ただし、批判的な評価を受け入れることは問題外ではない。

2.米国主要大学に見るロースクール進学に関する指導ガイダンスの内容

 ペンシルバニア州立大学Pre-Law Adviser Division of Undergraduate Studies 「法科大学院への進学に興味がありますか? そうすればあなたは法学部の学生です」を抜粋、以下、仮訳する。

 Pre-Law Advising は、ペンシルベニア州立大学のすべての専攻およびキャンパスの学生の進学を支援するサイトである。

 ペンシルバニア州立学生は法科大学院の進むにあたり熟慮すべきポイントが次のとおりまとめられている。

①法律実務はどのようなものか?

 法律実務は選択した分野によって大きく異なるが、どの弁護士もかなりの量の法的調査を行い、裁判所や依頼者の文書の草案を作成します。法律分野は、多くの場合、訴訟 (法廷で訴訟を提起する弁護士) と取引実務 (不動産、商法、不動産計画などのさまざまな取引で顧客の代理を務める弁護士) の 2 つの大きなカテゴリに分類される。

 法科大学院への入学を決める前に、法律実務の文化、労働時間、福利厚生を調査し、可能であればこの世界を実際に観察したり、実際に体験したりすることが重要である。個人事務所の弁護士(法律事務所に勤務する弁護士は、小規模から大規模まで)は、クライアントに資金を請求する必要があり、これらは「請求可能時間」と呼ばれる。この用語に詳しくない場合は、Web ブラウザでこの用語を検索し、法定請求可能時間に関する記事を確認されたい。多くの事務所では、従業員 (事務所のパートナーではない弁護士) に対して、年間 1800 ~ 2200 時間の請求可能時間要件を設けている。これらの時間は、弁護士がクライアント関連の問題に取り組むために事務所で一日または週に何時間を費やさなければならないかを決定する。一般に、企業が大規模であればあるほど、必要な請求対象時間は長くなります。

②法律実務について詳しく知る方法は次のとおりである。

現役の弁護士と情報面談を実施する(次に弁護士が誰と話をすることを勧めるか必ず尋ねられたい)。

③法律インターンシップを確保する(法科大学院では必須ではないが、実務を理解するのに役立つ)。

④弁護士に 1 日または 1 週間付き添う (観察するだけでも多くのことを学ぶことができる)。

⑤現役の弁護士とペアになるメンタリング プログラムに参加されたい。

➅法廷を 1 日訪問する (ほとんどの法廷手続きは公開されている)。

⑦弁護士を招いて実務について話すキャンパス内のイベントに参加されたい。

現役弁護士とのインタビューについては、  LST ラジオ「I am the Law」のポッドキャストにリストされたい。

 ポイントは、法科大学院が自分の目標に最も適しているかどうかを判断し、法科大学院と法律実務について学び、申請するかどうかについて情報に基づいた決定を下す強力な応用材料を開発し、目標を達成するために最適な法科大学院を選択する必要がある点である。

3.SLSの「法の支配影響研究所(Amrit Singh:former U.S. Ambassador to Guatemala Executive Director, Laboratorio de Impact on the rule of law of Stanford Law School)」の活動内容や2022 年に設立されたSLS「ノイコム・法の支配研究センター(Neukom Center for the Rule of Law)」の活動内容

 両者とも、以下述べるように開発途上国の政権の非民主化活動等の支援を行っている。概要を仮訳する。

(1) SLSの「法の支配影響研究室(Amrit Singh:former U.S. Ambassador to Guatemala Executive Director, Laboratorio de Impact on the rule of law of Stanford Law School)」の活動内容

〇本研究室の焦点テーマ

民主主義の衰退と闘うために、地元の法律実務家や学者と協力して法的戦略(訴訟と法的研究、文書化、権利擁護)を開発および展開するとともに、民主主義の衰退と闘うための法的ツールの使用に関する体験学習に学生を参加させる。すなわち、さまざまな状況における民主主義の衰退と闘う最善の方法についての法的知識を広め、共有する。

〇SLSの学際的なアプローチ(Interdisciplinary Approach)

 スタンフォード大学は、伝統的な学問の境界を越えた学習とイノベーションの中心地として知られている。法律実務の影響に関する研究室は、キャンパス全体のリソースを活用し、「ノイコム法の支配研究センター(Neukom Center for the Rule of Law)」、人文科学部、フリーマン・スポッリ国際問題研究所(Freeman Spogli Institute for International Studies)など、幅広い分野にわたる大学の専門知識を活用することで力の相乗効果を生み出している。さらに、スタンフォード・ロー・スクールの経験学習における専門知識は、将来のリーダーが権威主義に抵抗するために法的ツールを使用できるように準備するためのすぐに使えるモデルを提供する。 この取り組みで学生を訓練することにより、本ラボは国内外で民主主義の原則を支持し、擁護する立場にある。すなわち、Rule of Law Impact Lab は、大学全体のスタンフォード インパクト ラボ モデルに触発されており、さまざまな分野にわたる研究者と政策立案者が協力して、世界で最も差し迫った課題のいくつかに取り組むことに重点を置いている。

(2) SLS「ノイコム・法の支配研究センター(Neukom Center for the Rule of Law)」の活動内容

 2022 年に設立されたノイコム・ センターは、ワールド・ ジャスティス・ プロジェクト法の支配インデックス(WJP Rule of Law Index)12/2(22)を含む数多くの研究によって世界中で法の支配が低下していることが明らかになっている重要な時期にその扉を開いた。この学際的なセンターは、研究、教育、コラボレーション、公開討論、政策研究室、実践的な取り組みの拠点であり、そのすべてが共通の目標を共有している。それは、独裁主義へ向かう世界的な傾向を逆転させ、利用しやすい公平な正義と開かれた政府へと流れを変えることである。

 同センターは学際的なプロジェクトに重点を置いており、スタンフォード大学の民主主義・開発・法の支配センターや世界中の学術機関を含め、スタンフォード大学全体の法の支配問題を高めている。 特に、センターは、「ワールド ジャスティス・ プロジェクト」や「ダートマスのコンピュータ化と公正なコミュニティに関するライト センター(The Susan and James Wright Center for the Study of Computation and Just Communities)」など、ノイコム家によって設立された他のプログラムと緊密に連携している。

4.「オープン・ソサエティ・ジャスティス・イニシアティブ(Open Society Justice Initiative:OSJI)」の活動内容

「オープン・ソサエティ・ジャスティス・イニシアティブ(Open Society Justice Initiative:OSJI)の教員、研究員

〇アムリット・シン(Amrit Singh)氏 Professor of the Practice of Law and founding Executive Director of the Rule of Law Impact Lab at Stanford Law School.写真の左上

ロンドン・キングスカレッジの渉外法の客員研究員でもあるアムリット・シン氏は、過去 20 年間にわたり人権弁護士として活動してきた。 彼女の研究は、世界中の現代の権威主義に抵抗するための法的手段の有効性に焦点を当てている。彼女は以前、後記(2)のニューヨークの Open Society Justice Initiative (OSJI) で責任部門のディレクターを務めていた。 OSJI 在職中、彼女は、米国の法廷、欧州人権裁判所、およびアフリカ人権・人民の権利委員会において、幅広い人権に関していくつかの人権報告書を執筆し、権利擁護活動を行い、権威主義に関連する問題を含む戦略的訴訟に従事した。アムリット氏はイェール大学ロースクールとニューヨーク大学ロースクールで教鞭をとった。 また、彼女はイェール大学ロースクールで法学博士号(J.D.)を取得し、オックスフォード大学で経済学の修士号を取得し、英国で学士号を取得し、さらにケンブリッジ大学で経済学の博士号を取得した。 彼女はニューヨークの法律事務所のメンバーでもある。

  オープン・ソサエティ財団(Open Society Foundtion)は、戦略的人権訴訟やその他の法律業務を通じて、その広範な使命と価値観に対する専門的な法的サポートを提供するために、2003 年にオープン・ジャスティス・イニシアティブ(OSJI)を設立した。同事務所の弁護士は、国内外の裁判所や世界中の法廷で多数の個人や団体の代理人を務めてきた。 これらの訴訟は、個人の主張を正当化するだけでなく、法の保護を確立し強化するための前例を設定することを目的としている。

 また、パートナーと協力して、違反を文書化し、解決策を提案および試行するとともに、政策立案者と連携し、世界的な法的経験を活用して、誰もが司法にアクセスできるようにしてきた。

Society Justice Initiativeの世界の拠点

5.スタンフォード大学のマーク・テシエ・ラヴィーン(Marc Tessier-Lavigne)学長の経歴概要

 2016 年からスタンフォード大学の第11代学長を務めるマーク・テシエ・ラヴィーン(Marc Tessier-Lavigne)氏はカナダ生まれ。カナダのマギル大学で物理学、オックスフォード大学で哲学と生理学で学位を取得し、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) で生理学博士号を取得した。 テシエ・ラヴィーン氏の研究は、脳変性疾患(degenerative brain diseases)の原因と治療に焦点を当ててきた。 彼と彼の同僚は、神経細胞間の接続の形成を指示する分子を特定することにより、胎児の発育中に脳の神経回路がどのように形成されるかを明らかにした。 彼の貢献は、全米科学アカデミー、全米医学アカデミー、アメリカ哲学協会の会員としての選出や、英国王立協会、カナダ、医学アカデミー(英国)、米国科学進歩協会、および米国芸術科学アカデミーのフェローとしての選出など、数多くの賞や栄誉によって認められている。

6.グアテマラの新たな法改革の動向

 米国海外協同組合開発評議会((US Overseas Cooperative Development Council:OCDC))は、世界的な所得格差を緩和し、協同組合の組合員にとって大規模な人類の繁栄を可能にするためOCDCのレポート「2019年、パレデス博士はグアテマラの協同組合一般法(政令82~78号)の明確な分析を共有し、その結果、2020年から2021年にかけてグアテマラの協同組合指導者らを訓練し、協力して改革問題に優先順位を付け、指導者向けの改革提案を作成した」を読んだ。改革案はグアテマラ議会の協力主義とNGOに関する委員会に検討のために提出され、現在検討中であるという内容である。

 2019年、筆者のパレデス博士はグアテマラの協同組合一般法(政令82~78号)の明確な分析を共有し、その結果、2020年から2021年にかけてグアテマラの協同組合指導者らを訓練し、協力して改革問題に優先順位を付け、指導者向けの改革提案を作成したとのことである。

Claudia Paredes Castañeda 氏

 筆者のパレデス(Claudia Paredes Castañeda)氏は、グアテマラ司法部の控訴裁判所の判事としての勤務に加えて、サン・カルロス・デ・グアテマラ大学の法学部教授でもあり、ダ・ヴィンチ大学の講師としても支援・協力している。

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欧州連合理事会プレスリリース「北朝鮮:大陸間弾道ミサイルの発射に関するEU上級代表の声明」

2022-11-20 12:28:24 | 独裁国家問題

 筆者の手元に11月19日付けEU の外交および安全保障問題のspokeswomanであるNabila Massrali 氏によるEU上級代表の声明が届いた。(注)

 従来、筆者は北朝鮮問題はEUでは大きくは取り上げてきていないという印象を持っていたが、今回はこのような声明が出された意義について考える意味であえて取り上げ、以下で仮訳する。

Nabila Massrali氏

 EUは、北朝鮮(DPRK)による11月18日に日本の排他的経済水域に着弾した大陸間弾道ミサイル(intercontinental ballistic missile)の発射を強く非難する。EUは、このような危険で違法かつ無謀な行動を深く懸念している。

 大量破壊兵器(mass destruction)を運搬するためのこれまで以上に威嚇的な手段を開発するための平壌の継続的な努力は、すべての国を脅かしている。EUは、北朝鮮に対し、国連安保理決議に違反し、国際的および地域的緊張を高める不安定化行動を直ちに停止するよう要請する。

 EUは、北朝鮮に対し、国連安保理決議の下での義務を遵守するよう求める。北朝鮮は、すべての核兵器、その他の大量破壊兵器、弾道ミサイル計画(ballistic missile programmes)、既存の核計画(existing nuclear programmes)を、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で放棄し、関連するすべての活動を直ちに停止しなければならない。

 北朝鮮は、核不拡散条約(Nuclear Non-Proliferation Treaty.)の下で核兵器国の地位を持つことはできないし、決してできない。北朝鮮が国際の平和と安全にもたらす脅威の増大に対処するために、国連安全保障理事会が適切な方法で対応することが重要である。EUは、すべての国連加盟国が国連安全保障理事会によって課された制裁を完全に実施するために行動を起こす義務を想起する。

 EUは、北朝鮮が非核兵器国としての核不拡散条約及びIAEA包括的保障措置協定(IAEA Comprehensive Safeguards Agreement)の完全な遵守に戻り、追加議定書を発効させることを主張する。同時に、EUは平壌に対し、包括的核実験禁止条約(Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty)に署名し批准するよう要請する。

 EUは、日本及び韓国との連帯を表明し、北朝鮮に対し、全ての主要当事者との有意義な対話を再開するよう改めて要請する。EUは、あらゆる意味のある外交プロセスを支援する用意があり、持続可能な平和と安全の基礎を構築し、朝鮮半島の完全で検証可能で不可逆的な非核化を追求することを目的とした措置を講じるために、関連するすべてのパートナーと協力することを約束する。

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(注)この声明は正確には欧州連合外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長ジュゼップ・ブレイ・フンテーリャス:ジョセップ・ボレル・フォンテイレス(Josep Borrell Fontelles)(スペイン)(任期:2019-2024)氏が行ったものである。

Josep Borrell Fontelles氏

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ロシア連邦の政治体制、法制度等からみた非民主化の実態:新たな連邦体制崩壊の危機はあるのか!(その3完)

2022-09-03 18:12:04 | 独裁国家問題

7.ウクライナ外務省 2022.7.22リリース「Key Q&A on Russia's Agression」

ウクライナ政府声明「 Key Q&A on Russia's Agression」を 仮訳する。

(1) ウクライナに対するロシアの侵略は、いつ、どのように始まったのか?

ウクライナに対するロシアの計画的な武力攻撃は、2014 年 2 月 20 日、ウクライナの領土の一部であるクリミア半島を占領するためのロシア軍の軍事作戦で始まった。

クリミア自治共和国(Autonomous Republic of Crimea)とセヴァストポリ市(city of Sevastopol)の一時的な占領を実行した後、クレムリンは次の段階、つまりウクライナのドンバス(Ukrainian Donbas)での戦争に移行した。ロシアの特殊部隊およびロシア連邦のその他の武装組織の部隊、「休暇中」のロシア兵、および軍事顧問が、ウクライナのドネツク(Donetsk)およびルハーンシク地方(Luhansk regions)の特定の地域で、地方の権力機関、警察署、ウクライナの軍事施設を押収した.

ミンスク合意(Minsk agreements)(注9)と「ノルマンディー形式」の合意(agreements in the "Normandy format")は、OSCE (注10)、およびドイツとフランスの仲介を通じて、平和的解決と、それによって作成された準国家機関に「特別な地位」を付与することで戦争を終わらせることを目的とした努力は、最初の日からロシアによって履行されなかった。

ウクライナに対する武力攻撃を開始することにより、ロシアは、国際法の基本的な規範と原則、多数の二国間および多国間の条約と協定に違反した。

国際社会の共同の政治的および外交的努力は、侵略者に対抗する重要な要素となった。国際機関の枠組み内および二国間レベルで、国際的に認められた国境内でのウクライナの領土保全を支持する多数の文書と決定が採択された。

ロシア連邦を強制的に交渉のテーブルに着かせることを目的とした政治的および経済的制裁は、占領国に対する圧力の最も効果的なツールになった。同時に、世界は、ロシア連邦側の政治的および外交的手段によって武力紛争を解決したいという真の願望を見たことがない。

(2) 2022 年 2 月 24 日に何が起きか?

2021 年 11 月以来、ロシア連邦は、ウクライナを攻撃する意図がないことを保証しながら、ロシア側とベラルーシ側の両方で、ウクライナとの国境に積極的に軍隊を増強してきた。

2022 年 2 月 21 日、ロシアは、ウクライナのドネツクおよびルハーンシク地域の特定の地域で作成されたテロ組織「ルハンスク人民共和国」および「ドネツク人民共和国」を公式に「国家」として「承認」した。(注11)

2022 年 2 月 24 日、ロシア連邦大統領は、いわゆる「ウクライナの非武装化と非ナチ化」を実行するという名目で、いわゆる「特別軍事作戦」の開始を発表しました。その後、午前4時頃、ロシア軍はロシア連邦側、ベラルーシ側、一時的に占領されたクリミア半島からウクライナ全土でミサイル攻撃が行われた。

ウクライナの防衛部門は、最前線全体に沿って占領者を撃退することで対応した。ウクライナ軍、領土防衛軍、およびウクライナ市民からの積極的な抵抗は、ロシアの占領者に多大な損失をもたらし、「電撃戦」を実行し、キエフと主要都市を占領し、ウクライナの権力を変えるというクレムリンの計画を混乱させた。

ロシアによるウクライナに対する大規模な武力攻撃には約 33 万人が関与しており、このうちこの地域のロシア軍グループの数は、大隊戦術グループおよびその他の編成の軍人で最大 15 万人である。空と海の要素を考慮すると、侵略者の部隊のグループには最大22万人の軍人がいる。さらに、8万人を超える軍事部隊および敵の動員予備軍の部隊、戦闘軍システム - 最大 7,000 人、国家警備隊の連邦軍 - 最大 18,000 人、および民間軍事会社 - 最大8,000 人が参加した。

侵略の初日以来、ロシアは戦争のルールと国際法に違反し、大規模な戦争犯罪と人道に対する罪を犯し、民間人を殺害し、インフラを破壊し、住民を国外追放している。ロシア当局は活発な情報戦を実施し、プロパガンダを使用している。

ロシアは一時的にウクライナの領土の約 20% を占領し、保持している。

(3) ヨーロッパと世界の安全保障に対するロシア連邦の対ウクライナ戦争の影響と結果

ウクライナに対するロシアの戦争は、地域的なものではなく、文明の紛争です。 民主的なウクライナは、ロシアの新植民地主義に対する独立のための戦争を繰り広げている。ロシアの新植民地主義は、独立したウクライナ国家の存在権を拒否する独裁政権によって体現されている。 ウクライナは、自由民主主義世界全体を、法の支配に基づく既存の世界秩序の修正主義の試みから保護している。 他方、ロシアは力の原則を適用することによって力のバランスを変えようとしている。

ロシアの人種差別主義(Russian racism)は、ドイツのナチズムの生まれ変わりである。すなわち、他国に対する優越性という帝国主義イデオロギーを利用している。ロシアでは、平和主義のスローガンが禁止され、軍隊と戦争のカルトが育まれている。

クレムリンの軍事的およびハイブリッドな取り組みの主な目標は、東ヨーロッパでの独自の影響範囲を回復することだけでなく、西側世界の多国間機関、主にEUとNATOの団結を破壊し、弱体化させ、信用を傷つけることでもある。ロシアによるウクライナに対する本格的な敵対行為の開始の正式な正当化として使用されたのは、言及された構造への統合の方向へのウクライナの動きであった。

ロシアによるウクライナに対する本格的な敵対行為の開始の正式な正当化として使用されたのは、言及された構造への統合の方向へのウクライナの動きであった。

ロシアは、冷戦での敗北に対する西側諸国への復讐という目標を達成するために、核恐喝を使用して、バルト黒海地域の国々に対する攻撃的な政策を継続している。ロシアは国連安全保障理事会(UN Security Council: SC)の常任理事国であるため、ウクライナに対する攻撃は、SC の 1 つの常任理事国が自らの利益のために拒否権を行使できる場合、この構造の活動の基本的な基盤を破壊する。国連は、否定的なシナリオを防ぐために、組織的な改革を緊急に必要としている。

ロシアのウクライナ侵攻は、世界の物流チェーンを不安定にした。軍事作戦、輸送および農業インフラへの砲撃、ウクライナの黒海港に対するロシアの進行中の封鎖の結果は、アジアおよびアフリカ諸国に政治的不安定を引き起こす可能性があり、世界の世界的な食糧危機を脅かしている。ウクライナは世界の穀倉地帯の 1 つであり、小麦、トウモロコシ、ヒマワリ油の主要な生産国および輸出国である。

(4) 戦争中および戦争後のウクライナの目標

ウクライナは、すべての占領地域の完全な解放、ドネツク(Donetsk)とルハーンシク(Luhansk)地方の一部、クリミア自治共和国、2014 年に占領されたセヴァストポリ市(Sevastopol)を含む、国際的に認められた国境における主権と領土保全の回復に努めている。

ロシアは、ウクライナに引き起こされた大量破壊に対する補償を支払わなければならない。つまり戦争犯罪者は責任を問われなければならない。

ウクライナは、明確かつ効果的な国際的な安全保証を受けるべきである。ロシアは、将来の武力侵略能力を奪われなければならない。

ウクライナは、難民と国内避難民が、ロシアの軍事侵略のために強制退去させられた地域に自発的に帰還するための条件を作成している。

この戦後、ウクライナは改革を経て、ウクライナ憲法で定められた正会員として、欧州およびユーロ大西洋諸国の機関に参加する予定である。

8.ロシアの新しい軍事ドクトリン

 米国ワシントンD.C.に本部を置くArm Control Associationが以下のレポートを公表した。わが国ではほとんど報じられていない内容であり、概要部のみ仮訳する。なお、参考まで本文の目次のみ最後にあげる。

 2022年4月21日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、1993年に発行されたドクトリンに取って代わり、1月に発表された新しいロシアの国家安全保障概念で概説された軍事政策を詳しく説明することを目的とした新しい軍事ドクトリンに署名した。ロシアが言うドクトリンは「本質的に防御的」であり、ロシアの政治と国際関係の両方における現在の「過渡期」のために設計されていると述べている。

 新しい軍事ドクトリンは、現代戦争の性質と原因、ロシアが直面している内外の軍事的脅威、ロシア軍の組織と資金調達、ロシアの武力行使を管理する原則など、幅広いトピックに取り組んでいる。また軍備管理条約の実施、ロシア国内の「違法な武装組織」による脅威、国際制裁の効果的な賦課など、技術、政治、社会、経済の各分野における特定の軍事関連問題にも取り組んでいる。

 新しいドクトリンは、それが補完することを意図している安全保障の概念に沿って、1997 年に発行された国家安全保障の概念で述べられたものよりも、ロシアの核兵器使用の閾値(しきい値)を引き下げるように思われる。すなわち、核兵器は「ロシア連邦の存在に対する脅威の場合にのみ」という内容から、新しいドクトリンは、「ロシア連邦の国家安全保障にとって重大な状況で通常兵器を使用した大規模な侵略に対応して」核兵器の使用を許可している。また、ロシアはすべての「大量破壊兵器」攻撃に対応するために核兵器を使用する「権利を留保する」ことを初めて明確に述べている。

 さらに、このドクトリンは、ロシアが非核兵器国に対して消極的な安全保障を保証することを再確認し、ロシアが核の傘を同盟国にまで拡大することを繰り返し表明している。

 以下は、Nezavisimaya Gazeta(注12)の 4 月 22 日号にロシア語で掲載され、米国外国放送情報サービス (FBIS) によって翻訳されたドクトリンの全文である。読者は、括弧で囲まれた語句は元のテキストの一部であり、括弧で囲まれたものは FBIS によって挿入された説明であることに注意されたい。

*        *         *        *       *         *          *        *         *

 ロシア連邦軍事ドクトリン(以下、「軍事ドクトリン」という)は、ロシア連邦の軍事的安全を守るための軍事・政治的、軍事・戦略的、軍事・経済的基盤を決定する公式見解(戒律)の総体を構成する。

 軍事ドクトリンは、民主主義国家と混合経済の形成、国家の軍事組織の変革、国際関係システムのダイナミックな変革の過渡期に関する文書である。

 軍事ドクトリンは、ロシア連邦の 1993 年の軍事ドクトリンの基本ガイドラインを作成し、軍事分野に関してロシア連邦の国家安全保障概念の教訓を具体化する。軍事ドクトリンの規定は、ロシア連邦の軍事的安全を守ること、また現代の戦争と武力紛争の内容と性質の体系的な分析、および軍事組織の発展と戦争の技術に関するロシアと外国の経験について現在および長期の任務、客観的な要件、および実際の可能性の科学的に正当化された定義に基づいて、軍事政治情勢の状態の包括的な評価とその発展の戦略的予測に基づいている。

 軍事ドクトリンの法的根拠は、ロシア連邦憲法、ロシア連邦連邦法およびその他の規範的な法的行為、および軍事安全保障の保護に関するロシア連邦の国際条約によって規定されている。

 軍事教義の規定は、軍事政治情勢の変化、軍事的脅威の性質と構成、および国家の軍事組織の組織的発展、発展、および利用の根底にある条件を考慮して、明確化および補足される可能性がある。ロシア連邦大統領の連邦議会への年次メッセージ、ロシア連邦軍およびその他の軍隊、軍事組織、および機関の使用計画に関する指令、およびロシア連邦の軍事的安全を保護する問題に関するその他の文書で肉付けされた。

 軍事ドクトリンの実施は、国と軍の指揮統制の集中化と、さまざまな政治、外交、EC の実施を通じて達成される。

【軍事ドクトリンの目次】

Ⅰ.Military-Political Principles

1.Military-Political Situation

2.The Main Threats to Military Security

3.Safeguarding Military Security

4.The State's Military Organization

5.Leadership of the State's Military Organization

Ⅱ.Military-Strategic Principles

1.Nature of Wars and Armed Conflicts

2.Principles Governing the Use of the Russian Federation Armed Forces and Other Troops

III. Military-Economic Principles

1.Military-Economic Provision for Military Security

2.International Military (Military-Political) and Military-Technical Cooperation

9.2020年の連邦憲法改正および憲法裁判所法の改正

(1) 連邦憲法の改正

第1項で述べたとおり、2020年の連邦憲法の改正は大統領の特権化、国際的に見た孤立政策、精神論が目立つ。

 ところで、ロシア内の憲法研究者はこの問題をどのように見ているのか。

 ロシアのサンクトペテルブルク国立大学の憲法学部教授、憲法学部部長、法学部長であるセルゲイ・ベロフ(Sergei Belov)教授のブログを国際的な比較法専門サイトで読んだ。

Sergei Belov教授

 以下でそのブログを引用、仮訳する。

 ロシア連邦憲法は、ソビエト体制の廃止後に実施された民主的改革の一環として、1993年に採択された。この新憲法は、欧米立憲主義の基準と原則をロシアの政府制度に移植することを目的としていた。憲法制度と権利章典の基礎は、通常、西側型の民主国家の基準を満たすことになっているが(ソビエト憲法のいくつかの基礎はあるが)、連邦憲法によって確立された政府制度は「大統領的」であるとレッテルを貼られた。すなわち、大統領は国家元首の地位を維持し、政府のすべての部門を超えて立つと同時に、内閣を任命し、支配するものであった。

 小規模な改正はさておき、連邦憲法は採択以来、主に2008年と2014年の2回に改正された。2008年の改正は、(1)大統領の任期制限を4年から6年に延長し、連邦議会下院(州下院)の代表の任期を4年から5年に延長した。また、(2)政府に年次報告書を議会に提出することを義務付けた。2014年の改正は、(1)司法の構造に関するもので、高等裁判所(州商事裁判所の制度における最高裁判例)を廃止し、(2)最終上訴管轄裁判権を最高裁判所に移管した。憲法の単なる「更新」として描かれているが、その範囲と幅のために、2020年の憲法改正はそれ以上のものである。この記事では、その範囲を説明し、批評家によって提起された異議のいくつかについて議論する。

  2018年10月、憲法改正の必要性についての議論が再び公の場で喚起された。政府の公式日刊新聞(官報)(Rossiiskaia gazeta)に掲載された記事で、ロシア憲法裁判所のヴァレリー・ドミートリエヴィチ・ゾルキン(Valery Dmitrievich Zorkin)長官は、憲法のいくつかの欠点と、それを正す必要性に言及した。ゾルキン長官によれば、政府制度は行政府に有利に不適切に不均衡であり、政府と大統領の間の権限の分配は明確ではなく、地方自治の立場(州当局からの独立性に関する)も明確ではなかった。

Valery Dmitrievich Zorkin長官

 ゾルキン長官は「目標指向で分離した」(tochechnye)憲法改正を提唱した。同年、ドミトリー・メドベージェフ首相が憲法改正の必要性に言及し、2019年を通じて何度か連邦議会下院議長のヴャチェスラフ・ヴォロディン(Вячеслав Викторович Володин:Vyacheslav Viktorovich Volodin)もその意味で発言した。ヴォロディン議長は、大統領が内閣の長を任命することに同意することを超えて、政府を結成し、支配するために国家下院の権限を拡大することを提案した。

Vyacheslav Viktorovich Volodin 議長

 これらすべての注釈は、いかなる法的結果ももたらさなかった。しかし、2020年1月15日に状況が変わった。連邦議会への年次大統領メッセージで、大統領は以下の7つの点で憲法を改正する必要性を宣言した。(注13)

第一に、国際法と国際機関の決定は、ロシア憲法よりも優先されるべきではなく、ロシア憲法と矛盾しなければ、ロシアで執行される可能性がある。これは、ロシア当局(すなわち憲法裁判所)が、ロシアが国際裁判所の判決を執行するか、これを拒否するかを決定する必要があることを意味する。

第二に、ロシア当局は多くの要件と制限を満たさなければならない - すなわち、外国で居住許可証や市民権を持っていないこと。この点の中で、ウラジーミル・プーチンは、極めて曖昧で謎めいたフレーズを発音した:「私は、一人の人物がロシア連邦大統領のポストを2期以上連続して保持することはできないという憲法上の規定を人々が議論していることを知っている。私はこれを原則の問題とは考えていないが、それでも私はこの見解を支持し、共有する。後にこの点が最も議論された問題となった。

第三に、公的な政府の統一という新しい原則は、この二つの間の分裂ではなく、地方自治と国家を統一する憲法に現れるべきである。同じ点でプーチン大統領は、憲法が社会保障措置として最低限の生活以上に最低賃金を保障すべきであるという提案を述べた。

第四に、大統領は、地方知事の役割を強化する必要性に言及し、国務院(主に地域知事によって形成された審議機関)を憲法の法文に含めることを提案した。

第五に、連邦議会下院(Duma)は同意する権限を持つべきであり、首相と内閣のすべてのメンバーを任命する権限を持つべきであるが、「ロシアは大統領共和国の地位を維持しなければならない」が、大統領は政府の政策の目標を定義し、政府のすべてのメンバーを解任する権限を維持すべきである。

第六に、大統領は、上院(連邦評議会)との協議の後、治安機関の長を任命すべきである。

第七に、連邦議会は、大統領、憲法および最高裁判所の裁判官からの提案に基づいて、裁判官の名誉と尊厳を毀損する不正行為が発生した場合に、却下する権限を持つべきである。憲法裁判所は、連続した憲法審査のみの権限を有していたが、連邦議会が採択した法律の合憲性を、国家元首が署名する前に(大統領の要請に応じて)審査する権限を持たなければならない。

 これらの改正案の正当化は、それらを憲法の更新または「近代化」として描くことに焦点を当てた。ロシアの法文化は、司法解釈よりも法改正を通じて法律文書を更新することを強く支持している。ロシアの弁護士と一般市民は、解釈や「憲法の変遷」(ゲオルク・イェリネクの下でのVerfassungswandlung)(注14)による法発展よりも、「憲法改正」(ゲオルク・イェリネクによって分類されたVerfassungsänderung)(注15)による、すなわち法律行為の法文の修正による規制の確実性を好む。

清宮四郎著「憲法Ⅰ」有斐閣 (法律学全集3)312頁参照。

 このアプローチは、憲法のテキストに実質的な社会的変化を含める必要性を前提としている。したがって、この見解によれば、1993年以降、ロシア社会、その政治システム、社会的優先事項、価値観の両方が進化したように見え、この進化は憲法に反映される必要があった。ロシアの文脈でのこの法の「近代化」は、現在のロシアの特定の社会基準のアイデアと原則の探求を意味し、そのほとんどは保守的である。ロシアは、少なくとも公式の政治的修辞学では、個人主義や自由主義の代わりに、伝統的な家族、社会的連帯と責任の概念など、伝統的で正統的な価値観の守護者に取って代わろうとしている。

 ロシアの多くの弁護士や一般の人々にとって、憲法の改正は確実な問題であり、法的規定はテキストで明示的に表現された場合にのみ明確であり、司法判断のような解釈的な情報源では十分に明確ではない。社会主義の伝統は、あらゆる「社会発展の段階」で憲法を改正することを要求した。ソビエト時代には、これは20〜40年(1918年、1936年、1977年)ごとに新しい憲法の採択につながった。しかし、2020年の改正案は新憲法の採択を伴わなかった。多くの当局者は、基本的な原則、アイデア、価値観は手つかずのままであり、改正案は憲法を「更新」しているだけであるというウラジーミル・プーチンのテーゼを繰り返した。

 野党の法律専門家は、このような正式な憲法改正の考えを批判し、そのほとんどは不必要であると主張した。法律の発展を反映したこれらの改正案は、法律レベルにとどまる可能性がある。価値観、宣言、政策は、法的文書、特に憲法に現れるべきではない。彼らの見解では、必要なすべての規制は、解釈を通じて憲法から抽出することができる。

 提案された修正案の共通の目的はほとんど見つからなかった。1月に大統領が宣言した7つの立場は、社会保障政策から連邦構造、政府の形態、憲法審査の設計、司法まで、30以上の修正案に翻訳された。

 憲法改正の手続きを規制する連邦法は、憲法改正法案を特定の問題に限定することを要求している(第2条(2))。批評家によると、提案された修正案はあまりにも多くの異なる主題に関係しており、いくつかの法案に分割し、別々に議論し、採択する必要があった。改正案に盛り込まれた問題の中には、憲法の原則と価値の改訂、確立された社会的保証、公権力の組織化を規制するものもあった。

 これらすべての変更を完全に議論し、投票することは、社会的保証を支持するが政治システムの変化に反対する人々がジレンマに置かれるため、彼らの採用のための公正で適切な方法ではなかった。

 この批評に対する返答は明白ではなかった。すべての改正案を一緒に検討することを支持する唯一のアイデアは、上記の1993年以来、ロシアの社会と政治に起こった実質的な変化である。憲法改正サポーターは、今日の多くの問題において、社会の理想と価値観は、30年前の社会基準や考え方とは異なると考えた。いくつかの問題では、彼らはまた、改正案が現代の法律を憲法に組み込むことを検討し、新しい規制がそこに反映されるべきであると主張した。

 以降の記事では、これらの改正案の手続き的および実質的な詳細の両方に焦点を当てようとしたが、これは理論的および実際的観点から最も興味深いものであり、プロの弁護士と社会の両方で議論を引き起こした。

(2)ロシア連邦の 憲法裁判所法の改正(注16)

「憲法裁判所法」は全 115 か条から成る憲法的法律である。6 つの部(Раздел)に分けられ、それぞれ「ロシア連邦の憲法裁判所の組織と裁判官の地位」(第 1 部)、「ロシア連邦の憲法裁判所における手続の一般規則」(第 2 部)、「特定のカテゴリの事件に関するロシア連邦の憲法裁判所における訴訟の特殊性」(第 3 部)、「重要な規定」(第 4 部)、「経過規定」(第5 部)、「当憲法的法律の施行」(第 6 部)を定める。憲法裁判所の地位や権限は憲法的法律

で定められているために、一般的な法律ではそれらを改めることはできず、憲法的法律による改正が必要になる。

 本ブログでは、同法の詳細の解析は行わないが、この法律の基本構成を理解する意味で条文名のみ挙げる。

 ロシアの民間法律ニュースサイトConsultantPlusシステム(原文:露語)から以下を引用し、仮訳する。なお、ロシア語に自信のある読者はロシア政府の公式日刊紙・官報“Rossiyskaya Gazeta”(https://rg.ru/documents/2020/11/11/ks-dok.html)にも挑戦されたい。

*1994 年 7 月 21 日の連邦憲法第 1-FKZ 号 (2021 年 7 月 1 日に改正) に基づく「ロシア連邦憲法裁判所法」 (改正および補足、2021 年 12 月 1 日から有効)、1994 年 7 月 21 日 N 1-FKZ

ロシア連邦 連邦憲法に基づくロシア連邦憲法裁判所法

1994 年 6 月 24 日ロシア連邦下院(Duma) 採択済み

1994 年 7 月 12 日ロシア連邦国家院 承認済み

第一節 ロシア連邦憲法裁判所の組織と裁判官の地位

第 1 章 総則

第 1 条 ロシア連邦憲法裁判所は憲法上の最高司法機関

第 2 条 ロシア連邦憲法裁判所に関する立法

第 3 条 ロシア連邦憲法裁判所の権限

第4条 第4条ロシア連邦憲法裁判所の構成、設立手続きおよび任期

第5条 ロシア連邦憲法裁判所の活動の基本原則

第6条 ロシア連邦憲法裁判所の判決の拘束力

第 7 条 ロシア連邦憲法裁判所の活動に対する保証

第二章 ロシア連邦憲法裁判所の裁判官の地位

第8条 ロシア連邦憲法裁判所判事のポストのための候補者の要件

第9条 ロシア連邦憲法裁判所判事のポストへの任命手続

第 10 条 ロシア連邦憲法裁判所判事の宣誓

第11条 ロシア連邦憲法裁判所の裁判官の地位と相容れない職業と行為

第 12 条 ロシア連邦憲法裁判所判事の任期

第 13 条 ロシア連邦憲法裁判所の裁判官の独立性の保証

第13.1条。ロシア連邦憲法裁判所の裁判官に資格クラスを割り当てる手順

第 14 条 ロシア連邦憲法裁判所判事の解任不能性

第 15 条 ロシア連邦憲法裁判所の裁判官の免責

第 16 条 ロシア連邦憲法裁判所の裁判官の権利の平等

第 17 条 ロシア連邦憲法裁判所の裁判官の権限の停止

第 18 条 ロシア連邦憲法裁判所の裁判官の権限の終了

第 19 条 ロシア連邦憲法裁判所判事の辞任

第三章 ロシア連邦憲法裁判所の活動の構造と組織

第 20 条 憲法に基づく法的手続きの組織形態

第21条 ロシア連邦憲法裁判所の会期につき検討された問題

第22条 - 2010年3月11日付連邦憲法第7-FKZ号で無効

第23条 ロシア連邦憲法裁判所議長及び副裁判所議長のポストへの任命

第24条 ロシア連邦憲法裁判所議長

第25条 ロシア連邦憲法裁判所議長の職務の一時的な履行

第26条 ロシア連邦憲法裁判所副裁判所長

第27条 2009年6月2日付連邦憲法第2-FKZ号で無効

第28条 ロシア連邦憲法裁判所の手続規則

第二節 ロシア連邦憲法裁判所における手続きの一般規則

第4章 憲法上の法的手続きの原則

第 29 条 独立性

第30条 裁判官の集団審理(事件や質問の検討とそれらに関する意思決定は、ロシア連邦憲法裁判所によって集合的に行われ。この決定は、裁判所の審理で事件の検討に参加した裁判官によってのみ行われる。ロシア連邦憲法裁判所は、少なくとも6人の裁判官が出席して決定を下す権限を有する)

第 31 条 裁判の公開性

第 32条 口頭審理

第 33 条 憲法手続の言語

第 34 条 公判の継続

第 35 条 当事者の競争力と平等

第5章 ロシア連邦憲法裁判所への上訴

第36条 ロシア連邦憲法裁判所における事件の検討の理由と根拠

第 37 条 流通の一般要件

第 38 条 申請書の添付書類

第 39 条 国の義務

第6章 上訴の予備的検討

第 40 条 ロシア連邦憲法裁判所事務局による上訴の検討

第41条 ロシア連邦憲法裁判所裁判官による上訴の予備的検討

第 42 条 審査請求の受理

第 43 条 検討申請の受理の拒絶

第44条 控訴の取り下げ

第七章。ロシア連邦憲法裁判所における事件の審理に関する一般手続規則

第45条 会議の招集

第46条 2010年3月11日付連邦憲法第7-FKZ号で無効

第 47 条 審理のための事件の選任

第 47.1 条 審理なしの事件解決

第48条 事件の集約

第 49条 審理のための準備

第50条 ロシア連邦憲法裁判所の要件

第51条 公聴会の開催通知

第 52 条 訴訟参加者

第 53 条 当事者およびその代表者

第54条 会議の公開

第55条 非公開会議

第56条 事件からの裁判官の解任

第57条 会議のスケジュール

第58条 管理役員

第 59 条 記録

第60条 質問の調査手順

第61条 会期の延期

第 62 条 当事者の説明

第 63 条 専門家の意見

第 64 条 証人の証言

第 65 条 書類の審査

第 66 条 当事者の閉会の辞

第67条 問題の再開

第 68 条 事件の手続の終了

第69条 公聴会の終了

第70条 最終決定のための審査員会議

第8章 ロシア連邦憲法裁判所の決定

第 71 条 決定の種類

第 72 条 決定の採択

第73条2010年3月11日付連邦憲法第7-FKZ号で無効。

第 74 条 決定の要件

第75条 決定書

第76条 裁判官の反対意見

第77条 決定の宣言

第 78 条 決定の公告

第 79 条 決定の法的効力

第80条 ロシア連邦憲法裁判所の決定に関連して、法律およびその他の規範的行為をロシア連邦憲法に沿わせる国家機関および公務員の義務

第 81 条 決定不執行の結果

第 82 条 決定の誤りの訂正

第 83 条 決定の説明

第三節 特定のカテゴリーの事件に関するロシア連邦憲法裁判所の手続の特徴

第9章国家当局の規範的行為とそれらの間の協定のロシア連邦憲法の遵守に関する事例の検討

第84条 ロシア連邦憲法裁判所に上訴する権利

第 85 条 要求の許容性

第86条  検証の範囲

第 87 条 事件の最終決定

第10章 ロシア連邦憲法の遵守に関する事件の検討 ロシア連邦の国際条約のうち、効力を生じていないもの

第 88 条 ロシア連邦憲法裁判所への請求の送付

第89 条 要求の許容性

第90条 検証の範囲

第 91 条 事案の最終決定

第11章 権限に関する紛争に関する事件の検討

第92条 ロシア連邦憲法裁判所に上訴する権利

第 93条 申請の許容性

第94条 検証の範囲

第 95 条 事案の最終決定

第12章 憲法上の権利と自由の侵害の苦情に関する規範的行為の合憲性に関する事例の検討

第96条 ロシア連邦憲法裁判所に上訴する権利

第 97 条 苦情の受理

第 98 条 検討のために不服申立てを受理した結果

第99条 検証の範囲

第 100 条 事件の最終決定

第13章 裁判所の要請による規範行為の合憲性に関する事件の検討

第 101 条 ロシア連邦憲法裁判所への上訴

第 102 条 請求の受理

第 103 条 要請の結果

第104条 第1項ロシア連邦憲法裁判所への要請

第104.1条 ロシア連邦憲法裁判所への要請の送信

第104.2条 リクエストの有効性

第104.3条 試験限界

第104.4条 事件の最終決定

第13 章 外国または国際(州間)裁判所、外国または国際仲裁裁判所(仲裁)の決定の執行の可能性に関する事例の検討

第104.5条 ロシア連邦憲法裁判所への要請の送信

第104.6条 リクエストの有効性

第104.7条 試験限界

第104.8条 事件の最終決定

第14章 ロシア連邦憲法の解釈に関する事例の検討

第 105 条 ロシア連邦憲法裁判所に上訴する権利

第106条 ロシア連邦憲法の拘束力のある解釈

第15章 ロシア連邦大統領またはその権限を行使しなくなったロシア連邦大統領を大逆罪または別の重大な犯罪を犯したとして告発するための確立された手続きの遵守について意見を述べる事件の検討

第 107 条 ロシア連邦憲法裁判所への上訴

第 108 条 要求の許容性

第 109 条 請求及び意見の申出手続

第110条 権力の行使を停止したロシア連邦大統領またはロシア連邦大統領を、大逆罪または別の重大な犯罪の罪で起訴するための確立された手続きの遵守に関する結論

第16章 ロシア連邦の国民投票に提出された問題のロシア連邦憲法との適合性に関する事件の検討

第110.1条 ロシア連邦憲法裁判所への上訴

第110.2条 リクエストの有効性

第110.3条 ロシア連邦憲法裁判所の決定を下す期限

第110.4条 試験限界

第110.5条 事件の最終決定

第17章 法案および未署名または未公開の法律の合憲性の検証に関する事例の検討

第110.6条 ロシア連邦憲法裁判所への要請の送信

第110.7条 リクエストの有効性

第110.8条 リクエストの結果

第110.9条 ロシア連邦憲法裁判所の決定を下す期限

第110.10条 試験限界

第110.11条 事件の最終決定

第110.12条 ロシア連邦憲法裁判所の判決の法的意義

第四節 最終規定

第111条 ロシア連邦憲法裁判所の機構

第112条 2020年9月11日付連邦憲法第5-FKZd号で無効。

第112.1条 情報通信ネットワーク「インターネット」におけるロシア連邦憲法裁判所の公式ウェブサイト

第 113 条 ロシア連邦憲法裁判所の印章

第 114 条 ロシア連邦憲法裁判所の司法権の象徴

第 115 条 ロシア連邦憲法裁判所の所在地

第 五 節 経過規定

この連邦憲法法の発効

******************************************************

(注12) “Nezavisimaya Gazeta” は 1990 年 12 月 21 日に最初に発行された。これは、ソ連崩壊後の初期の最も重要な日刊紙の 1 つであり、モスクワの知識人の意見に近いと見なされていた 。 この紙は1995年に4ヶ月間一時的に閉鎖された。 その後、「ベレゾフスキー・メディア・グループ」の一部となった。

2007年、ベレゾフスキーの政治的および経済的不名誉に続いて、本紙は新しい編集長になったコンスタンチン・レムチュコフと彼の妻エレナに買収された。 買収後、同紙はプーチン政権に対してやや批判的となった。 例えば、中央選挙管理委員会とロシア科学アカデミーに対するクレムリンの統制強化を批判し、2014年にはロシア連邦によるクリミア併合に対して公然と批判した。 それにもかかわらず、Nezavisimaya Gazeta は、Novaya Gazeta や Meduza などの急進的な反対派の出版物よりも、ロシア政府に対してはるかに穏健である。(Wikipediaから抜粋、仮訳した )

(注13)海外立法情報課 大河原 健太郎「 【ロシア】憲法裁判所に関する法改正」 (国立国会図書館 調査及び立法考査局:外国の立法 No.286-2(2021.2))

*2020 年 7 月の憲法改正に伴い、憲法裁判所に関する規定を定めた憲法的法律が改正された。裁判官に関する要件が厳格化され、大統領の意向が反映されやすくなった。

2.「憲法裁判所法」の改正法である 2020 年 11 月 9 日付連邦憲法的法律第 5 号「憲法的法律『ロシア連邦憲法裁判所について』の改正について(「改正法」は 2020 年 11 月 9 日に制定、公布及び施行された。

3 .憲法的法律の改正

(1)裁判官について(改正法第8条、第11条)

(2)違憲立法審査の対象について(改正法第 110.6 条)

(3)大統領の権限について(改正法第 9 条)

上述の、討議段階にある法案への違憲立法審査は、大統領の要請によって行われる。即ち、

大統領の意向で法案の審議を中断させることが容易になった。また、裁判官の任命は大統領の提案に基づいてなされる。裁判所長官の任命についても同様である(改正法第 9 条)。

(注14) Verfassungsänderung:裁判所の解釈によって憲法の内容が変更される結果になったり、議会や政治の慣行によって暗黙のうちに憲法の改正をきたすような現象をいう。

(Jellinek.G: Verfassungsänderung und Verfassungswandlung. 1906)参照。わが国の憲法学者の多くがこの解釈を引用している。例えば、以下の清宮四郎著「憲法Ⅰ」(有斐閣 法律学全集3)312頁参照。

清宮四郎 著「憲法Ⅰ」(有斐閣 法律学全集3)(昭和41年改訂版)312頁

(注15) Verfassungswandlung 「憲法改正」(G.Jellinekによって分類された)

憲法改正とは成典憲法中の条項の修正・削除および追加をなし、あるいは別の条項を設けて、もとの憲法典を増補することによって憲法を意識的に変更を加える行為をいう)

(注16) 海外立法情報課 大河原 健太郎「 【ロシア】憲法裁判所に関する法改正」

*2020 年 7 月の憲法改正に伴い、憲法裁判所に関する規定を定めた憲法的法律が改正された。裁判官に関する要件が厳格化され、大統領の意向が反映されやすくなった。

国立国会図書館 調査及び立法考査局:外国の立法 No.286-2(2021.2)

「憲法裁判所法」であった。この改正法である 2020 年 11 月 9 日付連邦憲法

的法律第 5 号「憲法的法律『ロシア連邦憲法裁判所について』の改正について」5

(以下「改正法」)は 2020 年 11 月 9 日に制定、公布及び施行された。

3 憲法的法律の改正

(1)裁判官について(改正法第8条、第11条)

(2)違憲立法審査の対象について(改正法第 110.6 条)

(3)大統領の権限について(改正法第 9 条)

上述の、討議段階にある法案への違憲立法審査は、大統領の要請によって行われる。即ち、

大統領の意向で法案の審議を中断させることが容易になった。また、裁判官の任命は大統領の提案に基づいてなされる。裁判所長官の任命についても同様である(改正法第 9 条)。

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ロシア連邦の政治体制、法制度等からみた非民主化の実態:新たな連邦体制崩壊の危機はあるのか!(その1)

2022-09-03 14:41:17 | 独裁国家問題

 

 わが国における国際政治、経済、市民生活に関し最重要課題はロシアのウクライナへの侵略問題であることは言うまでもない。

 ところで、そもそもロシアについて我々はメディア、研究者を含め、いかほどの専門知識をもって論じているといえようか。

 筆者はロシア政治やロシア法の専門家ではないが、取り急ぎ以下の7項目について試論を試みるものである。なお、連邦憲法の改正の中身はロシアの憲法学者のコメントを待つまでもなくお粗末としか言いようがない。

  プーチン大統領の真の狙いは、2020年に行った連邦憲法の改正とりわけ第67条-1による1917年から1991年まで存在し、崩壊した世界初の社会主義共和国ロシア共和国(SSR)への復帰である。ロシアの大国主義の復活である(注0)

ソ連崩壊後の独立した連邦構成共和国(Wikipedia から引用)

1.アルメニア 2.アゼルバイジャン 3.ベラルーシ 4.エストニア

5.ジョージア 6.カザフスタン 7.キルギス 8.ラトビア 9.リトアニア

10.モルドバ 11.ロシア 12.タジキスタン 13.トルクメニスタン

14.ウクライナ 15.ウズベキスタン

 この状態を放置することは、いくら大統領に権力集中したとしてもロシア連邦においてもウクライナ以外の連邦を構成する他の共和国等に波及することは言うまでもない。多民族国家が抱える問題は、わが国の理解をはるかに超える問題であることは言うまでもない。

 さらに本ブログの執筆中に新たに4つの注目すべき資料を見出した。1つ目はウクライナ外務省 2022.7.22リリース「Key Q&A on Russia's Agression」、2つ目は2022年プーチン大統領が署名した新「軍事ドクトリン」である。3つ目は2020年11月9日の連邦憲法の一部改正である。4つ目は憲法改正と関連する1994 年 7 月 21 日の連邦憲法第 1-FKZ 号 (2021 年 7 月 1 日に改正) に基づく「ロシア連邦憲法裁判所法」 (改正および補足、2021 年 12 月 1 日施行)の引用である。最後に資料として仮訳し、添付した。

 特に「ロシア連邦憲法裁判所法」の内容はわが国の解説は皆無に近い。時間の関係で条文の見出しのみあげる。

 最後に、筆者が最も関心があり、詳細を解析すべきと考えるものは、ロシア連邦のウクライナ軍事進攻にかかる各国の制裁の内容、国際機関やEU機関の取組等から見た有効性を検証するという問題である。わが国でも一般的に解説されている資産凍結等の(ⅰ) 支払規制(外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする)、(ⅱ) 資本取引規制(外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする)は制裁として本当に有効なのか。

 これだけでも大問題である。別途取りまとめる。

(1)ロシア連邦憲法 第3章 連邦の構造

第65条以下の仮訳

(2)ロシア連邦の防衛法

仮訳:私権制限規定が顕著

(3) ロシア連邦の国家警備隊

(4) ロシア連邦の主要情報(諜報)機関

(5) 2022 年 8 月 25 日のロシア連邦大統領令第 575 号「ロシア連邦軍の権限の確立について」の内容(official 英文の仮訳)

(6)2022年7月14日のロシア連邦法の一部改正「ロシア連邦の個々の法令の改正について」(ロシア日本大使館の仮訳)

国家院にて採択 2022年7月6日; 連邦院にて承認 2022年7月8日

(7)2020年の連邦憲法改正および憲法裁判所法の改正「ロシア連邦憲法裁判所法」 (改正および補足、2021 年 12 月 1 日施行)

3回に分けて掲載する。

1.ロシア連邦憲法(Конституция Рoссийской Фeдерации)の2020年改正問題

 ロシア連邦政府の公式サイト「ロシア連邦憲法(Глава 3. Федеративное устройство)(英訳)」がある。

 ただし、この公式資料の内容は2020年7月4日の改正前である。したがって筆者は、2020年改正法律の全文の入手を試みたが、わが国での全文の入手は極めて困難であった。(注1)そこで、(1)わが国の2020年の改正概要解説をまず引用し、(2)ヴェネツィア委員会(注2)サイト資料にもとづき第65条から79条を改めて逐条的に仮訳した。

(1) 改正連邦憲法の概要

(A)大統領の位置付け 第一の特徴として、大統領の権限が増していることが挙げられる。改正された第 83 条第 1 項により、大統領は政府議長(首相)を解任することができる。また、政府副議長や、国防大臣、司法大臣等の大臣に対する人事権について、第 83 条第 5.1 号の追加により、政府議長の関与が廃止された。

  連邦憲法には大統領の任期に関する再選規定「同一人物が 2 期を超えてロシア連邦大統領を務めることはできない」(第 81 条第 3 項)があり、これにより権力の腐敗や癒着を防いでいた。しかし同条第 3.1 項で「任期規定は、過去にロシア連邦大統領であった人物、現在ロシア連邦大統領である人物」には適用されないと規定された。これにより、プーチン大統領は 2036年まで現職にとどまり得ると、報じられている。

(B)国際法に対するロシア憲法の優先

 改正された第 79 条は、国際法に対する憲法の優先を定める条文である。解釈がロシア連邦憲法に合致しない条約に基づいた国際法はロシア連邦内では執行されない、と定められ、条文解釈においては常に憲法が優先されることが規定された。

(C)領土の割譲禁止

 第 67 条に追加された第 2.1 項は、「領土の統一性」を定め、ロシア連邦領土の割譲を目的とする活動を禁じる。「領土の一部を譲渡しようとする行為及びそのような事態を発生させる行為は認めない」と規定され、政府がそのような交渉の場に就くこと自体を禁じている。国際法に対する憲法優先の原則を定めた第 79 条とあいまって、領土問題に関する交渉を拒否し、あるいはロシア側の譲歩を否定する姿勢を明らかにするものである。

(D)家族等に関する保守的思想

 世界的には、同性婚を認める国家が増え、あるいは子供を持たない生き方にも理解が進むなど、家族・夫婦の在り方について多様化を進める動きが顕著であるが、改正された連邦憲法は

この動きに逆行している。改正された第 72 条第 1 項第 7.1 号は、結婚について「男性と女性の結びつき(союза мужчины и женщины)」と規定し、同性婚を除外している。また、異性婚による家族は子供を養育し、子供は親を支える義務があると明記している。

第 67.1 条に追加された第 2 項及び第 3 項は、歴史観及び思想の統一を定める。同条は、歴史的団結、祖国の防衛者の追悼、神(Бога. 唯一神)への信仰等を規定している。これにより、政権の解釈と異なる歴史認識及び無神論等の思想は事実上制限される。また、同条により、子供に対して愛国心、公民意識及び年長者への敬意を抱くようにさせる義務が規定されている。

 (2) 第3章 連邦の構造 (EU・ベェネツィア委員会資料の逐条仮訳)は次のとおり。

第3章 連邦の構造

第65条

1.ロシア連邦には、ロシア連邦の以下の構成主体が含まれる。

アディゲヤ共和国(Republic of Adygeya)、アルタイ共和国(Republic of Altai)、バシコルトスタン共和国(Republic of Bashkortostan)、ブリヤート共和国(Republic of Buryatia)、ダゲスタン共和国(Republic of Daghestan)、イングーシ共和国(Republic of Ingushetia)、カバルダ・バルカル共和国(Kabardino-Balkarian Republic)、カルミキア共和国(Republic of Kalmykia)、カラチャエヴォ・チェルケス共和国(Karachayevo-Circassian Republic)、カレリア共和国(Republic of Karelia)、コミ共和国(Komi Republic)、クリミア共和国(Republic of Crimea)、共和国マリ・エル(Republic of Mari El)、モルドヴィア共和国(Republic of Mordovia)、サハ共和国(ヤクート)(Republic of Sakha (Yakutia))、北オセチア共和国- アラニア(Republic of North Ossetia - Alania)、タタールスタン共和国(Republic of Tatarstan)、トゥヴァ共和国(Republic of Tuva)、ウドムルシア共和国(Udmurtian Republic)、ハカシア共和国(Republic of Khakassia)、チェチェン共和国(Chechen Republic)、チュヴァシ共和国(Chuvash Republic)。)(計22か国)筆者追記

アルタイ地方(Altai Territory)、トランスバイカル地方(Trans-Baikal Territory)、カムチャツカ地方(Kamchatka Territory)、クラスノダール地方(Krasnodar Territory)、クラスノヤルスク地方(Krasnoyarsk Territory)、ペルミ地方(Perm Territory)、沿海地方(Primorye Territory)、スタヴロポリ地方(Stavropol Territory)、ハバロフスク地方(Khabarovsk Territory)。(計9地方)筆者追記

アムール州、アルハンゲリスク州、アストラハン州、ベルゴロド州、ブリャンスク州、チェリャビンスク州、イヴァノヴォ州、イルクーツク州、カリーニングラード州、カルーガ州、ケメロヴォ州、キーロフ州、コストロマ州、クルガン州、クルスク州、レニングラード州、リペツク州、マガダン州、モスクワ州、ムルマンスク州、ニジニ・ノヴゴロド州、ノヴゴロド州、ノボシビルスク州、オムスク州、オレンブルク州、オレル州、ペンザ州、プスコフ州、ロストフ州、リャザン州、サマラ州、サラトフ州、サハリン州、スヴェルドロフスク州、スモレンスク州、タンボフ州、トムスク州、トヴェリ州、トゥーラ州、チュメニ州、ウリヤノフスク州、ウラジミール州、ヴォルゴグラード州、ヴォログダ州、ヴォロネジ州、ヤロスラヴリ州。(計46州)筆者追記

モスクワ市、サンクトペテルブルク市、セヴァストポリ連邦市 - 連邦政府の重要都市。(計3市) 筆者追記

ユダヤ自治州;(1州) 筆者追記

ネネツ自治管区、ハンティ・マンシ自治管区- ユグラ、チュクチ自治管区、ヤマル・ネネツ自治管区。(計4管区) 筆者追記

2.ロシア連邦への加入およびロシア連邦における新しい構成主体の創設は、連邦憲法によって確立された規則に従って実施されるものとする。

第66条

1.共和国の地位は、ロシア連邦憲法および共和国憲法によって決定される。

2.領土、地域、連邦重要都市、自治区および自治区の地位は、ロシア連邦憲法および領土、地域、連邦重要都市、自治区または自治区の憲章によって決定される。ロシア連邦の対応する構成主体の立法(代表)機関によって採用された。

3.自治区または自治区の立法機関および行政機関の提案により、自治区または自治区に関する連邦法を採択することができる。

4.領域または地域内の自治区間の関係は、連邦法または自治区の州当局と、それに応じて領域または地域の州当局との間の条約によって規制される場合がある。

5.ロシア連邦の構成主体の地位は、ロシア連邦とロシア連邦の主体の相互の合意に基づき、連邦憲法に従って変更することができる。

第67条

1.ロシア連邦の領土には、その対象の領土、内水、領海、およびそれらの領空が含まれる。

2.ロシア連邦は、連邦法および国際法の規範によって定められた規則に従って、ロシア連邦の大陸棚および排他的経済水域において主権を有し、管轄権を行使するものとする。

3.ロシア連邦の構成主体間の国境は、相互の同意に基づいて変更することができる。

第68条

1.ロシア語は、ロシア連邦の全領土における公用語とする。

2.共和国は、独自の公用語を確立する権利を有する。国家機関および地方自治体、共和国の国家機関では、それらはロシア連邦の国語と一緒に使用されるものとする。

3.ロシア連邦は、すべての国民に対し、母国語を保持し、その研究と発展のための条件を作り出す権利を保障する。

第69条

 ロシア連邦は、国際法およびロシア連邦の国際条約および協定の普遍的に認められた原則および規範に従って、先住民小民族の権利を保証するものとする。

第70条

1.ロシア連邦の州旗、紋章および国歌、それらの説明および公式使用の規則は、連邦憲法によって確立されるものとする。

ロシア連邦の首都はモスクワ市とする。首都の地位は連邦法によって決定される。

第71条

ロシア連邦の管轄には以下が含まれる。

a)ロシア連邦憲法および連邦法の採択および修正、それらの遵守の管理。

b)連邦構造とロシア連邦の領土。

c)人と市民の権利と自由の規制と保護。ロシア連邦の市民権、少数民族の権利の規制と保護。

d)立法、行政、司法機関の連邦機関のシステムの確立、その組織と活動の規則、国家機関の連邦機関の形成。

e)連邦政府の財産とその管理。

f)ロシア連邦の国家、経済、環境、社会、文化および国家の発展の分野における連邦政策および連邦プログラムの原則の確立。

g)単一市場のための法的グループの設立; 金融、通貨、信用、税関の規制、貨幣発行、価格政策の原則。連邦銀行を含む連邦経済サービス。

h)連邦予算、連邦税および会費、地域開発のための連邦資金。

i)連邦電力システム、原子力工学、核分裂物質、連邦輸送、鉄道、情報通信、宇宙活動。

j)ロシア連邦の外交政策と国際関係、ロシア連邦の国際条約と協定、戦争と平和の問題。

k)ロシア連邦の対外経済関係。

l)防衛とセキュリティ; 軍事生産; 武器、弾薬、軍事装備、その他の軍事財産の売買に関する規則の決定; 有毒物質、麻薬物質の製造およびそれらの使用規則。

m)国境、領海、空域、排他的経済水域および支出の大陸棚の地位と保護の決定。

n)司法制度、検察庁、刑事、刑事訴訟および刑事執行に関する法律、恩赦および恩赦、民事、民事訴訟および仲裁手続きに関する法律、知的財産の法的規制。

o)法の抵触に関する連邦法。

p)気象サービス、標準化、見本、メトリックタイム・システム(metric and time systems)、測地学と地図作成、地理的単位の名前、公式統計と計測。

q)ロシア連邦の国家賞と名誉称号。

r)連邦国家サービス。

第72条

1.ロシア連邦とロシア連邦の主体の共同管轄権には、以下が含まれる。

a)共和国の憲法および法律、領土、地域、連邦重要都市、自治区または自治区の憲章およびその他の規範的法的行為と、ロシア連邦憲法および連邦法との対応を規定する。

b)人と市民の権利と自由の保護。国民的少数者の権利の保護; 法の支配、法と秩序、公安、国境地帯制度の確保。

c)土地、下層土、水、その他の天然資源の所有、使用、処分の問題。

d)国の財産の境界。

e) 天然資源の利用、農業、環境保護、生態系の安全対策。 特別に保護された自然の領土、歴史的および文化的モニュメントの保護。

e1)育成、教育、科学、文化、体育、スポーツの一般的な問題。

f)ヘルスケアの問題の調整; 家族、母性、父性、子供時代の保護。社会保障を含む社会的保護。

g)ヘルスケアの問題の調整; 家族、母性、父性、子供時代の保護。社会保障を含む社会的保護。アクセス可能で質の高い医療の提供の確保、公衆衛生の維持と強化、健康的な生活のための条件の作成、健康に対する市民の責任ある態度の文化の発展を含む、医療問題の調整。 社会保障を含む社会的保護;

g1) 家族、母性、父性、子供時代の保護。 男性と女性の結合としての結婚の保護。 家庭内で子供をまともに育て、法定年齢に達した子供が両親の世話をする義務を果たすための条件を作り出すこと。

h)ロシア連邦における課税および会費の共通原則の確立。

i)行政、行政手続き、労働、家族、住宅、土地、水、および森林に関する法律。

J)下層土と環境保護に関する法律。

k)司法および法執行機関の職員; 弁護士、公証人。

l)小さな民族コミュニティの伝統的な生活環境と伝統的な生活様式の保護。

m)国家機関および地方自治体の組織の共通原則の確立。

n)ロシア連邦の主題の国際的および対外経済関係の調整、ロシア連邦の国際条約および協定の履行。

2.本条の規定は、共和国、準州、地域、連邦重要都市、自治区、または自治管区に対しても等しく有効である。

第73条

ロシア連邦とロシア連邦の臣民の共同管轄下にある問題に関するロシア連邦の権限とロシア連邦の権限の範囲外では、ロシア連邦の臣民は完全な国家権力を有するものとする。

第74条

1.ロシア連邦の領域内では、商品、サービス、および財源の自由な流れに対して関税国境、会費、またはその他の障壁を設定することは許可されないものとする。

2.安全を確保し、人々の生命と健康を保護し、自然と文化的価値を保護する必要がある場合、連邦法に従って、商品とサービスの移転に関する制限が導入される場合がある。

第75条

1.ロシア連邦の通貨単位はルーブルとする。貨幣の発行は、ロシア連邦中央銀行が独占的に行うものとする。ロシアにおける他の通貨の導入および発行は許可されない。

2.ルーブルの保護と安定の確保は、ロシア連邦中央銀行の主要な任務であり、国家機関の他の機関から独立して遂行するものとする。

3.連邦予算に支払われる税金のシステム、およびロシア連邦における課税および会費の一般原則は、連邦法によって定められるものとする。

4.国家の債務は、連邦法によって定められた規則に従って発行され、自発的に発行されるものとする。

第76条

1.ロシア連邦の管轄下にある問題については、連邦憲法および連邦法が採択され、ロシア連邦の全領土で直接行動を起こすものとする。

2.ロシア連邦とロシア連邦の主題の共同管轄権に基づく問題については、連邦法が公布され、ロシア連邦の主題の法律およびその他の規範的行為がそれらに従って採択されるものとする。

3.連邦法は、連邦憲法に反するものであってはならない。

4.ロシア連邦、ロシア連邦およびロシア連邦の主題の共同管轄権の範囲外で、共和国、領土、地域、連邦の重要な都市、自治区または自治区は、法律およびその他の規範的行為の採択を含む独自の法的規制を行使する

5.ロシア連邦の主題の法律およびその他の立法行為は、本条の第 1 項および第 2 項に従って採択された連邦法と矛盾してはならない。連邦法とロシア連邦で発行された法律との間に矛盾がある場合、連邦法が適用されるものとする。

6.連邦法と、本条第 4 項に従って採択されたロシア連邦構成主体の規範行為との間に矛盾がある場合、ロシア連邦構成主体の規範的法律行為が適用されるものとする。

第77条

1.共和国、地方  連邦重要都市、自治区又は自治管区の国家権力機関の制度は、ロシア連邦の臣民が独立して、かつ、ロシア連邦の憲法制度の原則並びに連邦法によって定める国家権力の代表及び執行機関の組織の一般原則に従って確立する。

2.ロシア連邦とロシア連邦の構成主体の共同管轄権の下の問題に関するロシア連邦とロシア連邦の権限の範囲内で、連邦執行機関と執行機関の執行機関ロシア連邦の臣民は、ロシア連邦の行政権の単一システムを構成するものとする。

第78条

1.連邦行政機関は、その権限を行使するために、独自の領土機関を設立し、対応する役人を任命することができる。

2.連邦行政機関は、ロシア連邦の主題の行政機関との合意により、ロシア連邦憲法および連邦憲法や法律に反しない限り、その権限の一部の履行を彼らに譲渡することができる。

3.ロシア連邦の臣民の行政機関は、連邦行政機関との合意により、その権限の一部の履行を彼らに譲渡することができる。

4.ロシア連邦大統領およびロシア連邦政府は、ロシア連邦憲法に従って、ロシア連邦の全領土における連邦国家当局の権限の実施を保証するものとする。

第79条

ロシア連邦は、国際条約及び協定に従って、国家間団体に参加し、その権限の一部を、人及び市民の権利及び自由の制限を伴わず、かつロシア連邦の憲法制度の原則と矛盾しない限り、これらに移転することができる。

2.ロシア連邦の防衛法

* 私権制限規定が顕著

(1) ロシア連邦院のリリースの仮訳

1996年5月31日連邦法 第61-FZ号「防衛に関する法律」

 ロシア連邦の防衛の基礎と組織、ロシア連邦の国家当局の権限、ロシア連邦の構成主体の国家当局の機能、組織とその役人、防衛分野におけるロシア連邦市民の権利と義務、防衛に関与する力と手段、防衛分野におけるロシア連邦の法律違反に対する責任、防衛に関連するその他の規範を決定する。

 防衛は、ロシア連邦の武力防衛と武力防衛の実施、その領土の完全性と不可侵性に備えるために組織されています。ロシア連邦に対する侵略または侵略の直接的な脅威の場合、ロシア連邦大統領は、一般的または部分的な動員を宣言し、ロシア連邦の領土またはその個々の地域に戒厳令を導入し、連邦評議会および国家下院に直ちに通知し、ロシア連邦軍最高司令官に敵対行為の命令を与える。防衛問題はロシア連邦の管轄に割り当てられています。ロシア連邦の構成機関の執行機関及び地方自治機関は、その権限の範囲内で軍事行政機関と協力して、防衛分野における立法の実施を確保する。

 ロシア連邦軍は、ロシア連邦の防衛の基礎を形成する国家軍事組織である。ロシア連邦軍は、ロシア連邦に対する侵略を撃退し、ロシア連邦の領土の完全性と不可侵性の武力的保護のために、ならびに連邦憲法、連邦法およびロシア連邦の国際条約に従って任務を遂行することを目的としている。

 ロシア連邦及びその市民の利益を保護し、国際の平和及び安全を維持するために、ロシア連邦の軍隊の編成は、普遍的に認められた国際法の原則及び規範、ロシア連邦の国際条約及びこの連邦法に従って、ロシア連邦の領域外で速やかに使用することができる。ロシア連邦の領域外でのロシア連邦軍の編成の運用上の使用に関する決定は、連邦院の関連する決議に基づいてロシア連邦大統領によって行われる。

 ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍隊および機関は、ロシア連邦の国際法および国際条約、連邦憲法法、連邦法、ロシア連邦大統領の規制法行為およびロシア連邦の他の規制法行為の一般的に認められた原則および規範に従って、戒厳令の期間中に使用される。ロシア連邦軍が、その意図された目的によらない武器を使用する任務の遂行に関与することは、連邦法に従ってロシア連邦大統領によって行われる。ロシア連邦軍の指導は、ロシア連邦大統領 - ロシア連邦軍の最高司令官によって行われる。ロシア連邦の軍隊は、ロシア連邦国防省を通じてロシア連邦の国防大臣によって管理される。

 ロシア連邦軍、その他の軍隊、軍事組織および組織では、選挙前のプロパガンダを含む政治的プロパガンダおよび扇動を行うことは禁じられる。

(2) 防衛法の逐条訳

1996年4月24日に連邦の国家院(下院)( Государственная дума)で採択;1996年5月15日に連邦院(連邦会議:上院) Совет Федерации)で承認。

国家院(下院)

連邦院(連邦会議:上院)

この連邦法は、ロシア連邦(注4)の防衛の基礎及び組織、ロシア連邦の国家機関の権限、ロシア連邦の構成機関の国家当局の機能、地方自治機関、組織及びその職員、防衛分野におけるロシア連邦市民の権利及び義務、防衛に関与する軍事力及び手段、防衛分野におけるロシア連邦の法律違反に対する責任、および防衛に関するその他の規則を定める。

第Ⅰ節  防衛の基本と組織

 第1条 防衛の基礎

1 この連邦法において、防衛とはロシア連邦の武力防衛及び武力による保護、その領土の完全性及び不可侵性に備えるための政治的、経済的、軍事的、社会的、法的及びその他の措置の制度をいう。

2 防衛は、ロシア連邦憲法(Constitution of the Russian Federation)、連邦同盟国(CIS)(注5)の憲法、連邦法、本法、ロシア連邦法及びその他の規制上の法律に従って組織され、かつ実施されるものとする。

3 防衛のため、ロシア連邦市民の軍事的義務及び連邦行政機関、ロシア連邦の構成機関の執行機関、地方自治機関及び団体の軍事輸送義務は、所有の形態にかかわらず車両の所有者と同様に定める。

4 防衛のため、ロシア連邦の軍隊(Вооруженные силы Российской Федерации)を設置する。

5 ロシア連邦国家警備隊の軍隊(Федеральная служба войск национальной гвардии Российской Федерации)」は、防衛に関与しなければならない。

6 防衛の分野において一定の任務を遂行するため、民間防衛の分野における問題を解決する権限を与えられた連邦執行機関(以下、軍事組織という)、ロシア連邦対外情報庁(Служба внешней разведки Российской Федерации)(注7)、連邦保安庁(注6)の機関、国家安全保障機関、軍事検察機関、ロシア連邦調査委員会の軍事調査機関の救助軍事組織、連邦支援機関が関与する。 ロシア連邦の国家当局(以下、機関と呼ぶ)の動員訓練、および戦時中に作成された特別な編成を担う。

7 ロシア連邦の軍隊、その他の軍隊、軍隊及び機関は、ロシア連邦の軍隊の使用計画に従って、防衛の分野における任務を遂行する。

8 他の軍隊、軍隊及び機関は、防衛の分野における任務の遂行に備えるため、ロシア連邦軍との共同作戦訓練及び動員訓練に関与しなければならない。

9 軍事組織若しくは武器及び軍事装備を有する部隊の設立及び存在又は連邦法に定めのない兵役の遂行を規定するものは、法律により禁止され、かつ訴追される。

10 ロシア連邦軍、その他の軍隊、軍隊及び機関の必要のために提供される土地及びその他の天然資源は、連邦の所有とする。

11 ロシア連邦の臣民、私有の地方自治体が所有する土地及びその他の天然資源は、ロシア連邦の法律に従ってのみ、ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍隊及び団体の必要により押収することができる。

12 ロシア連邦軍、その他の軍隊、軍隊及び機関の財産は、連邦の財産とし、かつ、経済管理又は運営管理の権利について、これらの軍隊が保有する。2005年7月21日の連邦法第115-FZ号「営業権(concession契約について」に従って、コンセッション契約の締結が許可されているロシア連邦軍の財産は、当該連邦法に従ってコンセッション保有者に譲渡することができる。

第2条 防衛組織

防衛の組織には、以下が含まれる。

1)軍事的危険及び軍事的脅威の予測及び評価。

2)軍事政策の主要な方向性とロシア連邦の軍事ドクトリン(military doctrine )の規定の作成。

3)防衛分野における法的規制。

4)ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および機関の必要な準備における建設、準備および維持、ならびにそれらの使用の計画。

5)ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および機関、武器および軍事装備の制御システムの開発、生産および改善、それらの在庫の作成、ならびに無線周波数スペクトルの使用の計画。

6)戦時中の状況下で働くために、ロシア連邦の国家当局、ロシア連邦の臣民の国家当局、地方自治機関および国の経済の移転および移転のための直接準備の計画。

7) 国の所有権、輸送、通信および人口の形態にかかわらず、ロシア連邦の国家当局、ロシア連邦の構成主体の国家当局の機関、地方自治機関および組織の動員訓練を行う。

8)ロシア連邦の動員ニーズのために意図された物質的価値(動員準備金の予備金および国家物質予備金の還元不能な準備金を含む)の国家物質準備金ストックの一部としての創設する。

9)市民的及び領土的防衛のための措置の計画及び実施。

10)防衛目的のためのロシア連邦領土の運用機器。

11)防衛分野における国家秘密及び防衛分野における公的秘密を構成する情報の保護を確保する。

12)防衛面の利益となる科学の発展。

13)ロシア連邦の国家権力機関、ロシア連邦の臣民の国家権威機関及び防衛分野における地方自治機関の活動の調整。

14)防衛費の資金調達、ならびにロシア連邦の法律に従って実施されるロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍事組織および機関の防衛および活動に割り当てられた資金の支出を管理する。

15)集団安全保障及び共同防衛のための国際協力。

16)防衛分野におけるその他の活動。

第2.1条 ロシア連邦防衛計画

1 防衛分野における措置を計画し及び実施するため、軍事計画に関する一連の相互関連文書を含むロシア連邦防衛計画を策定する。

2 ロシア連邦の防衛計画に含まれる軍事計画文書の作成は、ロシア連邦の軍事計画に関する規則に従って実施する。

第3条 防衛分野におけるロシア連邦の法律

1 防衛分野におけるロシア連邦の法律は、ロシア連邦憲法、ロシア連邦の国際条約に基づくものとし、連邦憲法、連邦法、この連邦法及び防衛分野におけるロシア連邦の法律を含む。

 1.1. ロシア連邦憲法に反して、ロシア連邦の国際条約の規定に基づいて採択された国家内機関の決定は、ロシア連邦における法執行の対象とはならない。このような矛盾は、連邦憲法法に定められた方法で確立され得る。

2.この法律は、ロシア連邦の軍隊、その他の軍隊、軍隊および組織の管理機関の命令およびその他の法的行為による発表に関係なく、有効である。

 1 防衛分野における公的な秘密は、ロシア連邦の国家当局による権限の行使、ロシア連邦の臣民の国家当局の機関の機能、地方自治機関及び防衛分野における措置の組織及び実施のための組織によって形成される情報からなり、その普及は、これらの措置の実施に有害であるおそれがある。

2 法律は、ロシア連邦軍隊の管理機関、その他の軍隊、軍隊及び機関の命令その他の法的行為による告知にかかわらず、効力を有する。

第3.1条 防衛分野における公的な秘密

1 防衛分野における公的な秘密は、ロシア連邦の国家当局による権限の行使、ロシア連邦の臣民の国家当局の機関の機能、地方自治機関及び防衛分野における措置の組織及び実施のための組織によって形成される情報からなり、その普及は、これらの措置の実施に有害であるおそれがある。

2 防衛の分野において公的な秘密として分類される情報のリストには、この連邦法第2条に規定する防衛分野における措置に関する情報が含まれ、国家機密として確立された手続に従って分類されず、かつ、公に利用できないものを含むものとする。

3 情報を防衛分野における公的な秘密を構成する情報として分類し、かつ、防衛の分野における公的な秘密として分類される情報のリスト(以下、「リスト」という)及びその承認を決定する権利は、連邦法により兵役が規定されている連邦行政機関及び連邦州機関の長(当該情報が入手可能な場合)に帰属する。これらのリストはパブリック・ドメインで公開されることがある。

4 防衛の分野における公的な秘密として情報を分類する根拠は、連邦法によって兵役が規定されている連邦行政機関又は連邦州機関の長によって承認された、防衛の分野における公的な秘密として分類されるべき情報のリストを、その者が遵守することにある。

5 防衛の分野における公的な秘密を構成する情報の取扱いの手続は、ロシア連邦政府が定める。

6 防衛分野における公務上の秘密を構成する情報は、アクセスが制限された情報であって、かつ開示の対象としない。

7 防衛の分野における公的な秘密を構成する情報を含む情報にアクセスした者は、公務又は職業上の義務の遂行に関連して、当該情報の秘密を遵守し、かつ、ロシア連邦の国家当局の関連機関、ロシア連邦の主体の国家当局の機関、地方自治機関及びこの情報を提供した団体の同意なしに、この情報を開示しない義務を負う。

8 防衛の分野における公的な秘密を構成する情報の開示を許可した者、及び公務又は職業上の任務の遂行に関連して当該情報にアクセスした者は、ロシア連邦の法律に定める責任を負う。

第II節 防衛分野におけるロシア連邦大統領の権限

 第4条防衛分野におけるロシア連邦大統領の権限

1 ロシア連邦大統領は、ロシア連邦軍の最高司令官とする。

2 ロシア連邦大統領は、次のことを行う。

1)ロシア連邦の軍事政策の主要な方向性を決定すること。

2)ロシア連邦の軍事教義、ロシア連邦の防衛計画及びロシア連邦の軍事計画に関する規則を承認すること。

3) ロシア連邦の軍隊、その他の軍隊、軍事組織及び機関を監督すること。

4) ロシア連邦に対する侵略又は差し迫った侵略の脅威、ロシア連邦に対する武力紛争の勃発、一般的又は部分的な動員を宣言し、ロシア連邦の領域又はその特定の地域において戒厳令を導入し、連邦国家院(Госуда́рственная ду́ма)及び連邦院(Сове́т Федера́ции)に直ちに通知し、ロシア連邦軍最高司令官に対し敵対行為に関する命令を発すること。

5)ロシア連邦憲法及び連邦憲法法に従った戒厳令を確保する分野で権限を行使すること。

6) 連邦法に従い、ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍隊及び機関を、その意図された目的によらない武器を用いて任務を遂行することに関与させる決定を下すこと。

7) ロシア連邦における動員の発表前にロシア連邦に対する侵略の脅威が増大したときにロシア連邦において実施される措置計画、ロシア連邦の軍隊の使用のための計画、ロシア連邦の軍隊の使用のための計画、他の軍隊、軍事組織及び機関の建設及び発展のための概念及び計画、防衛目的のためのロシア連邦の領土の運用機器の計画、ならびにロシア連邦経済の動員計画の主な指標を承認すること。

8)国家軍備計画を承認すること。

9) 核実験その他の特別実験の計画を承認し、かつ、これらの実験の実施を承認すること。

10)ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および機関の上級将校によって満たされるべき軍事職の単一のリスト、およびロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および機関の大佐(第1階級の大尉)によって満たされる軍事ポストの総数を承認し、最高の軍事ランクを割り当て、スタッフが軍事を提供する軍事ポジションに軍人を任命すること。上級将校の階級は、連邦法で定められた方法で彼らを軍事ポストから解放し、兵役から彼らを解雇する。

10.1) 軍人でないロシア連邦の市民を、参謀がロシア連邦軍、他の軍隊、軍隊、軍隊および団体の上級将校の軍事階級を規定する軍事的地位に任命し、これらの役職から解任すること。

11) ロシア連邦軍隊の構造、構成、他の軍隊、統一及び身体までの軍事組織、ロシア連邦軍の軍人及び文民要員の職員数、その他の軍隊、軍事組織及び団体を承認すること。

11.1) ロシア連邦軍、その他の軍隊、軍事組織および組織の動員予備軍の創設を決定し、ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および組織の間の分配を示す予備兵の数を確立する 関連する連邦執行機関、連邦国家機関の提案、および連邦保安局の機関における動員人的予備軍の形成の特徴も確立すること。

12)ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、編隊以上の軍事組織の配備と再配置を決定する。

13) 一般軍事規則、海軍船舶規則、ロシア連邦軍警察憲章、軍事部隊の戦闘旗に関する規則、ロシア連邦の海軍旗、兵役手続、軍事評議会、軍事委員、軍事輸送任務を承認すること。

14)ロシア連邦国防省、ロシア連邦軍参謀総長、および他の軍隊、軍事組織および機関の管理の分野で認可された連邦執行機関(機関)に関する規則を承認し、防衛分野における連邦執行機関、連邦国家機関およびロシア連邦臣民の執行機関の活動の調整の問題を決定すること。

15) ロシア連邦の領土防衛に関する規則、ロシア連邦の領土防衛計画及びロシア連邦の住民の民間防衛及び保護のための計画を承認すること。

16) ロシア連邦の領土内に核弾頭を有する施設並びに大量破壊兵器及び核廃棄物を廃絶するための施設を配備する計画を承認すること。

17) 平和及び国際安全の維持のための作戦へのロシア連邦軍の参加に関する共同防衛、集団安全保障、軍隊及び軍備の削減及び制限に関する条約を含む、防衛分野におけるロシア連邦の国際条約を交渉し、署名すること。

18) 兵役、軍事訓練(ロシア連邦の徴兵された市民の数及びロシア連邦軍、他の軍隊、軍隊及び機関におけるその分布を示す)のためのロシア連邦市民の徴兵に関する法令を発令すること、並びに連邦法に定める方法で徴兵の下で兵役を行うロシア連邦市民の兵役からの解雇に関する法令を発行すること。

19) 国の防衛及び国家安全保障の利益のために活動を行う組織並びに連邦国家高等教育機関のリストを作成し、契約に基づいて兵役を遂行する軍人を軍事職に派遣しないで派遣することができること、並びにこれらの各組織の軍事職に派遣されない軍人の総数を確立すること。

20)ロシア連邦憲法、連邦憲法法、連邦法およびロシア連邦法によって割り当てられた防衛の分野において、他の権限を行使すること。

第5条防衛分野における連邦議会の権限

1 連邦上院たる連邦院は、次のことを行う。

1)連邦下院たる国家院が採択した連邦予算に関する連邦法によって定められた国防費を検討すること。

2) 連邦下院たる国家院が採択した防衛分野における連邦法を検討すること。

3) ロシア連邦の領域又はその個々の地域における戒厳令及び非常事態の導入並びにロシア連邦軍、その他の軍隊、軍隊及び身体が、その意図した目的によらない任務を遂行するために武器を使用することに関するロシア連邦大統領の法令を承認すること。

4)ロシア連邦の領土外でロシア連邦の軍隊を使用する可能性を決定すること。

2 連邦国家院は、次のことを行う。

1)連邦予算に関する連邦法によって定められた国防費を検討すること。

2)防衛の分野で連邦法を採択すること。

第6条 防衛分野におけるロシア連邦政府の権限

ロシア連邦政府は、次のことを行う。

1)ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍隊及び機関の国家及び提供について、その権限の範囲内で、防衛を確保し、かつ責任を負うための措置を実施すること。

2)連邦政府に従属する連邦行政機関の防衛問題に関する活動を指示すること。

3)連邦予算における国防費に関する提案を作成し、連邦国家院に提出すること。

4)ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍事組織および機関に、その命令に応じて武器および軍事装備を装備することを組織すること。

5)ロシア連邦の軍隊、他の軍隊、軍事組織および機関の、その命令により、物質的手段、エネルギーおよびその他の資源およびサービスの提供を組織すること。

6)国家軍備計画の開発と実施を組織すること。

6.1) 軍産複合体の発展のための国家計画を承認し、その実施を組織すること。

7)国家、ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織、機関および特殊編隊のニーズならびに戦時中の住民のニーズを満たすために動員計画の策定を組織し、ロシア連邦経済の動員計画、国家物質的埋蔵量の物質的価値の命名法、それらの蓄積の規範(体積)、還元不能な予備に貯蔵される物質的価値の命名法および量を承認すること 国家物質予備、ならびにロシア連邦の経済、ロシア連邦の臣民の経済および地方自治体の経済のための動員計画を導入すること。

8)国の所有権、輸送、通信および人口の形態にかかわらず、連邦法執行機関、ロシア連邦の構成機関の執行機関、地方自治機関および組織の動員訓練を監督すること。

9)戦時中の生産のための国家防衛命令の実施のための組織の準備、組織による国家防衛命令の履行、動員能力の創設、開発および維持、ならびに連邦執行機関の下での軍事組織の創設およびロシア連邦の法律に従ってロシア連邦軍に移転される車両の準備について、統制を行使すること。

10)連邦行政機関の動員任務を確立すること。

11)防衛産業複合体の国家組織、研究開発組織の創設、再編成および清算に関する決定を下し、それらの再編成および清算の手順を決定すること。

12)ロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織および機関の財政的および経済的活動の条件を決定すること。

13)軍事専門教育機関、高等教育の軍事教育機関、高等教育の連邦国教育機関の軍事訓練センターの設立を決定すること。

14)高等教育の連邦国教育機関における軍事訓練センターに関する規則を承認すること。

15) 2004年8月22日付連邦法N 122-FZは無効とする。

16)ロシア連邦の領土内に核弾頭を有する施設並びに大量破壊兵器及び核廃棄物を廃絶するための施設を配備するための計画の策定を組織すること。

17)連邦執行機関、ロシア連邦の構成機関の執行機関、地方自治機関、組織、ならびに軍事輸送任務の車両の所有者、ロシア連邦市民の兵役準備、軍事登録、兵役および代替文民サービスのための徴兵、軍事訓練を実施すること。

18)軍事登録、兵役のための徴兵、兵役のためのロシア連邦市民の準備、動員人間予備軍におけるロシア連邦市民の滞在のための手順、軍事訓練の実施、ならびに軍事登録の専門のリストに関する規則を承認すること。

19) 2010年12月23日付け連邦法N 377-Fは2011年2月1日に効力を終了。

20)組織、タスクを決定し、民間防衛の一般的な計画を実行すること。

21) ロシア連邦軍、他の軍隊、軍隊及び機関の必要に応じた土地その他の天然資源の付与及び使用の手続を決定すること。

22) 武器及び軍事装備品、防衛施設その他の軍事財産の移転、リース、販売及び処分の手続を確立すること。

23)武器及び軍事装備品、戦略物資、技術及び二重用途製品の輸出に対する管理を組織すること。

24) 連邦予算から防衛のために配分された資金を支出するための手続並びにロシア、他の軍隊、軍隊及びその目的に関係のない任務の遂行に関与する機関の連邦軍資金源を決定すること。

25)軍事協力に関する国際交渉を実施し、関連する政府間協定を締結すること。

26) ロシア連邦の組織及び市民が防衛上の必要のためにその財産を使用することに関連して被った費用を補償するための手続を確立すること。

27)ロシア連邦憲法、ロシア連邦の法律及びロシア連邦大統領の法令により割り当てられた防衛の分野において、他の権限を行使すること。

第7条 防衛分野におけるロシア連邦の構成主体の行政機関及び地方自治機関の機能

 ロシア連邦の構成主体の行政権機関及び地方自治機関は、その権限の範囲内で軍事行政機関と協力して、防衛分野における立法の実施を確保する。

第8条 防衛分野における組織の機能とその職員の義務

 ロシア連邦の法律に従った所有権の形態にかかわらず、組織は以下の機能、義務を負う。

1)軍事インフラ施設の創設、エネルギーその他の資源の提供、武器及び軍事装備、その他の軍事財産の生産、供給及び修理のための国家防衛命令の実施のために締結された国家契約に定める契約上の義務並びにロシア連邦軍、他の軍隊、軍事組織及び機関のニーズに応じた契約上の義務を履行すること。

2)戦時中の特殊編隊の訓練と作成のための動員任務を遂行すること。

3)市民的及び領土的防衛措置の実施を確保し、かつ、これに参加すること。

4)ロシア連邦の立法上およびその他の規制上の法的行為に従って締結された協定(契約)に基づいて、ロシア連邦の経済、ロシア連邦の臣民の経済および地方自治体の経済の動員計画によって規定された活動を実施すること。

5) ロシア連邦政府が定める手続に従って軍事輸送任務を遂行すること。

6)従業員の軍事登録を行い、ロシア連邦の法律に従って、彼らが所有する防衛用建物、構造物、車両およびその他の財産のニーズを提供し、ロシア連邦政府が定めた方法で発生した費用に対するその後の補償を行うこと。

2.組織の役員、所有権の形態にかかわらず、

1) ロシア連邦の法律により定められた防衛の分野においてその職務を遂行する。

2)従業員がロシア連邦の法律に従って軍事任務を遂行するために必要な条件を作り出すこと。

3)防衛強化を目的とする組織の設立を支援すること。

第9条 防衛分野におけるロシア連邦市民の権利と義務

ロシア連邦市民は、以下の権利と義務を負う。

1)連邦法に従って軍事任務を遂行すること。

2)市民的及び領土的防衛措置に参加すること。

3) 防衛の強化に資する機関及び公共団体を設置すること。

4)戦時中、連邦行政機関が所有する建物、構造物、車両およびその他の財産の要請に応じて防衛の必要性を提供し、ロシア連邦政府が定めた手順に従って発生した費用に対するその後の補償すること。

 

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(注0) 筆坂 秀世氏が指摘(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71698?page=2)されているとおり、スターリンからゴルバチョフ、そしてプーチンと、ロシアの大国主義は骨の髄まで染みついたものなのだ。

(注1)わが国での弁護士資格をもつオリガ・ベロスルドヴァ氏が2020年改正連邦憲法を仮訳している。ただし、残念なことに範囲が第1条から第64条のみである。本文で述べる通り改正の重要点は第65条以下であり本ブログではその内容に触れない。

(注2)ベネツィア委員会(正式には「法による民主主義のための欧州委員会」)は、欧州評議会の諮問機関であり、憲法の分野における独立した専門家で構成されている。ベルリンの壁崩壊後の1990年、中央ヨーロッパと東ヨーロッパで憲法上の支援が緊急に必要になったときに設置された。

(注3) ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国Российская Советская Федеративная Социалистическая Республ, Rossiyskaya Sovetskaya Federativnaya Sotsialisticheskaya Respublika、略称:РСФСР)、略称でロシア共和国(SSR)は、1917年から1991年まで存在していた、世界初の社会主義共和国である。1922年のソビエト連邦建国以降は構成共和国の1つとなり、ソビエト連邦崩壊でロシア連邦として独立した。また、複数の自治共和国・自治州・自治管区 や、その他の地方区画から構成されていた連邦共和国でもある。

(注4)ロシア連邦構成主体は、「地域」「民族」という2つの異質の概念からなる区分による。地域区分は、46の「州」 (область; oblast')、9の「地方」 (край; kraj)、3の「市」(連邦市、город; gorod)がある。

一方、「民族」区分は、22の「共和国」 (республика; respublika)、1の「自治州」 (автономная область; avtonomnaja oblast')、4の「自治管区」 (автономный округ; avtonomnyj okrug) がある。

「共和国」は民族区分の行われる地域の連邦構成主体であり、州など地域区分の行われている地域の連邦構成主体は「共和国」に属さない。それぞれの連邦構成主体の自治権の範囲はそれぞれの連邦構成主体ごとに異なるという特徴がある。

共和国・自治州・自治管区といった民族区分の連邦構成主体は、ソビエト連邦時代の民族政策において、多数民族(ロシア民族、ウクライナ民族、カザフ民族等)は「共和国」(ロシア共和国、ウクライナ共和国、カザフ共和国等)を、比較的大集団の少数民族(ヤクート民族、コミ民族等)は「自治共和国」(ヤクート自治共和国、コミ自治共和国等)を、より小さな少数民族(チュクチ民族等)は「民族管区」(チュクチ民族管区等)を形成していたことの名残である。

現在のロシア連邦はソ連時代のロシア・ソビエト連邦社会主義共和国(ロシア民族を主体とした共和国)にあたり、現在の「共和国」はソ連時代の「自治共和国」にあたる。(Wikipediaから抜粋)

より詳細は以下のURLを参照されたい。

* http://dvor.jp/geography_russia.htm

* http://dvor.jp/index.htm

*http://dvor.jp/okrug.htm

(注5) 独立国家共同体(Содружество Независимых Государств,英略称: CIS)は、ソビエト連邦の崩壊時に、ソビエト社会主義共和国連邦を構成していた15か国のうちバルト三国を除く12か国(発足当初は10か国)によって結成されたゆるやかな国家連合体(コモンウェルス)である。EU(ヨーロッパ連合)型地域同盟を目ざしており、加盟国の最高指導者で構成される首脳会議が最高意思決定機関である。独自の憲法や議会は持っていない。本部はベラルーシの首都ミンスクに置かれている。

2015年時点での正式参加国数はベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、キルギスタン(現、キルギス)、モルドバ、アゼルバイジャン、アルメニアの9か国。加盟国は平等であり、かつ互いに領土の不可侵を定めている。核兵器の統一管理、共同経済地域の設立などを目標としているが、核兵器以外は成果があまりみられていない。加盟国の中心であるロシアは、北大西洋条約機構(NATO)の東方進出に対抗してCISの結束を強化したい意向であるが、各国の利害が一致せず、形骸化の傾向がみられる。

https://kotobank.jp/word/CIS-3837 (日本大百科全書(ニッポニカ)から一部抜粋)

(注6) ロシアの諜報機関には連邦保安庁(Федеральная служба безопасности Российской Федерации:FSB)と対外情報庁(Служба внешней разведки:SVR)およびロシア連邦軍参謀本部情報総局(Главное разведывательное управление,GRU)がある。

連邦保安庁(Федеральная служба безопасности Российской Федерации:FSB) は、ロシア連邦の防諜、犯罪対策を行う治安機関。CIS諸国内においては、対外情報庁(SVR)に代わって、限定的に諜報活動も行っている。 2003年には連邦国境庁(FPS)が行っていた国境警備機能全体、連邦政府通信・情報局(FAPSI)が行っていたSIGINT機能、連邦税務警察庁(FSNP)が行っていた金融犯罪捜査機能の一部も移管され旧ソビエト社会主義共和国連邦のソ連国家保安委員会(KGB)の姿に戻りつつある。(Wikipediaから抜粋)

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