FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

佐藤信夫コーチのフィギュアスケートレッスン見学

2010-11-30 00:28:46 | インポート
いつも楽しそうにクライミングに来るルリちゃん(小2)。彼女のメインスポーツはフィギュアスケートです。彼女は現在浅田真央選手のヘッドコーチをされており、また今回のフランス大会で見事優勝した小塚選手を育てられた佐藤信夫コーチに指導を受けており、週に4~5日は練習のためリンクに通い将来のスケート選手を夢見て頑張っています。

佐藤コーチは、小さいうちはスケートに専門化せずにいろいろなことをさせるべき、という主義の方で、ルリちゃんはスケートのほかにもバレエ、ジャズダンス、テニス、と様々な運動をスケートと並行して行っています。そして、クライミングを習い始めたのもコーチの勧めがあったからと伺っています。
世界のトップアスリートを育てられてきたコーチがどんなレッスンをされるのか。ルリちゃんのご両親にレッスンの様子を見学させていただけたらとお願いしてみるといろいろとご配慮くださり、今日実現したのでした。

レッスンはマンツーマンで1回ほぼ30分くらい。時間帯は各コーチとのお話し合いで決まるようです。
佐藤コーチのレッスンはスケーティングやジャンプやスピンの基本的な要素を徹底して繰り返し、フォームを安定させて体に覚え込ませる感じでした。体の使い方や重心などが安定してきれいに出来た時は手を叩いて賞賛しますが、動きが悪い時には決して妥協しません。
とても地味で忍耐強い作業だけれど、これがやはり何よりも大切なのでしょう。


佐藤コーチは人間的に温かみがありかつ気さくな方で、レッスン後、お話を伺うことも快く承諾してくださいました。
いろいろとお話を伺った中で最も印象に残っているのは、周囲に左右されずに、とにかくその子にとって必要な基本を徹底して身につくよう忍耐強くという信念でした。回りの子供たちがどんなに進んだ技を練習し出していても、じっくりと、基本が完全に身につけるまで繰り返す。ただし、トップレベルに追いつける射程距離をはかりながら・・・ いくら基本の繰り返しが大切、と言ってもトップに追いつけなくなるまで遅れてしまっては取り返しがつきません。それを見据えながら大切と思う基本をしっかりと身につけさせる。これは並大抵のことではありません。その選手にとって何が必要で何が不必要か。どこまで伸びる見込みがあるか。正しく見る目と選手を信じる力と忍耐力、そして何より選手への愛情…だからこそ、一流の選手を育てることが出来たのでしょう。「14~15年かけて育てるのですからね」とおっしゃっていたのが印象的でした。

「中には基本練習ばかりでは飽きてしまう子もいるのではないですか?」という質問すると、「そういうときには、鬼ごっこをして遊びます。」と静かに笑っておられました。