寓居人の独言

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カシン・ベック病 思い出話

2015年11月05日 23時13分47秒 | 日記・エッセイ・コラム

 ある年の札幌雪祭りが始まる頃に1年先輩のA氏が私の

ところへ訪ねてきた。珍しいことがあるものだと思って、久し

ぶりにコーヒーを入れた。A氏は何か特別な話がある様子

だった。しばらく雑談をしてからA氏は2月10日後4日間ほ

ど体が空いていないかという。どうしてかと尋ねると、千葉

大学の病理学にO教授のお手伝いで北海道へ行くことに

なったが、1人では無理なので誘いに来たという。

 病理の教授というのは診療はしないが基礎医学では重要

な仕事を担っているという。そのO教授が北海道のある地域

で子供にだけ発生していたカシン・ベック病というのの予防

のために大変な努力をしている。その手伝いをするというの

だった。仕事の内容は水道水中の有機物の分析だという。

  カシン・ベック病というのは、その病気の発見者、カシンと

ベックというソ連の医師2人の名前を付けたという。症状は

幼児期から15,6才頃までの間にある種の有機物の入った

水で育つと指の関節に異常が発生して治療が出来なくなると

いう。

 私たち3人は札幌雪祭りが終わる頃に東京を出発した。A氏

と私は有機物測定用の薬品類と純水をもって出かけました。

その頃はまだ青函連絡船で青森から函館へ渡るために青函

連絡船に乗り換えました。船は1等寝台というのに乗せてくれ

ました。病理のO教授からはいろんな話を伺え幸運でした。札

幌に宿を取り現地まで3日間列車とタクシーで通いました。初

めて見たその地域の水道水の水は薄い茶色でした。それを目

の細かいフィルターと活性炭を通して濾過すると無色になるの

ですね。この装置をO教授が考案して無料で子供のいる家庭

に設置していたのでした。数ヶ月おきに点検と部品の交換に

いくのですが、その際に水質調査も行うのです。そのお手伝い

にいったのでした。今はきちんとした上水道を設備したと聞い

ています。