ざわざわという駅の喧騒に、
眼球に力を入れ、無理やり瞼をこじ開けた…。え?
なに?
薄ぼんやりと見えてきた景色は、見たこともない不思議な光景だ。
すぅ~と、煙草の煙のにおい。
恰幅のいい厚手のコートを着た男性が窓の外を通りすぎる。
しかも、
オレンジ色の灯りの中、不思議な服を着た人が数人歩いている。
羽織袴に、ブーツ。
白い詰襟にハット。
箱形のスーツケースや丸眼鏡。
え?
何かのお祭り?仮装?
それにしても、本格的だ…。
「……よね。」
「……は、そうだよ。」
何かしらの話し声が聞こえるが、霞がかかったように霞んで遠くに聞こえる。
これは…何?!