「ゲホゲホ…」
「あ、いや、申し訳ない…」
咳き込むと、謎の男は慌てて煙草を消した。
そもそも、電車の中で煙草を吸うとは❗
しかも、これだけ座席が空いているのに、なんでわざわざ隣に座るんだ❗
車内は、自分以外は誰一人いない。
この不思議な光景を見てるのは自分だけなのか?
振り返ると先ほどの謎の二人組は消えていた。
車内で煙草を吸うなどと暴挙を働いたため、格好悪くて降りたのだろう…。
それにしても、車両の外は、きれいなオレンジ色の灯りだ。
ん?焼き物のにおい?
魚が焼けるようなにおいもする。
「…そうなの…」
「…やっぱり…」
綺麗な着物を着た女性と、袴の女性が通り過ぎる。
思い切って話しかけてみよう!
電車から降りようと立ち上がった。