浮気 50

2022-08-25 09:27:03 | 日記
「忙しくて。。。」

会うなり、いつもの言い訳だ。

『何に忙しいの?』

…と、嫌みを言ってしまいそうだ。

「誕生日…だけど…」

あ、そう言えば来週、自分の誕生日だったことを忘れてた。

…忘れてなかったんだ…。

「旅行には行けないから、レストランでご飯でも食べない?」

旅行…、数ヶ月前、旅行好きな笑子のため、『誕生日は旅行を!』と言っていたのを思い出した。

「旅行なんていいよ。会社辞めてお店出すために、お金貯めるんだよね」

「うん、ごめん。」

「…それなら、レストランで食事なんて、いいよ」

「え?それは…」

今となっては、一緒に食事するのも気が重い。

「お金貯めないと!」

「ありがとう」

勇一が体を寄せてきた。

笑子は思わず身を引いた。

たぶん、勇一は自分が距離を置き始めていることを感じているはず。

それならそれでいい。

その日は、軽くお酒を飲んで別れた。

お酒さえも酔わない。

もう、本当に潮どきだな。。。

浮気 49

2022-08-24 08:13:28 | 日記
莉沙が勇一に接近したのは、神田にフラれた腹いせなのじゃないか…と聞いた。

もしもそうだとしても、何も変わらない。

いずれにしても、勇一は莉沙に振り回されている。

このまま限りなく勇一を遠ざけて、フェイドアウトをするのが理想的だ…と思った。



「ブロックした?」

あまりに既読をつけないことから、思いがけないLINEが勇一から来た。

このままブロックするのもいいかも知れない。

「ブロックしてないなら、何か返事して」

泣きの文面だ…。

「ブロック、してないよ。」

フェイドアウトにするためには、ブロックは早すぎると思って返事をした。

「よかった…、ブロックされたかと思った」

自分はそれ以上に未読放置していても、私は騒がず待っていたと言うのに…。

「来週末に会えない?」

先週会ったばかりだったのに…、今回は次の誘いが早い…。

莉沙とも会っているだろうに、どうしたんだろう…。

いよいよ別れ話か…。



浮気 48

2022-08-22 09:11:51 | 日記
勇一の浮気(?)は、れみも知ることとなった。

噂好きのれみに知られれば、あっという間に広まるかも知れない。

……ところが、なかなか噂が広まることは無い。

…というのも、上司の社内不倫が噂になり、それどころではなくなった。

当初の目論み通り、傷は出来るだけ少なくするために、ゆっくりと別れよう。

LINEの連絡を無視して2日目。

「大丈夫?」

と、追いLINEが来た。

それも無視。

こんな対応に、自ら気付いてもいいものを。

プライドなのか、鈍感なのか…と、思う。

「別れたんですか?」

後輩の浜田が声を掛けてきた。

「…うん…まぁね、どうしようか考え中」

「何かあったんですか?」

「……。」

「もしかしたら、莉沙が原因?」

「…え?」

「…あ、すみません💦正確な状況が分かるまで言わないで置こうと思ったんですが…。どうやら、莉沙のターゲットは、先輩の彼に移ったみたいで…。

「え?」

「実は、神田さんから聞いたんですけど、彼女改めて神田さんに告白したらしいんです。だけど、考える余地もなく断ったとか…。そこで、『山下先輩が好きなんでしょう!』と、捨て台詞を言っていたそうです」

「……」

「だから、先輩への嫌がらせ…というか…。まぁ、本当に先輩の彼氏に興味が湧いたのかも知れませんけどね。」



浮気 47

2022-08-20 08:42:14 | 日記
「自分で会社を起こしたいって言ってただろ?資金もある程度何とかなりそうだし、そろそろ、次のことを考えようと思って…」

そう言えばそんな事を言っていたっけ…。

今となってはどうでもいいが…。

意識的に次に会う約束もせず、期待もせず、その日は別れた。

一気に別れると、自分も傷付きそうな気がする。

出来るだけ"別れ"のマイナスエネルギーを少なめにするように、少しずつ縁を遠ざけて行こう。

そして、勇一との関わりも、何かしらの学びだったと思うようにしよう。

この先しばらくは、恋愛をしないと思う。

とにかく心が疲れる。

このまま永遠に恋愛から遠ざかっても構わない…とも思った。


れみが好奇心で爛々とした表情で、近づいて来た。

「やっぱり、先輩の彼氏、莉沙とも付き合ってますよ!!」

「……」

「昨日、二人が仲良く手を繋いで歩く姿を見たんです。」

「……」

「…どうするんですか?」

…どうする…って、私に取り乱して欲しい?泣き崩れて欲しい?

「…そうなんだ…」

「………。」

素っ気ない返事に、れみは戸惑い、それ以上話しを続けることが出来なくなった。

たぶん、ショックのあまり、茫然自失で言葉を失った…とでも、噂を流すのだろう…。

まぁ、それならそれでもいい。

浮気 47

2022-08-19 10:02:39 | 日記
仕方なく、勇一と会った。

問い詰めるつもりは無いが、自分が傷つかないようにそっとフェイドアウトするのもいいかも知れない…と、思った。

「忙しそうだね!」

「…え?どうして?」

「いや、LINEの返信が…遅かったから」

…よく言う…どれだけ自分はLINEを無視するのか…を棚に上げて…。

LINEの返信が遅いのは忙しいから…という事を強調したかったのだろう…。

「そう言えば、今度、君が行きたがっていた美術館に行こうか?」

「……」

美術館の話しをした覚えがない。

私じゃないんじゃない?

私の話しかどうかわからないくらいに、私以外の人とも会ってる…ということ?

もう、不信感しかない。

「あ、旅行もしたいね」

「……」

もう、一緒に何かをしよう…という気持ちになれない。

「あ、そうか…旅行は無理だ…」

「え?」

「自分で会社を起こしたいって言ってただろ?資金もある程度何とかなりそうだし、そろそろ、次のことを考えようと思って…」

「…そう…」

今となってはどうでもいい。