エメラルドの瑕疵

旧 『楽母の人見知り日記』です。 毎日更新しています。気候の良い時期は地元(京都)の寺社散策に励みます。

彼女がその名を知らない鳥たち

2012-07-26 07:38:37 | 
沼田まほかる著  幻冬舎文庫  平成21年 10月10日初版

確か前にも沼田さんの本を読んでたと思うけれど、これまた妙に不安定な気分になる本。

小説って、その内容自体が面白くてぐんぐん引き込まれるものと、その1冊の中に、う~ん、、、うまいな~って感じるフレーズを見つけて刺激を受けるものの二つが私にはある。

てんで面白くないのに、たった1行の為にこれを選んだんだわ!と思えるものに出会ったりすると、面白くなくても充分嬉しい。

この本は、内容も面白くて、なんだか不気味でものすごく嫌いなタイプに描写されてる男も出てきたりで、うわっ、嫌だな~と思っているのに、妙に惹かれて読み終えた。

で、なんで嫌いなタイプの男が頻繁に出てくるのに読もうと思ったかといえば、最初の方に、うまいな~と感じさせる1行があったから。

例えば旅先のホテルだったり、洒落たレストランだったりで、そこそこいい歳の男女がさも嬉しそうに寄りそって会話が弾んでる、という光景は、間違いなく不倫(笑)
長年連れ添ってくたびれ果ててる夫婦にはそんなに会話ってないと思う。

それは、、、会話がなくても成立している関係とも言いかえられるんだけど、この本の中にも、店に入ってきた時から、出る時まで、食事をしたというのに、一言も喋っていない男と女の情景が描かれている。
男はそそくさと食べ終わってしまい、まだ食べている連れ合いをトロンとした目で眺めている。
『女が食べ終えた途端、コップの水を飲む暇も充分には与えずに伝票を持って立ち上がり、そのときに初めて一度女の顔を見る。そのまなざしに含まれる軽蔑に、多少の愛のようなものが確かに混じっていて・・・・』って、ここのくだりでぐっと来ちゃったわけです。

ま、あたしもごくごく単純なヒトなので、こういう光景ってよく見かけるわ、なんて共感した次第。
超高級なレストランではなく、そこらのファミレスとか、王将あたり(笑)
くたびれた中高年の夫婦と思しきカップルは、ほとんど喋っておりません。
かくいうあたくしたちもそうですが。。。

本の内容は勿論、詳しく書けませんが、大人の恋愛ミステリーだそうで(笑)「それでも恋と呼びたかった」ですって。
タイトルの意味が最後の最後に分かる切ないものでした。

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3 コメント

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お返事どぇす (楽母)
2012-07-26 13:46:15
ポンチちゃん
多分、同じようなものも読んでると思うけれど、本の感想、全部書いてるわけじゃないしね。 難しくて感想の書けないのと、えっ! こんな本読んでるの??って思われそうなのはパスしてます。
うちは喋らないよ。 夕飯なんか黙々と食べてる(笑)だから、たまには『美味しい』って言え!と強要します。

kettyさん
長年連れ添った夫婦か、そうじゃないかははっきり分かりますよね。
今年、春先だったか、九州新幹線を使ってのツアーに行った友人の友人(笑)の話だと、大半が怪しかったんですって
いやはや、なんともかんともムニャムニャです。
夫とだと一番気楽で安心だし、言わず語らずでなに思ってるか分かりますしね。
あ~不倫旅行。。。(笑)
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おはようございます (ketty)
2012-07-26 08:43:05

くたびれた中高年の夫婦と思しきカップルは、ほとんど喋っておりません・・・・
 ↑YES,まさしく当たっております。
友達とランチしたら2時間以上喋って、珈琲お替わりする事多いけど、夫婦だとね~(苦笑)
以前夫とツアーで南九州旅行した時、中年のカップルが、ホテルのロビーで、1本の煙草を交代で吸ってるのを見て、不倫カップル?と確信。
旅行中、2人が気になって気になって、絶対ジロジロ見てた不躾な私です
醸し出す雰囲気って有りますよね。
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おはよう (ポンチ姫)
2012-07-26 08:32:28
夏ね(^.^)楽母ちゃんの読む本と、ポンチの読む本は、全然違う?だけど、だから、あっこんな本が、あるんだって、新鮮なんだわ(^_-)殿様と、ポンチの食事中は、煩いくらい、喋りますね。ちょっと黙ってくれない?なんて、言ったら、大変です。いつもらぶらぶラブラドール
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