著者:山之口泉 思潮社
私の好きな沖縄出身の詩人『
山之口貘』の一人娘である泉さんが、お父さんについて書いたものです
山之口獏ファンの方には、もちろんお勧めですが、そうでない方でも、「家族って何だろう」と考え直す、よいきっかけになるのではないかと思います
私が常々自分の両親に感じていたのと、とても似ているところが出てくるのですが、それは「父と母は違う種別の人種だったので、お互いの言語が通じないため、理解しあえないようであった」というところです。
そして、それは本の帯にある「父と母は、結婚して幸せになれたであろうか!」という疑問に繋がるわけです。
その疑問に対する泉さんなりの答えは、最後に書かれています。彼女がこれを書いたのは30代後半か40歳くらいと思われますが、その老成したような洞察力には脱帽です。
また、山之口貘の『沖縄に対する思い』も随所に出てきます。
《以下、本文より》
父は、ある雑誌のインタビューに答えて沖縄の現状に言及し、涙ぐんで絶句したばかりだった。十九歳で故郷を後にしてから、四十年にたった一度しか帰ることのできなかった父だが、沖縄のことを忘れたことは、一瞬たりとなかったと言っても大げさではない。身勝手な日本など、どうしていつまでも祖国と呼ぶのか、一番、ひどい目に会わせた国へ、どうして帰るのか、と、私は父に尋ねたことがある。父は、暫く黙っていた。それから、穏やかな口調で、答えたのである。「沖縄は、日本の子供だ。どんなにひどい親であろうと、子供が親のところに帰って行くのは、あたりまえのことだろう。」
まず最初に読むなら、これがお勧めです
『山之内貘 沖縄随筆集』
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