永六輔:著 光文社
言っている内容は、特に目新しいものはないのですが、ヤマトの人達に、沖縄のよさを紹介しようと思って、イライラ気を揉んでいる著者の思いが伝わってくる楽しい本だと思います。
沖縄には花粉症がないので、春先に「花粉症割引ツアー」をやったらどうかと提案する著者に対して「いいですねぇ。それでは来年でも。」と言うウチナンチュ。そして、たぶんいつまでも手を付けないで放置される。「グズグズしないで今すぐやれー!」という思いでイライラする著者が、自分自身に対して苦笑している様子に同感できます。そういう、のんびりしたところが沖縄の良さでもあるので、怒るわけにもいかず、ただ一人でイライラするしかないのですね。
「沖縄病」という言葉が初めて使われたのは、1960年だそうです。沖縄教育研究中央集会で茅誠司さんという物理学者(東大総長)が、そのときの講演の中で「沖縄のことを考え続ける沖縄病」という表現で使ったそうです。
沖縄病とは?(白水社 沖縄語の入門より)
「沖縄病=戦後に発見された風土病で、もっぱら沖縄以外の(とくにヤマトの)人間に感染します。初期症状では沖縄のポップス、民謡や沖縄料理を愛好する程度ですが、病が進行すると、高い旅費などものともせずに年に何度も沖縄に通いつめたり、三線を習ったりしはじめ、末期には沖縄に移住してしまうこともあります。沖縄の自然や文化・人々との交流によって感染することは確認されていますが、はっきりした原因は不明。治療および予防の方法がまだみつかっていないので注意が必要です。」
どう考えても、重度沖縄病に罹っている著者が、沖縄のために力を貸したいと思い、頑張ろうとすればするほどカラ回りしていく。それを見た沖縄人から、逆に「あんたも大変だねぇ」と同情されている様子が伝わってきて、おもわず笑ってしまいました。
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