大洗女子学園チームの戦車および車輌は、計12種があり、「戦車道」の履修8チームのそれぞれの搭乗車となっています。これらを作るにあたってどのメーカーのキットを選択して購入したか、ということを前回の記事で述べました。今回からは、それぞれの模型キットと、その選択の理由や制作上のポイントなどについて、現時点で自身がまとめた内容にもとづいて簡潔に説明してゆきます。チームごとに順番に述べますが、8チームもあるので、2チームずつに分けて少しずつ書いてゆきたいと思います。今回は、あんこうチームのⅣ号戦車D型と、アヒルさんチームの八九式中戦車を取り上げましょう。
まず、あんこうチームの搭乗車であるⅣ号戦車D型です。劇中ではD型、F2型仕様、H型仕様、の三段階に改造を受けていますが、プラッツの公式キットにて、この三段階の仕様がリリースされています。
これは、Ⅳ号戦車D型の発見時より、戦車道全国大会第2回戦の対アンツィオ校戦までの状態をキット化したものです。元はドラゴンのキットで、中身を色々変更して箱替えしたものです。元のままのキットを模型店で探したのですが、見つかりませんでした。Ⅲ号戦車とかⅡ号戦車の方はけっこう見かけたんですけどね。
ドラゴンのキットにおいては、Ⅳ号戦車は幾つかのタイプが出されているようですが、上画像のようにアフリカ軍団仕様のⅣ号戦車D型もあります。細部があちこち異なっており、最も大きな相違点は砲塔後ろのゲベックカステンでしょうか。これ一つをみても、実際のドイツ軍においてはⅣ号戦車D型のどれもが同じ姿ではなかったことが分かりますね。
で、私自身は、Ⅳ号戦車D型のキットとして上画像のタミヤ製品を選択しました。昔に一度作ったことがあるのと、パーツ構成が初心者向けで制作ガイドにも不備がなく、安心して組み立てられると思うからです。そのまま組み立てると、当然ながら実際のドイツ軍のⅣ号戦車D型として仕上がるので、ガルパン仕様にするために各所の小改造や作り変えを行う必要があります。その箇所は、私が現時点でノートにまとめたところでは20ヶ所以上あります。
また、重要な変更点の一つに、転輪キャップの後期型への交換がありますが、私の場合はH型仕様の制作用にタミヤのH型のキットを買っており、その転輪をH型仕様の制作では使いませんので、このD型の方に転用することになります。こうした転用や交換の関係も考えての、キット選択だったわけです。
なお、古い時期のキットなのでモールドやパーツが甘く、最近のキットに比べるとディティールの上では若干見劣りするかもしれません。そこで、補助用のパーツセットを使ってパーツを新しいものに交換するという方法があります。
これが、補助用のパーツセットである、Ⅳ号戦車車外装備品セットです。タミヤの新しい時期の製品には大抵同じパーツセットが入っているのですが、今回選んだⅣ号戦車D型のキットには入っていないので、このセットが必要になると考えたのです。これはドイツ軍の装備品ですから、Ⅲ号突撃砲やポルシェティーガーなど、同じドイツ軍の戦車のキットにも応用可能と思われます。それで、二つほど買っておけば色々役に立つだろうと考えました。模型店ではあまり見かけなかったので、通販で入手するのが手っ取り早いかもしれませんね。
とりあえず、Ⅳ号戦車D型の制作にあたっては、タミヤのキットと、Ⅳ号戦車車外装備品セットとを使うことにしました。
続いては、Ⅳ号戦車D型改つまりF2型仕様です。対プラウダ校戦時の状態で、プラッツから上画像の公式キットが発売されています。これも元はドラゴンのキットですが、開発時期が比較的新しいそうで、販売元も傘下のサイバーホビーとなっているキットだと聞きました。いわゆるスマートキットの一種なのかもしれませんが、同じドラゴンのⅣ号戦車D型に比べればまだ組み立てやすい、との評判です。ドラゴンのキットに、よく似たG型のキットがありますが、これを使うと主砲のマズルブレーキの形状が異なってしまうようです。
プラッツの公式キットのなかでは、まずまずの出来だということなので、私自身もあんこうチームの戦車の一形式ぐらいはプラッツでやってみようかと考え、このキットを選択しました。このキットだと起動輪がガルパン仕様と異なるので、タミヤのH型キットの部品と交換する必要があります。さらに小改造が15ヶ所ほど必要で、最も難しいのが誘導輪のスポークの造り替えでしょうか。キットでは7本ですが、劇中では6本になっているからです。
これは、Ⅳ号戦車D型改つまりH型仕様です。対黒森峰学園戦時の状態で、劇中における最終状態です。これもプラッツから上画像の公式キットが発売されています。これも元はドラゴンのキットで、箱替えによって公式キット化されていますが、細部がガルパン仕様とは異なります。最も目立つのがシュルツェンの形状、主砲のマズルブレーキ、エアクリーナーの三ヶ所ですが、プラッツはこれらを補うべく、グレードアップパーツを追加発売しています。
これがそのグレードアップパーツです。前述の三ヶ所の相違点をカバーするパーツの他に、ボーナスパーツとしてフラッグと白旗のパーツがつけられています。劇中ではこの、Ⅳ号戦車D型改H型仕様がチームのフラッグ車を務めていましたから、このフラッグパーツの追加はとても有難いですね。
なので、プラッツのキットで、Ⅳ号戦車D型改H型仕様を作る場合は、このグレードアップパーツも忘れずに入手することをお勧めします。
で、私の場合は、Ⅳ号戦車D型改H型仕様をこのタミヤのキットで作る積りです。タミヤのキットはH型そのものなので、今回紹介しているⅣ号戦車D型の三つの型式のなかでは、最も制作が楽で小改造の箇所も少ないからです。最も大きな小改造は、砲塔キューポラ周囲の跳弾防止リングの撤去、でしょうか。これは削って平らにするだけなので、ラインチゼルがあれば楽に出来そうですね。
ただ、残念なことに、起動輪および転輪がガルパン仕様とは異なります。起動輪は劇中では通常型、転輪は後期型という、アニメ仕様にはありがちなごちゃまぜ状態です。この両方の部品は、同じタミヤのJ型のキットに入っています。
実は、私は上画像のJ型のキットも入手しています。これは大阪の模型店を下見見学した際に、近くのホビーショップのジャンク市で中古品を500円で売っているのを見つけ、ガルパン戦車制作用の部品交換用に役立つだろうと思って購入したのです。これが前述のH型の改修に大きく役立つことになったので、とにかく買っておくもんだなあと感心しています。
このJ型は、外見的にはH型と酷似していますが、Ⅳ号戦車の最終型であるために各所の形状は最も新しいものとなっており、また部品の集約化が進んで、マフラーなどが一本に変更されています。キットはシュルツェン付きと無しの二種類がありますが、私が買ったのは無しの方でした。
なお、このJ型のシュルツェン付きを買えば、H型仕様が作れそうに思えますが、部品が集約化されているので、厳密にはH型とは違いますし、ガルパン仕様とも微妙に異なります。私自身は、このJ型のパーツをH型の制作時の交換用に使いますが、また前述のD型およびD型改F2型仕様の制作時においても幾つかのパーツが転用出来るようなので、色々試してみることにします。
今回のラストは、アヒルさんチームの搭乗車、八九式中戦車甲型です。ファインモールドより発売されている公式キットで、現時点ではおそらく唯一の市販キットでしょう。
八九式中戦車にはガソリン車である甲型の他に、ディーゼル車である乙型がありまして、そちらのキットは戦車模型雑誌アーマーモデリングの付録として以前に発売されていました。確か、キットのパーツが三冊分に分割されて販売されていたため、三冊全部を買わないと作れないはずです。この夏の下見見学時に、京都の模型店で二冊ぶんを見かけたり、通販サイトの中古品リストなどにバラで出ているのを見かけたりしましたから、頑張れば全部のパーツを揃えて入手することが可能だろうと思うのですね。でも、確か海軍陸戦隊の仕様で前面のマークも錨になっていると記憶しているので、これをガルパン仕様の陸軍タイプにするのはちょっと無理があるでしょうね。
公式キットの方は、出来そのものは国産品だけあって良いです。ファインモールドの製品はモールドなどの精度の良さで定評がありますし、パーツの合いも良いはずです。なお、八九式中戦車乙型は、世界に唯一現存する一台が陸上自衛隊土浦駐屯地内武器学校に保管されて、自走可能状態までレストアされています。ガルパン制作スタッフは、この現存する乙型を取材してアニメ制作の基本資料にしていたと聞きますが、ファインモールドも同様にこれを取材したということです。そのためか、キットは主砲基部の防楯やマフラーの形状などが、現存する乙型の姿をそのまま再現してあります。
これに対して、ガルパン仕様の甲型は、海外に現存する甲型の姿を忠実に再現したもののようです。それで、キットを制作するにあたっても、乙型の形状に準拠している前述の二ヶ所などを修正する必要があります。あと、劇中では細部があちこち異なるので、それらの改造も行なうことになるでしょう。 (続く)