銀幕大帝α

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ババドック ~暗闇の魔物~

2016年01月25日 14時18分00秒 | 洋画ホラー
THE BABADOOK
2014年
オーストラリア
94分
ホラー
劇場未公開



監督:
ジェニファー・ケント
脚本:
ジェニファー・ケント
出演:
エシー・デイヴィスアメリア
ノア・ワイズマンサミュエル



<ストーリー>
シングルマザーのアメリアは、息子のサミュエルを寝かす際に本を読み聞かせている。ある日、サミュエルは薄気味悪い絵本を取り出し、読んで欲しいとせがむが…。

"The Babadook Official Trailer #1 (2014) - Essie Davis Horror Movie HD" を YouTube で見る


-感想-

表向きではババドックの怪人が母子を悪夢に引きずり込もうとしている内容に見えるけれども、裏を辿ると母と子共々にしか見えていないこれら全ての出来事は幻想・妄想に過ぎないのではないかと。
本を読む以前から息子の言動は普通ではなく、これは一種の統合失調症かしら?
母はそんな息子を一人で育てている為に(父親は息子の出産で病院へと車に妻を乗せて走らせている途中に事故死)、育児ノイローゼとなり半分欝状態に陥っている様に思われる。

精神的な病をババドックのせいにする事で、自分達の今の状態を否定しているか、気付いていないかのどちらか。

ラストでは2人を苦しめたババドックを地下室へと閉じ込め、一定の平和を取り戻したかのような感じにはなっていたが、私の推測ではそれすらも2人が自分達には何も非がないという意味で作り上げた自己満足的な解決方法に過ぎないのではと思ったりも。

危うく心が壊れそうになった所を激しく声を上げる事で何とか歯止めが利かなくなっていた自我の崩れを食い止め、母子はこれまで通りの平素暮らしを始めました、みたいな形として落ち着いてはいたが、それは平静を装っているだけで、何時また同じ事が起きてもおかしくはない怖さは残している。

母が必死に心の内に閉じ込めた狂気。
それは地下に追いやったババドックとしてイコール付けられる。

2人が恐れるババドッグ、所謂心の病気が解き放たれ再び襲って来た時、間違いなく母は完全なる精神崩壊を起こし、今度は愛犬にしたような暴力(最悪殺人)を息子に浴びせる事になるだろう。
そうならない為にも息子は母を苦しめない良い子でい続けるほか無し、かもしれない。

何処にそれあったの?と言っていたが、実妹との会話の中で昔作家をしていたとあったので、多分あの本は母が執筆したものなのではないかなぁ。
思い出さない、忘れる位にもう既にこの本を読む時点で相当気持ちは追い詰めれられていたのかもしれない。

夫を亡くした寂しさ、融通の利かない息子を育てる辛さ。
折れかけた心の隙に強烈なダブルパンチを食らったシングルマザーがよろよろと歩んで行く荒道を、ババドックという怪人に置き換えて精神が蝕まれていく様を映し出し、児童虐待一歩手前まで入り込む経緯を女性監督だからこそ分かり得る子育ての難しさというものを巧みな構成力でホラータッチに描き切った作品。

流石にあんな頻繁に手を煩わされる息子が居たら私でも頭がおかしくなりそうだわ。
もういい加減にして!!!!そんな怒りにも似た気持ちの爆発からくる母の異常事態。
優しき母の顔からやがて鬼の顔へ、そしてプッツン。
様々な表情を使い分けたエシー・デイヴィスの演技力が一際光っていたが、個人的にはどうしても息子の振る舞いが受け付けられず、中盤まではアメリア同様に苛々とさせられたってのは「こんな子が居たらどう思う?キーー!!てなるでしょ?」と苛立ちを共有させる為の思惑通りな術だとすると、計算高い女性監督さんですわ。

評価:★★★
16/01/25DVD鑑賞(準新作)

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レンタル開始日:2015-09-04
メーカー:トランスフォーマー
コメント (4)
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