昨年独立して8丁目にバーを構えたマスター・・・
彼が銀座に修行に来た二十歳のころからの知り合いです。
以前に聞いた追い回し時代のエピソードの中に、「恐るべしご老体」事件がありました。
一番下っ端の彼は、15時入りくらいで買物やら仕込みをこなし、
18時オープンに備えます。 16時くらいにTシャツ短パン姿で掃除をしているところへ
御年80近くなろうかという紳士が赤い顔でゴキゲンに登場。
「やあ〇〇(そこのマスターの名前)いるかね?」
「え
ええ
あの、あの、申し訳ございません。7時を過ぎるまでは来ないかと・・・」
「そうか、ちっと早かったかな(ちっとじゃねーよ)まあいいや、マティーニ頼む」
どっかりとカウンターに着席。 焦る下っ端。
「いえ、あの、ボクまだカクテルとか作らせてもらってないんですが」
「だいじょぶだ。オレが見てやるから」(だいじょばないよ~~
)
状況には全くお構いなしなので、仕方なくマスターに電話。
「え?〇〇さん?いいんだいいんだ、作ってあげて」「ハ、ハイ」
冷や汗ものでマティーニを作り、くだんのご老体は満足げに「じゃあまたな」
お勘定も払わずに帰られましたとさ むろん、永年の(なにしろ三代続く老舗なので)
お客様で、マスターとは(先代ひょっとすると先先代からの)馴染みであり、
駆け出しくんが気にする(危惧する)ことは何もなかったのですが・・・
焦りますよねえ 現在でも、70代後半以上でバーに出かけて来られる方は、
例外なくお酒が強くて、しかもご自分のスタイルをお持ちです。侮るべからず。
実は先日、同じような目に遭いました。
開店時間から逆算して支度と仕込みをしている真っ最中に激しくドアをたたく音。
ベーシストか宅急便かと思って開けたら、何度か会合で団体で見えているご老体。
「あの、まだ準備中なんですけれど」
「いいんだいいんだ、一杯飲んだら帰るから。」
「いえ、そういうことではなくて・・・」
「オレは明日早いんだ。平塚に行かなきゃならねんだ」
・・・知らんがなもう
結局上機嫌でおしゃべりして(会話が通じてたどうか疑問)3杯飲んでお帰りに。
で、紹介者である後輩氏に「ママが親切で特別に入れてくれた」と報告するよ、とのこと。
・・・う~~ん、なんか違うような気がする・・・でもま、結果オーライ
恐るべしOld Folks
70代以下の良ゐ子は決してマネをしてはいけません