GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

お客様と店の関係は50/50

2017-03-19 01:20:04 | FOOD&DRINK
テレビ番組を制作する人へ。
面白そうだと色々取り上げるのはいいのですが、ちゃんと調べてから番組にしてください。

有吉弘行とマツコ・デラックスの「マツコ&有吉の怒り新党」。
結構面白いから見てるんだが、3月8日の放送で「出前の食器を洗わずに返す人」への怒りってのをやっていた。
番組制作側としてはお客のマナーとか店とお客様の関係とか、お金を払うからといってお客側は何しても自由ってのを取り上げたかったんだろうけどさ。その主旨はわからなくはないけど、これちょっと取り上げた題材がピントハズレだったな。

アルバイトで宅配ずしの配達をしているという人からの投稿。
この人は「子どもがいるような家でも桶を洗わずに返す人が多い」「食べ残しの食材やゴミまでそのまま」「信じられません」と怒りを投稿してきた。
これに対して番組では「洗って返す」とか「洗う必要あるか?」って喧々諤々。

食べ残しを入れたままそのまま返却ってのは「何考えてんの?」「もはや人間としてどうなの?」とかレベルだが、「出前のルールやモラルを知らない人が増えたなぁ」と思ってしまうほど、今回はちょっと問題点がずれてた。

出前でとった寿司屋の桶は洗って返すのがルールか、洗わずい返すのがルールか。
正解は、洗わずに返すのがルールだ。
ちゃんとした寿司屋なら「洗わずにそのまま返して」と、どこも言う。
理由は下手に洗剤や家庭用のスポンジで洗われると漆塗りの桶が痛むからだ。

この宅配ずしのアルバイトの人はそれを知らなかっただけだろう。っていうか番組制作者側も知らなかったのか。知ってて無視して作ったのか。

宅配ずしのすし桶は、一般的な寿司屋の桶と違ってプラスティックだからとか言っても無駄だよ。客はいちいちそんなの知らないからね。昔から暗黙のルールになってるものを否定されてもなぁ。
回転寿司とか宅配ずしとか、新たに寿司業界に参入してきた側が「おかしい」と言う事自体が「おかしい」のだから。
「うちは漆塗りとかの桶と違い安物の桶使ってるから、出前の桶の返却は客側が洗って返してね」って明記でもしない限り、客側からすりゃ「なんで洗ってない事を怒られるんだ」って思ってしまうもの。

番組の制作側は前記のとうり、お客側のマナーとか店とお客様の関係、お金を払うからといってお客側は何しても自由ってのは違うよってのを取り上げたかったのかもしれないが、こういったようなちょっとピント外れはよく見かけるのよ。

以前もある寿司屋でタレントが食べるシーンで「私今糖質ダイエットしてるから」って、寿司の上のネタ(刺身のみ)だけ食べてたことがあった。
これは「ハガシ」って言って、まともな寿司屋で一番嫌われる行為。
ロケに同行した番組制作側の人間がこれを知らなかったのか、それとも「金払うんだからどう食べようと自由だろ」と思ってるのか。
まぁそれ以前に、糖質ダイエットとやらをしてるタレントを、食べ物屋さんのロケに連れて行く事自体おかしいけどな。

先日「ラーメン二郎」の支店がtwitterで「二度と来るなと自然に口に出てしまった」とつぶやいたことが取り上げられてた。
これはガツ盛りで有名なラーメン二郎で、初めて来た客には「大は多いので小にしたら」と言うようにしているらしいのだが、その客は再三お願いしたにも関わらず、大を注文した上にトッピングを全て増量(マシマシね)をしたらしい。結局半分以上残し、それで笑いながら「食えるわけねーよ」と言って帰っていったらしい。

これを「客は金を払っている以上、店が文句を言うのはおかしいだろ」って風に取り上げるのは勘弁してほしい。

店が偉いのか客が偉いのか。
接客業を長年やってる俺からすりゃ、店も客も50/50(フィフティ・フィフティ)だと思ってる。
店側はお客様に喜んでもらえるように、満足してもらうように商品やサービスを提供する。
お客様はその代価(お金/価値)に見合うと思えば再来店するし、気に入らなければ失客する。
それだけだ。

俺もバンダナ巻いて「うちのラーメンは芸術品だ」とか「黙って早く食え」とか、客の食い方に文句をつけたり偉そうにしてる店はもう行かない。「当店にふさわしくない方は入店禁止」なんてよほどの高級店や老舗店以外では論外だと思ってる。こんな「これが守れないならうちに来るな」という勘違い野郎の店は、「あほちゃうか」とぼやいて二度と行かなければいいだけだ。



だからといって「客だから」とか「お金払うんだから好きにさせろ」っていう客はもっと大嫌いだ。
こういった客は二度と来るなの前に、うちではあなたを満足させることはできないからお引き取りくださいと断るべきだ。

この番組でも有吉が「『お客様は神様です』ってお前(客)が言うな! それはお店側が言うんだ」「(それなのに)客側が言うなよ『私は神様だ』って」と激しく批判してた。これは納得できる。全くその通りだと思う。
昔に三波春夫さんが「お客様は神様です」って言ったことからず〜と勘違いされてる。三波春夫さんは「歌う時は聴きに来てくれたお客様は神様のつもりで歌う」って言ったんだけどね。
「お客様は神様です」って言葉だけが一人歩きしてしまった。

メディアは「なんか面白そうだ」とか「これはウケそうだ」って気軽に番組やニュースで取り上げたりする。
肝心のマナーや元々の暗黙のルールなんて無視して、論点がずれたことで番組が作られるたびに視聴者が勘違いをしていく。それがどんどん浸透していったり世論にすり替わったりする。かなり「これってこの先問題があるんじゃないのか?」って思われる番組が増えてる気がする。

番組制作側のスタッフや放送作家が無知なのか、そんなことは気にしてないのかは知りませんけどね。
面白ければそれでいいのよ。って
TVやメディアが、このモラルとかルールとかを描かなお番組を作るたびに、「お客はお金を払うんだから何してもいいだろ」とか「店側はお金をもらっている以上サービスの提供をもっと徹底しろ」って勘違いした人が増える。

サービスと水と安全はタダだと勘違いしてる以上に、客側の方が偉いと勘違いしてる人はそのうち
「給食費を払ってるんだから、子供の好きなものを食べさせるべきだ」
「学費を払っている以上、うちの子が授業中に騒ごうが叱るな。怒るな。」
「自治会費を払ってるが、何に使われてるかよくわからないからもう払わん。」
「PTAの加入は自由意志のはずだから入らない」(これはちょっと違うか)
「保育園落ちた、死ね」
などと言い出す。

あげくには
「公務員は私たちの税金で給料もらってるのだから」
って公務員を下のように見下す。
税金は公共のために使われ、住民に還元されるように施設作ったり整備したりするのに使われ、公務員はそのために働いてるんだけどね。決してあなた個人のためではない。

国会議員、県会議員にも市役所の職員に対しても同じような上から目線で言う。
警察も「ゴキブリが出た」くらいで平気で呼んだりする。
救急車もタクシー代わりのように平気で呼ぶ。
自衛隊も守ってくれたり災害で出動するのが当たり前と思ってる。

これらを含め、お客(お金を払う側)の方がサービス提供側(お金ももらう側)より偉いと勘違いしてる人が増えた原因はTVやマスコミにある。
本を読まなくなって、読解力が欠落した現代人。
複雑なストーリーが伏線が読み取れないう単純明快なバラエティしか面白いと感じない現代人。
短文でのLINEやメールでの指先伝聞で、会話での言葉の裏はらが読めなくなった現代人。

番組にするなら、記事にするなら、ちゃんと調べて「本来はこれが正しいです」「本来はこれがルールです」「本来はこれがマナーです」ってのをちゃんと踏まえた上で発表しないと、これらの人は勘違いしてしまう。ただでさえ、気軽に文句が言える時代、一億総クレーマーの時代だ。

論点がずれてない?
主旨はどこに行ったの?
争点はそこなの?
って番組が多すぎる。

スポンサーを気にして、視聴率を気にして、面白ければ何でもありってのは、これからは危険だと思うよ。
それこそお金を払ってテレビを見るようにしてしまった方がいいのかもね。
WOWOWやケーブルテレビのようにね。