GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

広島人に広島風お好み焼きと言ってはいけない

2018-03-06 23:55:15 | FOOD&DRINK
地雷という言葉がある。
この言葉を発すると、それまでにこやかに会話してたのに突然不機嫌になったりしてしまう。
その原因が何かわからないとえらいことになる言葉、WORDだ。

お好み焼き。
これをなぜか東京方面では、関西(大阪風)お好み焼きとか広島風お好み焼きとか言ってしまう。
粉もん文化の関西人ではあえてわ変えてはいないが、関西のお好み焼きはキャベツもタネも卵も全部混ぜて焼く。
広島のお好み焼きは生地だけを先に焼き、その上にキャベツをてんこ盛りにしてひっくり返して蒸し焼きにする。
これだけでも全然違うので、本来なら別の名前がそれぞれついていいのだろうが、なぜかどちらもお好み焼きと名乗ってる。
だから関西風お好み焼きとか広島風お好み焼きと言われてしまう。

しかし、これを不用意に広島人に言ってしまうと危険だ。
それこそ地雷だ。
間違いなく怒られる。不機嫌になる。説教される。

「広島風とゆうな、お好み焼きは広島発祥じゃけぇの。大阪のを関西風とゆううんはわかるがのぅ。」
とまるで菅原文太が乗り移ったかのようにクドクドと怒られるだろう。

実際発祥がどっちなのかはよくわからないが、お好み焼きはもともとは一銭定食(洋食)や、ねぎ焼きから進化したものだ。
関西はテコ(またはコテ)といい、広島はヘラと言う。どちらもこのテコやヘラで食う。最近の若者は箸で食う。まぁお好み焼きなんだからお好みで食えばいい。
関西は豚玉、イカ玉というように卵を混ぜた生地だ。広島は卵を別で焼いて焼きあがったものの上に乗せる。
広島では焼きそば(店によってはうどん)が載せられるが、関西だと焼きそば付きはモダン焼きと名前が変わる。

関西の人間が広島でお好み焼きを食べると「なんか違うなぁ」と思い、広島の人間が関西でお好み焼きを食べると「これは違うなぁ」と思う。
だから、決してそれぞれの土地でわざわざ食わない。
これは宇和島の人がよそで鯛めしを食べても同じように感じるだろうし、山形でもちょっとずれると芋煮が豚肉だったり牛肉だったりするのに違和感感じるのと一緒かね。

俺は両親が山口県出身のせいで、ガキの頃から夏休みとかは広島でお好み焼きを食い、普段は大阪でお好み焼きを食ってるのでどちらも好きなのだがね。
でも、他の地方の人にお好み焼きを進めるとしたら、広島のみっちゃん総本店と、梅田東通の美舟のどっちを薦めるかと言うと・・・、やっぱり美舟かなぁ。
だって自分で焼けるもの。
ゆかりとか風月とか千房とかチェーン店あるけど、自分で焼かせてくれないお好み焼き屋はやっぱり好きになれないな。
今の子らに聞くと「え〜!?焼いてくれる方が楽でいいやん」って言われるんだけどさ。やっぱりお好みの具材をお好みで焼いてこそお好み焼きだと思うのだけどね。

ちゃんぽんだって長崎が有名だけど、いろんな地方で食べるとそれぞれちょっと違う。だけどどれもちゃんぽんだ。長崎の人は長崎風ちゃんぽんなどとは言わない。
たこ焼きだって大阪と京都ではちょっと違う。京都ではなぜかキャベツが入っているが、強風たこ焼きなどとは言わない。
明石焼きも本場明石ではそう言わない。卵焼きだ。世間一般に卵焼きといえばだし巻きとかお弁当に入ってる卵焼きだろうが、明石では違う。

イカ焼きだって世間一般ではイカの姿焼きのことだろうけど、関西では阪神百貨店地下の生地と一緒に焼いてプレスしたものがイカ焼きだ。

肉まんも関西では豚まんだ。関西で肉と言えば牛のことだからな。
どうでもいいことだが関東で豚まん買うとカラシをつけてくれないのは何故だ?カラシはおでん専用か?

おでんも関東炊きというが、関東では関東炊きなんて言わない。これは関東大震災の時に関西からのボランティアが炊き出しでおでんを出したことから由来するらしい。

名古屋名物の一つ、手羽先だって初めて食いに連れてってもらった時(散々食い方指導されるのだが)、「これ手羽先やなくて手羽中やん」って思ったが黙っておいた。
これを名古屋風手羽先だと言ったら名古屋人は怒るだろうなぁ。
九州の焼き鳥もそうだな。鳥じゃなくて豚のモツだけど焼き鳥。「これは関西なら焼きトンだろ?」って思っても黙っておかなけりゃだめだ。もともと焼き鳥って名前で広まったものだもの。
九州では唐揚げが天ぷらという名で売られている。ややこしい。かといってさつま揚げっていうのは鹿児島でもそういうのだろうか、確かめてないからよくわからん。
カツ丼も新潟とか北陸の方に行くと、ソースカツでびっくりする。卵でとじてないのよね。これもそれら地元ではわざわざ●●風カツ丼とは言わない。

京都人が不機嫌になるのはサワラとかの西京漬って言い方。京都では西京漬などとは絶対言わん。あれは味噌漬けだ。関東人が西京と勝手につけた名前が広まってるから勘違いしてる人が多いがね。天皇陛下は行幸で東に行かれてるだけだと思ってる京都人。東京は東の京のことでっしゃろ?って本気で思ってる京都人。西京って・・・。それこそ一気に地雷踏んだことになるよ。
東人さんにはちょっとうちらの味は理解できへんのかもしれまへんなぁって、やんわりと強烈に嫌味言われるだろうね。

最近気になってるのは「汁無し担々麺」。担々麺ってもともと汁がないんだけどね。それを陳さん(エビチリとか麻婆豆腐とかを日本流中華料理の定番にした人)がラーメンと同じく汁をつけて日本風にアレンジしたのが日本の担々麺。これこそ日本風担々麺と呼ばれていいはずなのになぜか汁のない元祖の方がアレンジもの扱い。
台湾にはない台湾ラーメン(名古屋)、トルコに無いトルコライス(長崎・佐世保)、ナポリ人もびっくりナポリタン(発祥横浜)、天津には無い天津飯(これも陳さん)・・・。まぁ、オリジナルが無いものはいいのだけどね。

中国では拉麺や老麺を見事に日本にラーメンとして取られて進化されてしまい、今や日式ラーメン(日本風ラーメン)として逆輸入され席巻されてしまった。だから本家なのにわざわざ蘭州ラーメンとか言って売りだしてたりする。インド人がカルカッタ式カレーとか言ってるようなもんだぞ。

話があっちゃこっちゃに行ってしまったが、あえてどこどこ風とか地名がついた料理は、その地方やその土地では絶対言わないってこと。
そしてその土地で「●●式ナンチャラって美味しいですね」とは絶対言ってはいけない。
地雷はどこにあるのかわからないからね。