GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

ワーケーションってなんだよ

2020-08-11 20:13:46 | Talk is Cheap

まぁ、勝手な造語を作るのが好きなこと。

WorkとVacationを足してワーケーション。

ひどい言葉だなぁ。

 

ステイだのホームだの、Go Toだのと犬のように言われても、ルー大柴か長嶋茂雄かってくらい文章に英語を入れられても、それはまだいい。

でも、造語はいかんよ。ただでさえイメージできないものがもっと分かりにくくなっちゃう。

 

中学〜高校と6年間も英語を習っても、日本人はなぜ英語がしゃべれないのか、使えないのか。

近頃じゃぁ小学生の授業でも英語授業入れてるみたいだけど、それでもやっぱり使えないだろう。

よく言われる「使わないから」とか、「機会がないから」とかではないよ。現にそこらへんにあるものは全て英語(英単語)で言えるはずだ。(ドイツ語や中国語で同じようには絶対言えないはずだ)日本の学校教育は優れてるよ。

 

理由は簡単なのだ。

英語イメージと日本語イメージのギャップ。それが邪魔するのだ。

 

ちょっといきなり話は逸れる。

俺は仕事柄、色彩理論などの講習をする。その際、色の三原色や補色、彩度・明度・色調、三属性など基本からパネルを使って説明する。

赤・青・黄の三原色、1:1:1で混ぜると黒、黒は無彩色で明度が高くなると白・・・とかね。

で、このとき混色を説明する際は必ず質問形式にする。「赤と青を混ぜると何色になる?」ってね。

答えは『紫』「正解です、じゃぁ黄色と青を混ぜると?」『緑です』「正解ですね、じゃぁ赤と黄色では?」『オレンジです』・・・。

 

はい、これがギャップ。

本来ならここでのこの答えは『橙です』が正解なのだが、ほぼ100%『オレンジ』と答えるのだ。今の日本人はあの色を橙とか柿の色とかイメージできてないのよね。

逆に赤にしてもイタリアンレッドでもなければ紅色や朱色でもない。青もハワイの青空・スカイブルーやブルーラグーンの青ではなく、日本の蒼、碧、藍なのだよ。

日本の自然界にある色はどれも原色ではなく、何か混ざってる色なのよ。「赤と白を混ぜたら?」『ピンク』って即答されるけど、これだって頭の中では桜色がイメージされていると思ってる。

 

色相環(hue circle)の説明の際、あえて最初にマンセルとかヘリングだとか言わない。

それ言い出すと三原色は赤ではなくマゼンタになるし、青もシアン、黄色もイエロー、さらに最近ではパソコンやスマホの関係で、液晶でのRGBや印刷のMCYKなども関わってくるから厄介だ。

ただでさえ色なんてイメージで理解してもらうしかないのに余計厄介なのだよ。日本人がカラーコーディネートを習っても活用できない理由と、日本人が学校で英語を習っても使えない理由は同じなのよ。そこが問題なのだよ。

 

色の世界だと特に厄介なのがブラウン。

知っての通り茶色なのだが、日本人がイメージする茶色ってめっちゃ幅広いの。海老茶、鶯、黄土色、煉瓦色、褐色、亜麻色、辛子色、利休・・・。上記記載の「三原色を1:1:1で混ぜると黒」が、どれかが多い割合だと全て茶になるのだよ。(ちょっと強引)

だからベージュとか言われても、彩度は?色相は?って悩んでしまう。まだ「ガンメタ」とか言われた方がイメージしやすくてマシだ。

よく最近芸能人が自分のおうちで毛染めして「ベージュピンクに染めました」などとインスタにあげて喜んでるが、はっきり言ってバカだなぁとしか思わない。ましてや「ピンクアッシュに染めました」とか「レッドバイオレットに染めました」などと言われると、「それ絵の具で作ってみてくれ」と突っ込み入れたくてウズウズする。(まぁ本人たちが喜んでるならそれでいいのだがね)

 

おっといけない話を戻す。

色でさえこの有様だ。

いくら英語でAppleと教えられても、頭の中は津軽りんご、または紅玉。アップルではない。

orangeもValencia orangeのようなものをイメージできたらいいが、蜜柑だろう。温州ね。

マグロ(鮪)というと刺身で美味そうだと思うけど、Tuna(Thunnus)だと缶詰っぽい。スズキだと「今が旬だね」だが、seabassになっちゃうとあんまり美味しそうじゃ無い。

胡椒とpepper、茶とtea、それぞれ日本語と英語ではイメージにギャップがあるのだよ。

 

さぁ、こんな日本人にヴァケーション(vacation)とワーク(work)合わせて「ワーケーション」です。ぜひ」などと言っても通じるのか?通じるわけがない。

だいたい海外ビジネスマンの休暇と日本のサラリーマンの休暇は天と地との差があるし、勤労・奉仕・報連相の日本人の働き方と海外では違う。だいたいサラリーマンでさえ日本の造語だ。

バケーションというからにはリゾート地で青い空、青い海、白い砂浜。またはビールやカクテル飲みながらホテルのプールサイドで読書。

50代以降の人間なら大瀧詠一の『A LONG VACATION』が、

40代以降ならキムタクの『ロングバケーション』や

反町隆史&竹野内豊の『BEACH BOYS』がイメージされるだろう。

 

そんなリゾート・バケーションに仕事を持ち込んで、テレワーク、リモートワークを推奨。

一緒に行った家族や同伴者から「こんなとこまで来て仕事?」とか、「来た意味ないやん」とか嫌味言われるの間違いなし。

家族サービスでお金使って、わざわざ遠く離れたリゾート地にまで行って仕事しろと。メリハリ無いどころか、休暇を取ってまで仕事しろと。金出して疲れて仕事して嫌味言われて何が楽しいのだ?

企画作ったやつは、バブル世代の「24時間戦えますか」時代の生き残りだろうな。

 

 

わざわざくっつけて造語を作ってまで推奨する理由は?

1、分かりにくくして、なんかかっこよさそうに聞こえるでしょの為。

2、なんか新しい取り組みやってる感が出るでしょの為。

3、イケてる会社の働き方改革と、さらに勘違いさす為。

4、とにかく悲鳴をあげてる旅行会社や観光施設に政府はやってますよと言い訳する為。

5、Go Toトラベルとか言った途端にコロナ患者第二波でとんでもない事になったのをごまかす為。

さぁどれだ。

 

バカ丸出しのこの企画。

まず見事にコケるだろう。

成功する要素がまるでないもの。

 

ワーケーション。

「プレミアムフライデー」と同じく、いつの間にか無かったことになってる言葉になるだろう。