日本時間の4月17日早朝、赤沢経済再生担当大臣が、日本政府とアメリカ政府の関税交渉に、はじめてトランプ大統領らと会談した。赤沢は、ベッセント米財務長官とグリア米通商代表部と閣僚級協議の予定だったが、それに先立って、ベッセント米財務長官とラトニック商務長官の参席のもと、ホワイトハウスでトランプと50分会談した。
赤沢は前日の午前中、出発に先立って記者会見をした。テレビでみると、赤沢の目が泳いでいるので、すごいプレッシャーが掛かっているのだと私は感じた。ほとんどのメディアは交渉経験のない赤沢を送りだすことを非難していた。
ジェット機でも東京からワシントンは遠い。着いて、すぐの会議はつらいものだ。私は赤沢がよくそのミッションを努めたと思う。
交渉は外交の一部で、まず、相手の立場を理解し、ウィンウィンの妥協点を探ることである。赤沢が自民党の中での重鎮でなかったことはかえって良かったのではないか。トランプも赤沢に期待せず率直なミーティングを持てたのではないか。
両者のミーティングで、アメリカ側の困り感、日本側の困り感が率直に話されたようだ。
野党の一部は、石破首相が赤沢を送ったことを批判しているが、私として、交渉の第一歩としては成功だったと思う。赤沢、トランプの双方にとって暖かい礼儀を尽くしたミーティングだったらしい。
ミーティング後の赤沢の会見で私が不思議に感じたのは、為替相場の話がミーティングで出なかったことである。トランプ政権側としては、交渉せずとも、ドル安円高に持っていけると思っているのではないか。日本の自動車産業の立場からは、数年前より円が40%安くなっているから、為替相場がこのままなら、25%の関税が追加されても、やり過ごせる。
円安のままであるとは、私には信じられない。円高に向かうと考えて、日本側は、耐えられる体制を今後準備したほうが良いと考える。
また、交渉にあたって、一律の自由貿易が日本にとって正しい選択でもない。世界は国境で分けられて国民と政府があり、理想とする社会が異なるのだから、関税で保護する業種が出てきて当然である。
また、他産業を犠牲にして、自動車産業をアメリカの関税政策から守ることができれば良いという交渉もおかしい。マスメディアはどうして自動車産業ばかりえこひいきするのか。許せない。