テレビを聞いていると、日本政府と東電が放射能汚染水を海洋放出していることを抗議している中国人を、日本政府が抗議するという、不思議なことが起きている。「聞いている」のは、私はテレビを背にして食卓に座っているからだが、「見ている」より客観的に問題をとらえられる。
テレビは、中国人が抗議することを「科学的」でないと非難している。私は、本来、日本人が海洋放出の日本政府を抗議すべきであるのに、日本人があまりにもおとなしいから、中国人が日本人に代わって抗議してくれている、と感謝している。
海洋は人類みんなの財産である。海はすべてつながっている。そこに、わざわざ、薄めてまで放射能汚染水を捨てる必要があるのか。日本政府が海洋に捨てることを国策として推し進めると、これから海洋に放射能汚染物質を捨てる他国を非難できなくなるではないか。薄めれば捨てて良いなどということを許してはならない。日本人は日本政府や東電を非難して実力行動をとるべきである。
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東電の計画では、ALPS処理水を海水で約100倍に薄めて、トリチウム濃度1500Bq/リットルで海洋に放出するとなっている。いっぽう、きょうの薄められた放出水は、トリチウム濃度は200Bq /リットルだという。
東電のホームページには、きょうのALPS処理水の移送流量19m³/h、薄めに使った海水移送流量が15260m³/hだと公表している。すなわち、803倍に薄めて海洋放出したのであるだから、計画よりトリチウム濃度が低くて当然。しかし、これからも、ずっと、そうするのだろうか。
だが、トリチウム200Bq/リットルでも、EUの飲料水の許容濃度100Bq/リットルの2倍である。中国人が海洋放出を抗議するのは無理もない。
テレビでは、付近の海洋でトリチウムがほとんど検出できなかった、と言っている。
これは、陸から1000メートル離れた地点の海の表層に薄めたALPS処理水を放出し、計測しているのは陸から3000メートル以内の10箇所であるからだ。水の拡散スピードはとっても遅いから、場所が異なれば検出できないのは当たり前である。放出水はほとんど拡散せずに、潮流にのって流れていく。私の直観では、宮城県沖の親潮と黒潮がぶつかる地点にこれから溜まっていくのではと思っている。
なにか、東電と日本政府は意図的に国民を欺こうとしているように思える。どうして、日本人は立ち上がって抗議しないのだろう。
[追記]
8月28日、きょうも、テレビでは、中国人の海洋放出を反日運動だとしている。これは誤りである。薄めても海洋に汚染水を放出してはならない。放出する放射能物質の総量は薄めても変わらないからである。
また、環境庁の調査結果、トリチウムが検出できなかったと報道している。環境庁は30kmないの10か所で調査したという。拡散のスピードは遅いから、きょう、あすでは、放出口から離れたところで検出できるはずはない。
とりあえずは、汚染水がかたまりのまま、潮流にのって移動しているだけである。しかし、今後、50年も60年も毎日毎日休みなく大量に汚染水を放出すれば、巨大な汚染水のかたまりが どこかに 生じるだろう。
同じ現象が大気放出でも起きる。
2011年の福島第1原発事故で、放射能汚染の空気の塊が拡散せず、風船のように関東、東北に流れた。偶然、それに遭遇して、原因不明の病気とされた人もいたのではないかと思う。とくに、事故直後には、半減期の長いセシウムやヨウ素でなく、半減期が短い核種の放射能気体が最初に大量に放出される。メディアはこれに言及しないが、とても危険である。事故直後すぐは、屋内にいて、この放射能汚染の空気の塊をやり過ごした方が良いと、当時、原子力の専門家から注意を受けた記憶がある。
災害にともなう事故には過失が認めうる。しかし、処理をしたとはいえ、1次冷却水の海洋への排水は許されぬ環境汚染ということでしょう。
幾度も事実の隠蔽を重ねてきた、この国家は、とうとう追い込まれてしまったようです。