猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

日本の製造業の底辺が壊れ始めているのではないか

2024-11-25 15:38:11 | 働くこと、生きるということ

きのう、LED電球を買いに電気器具量販店にいったら、パナソニック製品も東芝製品もMADE IN CHINAであった。帰ったら、テーブルの上にベーキングペーパがあった。その販売者は日本の会社だったが、製造元が書かれていないので箱のすみずみまで探したら、MADE IN CHINAの文字を見つけた。

今年の夏にダイソーを見てまわったときも、ほとんどの商品はMADE IN CHINAであった。ダイソーは自社で設計したものを中国で生産しているのだというが、設計というより商品企画に近いのが実態だと思う。

私は中国脅威論を述べたいのではない。逆に、中国の製造業の底辺が確実に上がっていることを祝福したいと思う。

私の心配は日本の製造業の底辺が壊れ始めているのではないかということだ。

中国製のドローンの中は中国製の機能チップだらけだそうだ。機能チップは、制御や画像処理のための特製のチップのことで、設計し生産する職人が中国にいるということである。太陽光発電はいまや中国の独壇場になっている。中国製EVには、アメリカ、カナダは100%の関税をかけている。EUも45%の関税をかけている。EVも中国が他国を圧倒している。

現在の中国の競争力は、単に、労賃が安いというよりも、質の高い労働力の層の厚さに支えられていると思う。

私は、ものづくりが農業と同じく富の源泉で、ものづくりを粗末にする国に未来がないと考える。だから、子どもたちがものづくりにあこがれず、町工場が壊れていくのに、心を痛める。

ものづくりは、トイレットペーパー1つとっても、製造機械の不断の工夫、調整、補修が要求される。溶けたパルプからペーパを一定の力で自動的に巻きあげる機構、一定の間隔でミシン目を入れる機構、私は、毎日トイレで、それらの日本技術の高さに感嘆してきた。

いま、日本の政治家、官僚は、IT、IT、IT、AI、AI、AIというが、日本のIT業界もビジネスモデルをこね回していて、詐欺師集団あるいはひったくり集団になり果てている。こんなものに子どもたちがあこがれるなんて、とんでもないことだ。ものづくりに励む者が報われる社会であって欲しい。

[11月27日追記]

けさの朝日新聞はアマゾンが公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査をしたとの記事が一面にのった。アマゾンが表示優先順位で出品者に値下げの圧力をかけているとの問題を取り上げたものである。アマゾンにかかわらず、グーグルなどのインタネットに巣食うIT業界はビジネスモデルで莫大な利益を上げるようになっている。日本が見習うべきものではない。


イスラエル国がジェノサイドを行っている

2024-11-22 12:55:12 | ガザ戦争・パレスチナ問題

11月22日、けさの朝日新聞に国際刑事裁判所(ICC)がイスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相、ハマスの軍事部門トップのデイフに戦争犯罪や人道に対する犯罪の容疑容疑で逮捕状を出したとある。

多くの人にこのニュースを共有していただきたい。

国連のUNRWAは、昨年の10月7日以降、イスラエル軍が4万4千人のパレスチナ人を殺害したと言っているが、私は、関連死を含めば50万人を超えているだろうと思っている。

その前日、TBSの「報道1930」でも、イスラエル政府と軍が、パレスチナ人がいない、人間の皮を被った獣(けだもの)だと、意図的に子どもや民間人を殺し、アイデンティティとなるものを破壊し、ジェノサイドを計っていると報道した。(YouTubeでも報道が見れる)

とくに、衝撃的だったのは、パレスチナ人抹殺をイスラエルの若者たちが熱狂的に支持していることだ。彼らは、実際にガザでパレスチナ人を殺しており、ヨルダン川西岸でもパレスチナ人を非人間的扱いしている。彼らはイスラエルが占領した地を、疑問を持たずに、与えられた当然のものと思っている。

「人間の皮をかぶってる獣」というのは、日本の第2次世界大戦中、アメリカ人イギリス人を「鬼畜米英」と言っていたのと通じる。

当時の日本人、教養ある人々までが、そう言ったのは、西洋文明に対する劣等感と日本書紀、古事記などによる民族主義教育から来るものであった。

イスラエルの場合は、イスラム諸国に囲まれている中で1948年に武力でイスラエルを建国したということからくる不安と自信、ヘブライ語聖書の「モーゼの五書」や「ヨシュア記」などによる過度な民族主義教育の結果によるものである。

「モーゼの五書」の1つ創世記15章18節には、つぎのようにある。

בַּיֹּ֣ום הַה֗וּא כָּרַ֧ת יְהוָ֛ה אֶת־אַבְרָ֖ם בְּרִ֣ית לֵאמֹ֑ר לְזַרְעֲךָ֗ נָתַ֨תִּי֙ אֶת־הָאָ֣רֶץ הַזֹּ֔את מִנְּהַ֣ר מִצְרַ֔יִם עַד־הַנָּהָ֥ר הַגָּדֹ֖ל נְהַר־פְּרָֽת׃

(こうしてその日、主はアブラムと契約を結んで言われた。「あなたの子孫にこの地を与える。エジプトの川からあの大河ユーフラテスに至るまでの。」

じっさい、イスラエルの政党の中には、レバノン、ヨルダンを併合せよ、と唱える政党もある。

ヘブライ語聖書は、本当は宗教書ではない。ユダヤ人が古い歴史を持つと見せかけるために、紀元前6世紀から1世紀にかけて、雑多な文章を寄せ集めたものである。内容には統一性がない。その当時、字を読めるものが少なかったから、内容よりも、分厚ければ分厚いほど良かった。それが、キリスト教が紀元後3世紀ころから旧約聖書として尊重したから、ややこしくなった。「ヨシュア記」などには、約束の地を勝ち取るために、敵を殺せ、内通者以外はすべて殺せしかない。

キリスト教の指導者のなかには、旧約聖書を聖書から外そうとした者もいた。

日本でも、イスラエルでの留学経験のある考古学者、長谷川修一は、ヤコブの時代にラクダがいなかった、イスラエル民族のエジプト脱出はなかった、古代イスラエル統一王朝はなかったなど、ヘブライ語聖書は作られた物語で歴史的事実でないと言っている。そして、彼は日本の歴史教科書からヘブライ語聖書にもとづく記述を排除すべきと言っている。

このような歴史に反するいろいろな旧約聖書の問題点を、欧米の聖書研究者も言及してきた。

イスラエル政府やイスラエル軍はヘブライ語聖書の都合の良い部分を民族教育に使っている。

バイデン政権は、イスラエル政府の軍事路線やユダヤ至上主義を抑え込めなかった。アメリカがイスラエルへの軍事援助を止めれば、イスラエル政府と国民の暴走を抑えることができた。トランプ政権がはじまっても、事態が改善される見込みはない。アメリカの若者やユダヤ知識人がイスラエルの暴虐に反対していることが、わずかな希望である。


斎藤元彦の知事選で再選をどう考えたよいのか、ネットが悪いのか

2024-11-19 22:18:13 | 政治時評

百条委員会にパワハラで調査中の、しかも県議会で不信任決議を受け辞職した斎藤元彦が11月17日の知事選で再選を果たした。19日の朝日新聞の見出しは「共感 うねり生んだ有権者」「ネット信頼感 斎藤氏を後押し」であった。私は問題の本質を何か見落としているのではと感じる。

「うねりを生んだ有権者」というが、投票率は55・65%であって、多くの人がそもそも投票場に行っていない。斎藤が得た票は有権者の24.96%にすぎない。

事実としては、自分たちの置かれている状況に不満を潜在的に抱えている人々の一部が、不信や偏見にもとづき、「改革に強い姿勢の斎藤がマスコミにいじめられている」「公務員らは甘えている」との扇動に動いたということである。

この現象に、現代の民主主義国家の問題がある。アメリカのトランプ現象や、イギリスでの反移民暴動に通じるものがある。古くは1931年にナチスが政権を握ったときにも似ている。選挙でナチスは投票の過半数の票を得ずに、政権の座に就いた。ハンナ・アーレントは、これを政治に無関心の人々と、政治家から見捨てられている人々がいるからと述べた。

アメリカの選挙制度は事前登録制で、大統領選では有権者の6割しか登録しない。多くの人が棄権している中で、大統領が決まるのである。バイデンがトランプに勝った2020年の大統領選では、トランプが初めて大統領になった2016年の選挙より多くの票を取ったのに、バイデンの票がそれをうわまったのである。このときは民主党支持のボランティアが事前登録するよう家々を訪問して歩いたからである。今回の結果は、ガザやウクライナに対するバイデンの曖昧な姿勢に不満なボランティアが動かなかったからである。

多くの人びとが政治に関心をもって参加することが大事である。一部の人が動くだけで政治が決まるのは、民主主義からすると危険なのだ。

今年のイギリスの反移民の暴動も、26都市に広がったが、結局は数万人程度の参加者である。これに対し、反移民暴動に抗議するデモが各都市で起きた。労働党政権はこの反移民暴動に対して、ルール違反を起こしたものを裁判所に訴えた。

今回の斎藤の県知事再選での問題も、ネットの功罪を論じるだけでなく、政治への関心の低さやネットでのルール違反の行動を取り上げるべきである。斎藤県知事が内部告発者を自分への中傷として行政処分したこと、こんどの選挙中にネットでコメンテーターや議員を脅迫した者がいたことに対して、民意だなんておかしなことを言わず、裁判所に訴えるべきである。有権者の24.96%の票で、問題行動があったことをチャラにすることではない。


トランプの勝利にアメリカの2大政党制の欠陥をみる、日本国民で良かった

2024-11-07 23:51:30 | 国際政治

今回のアメリカ大統領選を見ていて、自分がアメリカ国民でなくて本当に良かったと思う。アメリカの政治制度の貧困さをまざまざと見た。アメリカを見習うのは終わりにしよう。

第1に、アメリカは大統領選や議員選挙に有権者登録制度を導入している。州あるいは地方政府に、投票することを事前に登録しないと、投票できない。有権者登録率は7割前後である。有権者登録制度を通じてマイノリティの投票を抑制している。

第2に、予備選挙制度である。州政府の実施する予備選挙制度で各政党の大統領選や連邦議員の候補者を決定する。

第3に、大統領選は州単位で選ばれる代議員による間接選挙である。しかも、ほとんどの州では総取り方式である。1票でも多い政党がすべての代議員を取るのである。今回、トランプが50.9%の票をとり、ハリスが47.6%の票をとったが、代議員はトランプが295代議員をとり、ハリスが226代議員をとった。

第4に選挙にどれだけお金を使おうが問題にされない。お金をかけて作られた扇動的なテレビ広告やネット広告がどんどん流れる。個人献金の額にも制限がない。今回、イーロン・マスクがトランプ陣営に少なくとも1億1900万ドルの献金を行った。それだけでなく、マスクは選挙期間中、自身が設立した政治活動委員会「アメリカPAC」が掲げる請願書に署名した激戦州の有権者を対象に「毎日誰か1人に100万ドルを配る」とした。

これらが、総じて2大政党を有利にしている。

ウソをつきまくるトランプも嫌だが、ガザやレバノンに侵攻しているイスラエルに軍事援助を行うハリスも嫌だとすると選択先がなくなる。ハリスは民主主義の危機という「正義」を旗印にしたが、すざましいインフレ下での経済的困窮の解消を約束しなかった。

自分を代弁してくれる候補者を見出すためには、2大政党のいずれかに予備選に参加して、自分に近い意見を述べる候補者を勝たすしかない。本選の前に夢破れるかもしれない。

振り返って、日本やヨーロッパでの選挙では、政党の多数の選択肢がある。

今回の衆院選で、国民民主党が7議席から28議席になっただけで大騒ぎだ。過半数は233議席なのにだ。国民民主党の「手取りを増やす」という主張は、日本の政治にこれから反映され可能性が高い。日本の政治のほうがアメリカより健全である。


衆院選躍進の国民民主党のキャッチフレーズ「手取りを増やす」への不安

2024-11-03 21:17:45 | 政治時評

今回の衆院選の勝利は国民民主党(国民)の躍進だ。前回の衆院選では立憲民主党(立憲)の獲得票のわりに獲得議席が少なすぎたから、立憲の議席増加は当然のことである。

朝日新聞の出口調査によると、国民と立憲を合わせると、80歳以上を除き、どの年齢層でも自民党の支持率をうわまった。

朝日新聞の出口調査で、もっとも驚くべきは、20代の比例投票先では、国民の支持がどの政党よりも大きくうわまっている。出口調査では、国民は26%で、自民の20%、立憲の15%、維新10%、れいわ10%である。

国民は、「手取りを増やす」以外、選挙で何も言わなかったのに、若者の支持を集めたのである。これは、都知事選で何も政策を述べなかった石丸伸二が若者の票を集めたのと似ている。じっさい、都知事選と同じ選挙参謀が国民の選挙を取り仕切った。

しかし、それだけとは言えない。「手取りを増やす」という国民のキャッチフレーズがお金が欲しいという若者の心をつかんだのである。

立憲の野田佳彦は、「政権交代」と「裏金スキャンダル」の一点張りで自民党を攻め、多くの人びとが経済的に困窮しているという事実を軽く見ていた。この点で国民の玉木雄一郎の選挙戦術をわたしは高く評価する。

一方で、「給料を上げろ」でなく「手取りを増やす」だったことには、わたしは不安を覚える。今回の衆院選の選挙公報では、国民は「減税」「社会保険料の軽減」で「手取りを増やす」と言っているからである。公報の「公費投入増による後期高齢者医療制度に関する現役世代の負担軽減」と「減税」とは矛盾しているのではないか。

一般的な減税でなく、立憲の泉健太が今回の代表選で言っていた、困窮層と富裕層や企業との税負担率の見返しを、国民は主張すべきでなかったのか。

「手取りを増やす」ために、福祉予算を削るのでは、オカシイ。防衛費増額(軍備拡大)に反対すべきではないか。国力に見合った防衛費で充分であると考える。

福祉は、単に生活困窮者を助けるだけでなく、J. ガルブレイスが言うように、不況のとき需要を底支えするのである。不況は需要が供給力を大きく下回ることで起きるので、福祉は不況をやわらげる効果がある。

さらに、3週間前に小熊英二が朝日新聞で言っていたように、福祉は雇用先を増やす。AIを含む大量生産技術の進展は、製造業における雇用を減らしていく。労働力の新しい吸収先として、政府が影響力を比較的持つ医療・福祉・教育に雇用をシフトしていく必要があると、小熊は言う。私自身はそれらに文化活動(芸術・音楽・演劇・研究など)も加えたい。

「手取りを増やす」だけの国民民主党に不安を感じ、これでは国政をまかすわけにはいかないと、わたしは思う。

[11月4日補遺]

きょうのTBS報道19:30を聞いていると、せっかくの国民民主党の提案「手取りを増やす」が、財源がないという理由だけで、税制体系全体の改定や税金の使い道につながらずに、国民民主党叩きになっている。これはフェアでない。

「103万円の壁撤廃」が国の財政不足を起こすなら、富裕層や大企業からもっと税金をとればよいのではないか。福祉にかける予算を削らず、膨張している防衛費を削れば良いのではないか。また、負担が大きいのは国税だけでなく、累進課税になっていない地方税の負担がとても重い。

番組のコメンテーターには、選挙で支持された「手取りを増やす」を良い方向に導くよう議論して欲しい。