世界の大富豪10人の資産、コロナ禍以降に倍増…「金融緩和策で格差拡大」
【ロンドン=池田晋一】国際民間活動団体のオックスファムは17日公表した経済格差に関するリポートで、コロナ禍が始まって以降、世界の大富豪上位10人の資産が7000億ドルから1・5兆ドル(約170兆円)に倍増したと指摘した。各国の中央銀行による金融緩和策の影響で、貧富の格差が拡大したとしている。
最も資産を拡大したのは、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)で、2020年3月~21年11月に資産は約11倍に拡大し、2942億ドルとした。自身が持つテスラ株の値上がりが貢献した。資産額2位はアマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス前CEOだった。
一方、世界人口の99%がコロナ禍で減収となり、1億6000万人以上が新たに貧困状態となった。大富豪10人の資産は、世界の貧困層31億人の資産合計の6倍以上に相当するという。
オックスファム幹部は声明で「中銀は何兆ドルも市場に注ぎ込んだが、そのほとんどは株高ブームに乗った億万長者のポケットに入った」と指摘した。