今回も名詞です。それぞれの3行目以下には、私のひとり言の部分がだいぶあります。
おこ(「水戸大観」)
餡(あん)
全国方言辞典で、餡としては、福島県東白川郡、茨城県稲敷郡とあります。関東で「おこじゅ」という、3時頃に食べる小昼飯をいう言葉があるそうですので、甘いという接点があるかもしれないと思いました。
かあべ(かーべ)(「いばらきの昔ばなし(河和田)」)
木や竹の皮
全国方言辞典には、皮、木の皮、果実の皮とあり、福島、茨城、栃木とあります。霊異記や和名抄には、「かはべ」があるようなので、古語が残ったのかもしれません。
かいちょ(「内村町史民俗編」等)
裏返し、逆さま
全国方言辞典では、「かいちゃ」とあり、意味は裏返しで、仙台(浜荻)、常陸(常陸方言)、東北、茨城県北相馬郡、千葉県夷隅郡とあり、「かっちゃ」「かえし」、も同じような意味の言葉としているようです。「かへし」は古語で表裏を逆にするという意味があるようなのですが、これが本来の言葉だとすると、「かへし」が「かいちょ」などに変化したと考えられるのでしょうか。。
きまえ(「いばらきの昔ばなし(河和田)」)
気持ち
全国方言辞典では、気持ち、気質とあり、奈良県南部とあります。「気前がいい」の気前が、「気持ち」という言葉と同じ意味で使われたのでしょうか。
こっぺ(こっぺー)(「 水戸地方の方言資料(1)」等)
おじゃま、小利口、ませている幼児
全国方言辞典では、巧者とか生意気という意味としていますが、茨城の地名はのせてありません。俚言集覧には、「こうへい」が利口に口をきくことで坂東の言葉とあり、滑稽からきた言葉だろうとあります。
さし(「いばらきの昔ばなし(河和田)」)
祭や寄合等の村落費用の分担金
ネットの「昔の茨城弁集」には茨城県で広域に使われていて、「捨施、謝志(しゃし)」の訛りではないかとしています。銭さしとか、ものさしの「さし」も、お金や分担ということからむりやり考えればありそうですが…。
でほらげ(「内村町史民俗編」)
でまかせ
全国方言辞典では、「でほーらく」で、うそ、でたらめ、福島、群馬県勢多郡、埼玉県秩父郡、茨城県真壁郡としています。「出放題」といった語感の言葉なのでしょうか。
ねんね(「内村町史民俗編」)
赤ちゃん
全国方言辞典では、乳児、赤ん坊とあり、新潟県長岡、福井県坂井郡、広島県沼隈郡、香川県高松、愛媛県新居郡とあり、茨城県はありません。ねんねは、赤ん坊が寝ている様子からなのでしょうから、たぶん全国的に使われたの言葉なのでしょう。
ばっけ(「いばらきの昔ばなし(河和田)」)
崖
全国方言辞典では、崖、がけとあり、茨城県久慈郡、秋田県久慈郡、千葉県印旛郡とあります。「はけ」という言葉と通じるものなのでしょう。木葉下(あぼっけ)の「ぼっけ」もこれでしょう。
はんこ(「いばらきの昔ばなし(河和田)」)
ちゃんちゃんこ
全国方言辞典で、袖無し、はんてんとあり、茨城の外、全国各地の地名がのせられています。広辞苑には「袢衣(はんこ)」と書いて、半纏(はんてん)のこととしていますので、昔、一般に使われた言葉だったのでしょう。