今日の名古屋高裁判決から。
三重・鈴鹿市の生活保護停止処分
名古屋高裁が一審判決の処分取り消しを支持
賠償金は11万円に変更(中京テレビ)
https://nordot.app/1224289443224633425
私が裁判長として言い渡した津地裁判決の本論を、控訴審(裁判長は中村さとみ津地裁前所長)に支持していただいて、安堵している。
ただし、国家賠償請求訴訟で認容額が5万円(原告二人で10万円)だからといって、弁護士費用が5000円(原告二人で1万円)というのは、いかがなものだろうか。
旧弁護士報酬基準では、民事訴訟の着手金の最低額は10万円とされていた。
たまたま、原告一人当たりの弁護士費用の請求額が5万円に過ぎず、慰謝料も5万円と算定したので、弁護士費用もその範囲にとどめているが、本来はもっと高くてもおかしくない。
これが少額の物損等の交通事故損害賠償請求訴訟であれば、賠償基準がほぼ確立しており、弁護士を依頼しない本人訴訟でもできないことはなく、多くは弁護士費用保険で賄われていると見られるので、1割の5000円で良いと思う。
しかし、事案の困難性を全く考慮しないで、弁護士費用は一律1割という裁判実務は改めるべきではないだろうか。
最高裁判例も「弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものにかぎり、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである」としている(写真の最高裁第一小法廷昭和44年2月27日判決・民集23巻2号441頁)。「認容額の1割が相当」などとは言っていない。同判決の事案でも、認容額とは無関係に、着手金13万円全額を弁護士費用として認めている。
日弁連を初めとする弁護士会の皆さんの意見を伺ってみたいものだ。