■明日の記憶 ◎
渡辺 謙プロデュース&主演による、2005年本屋大賞 第2位に輝いた
同名小説の映画化。
業界の第一線でバリバリ働く広告マンが、物忘れによるうっかり
ミスや、部下やクライアントとのコミュニケーションに支障を
きたすなどの状況に見舞われ、心配する妻の勧めで受けた診察の
結果、若年性アルツハイマーと診断される。
徐々に記憶が失われる恐怖と戦う主人公とその妻(樋口可南子)。
しかし症状は確実に進行していく。「最後の記憶」が消えた時、
妻は・・・という話。
いまやハリウッド俳優と並び賞される渡辺 謙の演技力をどうこう
言うつもりもないですが、病名を知った時の取り乱し様、症状を自覚
して以降の言動、特に記憶障害に侵されていない部分での「普通さ」
など、ストーリーの進行に伴う主人公・佐伯雅行の変化が、「痴呆(と
敢えて書く)の進行=老化ではない」ということがリアルに伝わって
きて、所々に見られるトリッキーな映像表現も相まって、下手な
ホラー映画よりも怖いです。
ちなみに演技力といえば、今作で佐伯に病名を宣告する医師役で
出ている及川光博が、出色の演技を見せてくれてます。自分が好き
でやっている部分があるにせよ、変にイロモノ的なキャラを作って
いく必要は全くないんじゃないかと思うくらい。
また、クライアント先の責任者として出てくる香川照之もいい
感じ。冗談を交えつつも佐伯を励ます電話のシーン、それまでの
どちらかといえば軽薄さを覗わせるキャラ作りが活きてます。
あと陶芸の先生として出てくる大滝秀治も、あの歌のアドリブが、
パンフレットのコメントにある通りだとしたら、この人は当分の間
ボケる心配は無用ではないかと。
ところで、『博士の愛した数式(*1)』でも感じたんですが、社会
通念とか一般常識といったものは、何かしらの芸術的な成果を得る
際の「足枷」にしかならないんでしょうか。まあ他人と同じ部分を
捨ててこそ独創性が生まれる面はあるとは思いますが。
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*1:この原作小説も、2004年の本屋大賞で第一位、つまりは大賞に選ばれている。
渡辺 謙プロデュース&主演による、2005年本屋大賞 第2位に輝いた
同名小説の映画化。
業界の第一線でバリバリ働く広告マンが、物忘れによるうっかり
ミスや、部下やクライアントとのコミュニケーションに支障を
きたすなどの状況に見舞われ、心配する妻の勧めで受けた診察の
結果、若年性アルツハイマーと診断される。
徐々に記憶が失われる恐怖と戦う主人公とその妻(樋口可南子)。
しかし症状は確実に進行していく。「最後の記憶」が消えた時、
妻は・・・という話。
いまやハリウッド俳優と並び賞される渡辺 謙の演技力をどうこう
言うつもりもないですが、病名を知った時の取り乱し様、症状を自覚
して以降の言動、特に記憶障害に侵されていない部分での「普通さ」
など、ストーリーの進行に伴う主人公・佐伯雅行の変化が、「痴呆(と
敢えて書く)の進行=老化ではない」ということがリアルに伝わって
きて、所々に見られるトリッキーな映像表現も相まって、下手な
ホラー映画よりも怖いです。
ちなみに演技力といえば、今作で佐伯に病名を宣告する医師役で
出ている及川光博が、出色の演技を見せてくれてます。自分が好き
でやっている部分があるにせよ、変にイロモノ的なキャラを作って
いく必要は全くないんじゃないかと思うくらい。
また、クライアント先の責任者として出てくる香川照之もいい
感じ。冗談を交えつつも佐伯を励ます電話のシーン、それまでの
どちらかといえば軽薄さを覗わせるキャラ作りが活きてます。
あと陶芸の先生として出てくる大滝秀治も、あの歌のアドリブが、
パンフレットのコメントにある通りだとしたら、この人は当分の間
ボケる心配は無用ではないかと。
ところで、『博士の愛した数式(*1)』でも感じたんですが、社会
通念とか一般常識といったものは、何かしらの芸術的な成果を得る
際の「足枷」にしかならないんでしょうか。まあ他人と同じ部分を
捨ててこそ独創性が生まれる面はあるとは思いますが。
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*1:この原作小説も、2004年の本屋大賞で第一位、つまりは大賞に選ばれている。