この物語は、徳川家康率いる最強内閣が、
コロナという予測不能な事態を収束させ、地に堕ちた政府の信頼を取り戻す
をミッションに掲げて書かれた物語。
「おまんに聞きたいが、不安とはなんじゃ?」
「は?」
龍馬の質問に理沙は戸惑った。
「不安とは、何もせんもんがかかる病じゃ」
「病?」
「自分では何もできん。他人がなんとかしてくれるか、神さんがなんとかしてくれるか、すべて人任せじゃ。それゆえ心が弱くなる。自分がすべきことを自分で決めた人間はたいがいのことはなしとげられるぜよ。わしらは、黒船が来て、このままじゃあかんと思うた。思うたから命をかけて動いた。他人に決められて動いたわけでもなく、他人になんとかしてほしいとも思わんかった。だから世が動いたぜよ」
「この時代のもんはあまりに人任せじゃ。自分で動かねば、不安という病に取り憑かれ、何も考えんようになってしまうぜよ。その方が、流行病などよりよっぽど怖いぜよ」
・・・
龍馬はなぜか悲しい表情を浮かべて言葉を紡いだ。
「わしらがつくりたかったのはこういう平和ではないぜよ。わしらが流した血はこういう国のためではないきに」
もしも徳川家康が総理大臣になったら 眞邊 明人
本作の中では、リアルな日本政府が考えもしなかったことを、VRな徳川家康ほか歴史上の人物がコロナ対策のために
国民に一律50万を支給し1ケ月間のロックダウンの政策をとることから始まる。
作者の何物にも縛られないアイデアや、歴史上の人物の魅力、次に何をおこなうのだろうという期待感で
読み進んでいくのが楽しみな物語。
確かに、坂本龍馬がこの時代に蘇ったら、先に書いた言葉を発したかもしれない・・・