厚生労働省の調査によれば、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)に入所申し込みをしている人が42万人を超えているそうです。(平成21年12月現在)←調査方法に疑問は残るけれど・・・。
その内の約半数の人が在宅で生活しており、また約半数の人が病院や他施設で生活している現状があります。
僕が勤める施設でも待機者が270名を超えています。定員が54名で、実際に入所するのは年間に10人前後ですから、多くの方が利用できないまま他施設に行かれたり、お亡くなりになられたりします。
では、施設を増やせば良いのではないか?という話になりますが、実際には様々な問題があって難しい状況だと思われます。
まず一つ目に介護従事者の問題が挙げられます。
昨年の介護従事者の処遇改善交付金の報道により「介護」の仕事がメディアで大きく報じられました。しかし、それは給与の低さだったり、仕事内容の大変さだったり、離職率の高さだったりとか、負の面を取り上げて、だからこそ賃金アップを・・・と言ってしまったことにより「介護」の仕事は大変だぞと日本国民に思われてしまったところがあります。
実際に、介護福祉士やホームヘルパーを育成する専門学校や機関の定員は大きく割り込んでしまい、閉校してしまうところもあると聞きます。またせっかく介護福祉士の国家資格を取っても福祉業界とは全く違った仕事に就く人も多いと聞きます。
都会では、定員数80床の施設が職員不足により70床しか稼働できないといった状況が起きているのも現実です。
つまり、施設を増やしたからといって、そこで働く人が集まらなければ成り立たないのです。
二つ目に介護保険料の問題が挙げられます。
40歳以上の人は介護保険料を各保険者(殆どの場合、市区町村)に収めています。そして、その保険料(50%)と公費(50%)によって、介護保険が運営されているのです。
そうすると、施設を増やすということは、それだけ出費も多くなるので、当然のことながら保険料も上がります。
65歳以上の人一人あたり4160円/月(平成22年度全国平均)と言われている介護保険料をまだまだ上げないと施設を増やすのは難しいのが現状なのです。ただでさえ、将来の生活に不安のある人たちから、強制的に高い保険料を徴収するのは理解が得られにくいでしょう。
他にも問題はありますが、結局のところ施設を増やしたからと言って、問題解決にはならないだろうということです。
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