まだ働いていた40歳を少し過ぎたころ、話し終えて出口の方に向かっていたら
突然1人の青年が近づいてきて「〇〇さん(わたくしのこと)は話していて全然
『あ~』とか『え~』とかを入れませんね。たいていの人は入れるのに・・
ずっとそう思って聞いていました」と。
「えッ、そうですか?」わたくしは本当に心底驚いた。
そう言われるまで全く意識していなかった。考えたこともなかった。
それからかなり意識するようになったが。
TVの番組に出ているコメンテーター達の中にも「え~、あ~、えッと、う~」
などと間投詞みたいな言葉を入れる人が多い。
一番気になるのはちっとも「やはり・・」と続かない話なのに「やっぱり、やっぱり」
という人が多いことである。
昔「あーうー宰相」「讃岐の鈍牛」と言われた首相がいた。大平正芳氏。
彼は在任中に突然倒れて亡くなったが、この人の話は「言葉そのものの力がある」
とも言われている。
角栄氏は「話は面白いけれど濁声で国会での演説は聞き取りにくかった」という
ことだから、あながちよどみなく話すことがよいとも限らない。
2,3日前、将棋の羽生さんと藤井さんがTVで並んで共に「ま~、まッ」を
ワンフレーズごとに入れて話すのをみて天才棋士は同じように話すのだなあと
妙に感心し、遠い昔のことを思い出した。