浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

恩師の歌集「愛」より

我れ食べず人に施す母の愛
幼き我に布施教えらる

父母恩重経

2012-11-10 01:58:27 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

      ~ 恩師の御講演「父母恩重経」より ~



   吾が腹から心せよ。

   山より高き、父の恩。海より深き、母の恩。

   知るこそ道の始めなり。

   子を守る母のまめやかに、吾がふところを寝床とし、

   かよわき腕を枕とし、骨身をけずる哀れさよ。

   美しかりし若妻も、幼な子一人育つれば、

   花の芳せいつしかに、衰えゆくこそ、悲しけれ。

   身を切る如き、冬の夜も、骨さす霜の暁も、

   乾ける処に、子を廻し、濡れたる処に己れ臥す。

   幼き者の頑ぜなく、懐汚し、背を濡らす。

   不浄を、厭う色もなく、洗うも、日に日に、幾度かや。

   己は寒さに、凍えても、着たるを脱ぎて子を包み、

   甘きは吐きて子に与え、苦きは、自ら食らうなり。

   幼な子、乳をふくむこと、百八十石を越すとかや。

   まことに、父母の恵みこそ、天の極まり無きが如し。

   父母は吾が子の為ならば、悪行作り、罪重ね、

   よしや、地獄に落ちるとも、少しの悔いも無きぞかし。

   もし、子、遠くに、行くあらば、帰りてその面見るまでは

   入りても、出ても、子を想い、寝ても醒めても、子を想う。

   髪くしけずり、顔ぬぐい、衣を求め帯を買う、

   美しきは、皆、子に与え、父母は、古きを選ぶなり。

   己れ生ある、そのうちは、子の身に変わらんこと思い、

   己れ死に行くそのあとは、子の身を守らんこと思う。

   寄る年波の重なりて、いつしか頭の霜白く、

   衰えませる父・母を、仰げば、落つる涙かな、

   ああ、有難き父の恩、子は、いかにして報ゆべき。

   ああ、有難き母の恩、子は、いかにして、報ずべし。




         ~ 感謝・合掌 ~









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