ペルル嬢(119)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant
————————【119】————————————————
Ma mère elle-même fut tellement émue
par la reconnaissance passionée et le
dévouement un peu craintif de cette mignonne
et tendre créature, qu'elle se mit à l'appeler:
« Ma fille. » Parfois quand la petite avait
fait quelque chose de bon, de délicat, ma
mère relevait ses lunettes sur son front,
ce qui indiquait toujours une émotion chez
elle et elle répétait: « Mais c'est une perle,
une vraie perle, cette enfant ! » — Ce nom
en resta à la petite Claire qui devint et
demeura pour nous Mlle Perle.
—————————(訳)————————————————
母でさえ、この可愛くてやさしい子の心からの感謝や
少しばかりおどおどした献身的な姿には、心を動かされ
て「わが娘や」と呼び始めたほどでした.この子が何か
いいことや素晴らしいことをしたときにはときどき、母
は顔の眼鏡を上げていました.それは彼女が感動したと
きにを示すいつもの仕草でした.そして母はくり返し言
うのでした.「この子はまるで真珠だわ.本物の真珠よ.
この子は!」——この呼び名がクレールにはずっと残る
ことになって、私たちの間で、「ペルルお嬢さん」の名前
になって、そのまま残ったのです.
—————————《語句》————————————————
ému(e):(形) 心を動かされた、感動した、
reconnaisdsance:(f) 感謝、
passioné(e):(形) 情熱的な、熱中した、熱列な;
reconnaisdsance passionée:心からの感謝
dévouement:[デヴーマン](m) 献身、忠誠、犠牲的精神
craintif(ve):(形) 臆病な、おどおどした、
mignon, onne:(形) (小さくて)かわいい、すてきな
mignon(ne):(n) 可愛い子、
tendre:(形) やさしい、愛情深い、
créature:[クレアチュール](f) 創造物、人間
se mit à + 不定詞:(3単単純過去)
< se mettre à + 不定詞:~し始める、
に着手する、とりかかる
appeler:(他) 呼ぶ
parfois:(副) ときには、ときどき
quelque chose de délicat:優美な振舞い
relevait:(3単半過去) < relever (他) 立て直す、
起こす、高くする
lunette:(f)[複数形で用いる] 眼鏡
indiquait:(3単半過去) < indiquer (他) 指し示す
ce qui indiquait:示していたこと
émotion:[エモスィオン](f) 気持ちの高ぶり、感動
répétait:(3単半過去) < répéter (他) 繰り返す
perle:[ペルル](f) 真珠
devint:(3単単純過去) < devenir (自) ~になる
demeura:(3単単純過去) < demeurer (自)
とどまる、残る
——————————≪追記≫————————————————
学習後に訳本(岩波文庫)をチェックしたところ、
「真珠」には「申し分ない人のこと」という説明が
本文中カッコ内に載っておりました.